(令和2年4月17日(金曜日)15時35分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣会見ライブ配信

【茂木外務大臣】本日から外務省の公式Twitterアカウントにおきまして,この会見のライブ配信を行うこととしました。日本語のアカウントでのライブ配信に加えまして,英語のアカウントでは,英語の同時通訳音声でライブ通信いたします。
 We will also be livestreaming my regular press conference in English too.
 新型コロナウイルス感染症拡大を背景にいたしまして,外出の自粛であったり,テレワークが推進されておりまして,外務省記者クラブでも,記者の皆さんが感染拡大防止のために従来とは異なる働き方をされている中,このライブ配信によりまして,会見に出席されていない記者の方々にも,更には日本,全国,そして世界中の方々にリアルタイムで会見を視聴していただけることになります。
 デジタル技術を活用して,日本の外交政策や外務省の取組をしっかりと説明していきたいと考えております。是非多くの方々にリアルタイムで会見をご覧いただければと思います。
 Please check our Foreign Ministry’s English Twitter account in my press conference.

(2)日本の感染者数

【茂木外務大臣】本日の新型コロナウイルス感染症の状況ですが,世界の感染者数,約210万人,世界の死亡者数14万人,日本の感染者数9,167人,日本の死亡者数148名と,大変厳しい状況にあります。
 日本においても引き続き厳しい状況が続いておりますが,日本の10万人当たりの死亡者数は0.12人と,国際的に見ても現状では低い水準に抑えることができています。引き続き政府が一丸となって,国内における感染症拡大防止や,海外在留邦人の安全確保に万全を期してまいります。

(3)航空機が停止している地域における邦人保護

【茂木外務大臣】この観点から更に追加をさせていただきますと,先月から国際線の運航制限によりまして,所在する国からの出国・帰国ができない事例が増えてまいりました。邦人保護は外務省の最も重要な責務の一つであります。外務省で私(大臣)が中心となりまして,領事局,そして各地域局,更には関係する在外公館が一体となって,具体的な情報の収集,在留邦人の方々と随時それを共有するとともに,出国・帰国手段の確保に向けて,きめ細かい対応・支援をしてきております。
 その結果,これまでに出国等が困難な国から出国・帰国をされた方が約7,100名,現時点で引き続き出国・帰国を希望されている方が約1,300名。この1,300名のうち,今週中に出国・帰国できる見込みの方が約300名,この中にはアフリカの各地から,全部で10のルートを通じてエチオピアに集まりまして,明日18日のエチオピア,アジスアベバ発成田空港行きのエチオピア航空便で帰国される方々も多く含まれております。また,今月中に出国・帰国できる見通しの方が,これに加えて約300名となっております。
 これらの数字,刻々と変化しておりますが,引き続き外務省としては,出国を希望される方々,様々な状況等をお聞きしながら,また,現地での移動手段がどうであるか,こういったことも確認をとりながら,現地政府等々にも働きかけを行い,しっかりと支援を行っていきたいと,こんなふうに考えております。

新型コロナウイルス(「アビガン」供与の調整状況)

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】今月の7日,外務大臣から発表された「アビガン」の件ですけれども,30か国にこれから送る予定ということですけれども,14日も総理大臣がASEAN+3の中で約束してこれから配りますので,この1週間にどういう手続をしたのでしょうか。インドネシアの方にはいつごろ送る予定なのでしょうか。今後のタイムフレームを教えてください。

【茂木外務大臣】まず「アビガン」提供の全体のお話をさせていただきますと,14日に開催されましたASEAN+3の特別首脳テレビ会議において,複数の首脳から「アビガン」については言及がありまして,安倍総理から「アビガン」の臨床研究を拡大していくことを説明し,ウイルスとの闘いの切り札ともなる治療薬の早期開発の重要性について一致をしたところであります。これに先立ちまして4月7日,我が国は人道的見地から希望する国々に対して,「アビガン」を無償供与するため,合計100万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。
 翌日,4月8日には調達機関であります国連プロジェクトサービス機関(UNOPS:ユノップス)と,日本政府との間で契約を締結いたしまして,調達と供与に向けた作業を開始しておりまして,手続きが完了した国から順次供与を行っていく予定であります。
 供与先につきましては,供与の実施後に改めて,その時期も含めて説明をしたい,発表したいと思っておりますが,今まで50か国以上から提供の要請を受けておりまして,すでに20か国につきましては,一定の枠内で無償供与すべく調整済みであります。インドネシアにつきましては,この調整済みの20か国に含まれております。

新型コロナウイルス(日韓の協力)

【朝鮮日報 李記者】最近,韓日両国が大使館レベルで協力して,アフリカの両国の国民たちを共同で帰国させたことがあります。考えてみると,新型肺炎自体が始まった後で,最初の韓日協力だと思います。それで,そんなことについて,大臣はどのように考えていらっしゃるのか。この深刻な事態を乗り越えるために,日本側はこの韓日協力についてどのような計画を持っていらっしゃるのか,そんなことについて伺わせていただきます。

