(令和3年3月9日(火曜日)11時10分 於:本省会見室)

冒頭発言

途上国へのワクチン関連支援

【茂木外務大臣】まず私(大臣)の方から1件。途上国へのワクチンの関連の支援であります。
 本日、東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国の25か国に対し、ワクチンを最後の一人ひとりに届ける「ラスト・ワン・マイル支援」として、保冷設備や運搬用車両等の機材供与等を通じてコールド・チェーンを整備するべく、約45億円の緊急無償資金協力の実施を決定いたしました。
 我が国は、長年に亘って、人間の安全保障の理念の下、途上国の保健医療体制の強化に力を入れてきました。また、過去のサミットにおいても感染症対策を推進し、「誰も取り残さない」ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた取組を主導してきました。
 新型コロナへの対応に当たっても、こうした考えに基づいて、途上国を含めワクチンを公平に届けるため、COVAXファシリティ等のワクチン供給の多国間枠組みの形成を主導し、財政的にも2億ドルの拠出を表明しているところであります。
 他方、COVAXファシリティの枠組みにおいては、途上国国内のコールド・チェーンの整備、これは必ずしもこのCOVAXのスキームにも入っていないということであり、こういった多国間の枠組みを補完すべく、これまでの長年の経験を生かして、それぞれの国にワクチンが入った後に、それを冷凍保存するであったりとか、そのワクチンを輸送すると、こういったことも含めた、ワクチンを一人ひとりに届ける「ラスト・ワン・マイル支援」、かつてないスピードで実施をしていきたいと思います。
 本日決定しました支援、この45億円はその第一歩であります。今後、新型コロナ対策支援として、すでに供与した医療機材や緊急支援円借款も活用しつつ、これまで我が国がJICA専門家等を派遣して能力構築を行ってきた、各国の中核病院等を拠点としながら、きめ細かい支援によって効果的なワクチン関連支援を実施していきます。
 新型コロナの一日も早い終息に向けて、我が国は、今後もワクチンを世界の一人ひとりにまで届ける、こういった支援を行ってまいりたいと考えております。私(大臣)からは以上です。

途上国へのワクチン関連支援

【朝日新聞 安倍記者】今、大臣から、途上国へのワクチン支援のお話がありました。これに関してですけれども、中国も同じように、国産ワクチンを積極的に途上国などに提供する姿勢を見せています。ワクチン外交などと言われていますけれども、こうした中国の姿勢に対する日本の立場についてお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】いずれにしても途上国は、ワクチンの供給、これが不足をしているわけでありまして、様々な国がバイでそういった途上国への支援を行う。そしてまた、マルチの枠組みで、そういったワクチンの支援を行っていく。足りないわけですから、そういったものの組合せの中で、できるだけ途上国においても、そういったワクチンが供給できる、そして一人ひとりが最終的に接種できる、そういう体制を作っていくことが必要だと思っております。
 そしてこれは、各国も理解していると思いますが、あくまで途上国支援、もしくは国際的な保健課題に対応する、こういう目的のために行われるものでありまして、それがなんだか違う目的といいますか、外交手段で使うために使う、こういうことは、国際的に行うべきではないと思っております。

【産経新聞 石鍋記者】関連してお伺いします。大臣、コールド・チェーン整備など、COVAXのスキームには入っていないとご説明なさいましたけれども、先進国でこうしたコールド・チェーンを整備する動きというのは、日本が初めてというか、珍しい例なのでしょうか。

【茂木外務大臣】それぞれの国で、当然、例えばファイザーのワクチン等であったら、かなりの冷温で、低い温度で保管をしなければなりませんから、それぞれの国においてはそういうことをやっていますが、海外に海外のワクチンを届けるに当たって、その国で冷凍保管庫が不足をしているとか、そういった課題に対応していると、こういう例は少なくても私(大臣)は聞いておりません。
 それぞれの国が得意な分野で強みを発揮しながら、全体的にしっかりと、このワクチンが途上国に行き渡るという形を作っていくことが重要だと思っておりまして、コールド・チェーンの整備ということでは、日本は主導的な役割を果たしていければと思っています。

