厚労省・新着情報
健康局がん・疾病対策課
日時
議題
(2)本格解析に向けた体制整備等について
(3)先行解析において優先的に解析すべきがん種について
(4)その他
議事
-
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第2回がん全ゲノム解析等連絡調整会議」を開催いたします。
構成員、オブザーバーの皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めます健康局がん・疾病対策課の岩佐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、井元構成員より、御欠席の連絡を頂いております。また本日は、オブザーバーとしまして「難病に関するゲノム医療推進にあたっての統合研究班」の構成員等の方々に御参加をいただいております。詳細につきましては、参考資料2の名簿にて御紹介に代えさせていただきたいと思います。また、事務局からの出席者につきましては、座席表を御参照いただければと思います。
最初に、事務局から資料を確認させていただきます。
各構成員の皆様方につきましては、ホームページ等で掲載されているものにつきまして、事前に御送付させていただいております。資料1~4までと参考資料1~5までがございますので、いま一度御確認をいただければと思います。
それでは、中釜主査より、以降の進行を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜主査 それでは、本日も皆さん、よろしくお願いいたします。
今回は、第2回のがん全ゲノム解析等連絡調整会議になりますが、本日は今後の連絡調整会議の検討事項とスケジュール感、さらには前回の調整会議でも御議論いただきましたが、体制班の各ワーキンググループの検討状況についての共有、それから、本格解析に向けた体 制整備、と非常に重要な案件について御議論いただきます。よろしくお願いいたします。
一応、夕方6時からの開始で遅い時間ですが、2時間、8時をめどにと思っていますので、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局から資料1の説明をさせていただきます。
こちらは、がん全ゲノム解析等連絡調整会議の検討スケジュールを示させていただいております。前回の会議におきまして、主な検討内容と報告時期について御説明させていただいたかと思います。これを第2回、第3回、第4回の会議で、それぞれ具体的にこの項目を検討し進めていくという形で実施したいと考えております。一応このような進め方で第2回以降の会議について進めさせていただければと考えております。
簡単でございますが、以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。
それでは、今、説明がありました今後の連絡調整会議の検討スケジュールですが、何か御質問・御意見ございますか。よろしいですか。今日の議論が本格解析を見据えた先行解析の実施等に向けても非常に重要な会議になると思いますので、皆さん、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料2及び資料3について御説明いただきます。資料2は、各ワーキンググループ代表の先生から、また資料3については、事務局から連続して御説明いただいた後に議論させていただきたいと思います。
各ワーキンググループの代表の先生方におかれましては、それぞれ5分という時間厳守でお願いしたいと思います。
では最初に、間野構成員からお願いいたします。
○間野構成員 間野でございます。では、バイオバンクワーキンググループの検討状況について御報告いたします。
3ページを御覧ください。バイオバンクワーキンググループとしましては、どのような臨床情報を収集するのか、また、どのような形でどういうシステムで臨床情報を集めるのかについて検討してまいりました。
まず、収集臨床情報につきましては、固形腫瘍に関する収集臨床情報バージョン1をつくって、ワーキンググループ内と製薬協の方々にヒアリングを行いました。また、造血器腫瘍に関しては少し違った情報が必要になりますので、そちらについてもバージョン1を作成しました。それらを統合したバージョンを作成しまして、造血器腫瘍のサブワーキング長である南谷先生にヒアリングいただいた後、現在バージョン2として、バイオバンクワーキンググループの構成員の先生方、製薬協の方々に配付して検討いただいているところです。この後、検討事項を盛り込んで最終バージョンとしたいと思います。
全体の枠組みとしては、患者さんのIDや家族歴、既往歴、併存疾患等の基本情報をまず共通項目で取った後、固形腫瘍と造血器腫瘍に関して分かれた情報に入っていって、固形腫瘍は、がん種情報をOncoTreeで、造血器腫瘍は、がん種情報をWHO分類で入力していただく予定です。
その後、ファーストライン、セカンドライン等の各治療について細かい情報と、それがどのような治療であったか、どういう反応性があったか、重篤な副作用があったか等の情報について集めていくことを考えております。
4ページは、前回の会議でも少しお示ししましたけれども、先ほどのスライドでお示しした臨床情報をどういうシステムを使って集めるかを表しています。がんゲノム医療病院は現在206施設ありますけれども、そこに設置されているC-CATとデータをやりとりするためのポータルのPCがありますので、その画面内に仮称ですけれども「がん全ゲノム研究」というバナーを設置して、そこをクリックするとセキュアにIPsecVPNを介して、全ゲノム解析用の研究用クラウドに移行して、そこのEDCシステムを使って臨床情報を集めることを想定しております。
現在、EDCの開発ベンダーと契約手続をしており、先ほどの臨床情報が確定しましたら、速やかにEDCの開発をしてもらいたいと考えております。がんゲノム医療で既にセキュリティーが確保されたシステムがありますので、それを使って研究をクラウドにつなぎたいと考えています。これが、これまでのワーキンググループで議論して確定したことです。
5ページは細かい情報になるのですけれども、検体と臨床情報を収集する実際のロジスティクスに関して検討事項を述べました。
