令和3年3月10日

 3月9日(現地時間同日)、エジプト・アラブ共和国の首都カイロにおいて、我が方、能化正樹駐エジプト・アラブ共和国日本国特命全権大使と、先方バセル・アル・ハティーブ国際連合工業開発機関駐エジプト代表兼地域ハブ事務所所長(Mr. Bassel EL Khatib, Director and UNIDO Representative in Egypt, Regional Office Hub in Egypt)との間で、供与額3.72億円の無償資金協力「使い捨てプラスチックのバリューチェーンにおける循環型経済の実践促進支援計画(UNIDO連携)」に関する交換公文の署名が行われました。

  1. 近年、海洋プラスチックごみによる地球規模での環境汚染が、生態系、生活環境、漁業、観光等へ悪影響を及ぼすことが懸念されており、国連をはじめとする国際会議において、重要かつ喫緊の課題として議論が行われています。持続可能な開発目標(SDGs)の目標14においても、「あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」とされており、海洋プラスチックごみ問題の解決のために国際社会が連携して取り組む必要が高まっています。
  2. エジプトは、約1億人の人口を抱え、経済活動が活発であるものの、廃棄物管理が不十分であり、世界でも主要な海洋プラスチックごみの排出元とされています。また、同国において、観光業は主要産業の一つであるとともに、紅海沿岸は世界有数のダイビングスポットでもあり、持続的な観光業を推進する上でも、同国におけるプラスチックごみ対策は重要な課題となっています。
  3. 本計画は、エジプトにおいて、プラスチックごみ排出量の少ない包装技術機材の供与、使い捨てプラスチックの代替素材や環境負荷の小さな包装技術の適用のための技術移転、資源循環促進の環境整備のためのキャパシティビルディング等を行うことにより、海洋を含む環境へのプラスチックごみ流出を抑えるとともに、新たな産業の開発を図り、もって同国の持続的成長と雇用創出の実現に寄与するものです。
  4. 我が国は、議長国を務めた2019年のG20大阪サミットにおいて、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有しており、この協力は、同表明を具現化するものです。

 エジプト・アラブ共和国は、面積約100万平方キロメートル(日本の約2.6倍)、人口は約1億38万人(2019年、世界銀行)、一人当たり国民総所得(GNI)は2,690米ドル(2019年、世界銀行)。