1 総論
(1)四大臣は、日英を取り巻く安全保障環境が大きく変化し、基本的価値や原則が挑戦を受けている中で、グローバルな戦略的パートナーである日英両国が、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて協力を更に進展させていくことを確認しました。この文脈で、四大臣は、地域の安全保障を維持し、ルールに基づく国際秩序を支持するため、引き続きリーダーシップを発揮していくこと及び経済的手段によるものを含む地域の他者に対する威圧の試みに反対するとのコミットメントを確認しました。
(2)四大臣は、英国が本年のG7議長国及びCOP26議長国であることを念頭に、安保・防衛協力にとどまらず、日英が幅広い分野で協力を深化させ、「ポストコロナ」の新たな秩序・ルール作りに向けた国際的な取組を共に主導していくことで一致しました。
2 日英安保・防衛協力
(1)日本側は、英国が本年中に英海軍空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃群を東アジアを含む地域に展開させる旨発表したことについて、英国のインド太平洋地域への更なるコミットメントを示すものとして歓迎しました。また、四大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力の一環として、この機会に共同訓練の実施等に向け調整していくことで一致しました。
(2)四大臣は、海洋安全保障協力の深化に係る取決めが海上自衛隊と英国海軍の間で署名されたこと、また、これまで日本及び英国において実施された日英陸軍種共同訓練の着実な進捗を歓迎しました。
(3)四大臣は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、海洋安全保障を含む様々な分野において、途上国の能力構築支援のために引き続き協力していくことで一致しました。
(4)また、四大臣は、北朝鮮関連船舶による違法な「瀬取り」に対する警戒監視活動における実践的な協力を更に促進していくことを再確認しました。
(5)防衛装備・技術協力に関して、四大臣は、次期戦闘機システムのサブシステムレベルでの対話が継続していることを歓迎するとともに、共同による新たな空対空ミサイルの実証に係る共同研究の重要性を強調し、次世代RFセンサシステムの実現可能性に係る共同研究の進捗を歓迎しました。
3 その他の分野における日英協力
(1)四大臣は、サイバーを含むその他の領域における進捗を歓迎するとともに、経済安全保障の課題につき、日英間で引き続き緊密に協議し、協力関係を一層強化していくことで一致しました。
(2)さらに、四大臣は、新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大や気候変動等人間の安全保障上の課題への対応についても意見交換し、感染症対策ではワクチンの公平なアクセスの促進で一致しました。また、気候変動については、2050年までの「カーボン・ニュートラル」実現に向けて連携していくことを確認しました。
4 地域情勢
(1)四大臣は、東シナ海・南シナ海情勢への深刻な懸念を共有した上で、力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対し、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性を確認しました。また、国連海洋法条約に反映された国際法に従った紛争の平和的解決の重要性や全ての海洋権益に関する主張は国連海洋法条約の関連規定に基づかなければならないことを強調しました。こうした観点から、四大臣は、中国の「海警法」についても意見交換を行いました。
(2)四大臣は、香港情勢、新疆ウイグル自治区の人権状況についても議論し、重大な懸念を共有しました。
(3)四大臣は、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及び弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、国際社会が一体となって対応する必要があることを確認し、そのために安保理決議の完全な履行が不可欠であることを改めて確認しました。また、四大臣は拉致問題の早期解決に向け、引き続き緊密に協力することで一致しました。
(4)四大臣は、両国の「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」への支持を確認し、ミャンマー情勢、中東等についても意見交換を行いました。
[参考1]
平成27年 1月21日 第1回日英外務・防衛閣僚会合(於:ロンドン)
平成28年 1月 8日 第2回日英外務・防衛閣僚会合(於:東京)
平成29年12月14日 第3回日英外務・防衛閣僚会合(於:ロンドン)