(令和3年1月19日(火曜日)12時11分 於:本省会見室)

冒頭発言

インドネシアにおける地震被害

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、まずインドネシアにおきます地震被害についてお話をいたします。インドネシア共和国の西スラウェシ州で、1月15日に発生しました地震によりまして、多数の死傷者を含みます被災者と物的被害が発生をしております。
 今回の地震で亡くなられた方々に、心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。私(大臣)から、ルトノ外務大臣に対しまして、お見舞いの書簡を発出したところであります。
 我が国は、人道的観点及び両国の友好関係に鑑み、JICAを通じた緊急援助物資の供与の用意がある旨、インドネシア側に伝えております。今後、インドネシア側から要請がありましたら可及的速やかに調整を終えて、いち早く現地に救援物資をお届けしたいと、そのように考えております。私(大臣)からは以上です。

日米関係(トランプ政権の評価及びバイデン新政権との関係構築)

【NHK 山本記者】日本時間で言うと明後日になりますけれども、バイデン政権が発足します。大臣、外務大臣としても、前任の経済再生担当大臣としても、トランプ政権とは非常に深い関わりがあったと思いますけれども、トランプ政権の4年間の評価とですね、バイデン政権と、どのように信頼関係を築いていこうとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】日米関係、トランプ政権、この4年間で、首脳間の信頼関係もあり、かつてなく強固なものになったと思っております。昨年は日米安保60周年記念の年を迎えることもできました。また「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力・取組も進んできたと考えております。日米間では日米貿易協定、これも合意いたしましたし、また「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けては、昨年の11月6日に、「QUAD」、日米豪印の外相会談、こういう成果も上げることができたと思っております。
 他方、昨年11月の米大統領選挙、この結果、それ以降の動きを見ても、いわゆる「米国社会の分断」の現状というものが見て取れると思っております。この分断を乗り越えて、米国社会を結束させていくことが、バイデン新政権の大きな課題になると思います。米国国民がバイデン次期大統領の下、困難を乗り越え、再び結束する団結することを切に願っているところであります。
 日本としては、バイデン新政権との間でも、日米同盟の一層の強化であったり、「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向けて協力を深めるとともに、ここにきて重要度をより増しております国際社会の課題、コロナ対応、気候変動など、国際社会の課題への対応であったり、ポスト・コロナの国際秩序作りでも、日米が緊密に連携して国際社会で主導力を発揮していきたいと考えております。

イエメン紛争に対する日本の立場

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 米国がイエメンのホーシー派をテロ組織に指定すると報じられていますが、これについての日本の立場をお教えください。また、イエメン情勢は懸念すべきものとなっていますが、これについて日本の政策をお聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 今般の米国によります、ホーシー派に対する、ご指摘の「外国テロ組織」指定が、イエメンにおける人道支援の実施や、紛争の政治的解決に与える影響を含めて、情勢を注視をしているところであります。イエメンの平和と安定は、中東地域全体の平和と安定にとって重要でありまして、日本政府として、この機会に改めて全ての関係者に対して、イエメンにおける即時の停戦と政治的解決に向けた早期の対話開始を呼びかけたいと思います。

文在寅韓国大統領の新年記者会見

【産経新聞 石鍋記者】韓国についてお伺いいたします。昨日の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の年頭の記者会見でですね、日本政府に元慰安婦らへの賠償を命じた訴訟判決について、困惑したなどと述べました。また、いわゆる徴用工訴訟についても、現金化は望ましくないとの考えを示しました。一部で、対日姿勢の軟化ではないのかという見方もありますけれども、大臣、昨日の会見への受け止めとですね、韓国にどう接していくか、お考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】大統領の会見については当然、存じ上げております。日韓両国はお互いにとって、重要な隣国でありますが、残念ながらここ数年、韓国によって国際約束が破られ、また、二国間合意が実施されていない状況というのがあるわけであります。
 こうした現状では、問題を解決したいという韓国側の姿勢の表明だけで評価を行うことは難しいと思っております。懸案の解決のための韓国側からの具体的提案を見て、評価したいと考えております。

日韓関係(日米韓安保協力への影響)

【日本経済新聞 加藤記者】日韓関係に関連してお伺いします。大臣、昨日の外交演説でも日韓の関係について、厳しい状況に陥っているというふうに、ご認識を示されました。一方で、北朝鮮の非核化に関して、日韓だったりとか、日米韓の連携の重要性ということについても言及されています。日韓の厳しい状況が続いていることが長引くことが、その日米韓の安全保障協力にどのような影響を与えるのか、現状は影響を与えているのかどうか含めてお伺いします。

【茂木外務大臣】多分、昨日の外交演説では、「厳しい状況」ではなくて、「更に厳しい状況」と、こういうふうに申し上げたのではないかなと思いますが、最近の日韓関係、旧朝鮮半島出身労働者問題に加えて、今般の対日訴訟判決によって、更に厳しい状況に陥っていると考えております。
 一方で、現在の日韓関係が、日米韓の安全保障協力に悪影響を与えることはあってはならないと考えておりまして、北朝鮮への対応を始め、地域の安定のために引き続き日米韓で連携していきたいと思います。