2020年6月22日

JISは、鉱工業品、データ、サービスの品質、性能や試験方法などを定めた国家規格です。JISは、社会的環境の変化に対応して、制定・改正されています。社会的に関心の高い重要な制定や改正を月に1回紹介しています。

1.今回のJIS規格制定・改正内容

今回は、13件の制定及び10件の改正を行いました(資料1)。中でも、以下のJISの改正は特に重要です。

①ヒートポンプデシカント方式による調湿外気処理機に関するJISの制定

オフィスビル、小売店舗、病院、工場等の業務用空調システムに組み込まれる調湿外気処理機のうち、ヒートポンプデシカント式のものは、高効率で安定した湿度コントロールを行うことが可能であり、省エネルギー性と快適性とを高いレベルで両立できるものとして期待が寄せられています。
今般、この方式による調湿外気処理機の性能、試験方法などに関するJISを制定しました。これにより、定量的に性能の比較を行うことが可能となり、容易な製品選択、適正な競争環境を整備することができ、ひいては、新たな市場の創造と省エネルギー機器の普及に資することが期待されます。
※新市場創造型標準化制度を活用してJIS制定に至った。

  • 調湿外気処理機の例の画像図1:調湿外気処理機の例
  • 図2:調湿外気処理機の構成例の画像図2:調湿外気処理機の構成例

②救急自動通報システム(D-Call Net)の傷害推定アルゴリズムに関するJIS制定

近年、救急医療の現場において、ドクターヘリが導入され、救命率の向上に大きく貢献しています。しかしながら、救急隊が現場到着後にその要否を判断することが一般的で、迅速にドクターヘリを急行させるという点で、課題がありました。
そこで、交通事故の事故車両に加わった衝突の方向や大きさなどからドクターヘリ出動要請を出すべきか否かを自動的に判定するための救急自動通報システム(D-Call Net)の導入が進展しており、それに用いられる傷害推定アルゴリズムの作成及び評価方法をJISとして制定しました。
このJISに基づくシステムの普及により、これまで主に救急隊員の現場到着後に行われていたドクターヘリの要請が的確、迅速かつ自動的にできるようになり、ひいては交通事故死者数を低減することが期待されます。

  • 救急自動通報システム(D-Call Net)の概要の画像図 救急自動通報システム(D-Call Net)の概要

③システム及びソフトウエアを開発・利用する共通の枠組みを提供するJISを改正

近年、多様で大規模なシステム及びソフトウエアが増えていますが、これらの開発・利用には、受発注者間での共通認識を醸成することが必要です。これを支援するための国際規格群及びそれと整合したJIS群が存在します。そのうち文書化の項目を規定したJIS X0171が、今般、情報伝達手順や情報セキュリティ手順などの新たな情報項目
を追加しました。
このJISに基づく開発や利用が進展することで、国内外の関係者間で相互理解と合意形成が一層促進され、ひいてはシステム及びソフトウエアの開発が進展することが期待されます。

表 JIS X0171と関連JISとの関係

国際規格 対応JIS 各規格が規定するもの
ISO/IEC/IEEE 12207:2015 X0160 ソフトウエアを開発し利用するための工程、作業、行動
(この中で文書の作成要求あり)
ISO/IEC/IEEE 15288:2015 X0170 システムを開発し利用するための工程、作業、行動
(この中で文書の作成要求あり)
ISO/IEC/IEEE 26531:2015 X0154 上記文書を作成するための、コンテンツ作成及び管理
ISO/IEC/IEEE 15289:2017 X0171 上記文書に記載される項目(94個の情報項目)

2.JIS(日本産業規格)とは

JIS(Japanese Industrial Standards)は、製品、データ、サービスなどの種類や品質、それらを確認する試験方法又は評価方法や、要求される規格値などを定めており、例えば、生産者、サービスの提供者、使用者・消費者などが安心して品質が良い製品を入手したり、サービスの提供を受けることができるために用いられています。
経済産業省では、技術の進歩や、社会的環境の変化等、必要に応じて、JISを制定・改正しています。

JISについて、詳しくは、下記のサイトを御覧ください。
日本産業標準調査会HP外部リンク
標準化・認証 (METI-経済産業省)

新市場創造型標準化制度について、詳しくは、下記のサイトを御覧ください。
新市場創造型標準化制度について (METI-経済産業省)

JISの閲覧は、下記のサイトより検索ください。
JIS検索外部リンク

3.過去のニュースリリース

日本産業規格(JIS)制定・改正関連のリリースはこちらを御覧ください。
最新のJIS情報 (METI-経済産業省)

4. 工業標準化法の一部改正

平成30年第196会通常国会において、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第33号)が可決成立し、工業標準化法が一部改正され、標準化の対象にデータ、サービスが追加され、法律名を“産業標準化法”に改め、“日本工業規格(JIS)”が“日本産業規格(JIS)”に変わりました(令和元年7月1日施行)。

詳しくお知りになりたい場合は、下記のサイトを御覧ください。
JIS法改正 (METI-経済産業省)

5.各規格のお問い合わせ先について

公示された各規格の詳細について、お問い合わせになる場合は、資料1に記載された担当課(1①及び②は、国際標準課、1③は、国際電気標準課)に極力メールにてお問い合わせください。その際は、御氏名、所属(企業等からの問い合わせの場合)、連絡先を明記していただくようお願いします。

関連資料

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担当

  • 本発表資料のお問い合わせ先

    産業技術環境局基準認証広報室長 齋藤
    担当者:菅、関野、髙野

    電話:03-3501-1511(内線3421~2)
    03-3501-9245(直通)
    03-3501-7851(FAX)

    E-MAIL:MLLWA@meti.go.jpメールリンク
    ※新型コロナウイルス感染症対策により、職員不在の場合が多いため、上記メールを活用ください。

  • 各規格のお問い合わせ先

    産業技術環境局国際標準課長 黒田

    担当者:中田(資料2)
    堀坂、山田(資料3)

    電話:03-3501-1511(内線3423~7)
    03-3501-9277(直通)
    03-3501-8625(FAX)

    E-MAIL:s-kijun-ISO@meti.go.jpメールリンク

    産業技術環境局国際電気標準課長 中野
    担当者:佐藤、林(資料4)

    電話:03-3501-1511(内線3418~3429)
    03-3501-9287(直通)
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