平成30年12月21日(金曜日)
11時32分~11時45分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。
私から2点申し上げます。

国際博覧会担当大臣指定と関係閣僚会議

まず1点目ですが、先ほどの閣議におきまして、総理から経産大臣である私が国際博覧会担当大臣に指定をされました。
また、官房長官から、2025年に開催する国際博覧会関係閣僚会議を開催をし、関係閣僚が緊密に連携しつつ、政府全体で必要な施策を進めるよう協力依頼がありました。これを受けて第1回閣僚会議が開催をされ、大阪・関西万博の成功に向け、政府が一丸となって取り組むことが確認をされました。
国際博覧会担当大臣として、準備及び運営が円滑に進むよう全力を期していきたいと思います。

原子力災害対策本部

2点目ですけれども、本日、原子力災害対策本部会議を開催をして、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けた取組とその進め方を決定いたしました。
具体的には、これまで帰還困難区域として立ち入りを厳しく制限していたことから、今後、よりきめ細かな放射線防護対策を講じるとともに、除染・インフラ整備を着実に進めた上で、地元と協議を行い、避難指示を解除していくことといたします。
今回の決定を踏まえて、引き続き福島県や市町村の意向を踏まえながら、関係省庁と緊密に連携をして、帰還環境の整備に全力で取り組んでまいります。
詳細については、この後、事務方より説明をさせます。
私からは以上です。

質疑応答

平成31年度政府予算案・税制改正

Q:今日、閣議決定された2019年度予算案について、経産省が要望されていた消費増税時の経済対策となるポイント還元や、また、自動車税制改正などが盛り込まれたと思います。こうした点の特色について伺わせてください。特にポイント還元については、流通業界団体などから平等ではないのではないのかという懸念も出ているようですが、その点どのように御覧になっているか。

A:まず、平成31年度政府予算・税制改正については、世界経済の先行きに不透明感がある中、来年10月に予定される消費税率の引き上げを乗り越えて、我が国経済をさらなる成長軌道へつなげることが重要だと考えています。
そのため、予算については、通常の当初予算枠において「Connected Industries」の推進190億円や、水素社会の実現に向けたイノベーションの促進602億円など、重点的に措置をされているところであります。
さらに、臨時、特別の措置として、消費税率上げへの対応としてのポイント還元2,798億円や商店街活性化50億円、国土強靱化関連656億円を措置をして、総額1兆5,925億円を計上いたしました。
また、税制については、全ての車種の保有に係る自動車税の恒久減税を実現をいたしました。さらに、消費税率上げから1年間は、取得価格の1%分の税負担を軽減をいたします。これらによって、消費税率上げ後の自動車のユーザー負担を大幅に軽減することになります。
そのほかにも、個人事業者向けの事業承継税制の創設ですとか、研究開発税制のオープンイノベーションに対する税額控除の大幅な拡充などを措置しております。これらの税、予算を含め、あらゆる政策を総動員して平成31年度の経済政策運営に当たってまいりたいというふうに思います。
また、ポイント還元について、いろんな声が出ているわけでありますけれども、今回のポイント還元は、あくまでも、なかなか資金力に乏しい中小、小規模事業者を対象としているところである、そこを対象に5%の還元をしている、大手が主導しているフランチャイズにおいては、これはやはり大手が中心ということでありますから、その点を勘案して2%ということで対応をさせていただきたいというふうに考えております。

旧産業革新機構・産業革新投資機構

Q:官民ファンドトップの高額報酬についてお伺いします。社長の辞任が決まったJICは、経産省が一度、高額報酬案を提示しておきながら取り下げをしたと。その一方で、INCJについては、年間最大9,000万円を超える高額報酬の規程が設けられて、経産省は認めていたというのがあります。これはダブルスタンダードではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

A:この辺は、よく経緯を御理解いただかなければいけないと思っていますが、INCJの報酬規程は2011年に定められています。この規程に基づいて、社長には固定給が最大で2,300万円、そして、この固定給に加えて支払われる長期業績連動報酬、いわゆるキャリー報酬については、これは通常、民間のファンドでは利益の20%程度が当てられて、そして上限がないというのが通常でありますけれども、INCJについては、利益が出た場合に限って97%の利益を国への配当、納税、再投資資金などに使った後、残りの3%を原資として、キャリー報酬にする。しかも、最大年間7,000万円という上限も付けているというのがINCJであります。
INCJは、発足後3,165億円を投資をして、そして4,000億円以上の、ですから倍以上に増やしたわけですね、の投資リターンを得ていることですとか、あるいは既に2011年に報酬規程が決められて、それに基づいて、もう既に複数年にわたって業務に携わってきておられるということを踏まえて、既存の契約どおり支払うということになるわけであります。
高いという御意見もあるかと思いますけれども、これは既に2011年に決められた報酬規程を前提に何年も仕事をしていらっしゃる方々への報酬ということで、これは支払わざるを得ないという面があるというふうに思っています。
ただ、JICはINCJとは少し異なるわけであります。INCJは、INCJ自身が個別の企業への投資判断をしておりました。でも、JICは、そこの考え方を根本的に変えて、ファンド・オブ・ファンズとして、各ファンドを監督する立場であるわけであります。その報酬として、業績連動のようなものが必要か、必要で設定をするとしても、かなり抑制的なものであるべきだというふうに考えています。
ただ、いずれにせよ、この点については、年内にも立ち上げる第三者諮問委員会で専門家の御意見もよく伺いながら、JICにおける報酬やガバナンスの在り方について、精緻に議論をしていきたいというふうに思っています。

