2020年4月7日(火曜日)
9時50分~10時7分
於:記者会見室

質疑応答

新型コロナウイルス感染の流行に伴う緊急事態宣言及び緊急経済対策

Q:2点あります。
1点目は緊急事態宣言についてです。安倍総理が本日、夕方にも7都府県に対して緊急事態宣言を出す見通しです。これを受けて経済産業省としてどんな対応をしていくのかお聞かせください。
もう一点は緊急経済対策です。これも本日午後の臨時閣議で正式に決まる見通しです。足元では中小企業の資金繰りですとか、依然品薄が続くマスクの増産支援など課題は山積しているかと思いますけれども、経済産業省としてはどういった対策を打ち出していくお考えなのか教えてください。

A:まず、今日の緊急事態宣言が発出する予定だという前提で。
安倍総理からは、本日、7都府県に対して緊急事態宣言を行うこと。その際、海外のような都市封鎖はせず、経済社会活動を可能な限り維持しながら感染拡大を防止することという方針が示されたと承知をしております。まずは感染拡大の防止、重症化の防止が最優先。御不便をお掛けしますけれども、不要不急の外出の自粛等に最大限の協力をお願いをしたいと思っております。
経済産業省としては、生活必需物資の製造・流通・小売に係る企業に事業の継続を要請するなど、国民の安定的な生活の確保に必要な機能が維持されるよう、全力で取り組むとともに、電力・ガスなどライフラインの確保に万全を期してまいりたいと思っております。
これまでもトイレットペーパーであるとかティッシュペーパーであるとか、いろいろな生活必需物資、必需品に対応してやり取りはしてきましたけれども、更に体制を強化して、製造・物流、そして流通・小売の消費者に届く、現場も含めてしっかりと注視をしてまいりたいと思っております。
とりわけ生活に密着しているスーパーなどで品切れが多発すると、国民の不安が煽られる傾向にあります。これらの状況については丁寧な把握に努めるとともに、事業者と連携しつつ物流の増強や広報対策など、必要な対応を迅速に取っていく所存でありまして、また消費者の方にも冷静な購買活動、購買行動ということを呼びかけてまいりたいと思っております。
2点目、緊急経済対策ということで、本日まとめられる見通しであります。日本経済にとって現状を乗り切って、そして将来再び確かな成長軌道へと回復させていくためには、雇用の維持と事業の継続が最重要課題と認識をしております。
今回対策では、第1に、政府系金融機関で実施している無利子・無担保かつ最大5年間の元本据置きの融資を民間の金融機関にも拡大をしてまいりたいと思っております。これはずっと検討しておりました。政府系金融機関だけでは、どうしても窓口が、強化をするといっても、絶対的に数が少ないということもありますし、そういったことでスピーディーに届くべきところに届かないということも起きる、起きていると思いますし、起きる可能性も今後もあるということで、民間金融機関に支援をしながら、そういった同様の対策ができるようにということで拡大をいたします。
第2に、極めて厳しい状況にある中堅・中小企業等に200万円、そして個人事業者には100万円の現金給付を行う制度を創設いたします。これも7回にわたるヒアリングも通じて、いろいろなお話をしてまいりました。そういった中で融資と保証だけでは、なかなかやはり、蒸発してしまった需要を取り返せないと、取り戻せないというようなお話もありましたし、そこに何ができるかということで、給付という異例の形ではありますけれども、しっかりと給付をしていきたいということで、まずは固定費等の数か月分が、それで支払って、支払いの足しにしていただければということだと思っております。
今までも納税猶予であるとか社会保険料の納付猶予であるとかという形で、手元にキャッシュが残る形のものもやってまいりましたけれども、それと併せてこういう給付を通じてしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
また、マスクや消毒液の品薄状態が継続していることを踏まえて、これらの生産設備の導入補助を拡充するほか、感染の拡大に備えて、人工呼吸器やアビガンの増強、増産を促進をしてまいります。これは産業界にしっかり、今までも文書で働きかけておりますが、本日、産業、経済界の代表を呼んで、また要請をさせていただきたいと思っております。
マスクもこれまで13件、増産体制の補助金が出ているわけですけれども、まるっきり関係ないところばかりではなくて、シャープがやっていますけれども、これはクリーンルームがあるんですね。衛生面でのしっかりした土台があって、そしてシャープの親会社である台湾の鴻海もマスクの製造も行っているという技術的な裏付けもあって、そういったお手伝いをいただいている。また、マスクに係る部材であるとか、耳の紐であるとか─ゴムですね、そういったものもお手伝いをするということと、今は防護服、そして人工呼吸器。まあ、手を挙げてくれる企業でとにかく増産を図っていくということで、正式な呼びかけをしてきているわけですけれども、更にまた今日呼びかけをしてまいりたいと思っております。
以上です。

