(令和2年4月24日(金曜日)14時44分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)感染症危険情報の引き上げ

【茂木外務大臣】冒頭,私(大臣)の方から2点ご報告いたします。まず感染症の危険情報の引き上げについてであります。新型コロナの感染者・死亡者数は引き続き世界的に増加が見られ,感染拡大が地理的にますます広がっております。4月24日現在,185か国・地域で265万人以上の感染が確認をされ,全世界の死亡者数は約18万人となっております。
 このような状況を受けて,1万人当たりの感染者数等を含む様々な状況を総合的に勘案し,新たに14か国の感染症危険情報レベルを「レベル3(渡航を止めてください。)」に引き上げます。欧州におきましては,ウクライナ,ベラルーシ,ロシアの3か国,これで欧州は全ての国が「レベル3」ということになります。中東ではUAE,オマーン,カタール,クウェート,サウジアラビア,この5か国であります。更に中南米,アンティグア・バーブーダ,セントクリストファー・ネービス,ドミニカ共和国,バルバドス,ペルー,そしてアフリカのジブチ,この14か国でありまして,この結果,合計87か国・地域が「レベル3」となります。
 なお,この87か国・地域以外の全世界の感染症危険レベルにつきましては,引き続き「レベル2」を維持いたします。
 この感染症危険情報レベルの引き上げを受けて,今後,法務省,厚労省を含めます関係省庁間で調整の上,国家安全保障会議及び新型コロナウイルス感染症対策本部での議論等を経て,入国拒否対象地域の追加,検疫強化等を含む水際措置が講じられることになると考えております。

(2)邦人の出国・帰国状況

【茂木外務大臣】もう一つ,出国困難地域からの邦人の出国・帰国の状況でありますが,今日の朝8時の時点までに,出国・帰国をされた方,約7,700名になります。引き続き出国・帰国を希望されている方,全世界約50か国で1,050名,このうち今月中に出国・帰国を最終調整中の方が約470名となっておりまして,着実に結果が積み上がってきている,このように考えております。
 特に本日は,南アフリカからエチオピア航空の民間チャーター機によりまして,120名以上の方が出国する予定であります。また,今夜遅く,予定では23時59分でありますが,フィジーからフィジー航空の民間チャーター便によりまして,150名弱の方が出国をする予定であります。
 今後も新型コロナウイルスの感染の拡大の状況等を踏まえて,感染症危険情報の不断の見直し,そして関係省庁と連携した水際対策の実施,3番目に邦人の安全確保のための必要な情報の,外務省ホームページや領事メールによる提供,そしてもう一つ,在外公館によります在留邦人や海外渡航者のできる限りの支援などを通じて,国民の安全確保・帰国などの支援に,万全を期していきたい,このように考えております。

感染症危険情報の引き上げ

【NHK 木村記者】先ほどの冒頭発言の関係で,2点ほど確認をさせてください。これまでですと「レベル3」に引き上げたものについては,いずれも入国拒否の対象になっていたかと思うんですけれども,今回の「レベル3」に上がった地域も,いずれもそのようになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほど冒頭発言の中でも申し上げましたが,この後,法務省,それから厚労省,国交省,関係省庁と調整をして,最終的には国家安全保障会議,それからコロナ本部の方で決定ということになりますが,恐らくそのような運びになると思います。

【NHK 木村記者】すみません,簡単な事実関係ですけれども,すでに引き上げたという理解でよろしいんでしょうか。

【茂木外務大臣】今引き上げました。

普天間飛行場(泡消火剤の流出)

【朝日新聞 二階堂記者】米軍の普天間飛行場のPFOSを含む泡消火剤の流出問題なんですけれども,米側は今日ですね,日本側の立ち会いのもとで,格納庫周辺の土壌を除去する作業を行っています。まだ続いていますけれども,県などが求めていた土壌のサンプリング調査が認められない見通しとなっています。政府として今後ですね,土壌のサンプリング調査というのを認めていくおつもりでしょうか。

【茂木外務大臣】まず本件に関して,日米間の協力の下で環境補足協定に基づきます立入調査,すでに3回にわたって行われていると,これは大変に意義深い,これまでになかったことだと,こんなふうには考えておりますが,10日に発生しました今回の流出事故でありますが,住民の方々に不安を与える重大な事案と認識をしておりまして,米側に対しては厳重に抗議をしてきたわけであります。米側も深刻に受け止めておりまして,原因究明と再発防止策の策定に取り組んでいるところでありまして,その上で冒頭申し上げたように,16日,21日,そして本日,普天間飛行場への立入りを実施をしたところであります。
 前回21日の立入りに際しましては,泡消火剤の流出経路付近の汚染の有無を把握する観点から,水のサンプリングを実施をいたしました。また本日,泡消化剤が漏洩した可能性がある格納庫周辺において,更なる汚染の流出防止措置,これは再発防止策につながるものでありますが,この流出防止措置として米側が行います土壌の入替え作業,これにも立会いをいたしております。
 土壌のサンプリングについて,まずこれまでの立入りの結果を分析した上で,その必要性を検討していきたいと思います。

