(令和3年1月13日(水曜日)15時22分 於:ケニア)

冒頭発言

【茂木外務大臣】昨年12月のチュニジア、モザンビーク、南アフリカ、モーリシャスの4か国のアフリカ訪問に続き、2回目のアフリカ訪問として今般、セネガル及びケニアの2か国を訪問しました。日本の外務大臣として2か月でアフリカ6か国を訪問することは初めてであると考えております。それぞれの国では、こういった状況の中でわざわざ日本の外務大臣が訪問してくれた、このことに対して、大統領そして外務大臣から歓迎をされたところであります。日本外交のプレゼンスを高める、存在感を高める、こういった意味でも意義のある訪問になっていると、このように考えております。

 セネガルでは、サル大統領を表敬して、タル外相とホットゥ経済相と会談を行いました。内容についてはすでに貼り出し等で詳しくお知らせをしているところでありますが、アフリカの安定した民主主義国であるセネガルとの間で昨年に外交関係樹立60周年を迎えた両国の長年の友好関係を礎として、医療・保健や農業・水産分野での協力、国際課題での連携を含めて重層的な協力関係を更に強化していくことで一致いたしました。

 また、昨日の晩からケニアの方に入っておりますが、ケニアでは、今日ケニヤッタ大統領を表敬するとともに、オマモ外相とじっくり意見交換を行いました。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ推進国であり、日系企業のアフリカ進出のゲートウェーであるケニアとの間では、新型コロナ対策を含む開発分野での協力のほか、日本企業支援や対アフリカ投資促進に向けた連携を確認いたしました。また、アミーナ・モハメド・スポーツ・文化・遺産相とも会談を行いました。アミーナ大臣、TICADVIを2016年、アフリカ・ケニアで初開催した時の外務大臣であったわけでありますが、このアミーナ大臣と会談を行いまして、スポーツや文化交流を通じた二国間関係の推進についても、意見交換を行ったところであります。

 なお、当初予定していたナイジェリアの訪問は、既に説明したように取りやめましたが、セネガル訪問中にナイジェリアのオンエアマ外相と会談を行いました。昨年、外交関係樹立60周年を迎えた日・ナイジェリア両国の友好関係を確認しつつ、新型コロナ対策や開発課題、ビジネス関係を含め、二国間、多国間協力を推進していくことで一致をしたところであります。

 いずれの国でも、首脳、そしてカウンターパートとの間でTICAD8に向けたアフリカ開発の推進、ポスト・コロナを見据えたビジネス関係の強化、地域の平和と安定に向けた連携を確認するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンの下の協力を進めていくことを確認することができました。12月と今回の2回にわたるアフリカ訪問を通じて、長年にわたって培ってきた日本とアフリカの友好関係を再確認することができました。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」をアフリカで実践し、ポスト・コロナの国際秩序の形成において日本が存在感を更に高め、リーダーシップを発揮していくための基盤を構築することができたと考えています。

 訪問の関係、以上でありますが、前回ブラジリアの方でですね、韓国裁判所におきます国際法上の主権免除の原則を否定する判決について、また香港情勢についてですね、オンライン会見で発言をさせていただきましたが、現在米国においての状況でありますが、去る7日、米国議会においてバイデン次期大統領の当選が正式に決定されたことを改めてお祝いを申し上げたいと思っております。選挙の結果を暴力で覆すことは断じて許されないと考えております。米国国民がバイデン次期大統領の下、困難を乗り越え再び団結することを切に願っています。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】今日のケニアとの外相会談や、先日のブラジルでの外相会談の中で、地域情勢の文脈で韓国についても協議したと公表されています。先日の韓国の慰安婦訴訟の判決に関してのことだと思いますが、大臣が訪問先の国々で韓国の問題を提起した狙いとですね、先方の反応を可能な範囲でお願いいたします。

【茂木外務大臣】韓国の問題についてはですね、ブラジル、そしてセネガル、ケニア等でですね、取り上げているところであります。外交上のやり取りでありますから、具体的な内容については差し控えたいと思いますが、いずれにしても、国際法に則った対応、この重要性については各国と認識を共有することが出来たと考えております。

【記者】先ほど総理が記者会見でですね、水際対策でビジネス往来での入国11ヶ国地域からの入国を一時的に停止することを表明されました。大臣これまでビジネス往来の枠組みの構築に御尽力されてきましたけれども、こういった感染が国内で拡大している中で、今後の水際対策をどのように取っていくべきだというふうにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】昨年来ですね、感染拡大の防止、これと両立する形でですね、人の往来、どんな形で再開していったら良いか、こういったことについて、政府全体で、また外務省としても、検討を加え、様々な措置をとってきたわけでありますが、昨年来、日本国内においてもですね、感染の拡大というものが続いておりまして、現在、緊急事態宣言についてですね、対象地域が拡大されるなど、国内の深刻な感染状況、これが一つあるわけであります。

 それに加えて直近ではですね、英国からの帰国者によるクラスターでの異変種が確認された事例であったり、ブラジルからの帰国者で新たな異変種が確認された事例、こういったものが相次いでおりまして、国民の皆さんの不安、これも更に高まっている現状、これを重く受け止めてですね、国民の皆さんの命と暮らしに対するあらゆるリスクを予防的に取り除く、こういった観点から、今回のビジネストラック及びレジデンストラックについては、緊急事態が発令されている間、一時停止をするということにしたわけであります。

 今後の国内のですね、感染拡大、また、収束の状況、またビジネストラック、レジデンストラック、相互に結んでいる相手国の感染状況等々ですね、総合的に勘案しながら、今後のことについては検討していきたいと思っております。

【記者】今回の外遊についてお伺いしたいのですけれども、特に中国についてなんですけれども、アフリカもそうなんですけれども、その前の中南米も含めてですね、各国の外相らと話をされてる中で、中国のその影響力の強さですとか存在感の高さ、なかなか日本から見ているとわからない部分もあるんですけれども、実際に現地で話をされてそういったものを感じる部分というものはあったでしょうか。お願いします。

【茂木外務大臣】まず中国でありますが、今世界第2位の経済大国になっております。2000年の時点、20年前、中国のGDP、世界の4%を占める状態でありましたが、今それがその4倍、16%を占める、こういう状態になっているわけでありますから、そういった中国の経済力といいますか、様々な力、これが拡大する中でですね、東アジア地域、また東シナ海、南シナ海に限らず、アフリカであったり、また中南米の中国の経済面、またそれ以外の面ではですね、進出も進んでいると、これは確かな事実だろうと思っております。そういった中でですね、国際ルールに基づいてしっかり国際秩序を構築していく、中国にもそういった大国としての責任を果たしてほしい、このことは中国にも直接、私(大臣)から申し上げているところでありますし、そういった事実関係についてはですね、各国との外相会談等々の中でですね、日本の認識、日本の立場、今世界的にどういうことが起こっているか、こういうことについては、様々意見交換をさせていただいた、有意義な意見交換ができたのではないかなと、こんなふうに思っております。