関西電力への業務改善命令の手続瑕疵

Q:資源エネルギー庁の幹部らによる虚偽公文書作成の件でお尋ねを差し上げます。
今回の問題の悪質性について、今日教えてください。
大臣、3日の会見、先週金曜日の会見で、本件事案を警視庁に報告したことについて、こうおっしゃいました。「刑法犯との関係を指摘される可能性がある事案は、事の軽重を問わずに警察に報告している」。
そもそも刑法犯との関係を指摘される事案を警察に報告される目的というものは何なのか。それを教えていただいた上で、2日に経産省は国会に対して過去3年間の警察への報告事案について説明をしていて、この説明の中では、今回のエネ庁の事案が唯一経産省職員が組織的に関わった事案であるかのように見えますが、これは事の軽重で言うならば、重い事案なのではないか。そこの評価を改めてお伺いします。

A:刑事訴訟法では、「犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」とされております。
今回の事例は、事実と異なる日に決裁をしたと取り繕った手続面に問題がありますけれども、意見聴取を全く行わず文書上ででっち上げて行う、意見聴取の内容を書き換えたり、不適切な形にゆがめるといった行為は行われていないと判断をいたします。
こうした点や、この前も申し上げましたけれども他の事例、後で申し上げますけれども、を総合的に見た際に刑法犯が成立する蓋然性は低いと考えて、告発を行うことは考えていないということであります。
先ほどありました、他の事例ということでありますけれども、これにつきましては、今回のような不適切な行政手続を行った事例について経産省の過去の処分事例や他省庁の処分事例を参考にしております。この中には、懲戒処分の指針に公文書関係が追加された平成30年9月以降の事例も含まれております。
経産省の過去の処分事例の中では、これはちょっと古いかもしれませんが、平成24年に19件の起案決裁において自分の次の決裁者と同名の印鑑を使い、押印をし、次の決裁者が決裁したように見せかける事案があり、戒告処分としております。
他省庁の事例では、平成30年9月以降の事例として、内容が一切架空の文書をでっち上げ、事務手続を進めた。複数回にわたり決裁が必要な手続について不適切な取扱いをしたといった事例がそれぞれあり、減給処分となっております。
今回の事案は意見聴取を全く行わず文書上ででっち上げを行う、意見聴取の内容を書き換えたり、不適切にゆがめるといった行為は行われていないこと、そして1回のみであることを考慮し、減給処分の事例と比較すれば一段軽い処分が相当と判断をし、戒告処分にしたものであります。
そしてもう一点、経産省が国会に提出した資料についての、今質問がございました。
経産省が独自で把握した刑法犯との関係が指摘される可能性がある案件は、従前から前広に警察に報告がなされております。過去3年程度の間では、職員に係るものが3件、補助事業者等に係るものが複数件あったということでありまして、悪質性の程度によって、報告するか否かを決めているものではなくて、前広に大体の、ほとんどの件は警察に報告をしているということであります。
この、多分資料はもうお持ちなんだと思いますけれども、先週理事会に提出をした資料でのお話だと思っておりますけれども、それに対する見解は以上であります。

Q:理事会に御報告された内容の中で、報告事案の事の軽重でいくならば、今回の件は軽いものなんですか、重いものなんですか。

A:私どもは刑法犯が成立する蓋然性は低いと考えております。

Q:大臣、もう一点だけ。
今もお話、少しございましたが、業務改善命令や意見聴取の内容を書き換える不適切と言える行為は行われていないというふうに御説明をされていますが、嘘の日程を書いた公文書を作成することは、これは不適切ではないんですか。それとも適切というふうに御判断されるんですか。

