令和3年1月29日

 1月29日(現地時間同日)、パプアニューギニア独立国の首都ポートモレスビーにおいて、我が方、中原邦之駐パプアニューギニア独立国日本国特命全権大使と先方ソロイ・マレポ・エオエ外務国際貿易大臣(H.E. Mr. Soroi Marepo Eoe, Minister for Foreign Affairs and International Trade of the Independent State of Papua New Guinea)との間で、同国における新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的として、300億円を限度とする円借款に関する交換公文の署名が行われました。

  1. 対象案件の概要
  • (1)パプアニューギニア独立国は、液化天然ガス(LNG)や原油、銅や金などの鉱物資源の産出国であり、輸出の約9割を天然資源が占めます。しかしながら、原油を含む資源価格の低迷に加え、新型コロナウイルスの世界的感染拡大による経済活動の縮小、PNG政府による国内感染拡大防止のための移動制限の措置等により、2020年の経済成長率は、前年比マイナス3.3%まで落ち込む見通し(IMF、2020年10月)であり、社会・経済の回復が課題となっています。本円借款は、パプアニューギニア独立国に対し、ADBとの協調融資による財政支援を通じて、同国における感染拡大の抑制とともに、同国の社会・経済の回復と安定及び持続的発展に寄与することが期待されます。
  • (2)供与条件(「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」)
    • ア 金利:0.01%
    • イ 償還期間:15年(4年の据置期間を含む。) 
    • ウ 調達条件:アンタイド
  1. 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大及びそれに伴う経済社会活動の停滞は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ本円借款を通じて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるアジア・大洋州などの途上国における経済活動の維持・活性化に貢献することは、日本を含む世界経済を下支えする観点からも重要です。
  2. 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化及び国際社会・経済の回復と安定及び持続的発展に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく途上国を支援していきます。
  3. 我が国は、2018年5月に開催した第8回太平洋・島サミットにおいて、「自由で開かれた持続可能な海洋」及び「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」を支援の柱として表明しており、この協力は同表明を具現化するものです。また、同国に対しては豪州も同じく新型コロナウイルス感染拡大を受けた財政支援を行っており、本円借款は、太平洋島嶼国の安定と発展のための日豪連携の一環として行うものでもあります。

 パプアニューギニア独立国は、面積46.2万平方キロメートル(日本の約1.25倍)、人口約877.6万人(2019年、世界銀行)、1人当たり国民総所得(GNI)は2,780米ドル(2019年、世界銀行)。

  • (1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域、オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。パプアニューギニア独立国からはオニール首相(当時)が参加した。
  • (2)我が国は、PALM8において、(ア)自由で開かれた持続可能な海洋、(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化、(ウ)人的交流・往来の活性化の3つを柱として、今後3年間でこれまでの実績も踏まえた、従来同様の、しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。