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1 7月22日及び23日,東京において,「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」第5回会合が開催され,白石隆座長を含む日本人委員7名の他,核兵器国,中道国及び核兵器禁止条約推進国の外国人委員8名の計15名が参加しました。
2 23日には河野太郎外務大臣が昼食会を主催し,賢人会議委員との意見交換を行いました。また,22日のセッション冒頭では,辻清人外務大臣政務官が挨拶を行いました。
3 今次会合では,核兵器の廃絶に向けて真に乗り越えなければならない,軍縮と安全保障の関係に関する困難な問題に焦点を当てながら,2020年NPT運用検討会議及びその後を見据えて,国際社会として核軍縮の進展をどのように図っていくかについて議論が行われました。
4 上記の議論の結果,「困難な問題」に焦点を当てつつ,これまでの賢人会議における議論を総括する報告書を作成することで,委員の間で意見が一致しました。今後,白石座長と事務局において,各委員から出された意見を集約しつつ,本年9月頃を目途に報告書を取りまとめる予定です。
(1)経緯及び目的
- 国際的な安全保障環境の悪化や,核軍縮の進め方をめぐる核兵器国・非核兵器国間,更には非核兵器国間での意見対立が見られる中で,岸田外務大臣(当時)が2017年5月のNPT運用検討会議第1回準備委員会において立ち上げを表明。
- 本件会議は,核軍縮の進め方をめぐり様々なアプローチを有する国々の間の信頼関係を再構築し,核軍縮の実質的な進展に資する提言を得ることを目的とする。
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2017年11月に広島で第1回会合,2018年3月に東京で第2回会合を開催。同年3月29日,白石座長から河野外務大臣に提言を提出。同年4月のNPT運用検討会議第2回準備委員会において,河野大臣は一般討論演説を行い,透明性や核軍縮検証,対話型討論等を提案する同提言の内容を紹介。議長サマリー(PDF)
には,個別のパラグラフを設けて「賢人会議」の紹介を行った河野大臣の取組が歓迎された旨記載。
- 2018年11月に長崎で第3回会合を開催。核兵器廃絶に向けた道筋において解決すべき,軍縮と安全保障の関係に関する困難な問題等について中長期的観点から議論。
- 2019年3月に京都で第4回会合を開催。前回会合に続いて,現下の状況において核軍縮を進めるための必要な国際社会の取組について議論を行い,NPT運用検討会議第3回準備委員会へのインプットを念頭に「京都アピール」を取りまとめることで意見が一致。また,「困難な問題」についても議論。
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同年4月16日,白石座長から河野大臣に「京都アピール」を提出。同月のNPT運用検討会議第3回準備委員会において,辻外務大臣政務官が「京都アピール」の内容を紹介(PDF)
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(2)委員構成
日本人有識者7名に加えて,核兵器国,中道国及び核兵器禁止条約推進国の外国人有識者10名の合計17名で構成。軍縮・不拡散や安全保障等に造詣のある有識者に加えて,被爆地である広島・長崎からも有識者が参加。(座長) 白石 隆 熊本県立大学理事長 (日本人委員) 青木 節子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 秋山 信将 一橋大学大学院法学研究科教授 浅田 正彦 京都大学大学院法学研究科教授 小溝 秦義 広島平和文化センター前理事長 朝長 万左男 日赤長崎原爆病院名誉院長 山口 昇 国際大学副学長,笹川平和財団参与 (外国人委員) リントン・ブルックス 米エネルギー省国家核安全保障庁(NNSA)元長官 ジョージ・パーコビッチ カーネギー国際平和財団副会長 アントン・フロプコフ 露エネルギー安全保障研究センター長 沈 丁立(シェン・デンリー) 復旦大学国際問題研究院副院長(教授) ブルーノ・テルトレ 仏戦略研究所副所長 トレバー・フィンドレイ メルボルン大学社会政治学院シニア・リサーチ・フェロー アンゲラ・ケイン 元国連軍縮担当上級代表 タリク・ラウフ 元国際原子力機関(IAEA)検証安全保障政策課長 マフムード・カーレム 元駐日エジプト大使,元国連軍縮諮問委員会委員 ティム・コーリー 国連軍縮研究所(UNIDIR)非常勤シニア・フェロー(元NZ軍縮担当大使)