A:不適切な手続だと考えております。

Q:不適切だということ。

A:不適切な手続だと考えております。

Q:不適切な手続。なるほど。

A:新聞の記事も拝見をいたしました。いろいろな意見があることも十分承知しております。世間の思いが厳しいことも私自身も承知しております。引用された、前に公文書管理委員会の委員をされていた弁護士の先生も私も存じ上げて、大変厳しい先生であることも承知しておりますし、言われることもよく分かるところもありますので、しっかりそういった御意見を踏まえて、今後再発防止に最善の注意を払ってまいりたいと思っているということであります。

福島第一原発のALPS処理水

Q:昨日開かれましたALPS処理水の意見聴取会についてお伺いいたします。
昨日の初めての意見聴取会では、福島県の自治体の方や漁業の方々から、風評被害に対する具体的な対策を早く示していただきたいというお話とともに、漁業関係者や林業関係者の方々からは、海洋放出に関しては反対という意見が示されました。
このような、まあ、1回目の意見聴取ですけれども、それまでどのように受け止めていらっしゃるかお考えをお聞かせください。

A:昨日頂いた御意見につきましては、私も報告を受けております。それぞれのお立場から真剣に思いを語っていただき、それぞれの思いというものが私にも伝わってきております。今後の検討に貴重な御示唆を頂いたと認識をしております。引き続きしっかりと幅広い関係者の御意見を伺っていきたいと思います。
他方、汚染水は毎日発生をしているわけであります。実際の処分には準備等に2年程度を要することを踏まえれば、いかなる方策を採るにも、いつまでも方針を決めずには先送りはできないと思っております。というのは、例えば陸上保管で、他のところにタンクを造るということについても、サイト以外であれば手続が必要になるわけであります。これは、他に移送するとか、海洋放出をするとか、そういう場合と同じように、例えば今度は1つ増えて、輸送の方法に対する認可であるとか、輸送先での貯蔵するためのタンクの認可であるとか、そういうことも含めて、そう時間がなくなっているということなんですけれども、そういったことも踏まえながら、スケジュールありきではないと言いながらも、なかなか難しい部分もありますけれども、皆さんの御意見を伺った上で最善の方法を選んでいく努力をしてまいりたいと思っております。
コロナウイルスへの感染症に必要な対策を講じた上で昨日は行ったということでありますが、国として責任を持って結論を出してまいりたいと思っております。

Q:補足でもう一点お伺いいたします。
来週13日に2回目の、同じく意見を聴く会が設定をされまして、福島県内の業界団体や自治体、沿岸部の自治体については、一通り、昨日と来週をもって各団体の代表者の方々からは意見を聴く機会を設けたことになろうかと思います。
それで、今後は一般の県民の方から意見を聴く機会や、福島県外の方から意見を聴く機会については、どのように考えていらっしゃいますか。

A:次回以降の開催については、万全の体制が整った上で御意見を伺う場を実施をしてまいりたいと思っております。
まずは当事者、しかも、かなりの関係性というか、利害関係がある方ということで福島県、今、現状福島県に置かれていますから、福島県の方の御意見をまずは聴きたいということで、1回目、2回目と聴かせていただきます。
その次についても、また次回発表しながら、状況を見ながら、発表しながら開催をしてまいりたいと思いますし、できるだけ多くの方に直接・間接的にお話を聞いていただきたい。今回もネットで放映をさせていただきましたけれども、そういったことも含めていろいろな御意見も頂きたいと思っておりますし、できる限りの皆さんの御意見はいかしながら対応というか、対策を考えてまいりたいと思っております。

Q:今日は緊急事態宣言が出されるという中でも、来週やはり開催するというお考えなんですか。東京一円では緊急事態宣言が出る。福島側で、受け入れる側だったり、まあ、福島も発生していますけれども、福島側も受け入れたり、そこで集まったりということに対しては負担とかあると思うんですけれども。

A:今現在で、経済産業省で行っている会議とか審議会なんかの開催というのも、やっぱり当日になって形を変えたり、また延期にしたりということもありますし、我々の出張とか、そういったものも、東京から行くことに対して嫌がる方もおいでになることも含めて、いろいろな配慮をしなくちゃならないと思っております。
ですから、来週の件についても今検討、必ずやるということではなくて今検討しているということで御理解を頂きたいと思います。

以上

最終更新日:2020年4月8日