令和2年8月28日

 8月27日(現地時間同日)、コートジボワール共和国のアビジャンにおいて、我が方、石田達識在ニジェール共和国日本国大使館臨時代理大使(コートジボワールにて兼轄)と先方ムッサ・アルア駐コートジボワール・ニジェール共和国特命全権大使(H.E. Mr. Moussa ALLOUA, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the Republic of Niger in the Republic of Côte d’Ivoire)との間で、総額5億円となる2件の無償資金協力に関する書簡の交換が行われました。対象案件の概要は、次のとおりです。

1 無償資金協力「食糧援助」(供与額4億円)
 ニジェールでは、国民の約8割が農業収入で生計を立てています。同国政府は、治安悪化によって多数の国内避難民が発生し、農業活動及び流通が阻害されていることから、営農地域のうち約27%を食料不足危険地域に指定しています。
 この協力は、食料不足に直面している同国に対し、食料安全保障と栄養状態の改善等を目的として、我が国政府米による食糧援助を実施するものです。
 我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、「強靱かつ持続可能な社会の構築への貢献」を表明(PDF)別ウィンドウで開くしており、この協力は同表明を具現化するものです。

2 無償資金協力「経済社会開発計画」(供与額1億円)
 ニジェールでは、3月19日に初の新型コロナウイルス感染症患者が確認されました。同国政府は、緊急事態宣言の発出により、感染拡大防止に努めていますが、治療に必要な医療機材が不足しており、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、ニジェールに対し、小型救急車、患者用モニター等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。
 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。
 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開くの実現を含むSDGs達成別ウィンドウで開くのための基盤づくりに役立つことを期待しています。
 我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、UHC拡大とアフリカ健康構想の推進を表明しており、この協力は同表明を具現化するものです。

[参考]ニジェール共和国基礎データ
  ニジェール共和国の面積は約126.7万平方キロメートル(日本の約4倍)、人口は2,244万人(2018年、世界銀行)、1人当たり国民総所得(GNI)は380米ドル(2018年、世界銀行)。