令和2年3月12日

1 3月11日(現地時間同日),キルギスの首都ビシュケクにおいて,以下2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。

(1) 「選挙支援計画(UNDP連携)」(供与額4億4,000万円)

我が方署名者 前田茂樹駐キルギス特命全権大使
先方署名者 ルイス・チェンバレンUNDPキルギス事務所常駐代表(Ms. Louise CHAMBERLAIN, UNDP Resident Representative in the Kyrgyz Republic)

(2) 「気候及び災害リスクに対する児童の強靱性向上計画(UNICEF連携)」(供与額4億3,800万円)

我が方署名者 前田茂樹駐キルギス特命全権大使
先方署名者 クリスティン・ジョルムUNICEFキルギス事務所代表(Ms. Christine JAULMES, UNICEF Representative in the Kyrgyz Republic)

2 各案件の概要は,それぞれ以下のとおりです。

(1)「選挙支援計画(UNDP連携)」(供与額4億4,000万円)
 キルギスは2010年の国民投票により憲法が改正され,議会制民主主義が導入されるなど,中央アジア諸国の中でも民主化が進んでいます。その一方,伝統的慣習に基づく有力者の影響力,政党の資金調達のあり方,公的機関の能力,国民の選挙制度に対する信頼度等の面で課題も指摘されています。
 この計画は,2020年から2023年までのキルギスの議会選挙,大統領選挙までの一連の選挙過程において,選挙管理機材の供与,関係機関職員の能力強化のための研修の実施等を行い,中央及び地方の選挙管理委員会の独立性を高めることにより,キルギス政府が社会的弱者の参画を含めた包括的かつ民主的で透明性のある公正な選挙制度の確立に取り組む努力を支援するものです。
 この協力により,キルギスの選挙管理委員会職員約9,000人が能力強化を図り,同国の約300万人の有権者がより公正な選挙に参加することができると期待され,同国内の民主主義の定着,内政の安定に寄与するものです。

(2)「気候及び災害リスクに対する児童の強靱性向上計画(UNICEF連携)」(供与額4億3,800万円)
 キルギスは,国土の9割が海抜1,500メートル以上の山岳国家であることから,地震や地滑り,雪崩などの自然災害が多発しています。また冬期の暖房器具による不慮の火災により,学校で児童が犠牲になるケースも発生しており,災害や火災への対応能力の不足が被害を大きくしています。
 この計画は,学校を拠点とする災害リスク低減のための機材供与(消火器具,警報器等)や,防災マニュアルの改訂,防災訓練の実施,関係する政府機関等の能力強化のための研修を実施するものです。
 この協力により,キルギス国内600校に新たに防災設備が整備され,同国全土の1,800校で防災マニュアルの配布及び避難訓練が実施されるなど,約90万人の児童の災害リスクが軽減されることが期待され,学校を拠点とする防災能力の向上に寄与するものです。

[参考]キルギス共和国基礎データ
 キルギスは,面積19.85万平方キロメートル(日本の約半分),人口約620万人(2019年,国連人口基金),人口一人当たり国民総所得(GNI)は1,220米ドル(2018年, 世界銀行)。