【朝日新聞 二階堂記者】すいません,関連なんですけれども,土壌のサンプリング調査は,県などは求めているということなんですけれども,政府としても,格納庫周辺の土壌も含めて,サンプリングを求めてらっしゃるっていう理解でよろしいんでしょうか。

【茂木外務大臣】いいえ。得られた水のサンプルの分析を含め,これまでの立ち入りの結果を分析して,今申し上げたようにですね,土壌のサンプリングの必要性をまずは検討していくということです。

北朝鮮情勢(金正恩委員長の重篤報道)

【読売新聞 梁田記者】まず一点目なんですけれども,北朝鮮の関係なんですが,金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の健康状態,容体について,また,トランプ大統領が容体が危険であるというような情報は不正確であるというような発言をされています。いろんな発言がここのところ出ているんですけれども,日本政府としては,現状どのように把握されているのか,また,今の北朝鮮の状況が今後の非核化の交渉について,どのような影響を与えるというふうにご認識されているか,お聞かせください。

【茂木外務大臣】北朝鮮の情勢については,これまでも新型コロナウイルスの感染状況を含め,いろいろなご質問もいただいておりまして,高い関心を持って,注意・分析をしてきておりますし,その中で金正恩委員長をめぐる動向についても様々な報道であったりとか,情報に接してきているところであります。政府として重大な関心を持って状況を注視をしているところでありまして,引き続き情報収集・分析に全力を挙げていきたいと思っております。
 なかなか北朝鮮の内部情勢について,確実な情報を得るというのは難しい部分もあるわけでありますが,今回,例えば金日成(キム・イルソン)生誕記念日に,出席が確認されていない,こういう状況がある一方で,金正恩委員長,例えば15日ぐらいからこういう話が,報道が出始めたわけですけれども,1週間以上にわたって所在がはっきりしなかったというのは過去にもあるケースだと,そんなふうに思っております。
 CNNが先日報道した以上の確度を持ったというか,それに追加するような情報というのは,少なくとも発出をされていないと,こんなふうに考えているところでありまして,そういった情報の精度についても,更に精査をしていきたいと考えているところであります。
 その上で,北朝鮮に対する対応でありますが,我が国として,日朝平壌宣言に基づいて,拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して,不幸な過去を清算して,国交正常化を目指すと,この考えに変わりはないところでありまして,米国等とも緊密に連携をしながら適切に対応していきたい,そんなふうに考えているところであります。

中東情勢(現状認識と日本の役割)

【読売新聞 梁田記者】もう一点なんですけれども,今度,中東情勢なんですけれども,先ほど,イランの革命防衛隊が人工衛星を打ち上げ,それに対してアメリカが反発をしているという状況ですけれども,ここに対して,日本政府としては,どのように見ているかということ,また先般,大臣,ヨルダンの外務大臣とも会談をされていますけれども,今の新型コロナウイルスの影響で外交が停滞しているとかいろいろな影響が出る中で,これが今の中東情勢に対してはどういう影響を及ぼしているというご認識で,懸念を持っていらっしゃるのでしょうか。

【茂木外務大臣】中東情勢,特にイランをめぐります情勢につきましては,1月3日の殺害事案以来,一気に緊張が高まるのではないかなと,8日の日に今度は,イラクの基地の方が攻撃をされるということで,日本としては,各国に対して事態のエスカレーション,これを避けるべきだと,こういうことを促してきたわけでありまして,全体的な状況で見ますと,個別の例えば案件というのは出ておりますが,事態が大きくエスカレートする,こういう状況には現時点では至っていない,このような認識を持っているところであります。
 中東,今,いくつかの大きな課題というものがあるわけでありまして,シリアをはじめとしまして,大きな対立軸の問題,更にはイスラエル,パレスチナの中東和平の問題,これをどう進めていくか。昨日のヨルダンの外務大臣との電話会談では,むしろ後者を中心に若干議論をさせていただいた,更には日本としても,イランをはじめ途上国,今,周辺の途上国ですね,新型コロナの感染の拡大が進んでいる中で,日本独自の支援策を既に決定して,援助を進めていると,こういう話もさせていただいたところであります。
 また,ご案内のとおり,日本は米国とは同盟関係にあり,そしてイラクをはじめとする中東諸国とは長年の友好関係があると,こういった日本の独自の立場を生かして,物事の平和的な対話による解決を目指して,独自の外交努力を進めたいと,こういうお話をさせていただきまして,ヨルダン側の方からは,日本のこれまでの支援策,これについては高く評価をしたいと,ヨルダンそしてまた中東地域に対する支援についてであります。同時に,日本の役割というのは,極めて大きいと,また日本が大きな役割を果たすことを期待している,こういうお話がありましたので,是非日本としてもそういった役割を果たしていきたいと,私の方からお答えをさせていただいたところであります。