平成30年2月27日(火)

 今朝の閣議においては,法務省案件はありませんでした。
 本日,外部有識者による「株式会社の不正使用防止のための公証人の活用に関する研究会」が「議論のとりまとめ」を公表しました。この研究会は,株式会社が,消費者詐欺犯罪等の犯行ツールとして,本来の行為者の隠れ蓑として使用されることが多く,また,資金洗浄・テロ資金対策の観点から法人の実質的支配者を把握する国際的要請が強まっていることを踏まえ,本年1月,民事局長の主催で発足したものです。
 「議論のとりまとめ」は大きく二点あります。一点目は,株式会社設立時の公証人による定款認証手続において,会社の実質的支配者を申告させ,更にその者が反社会的勢力に該当しないことも申告させることとすること。二点目は,申告された情報を公証人が電子公証システム内でデータベース化することを提言するものです。これにより,暴力団員等が実質的に支配する会社の設立が防止され,また,FATFの評価を始めとする我が国の株式会社の透明性に関する国際的な評価の向上が期待されます。株式会社の設立手続の適正さは,我が国の株式会社制度の経済のインフラとしての信用力を維持するために極めて重要であり,研究会の提言は,この観点から,大いに意義があると考えられます。
 法務省としては,「議論のとりまとめ」を踏まえ,本年中に法務省令の改正等の必要な措置を講じてまいりたいと考えています。

株式会社の不正使用防止のための公証人の活用に関する研究会に関する質疑について

【記者】
 今回のとりまとめで,省令改正の措置を講じていくとおっしゃいましたが,実効性を担保するために法務省として必要な取組はどのような点だと考えていますか。また,今後,会社法などの法律そのものを改正する必要性はあるとお考えでしょうか。

【大臣】
 研究会のとりまとめは,公証人が定款認証手続において,起業者に対し,実質的支配者等についての申告を求め,申告がなければ認証を拒否するなどの方策により,設立される株式会社の実質的支配者を把握し,暴力団員等の反社会的勢力を排除するというものです。実効性の担保として,公証人が虚偽申告事案を適切に選別することができるように,諸外国や国内の他機関の取組も参考にしつつ,どのような場合により踏み込んだ確認を行うかについて明確な基準を設定することや,警察庁等の関係機関との連携に努めることが非常に大事であると考えています。今回提言があった主な方策は,省令の改正により対応可能であり,会社法の改正は考えていません。

【記者】
 申告により集まった会社の情報を管理する上で,プライバシー保護や情報漏えいへの対策はどのようにお考えですか。

【大臣】
 データベースの集積においては,プライバシー保護の上で,十分な配慮をしていくことが当然であり,その情報を適切に認証等の現場で実務的に使うことができるようにしていく利便性や利用可能性の判断,配慮も大切であると考えています。

民法の成年年齢を引き下げる改正案に関する質疑について

【記者】
 今国会に提出予定の法案についてお伺いしたいのですが,民法の成年年齢を引き下げる改正案は,昨年の臨時国会が総選挙の関係で開かれなかったため,今国会でなるべく早く提出したいというお考えだと思いますが,現状,法務省として今国会に提出するという考えにお変わりはないでしょうか。

【大臣】
 今回の通常国会においては,法務省の重要法案として,成年年齢の引下げを是非法案審査していただきたいと思っています。今,様々な準備を進めており,衆議院での予算審議が終わった段階で,なるべく早い時期に出すことができるようにしてまいりたいと考えています。

(以上)