Q:退職時に、解散時に残った残余資金も退職後も分配されることになっていると思うんですが、退職後も支払われるのでしょうか。最大7億円…。

A:ですから、報酬規程、2011年に定められた報酬規程に沿って対応は行われると考えています。

Q:それと、このINCJの報酬規程は、朝日新聞の情報公開請求については黒塗りだったんです。同じ日にマスコミ向けに発表されたものには全部公開されているんですが、その対応が、整合性が合わない、何で朝日だけ隠すんでしょうか。

A:これは隠したわけじゃないんですけれども、情報公開請求に対して、会社のあくまでも内部規定であるINCJの報酬規程について、黒塗りで対応をいたしました。
同じ日に、事務方から記者の皆さんにブリーフィングを行う中で、JICからの法律上、JICはもうこの報酬規程は公開するという改革を行っていますので、法律上、公開が求められているこの報酬基準を受けて、JICの役員報酬基準を公表することになりましたので、このJICの100%子会社であるINCJについても公表をさせていただきました。
この点については、御指摘のとおり、同じ日に、一方では黒塗りで対応しながら、一方では公表することになってしまった、結局、公表はしたわけですから隠す気はなかったわけではありますけれども、省内での連携が不十分であったことは否定できないと思っておりまして、その点は真摯に反省をしたいというふうに思っております。
いずれにせよ、もう既に報酬規程は公表をしておりまして、隠す意図などは一切ないということは御理解いただきたいと思います。

日露経済関係

Q:大臣は今週、ロシアの発展経済大臣とお会いになっておりますけれども、それについてです。アメリカはEUと、ロシアに対して経済制裁を続けていますが、日露経済協力に影響はありますでしょうか。それから、日露貿易額は4年前に比べて縮小はしておりますけれども、それを拡大していくロードマップを教えていただければと思います。

A:日本としては、引き続き米国やEUを含む関係国と緊密に意思疎通を行いながら、しかし一方で、自らの国益も踏まえて日露関係を進めていく考えでありまして、日露経済分野協力についても、これまでどおり行っていきたいと思っています。
日露貿易の拡大については、やはり8項目の「協力プラン」の具体化、これはもう今、150項目ほど立ち上がって、その半分以上で具体的な動きが始まっていますが、それを更さらに着実に進めていくことによって取り組んでいきたいと思っています。
直近の2018年1月から10月までの日露貿易額は、対前年比で約18%増加をしているところであります。

日EU・EPA

Q:日欧EPAについて、EUの閣僚理事会がEPAを承認しまして、これは来年2月1日の発効が確実になりました。経済産業大臣としての受け止めをお願いします。

A:今日の閣議で、日EU・EPAの効力を発生させるための国内手続が完了したことをEU側に通告することを決定しました。
EU側でも、昨日の閣僚理事会の承認を受けて、国内手続が完了しておりまして、本日、相互に通告を行う予定でありまして、これによって2月1日に発効するということになります。
この協定は、人口6億人、GDPの世界の約3割を占める巨大な経済圏を創出することになります。また、世界で保護主義的な動きが広がる中で、日本とEUが自由貿易を力強く推進する意思を世界に示すことになると思っています。
経産省としては、この協定による日本経済への効果を最大化することが重要だと思っています。各地での説明会による情報提供や、新輸出大国コンソーシアム、これはもともとTPPを前提として作りましたが、こういったことを通じたきめ細やかな支援で中堅・中小企業等の海外展開に取り組んでいきたいというふうに思います。

日産・ゴーン前会長

Q:日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が3回目、特別背任容疑で逮捕されたという報道があったんですが、それについての所感と、今後、外交問題に発展する可能性が高くなるのかなという気もするんですが、その辺のコメントをいただければ。

A:司法判断や捜査に関することについては、コメントすることは差し控えたいというふうに思っております。そのことが外交問題に発展するかどうかについては、これは私も分からないわけであります。
ただ、日産・ルノーのアライアンスの問題については、これは安定的に継続されることが重要ですし、また、アライアンスの今後の在り方については、関係者が納得する形で進んでいくことが重要だと思っています。

以上

最終更新日:2018年12月21日