【茂木外務大臣】先日,日中韓の外相のテレビでの会談,これも行わせていただきました。そこの中で,康京和(カン・ギョンファ)外交部部長,そして王穀(おう・き)国務委員,そして私(大臣)の三者が,この新型コロナウイルス,これに対応していくためには,各国の国内の対応だけではなくて,国際的な協力が極めて重要だと,このことで一致をいたしました。特に,その医療提供体制が脆弱であります,アフリカをはじめとした途上国におけます支援,こういったものも,各国の協力,更には,国際機関との連携と,こういったものが極めて重要であると,そのように考えております。
 そういった中で,日本も韓国,そして中国,更には欧州であったり,米国,様々な国と協力をしながら,そういった支援策をとっていきたい。このことは,先日のG7,G20の首脳テレビ会議でも確認をしているところでありまして,一つひとつしっかりと実績を広げ,そういった成果をまた拡大していければと,そんなふうに思っております。

日露関係(対独戦勝75周年記念式典の延期発表)

【北海道新聞 則定記者】日露関係について質問させていただきます。プーチン大統領が,昨日,5月9日の対独戦勝記念式典の延期を発表しました。式典には安倍総理も招待されて,出席を検討されたと思いますけれども,ロシア側から直接延期の連絡があったのかも含めて,日本政府の受け止めと,延期された式典に改めて招待されることがあれば,政府として改めて出席を検討するのかどうかを聞かせてください。

【茂木外務大臣】式典の延期が発表されたことは,当然承知をいたしております。これは新型コロナウイルス感染が世界的に拡大する現下の状況を踏まえ,国内外からの出席者の健康と安全を最優先に考えて,ロシア政府として判断をされたものだと,このように承知をいたしております。
 式典については,中止ではなくて,延期ということでありますが,延期の日程も決まっておりません。今後,様々な調整なりが進むものだと思っております。

大臣会見ライブ配信

【読売新聞 大藪記者】大臣が冒頭発表されました,記者会見の英語での配信について改めてお聞きしたいと思います。コロナ対策を受けてということですけれども,これはコロナの感染が終息した後も,海外発信の強化という意味で,英語での同時配信を継続されるおつもりなのかといったあたりをお聞かせください。

【茂木外務大臣】恐らく,この新型コロナウイルス感染症,これに人類が打ち勝った暁でありますけれども,一つは先ほどの質問にも出ておりましたが,改めて様々な分野での国際協調・国際連携の必要性というものを再確認する機会であったと,そういうふうに振り返られるのではないかなと思っております。
 同時に今,まさにテレワークが進んでいると,そして遠隔教育・遠隔医療,こういったものを推進していくことが重要だと,その実施に向けた様々な試みが行われているところでありまして,これまでテレワークもなかなか進んでこなかったと,それが本当にできるのかと思って,実際にやってみれば,かなりそこの中で,いろいろな試行錯誤があるかもしれませんけれども,こういったものが進んできていると。まさに,やればできるじゃないかと。時代はデジタル・トランスフォーメーションの時代に入ってまいります。そういった中で,新たなデジタル技術,こういったものを活用した発信等というのは強めていかなきゃならないと思っております。始めたことはやめません。

G7首脳テレビ会議(WHO改革)

【朝日新聞 佐藤記者】昨日ありましたG7についてお尋ねしたいんですけれども。ホワイトハウスによればですね,G7の諸国はWHOに対して徹底的な検証と改革を求めたということなんですけれども,このWHOに対するですね,日本の正確な立場というものについて今一度確認させていただけませんでしょうか。

【茂木外務大臣】会議の中で,安倍総理からは,今回のような全世界的に甚大な影響を与える感染症に対しては,WHOを中心に国際社会全体が一致して対応していくべき。また,今後の同様な事態に備えるためにも,WHOの機能については十分な検証が行われるべき,こういった発言がなされたと,このように理解いたしております。

日露関係(北方領土交渉)

【日本経済新聞 加藤記者】ロシア外交について,お伺いしたいんですけども,戦勝記念日の延期であったり,ラヴロフ外相の訪日であったり,あと「ビザ無し」交流だったり,この間,ちょっとロシアとの外交や交流で滞っている部分が多いと思うんですけれども,今後の北方領土交渉等に与える影響っていうのは,どのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】ラヴロフ外相との間では,平和条約交渉を進めていくという方向性では完全に一致をしているところであります。そして,この日露の平和条約交渉に限らず,今回の新型コロナウイルス感染症に伴います,様々な移動制限等によりまして,これは日本だけではなくて,各国の様々の会談であったりとか,そういったものが延期をされると,こういう状況にあるのは確かでありまして,まずはこの終息と,一日も早い終息を図っていくということが,何よりも重要だと考えております。
 その上で,また,ラヴロフ外相との会談であったりとか,次官級の協議につきましても,こういった感染の状況等々を見ながら,しっかりと調整をして,具体的な成果につなげていきたいと思っております。