ミャンマー情勢

【テレビ朝日 佐藤記者】ミャンマーに関連して3点お伺いします。まず、今、ミャンマーでは治安部隊の銃撃が原因とみられる死傷者が相次いで、緊迫化の一途をたどっています。こうした状況を改めて大臣、どのようにご覧になっているかということが第1点。
 もう1点は、日本はこれまでも独自のパイプで国軍側に働きかけを続け、昨日もタイの外相と電話会談もされていますが、こういった形の国際社会と連携して働きかけていく中でも、緊迫化が続いていく中で、日本として、例えば制裁といったような新たな選択肢に踏み切るタイミングはどこにあるのか、ということが2点目。
 また3点目として、現地の日本大使館によると、丸山大使が国軍側の外相と会談したということですけれども、どういった話し合いがあったのか、また今後にどうつなげていくお考えなのか、その3点お願いします。

【茂木外務大臣】ミャンマー各地のデモにおいて、発砲を含みますミャンマー治安部隊の実力行使によりまして、多数の民間人が死傷し、拘束者が発生している事態と、これを強く懸念をしております。
 2月24日に、ASEANの非公式の外相会談があったわけであります。そこでASEAN各国からも、事態の鎮静化と、こういった呼びかけをしたわけでありますが、残念ながら、それ以降も2月の終わり、そして3月に入って、更に事態が過激化といいますか、深刻な状況になっていると。
 今、どうやってこのエスカレーションを収めるかと、そして鎮静化していくかと、これが最優先の課題であります。もちろんその後に、最終的にはミャンマーの民主化プロセスを取り戻すと、こういう作業があるわけでありますけれども、この事態を鎮静化しない限り、その道筋も見えてこないということでありまして、どういった対策が事態の鎮静化に向けて、また、局面の打開に向けて、有効なのか、様々な今、模索を行っている、これが現状でありまして、日本として申し入れている3点については何度も申し上げたので、この提案は、様々な形で日本はこういう申し入れを国軍に対しても行っているという話をしております。
 私(大臣)も、各国の外相と電話会談等々を行っているわけですが、欧米だけではなくて、先週はインドネシアのルトノ外相と、そして昨日はタイのドーン副首相と電話会談を行ったところであります。タイの場合、長い国境線、ミャンマーと通じていると、これまでも様々な政治・経済・人的交流の関係があるという中で、ミャンマーの新しい外務大臣、最初に訪れたのはタイでありまして、そこでまたルトノ外相とも会ったりしているということで、タイも大きな役割をしているということで、タイの考え方、ASEANの考え方、日本の考え方等々について、突っ込んだ意見交換をさせてもらったところであります。
 また、昨日、ネーピードーにおきまして、丸山大使がワナ・マウン・ルイン外相に対して、いつも言っている3点の申し入れを行いまして、我が国の重大な懸念を伝えるとともに、ミャンマー側の事態打開に向けた行動を強く求めたところであります。
 今後どうしていくかということについては、当然、国民生活、人道上の問題、これはあるわけでありまして、こういったミャンマーの国民が困るような事態、これについては支援を続けていかなければならないと、そのように考えております。
 その上で、例えば日本のODAであったりとか、日本が一番、ODAの拠出国として大きいわけでありまして、どうしていくかということについては、事態の状況であったり、更には、どういった形で局面を打開していくか、そういうところも総合的に勘案しながら検討していきたいと思っています。

新型コロナウイルス(水際措置)

【時事通信 中山記者】新型コロナの水際措置に関連して、プロ野球の一部の球団で、新人外国人選手が入国できない状況にありますが、打開策や今後の見通しについてあればお願いします。

【茂木外務大臣】緊急事態宣言発令中は、全ての国・地域からの新規入国を認める措置は、今、停止中ということでありますが、特段の事情によっての入国につきましては、緊急事態宣言中であっても、特に人道上配慮すべき事情がある者であったりとか、公共性のある者等、個別の事情を踏まえて、真に入国の必要があると認められる者に限って、例外的に入国を認めてきているところであります。
 プロスポーツにおきます外国人選手等の入団も、特段の事情による入団の一つの形態でありますが、例えばプロ野球なんかでも、再入国の人も認められているところであります。新規入国についても、国内での待機措置等々あるにしても、ビザの申請等がなされたら、この特段の事情に当たる場合には、認める方向で考えたいと思っておりますが、若干、具体的に出ている球団の人、再入国なのに新規で申請していたり、プロセスの問題等もあるようですから、そういったことをクリアすると、もう少し早く出るのではないかなと思います。

ミャンマー情勢(対ミャンマーODA)

【朝日新聞 安倍記者】先ほどミャンマーのODAの話がありました。大臣からは、事態の状況を総合的に勘案しながら、ということでしたけども、新規のODAの扱いについては、いつ頃までに判断されたいお考えなのでしょうか。

【茂木外務大臣】分かりません。事態の状況を見てですから、いつ頃ということは言えません。