まず、既存検体を用いた先行解析、それから前向き収集検体を用いた本格解析と大きく分けますと、既存検体については、既に腫瘍部の新鮮凍結検体とペアの正常検体が保存されていて、網羅的解析が可能な同意が得られていて、また、解析結果の公的データベースへの登録が可能な検体から解析するのがいいのではないかということが議論されました。
検体保存方法は、既存の検体ですので、各バンクの既存インフラを用いる。
また、実際に検査に用いる核酸の調整は、基本的には各バンクに依頼するけれども、場合によってはシークエンスをする検査会社に依頼することもあるということで意見の一致を見ています。
重要なのは、臨床情報の入力は、各参加機関でCRC等適切な人材を雇用して入力することが必要ですので、研究費にはちゃんとその費用を計上することが大事だろうと議論されました。
前向き収集検体、これから前向きに集めていく検体に関しては、まだ決めないといけないことが結構あるのですけれども、まずは、統一のインフォームド・コンセントファイルのひな形みたいなものをELSIのワーキンググループに作成いただいて、それに準じた倫理申請を各施設で行っていただく必要があると思います。
また、検体収集、保存のSOPを作成する必要がありますので、これは例えば、日本病理学会などとの連動も必要なのではないかと議論されています。
それから、単にゲノム解析だけではなくて、将来的なメタボローム解析、プロテオーム解析ができるような血清・血漿も保存する必要があるのではないかということも議論されております。
また、検体保存インフラは各施設に設置するのだろうと考えられますけれども、ここもまだ確定したわけではありません。
前向き検体の解析における検体から核酸の調整は各施設で行うのか、あるいはシークエンス拠点で行うのかについても、まだSOPが確定していなくて決定しておりません。1か所の拠点で全部検体から核酸調整を行うほうが、検体のクオリティーは一定に保たれるのですけれども、これもまだ議論する必要があると考えられます。
先ほどの既存検体の解析と同じように、臨床情報の入力はすごく大事ですので、この費用をちゃんと計上して、適切な人材を各施設が雇用して入力できるような体制をつくることが必要だろうと考えられます。
以上のことが、現在バイオバンクワーキンググループで話し合われております。
私からは以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。
それでは、続きまして、解析ワーキンググループについて、小川構成員からお願いいたします。
○小川構成員 京都大学の小川でございます。
それでは、引き続きまして、解析ワーキンググループの説明をさせていただきます。資料の7ページです。
解析ワーキンググループは、基本的には、シークエンスの施設から得られたシークエンスデータを解析し、一次解析による解析を行った後に、それを各研究者が共有できる共有システムに保存するところまでをやります。これには、そこに書かれてあるような標準的なパイプラインの開発あるいは解析環境、これはどんなコンピューター、計算機で実行するのかということも含めて議論しています。これに対しては、後ほど詳しく御説明します。
それから、こういった解析を行うためには、データ解析拠点をつくっていくことが重要です。
8ページはデータ解析の流れで、解析ワーキンググループがどのような役割を果たすかということを簡単に御説明するためのスライドでございます。
まず、解析ワーキンググループとしては、シークエンス拠点、プラットフォームの部分から議論を進めています。今のところシークエンスの拠点としては、セキュリティーの面から国内にあること。それから、十分な数の実績を持っていること。それから、十分なクオリティーを担保していることが認証されているようなこと。それから、国際的な標準的なデータを保存するようなシークエンスプラットフォームを有していることが求められると思いますが、これは現在まだ議論が進行中です。
ここから出てきたシークエンスデータはFASTQという形で出てまいります。これが転送されてくるわけですが、この転送に関しても現在どのようなセキュアが可能かを検討中です。
このFASTQファイルから、まず一次解析と呼ばれる解析がございます。これは基本的な遺伝子情報あるいはいろいろなゲノムの異常、構造異常やコピー数の異常を抽出する作業が一次解析に含まれます。これは、今のところまだ確定ではありません、我々の議論としてはスパコン及びクラウドを併用して、当初はスパコンで、経時的にクラウドへの移行を想定しています。これは、今のところクラウドがまだ整備されていないにもかかわらず、クラウドは国際的なゲノム解析コンソーシアムでは非常に中心的な役割を果たしつつあるので、将来的にクラウドへの移行を見据えて、しかし現実的な問題としては、すぐに始まる先行解析も含めて、まずスパコンで解析を始めつつ、両者が共存するような形になると思います。
基礎データがVCF1、2、3と書かれていますが、これは様々な解析のやり方から出てきた様々なパイプラインで出されてきたデータですが、これを一括してこのままシステムで共有することになります。この基になるCRAMファイルも含めて、このデータを共有すると。
一方で、FASTQファイルはばかでかいファイルなので、また別途保管するというのが、現在の我々の議論です。
9ページの解析標準パイプラインというのはどのようなものかというと、これはFASTQファイルからゲノムをマッピングされるのですが、詳細は割愛いたしますけれども、一連の操作をして、簡単に言いますと、がんでは一体どのような異常があるのかのリストをつくるという作業です。このリストのつくり方にはいろいろなパイプラインがあって、現在、世界で標準とされている複数のパイプラインによってVCFファイルを算出し、これを各ソフトウェアに合わせてアップデートしていくことになります。これは典型的には全ゲノム解析ですけれども、全ゲノム解析だけではなくて、これを理解するためのRNA解析あるいは一部にあるロングリード解析もこれに含めていくことになります。
10ページです。パイプラインの開発は、もちろん我々の解析ワーキンググループで行うわけですが、実行となりますとまた話が違って、何万件ものデータを解析する必要がございますが、今のところの議論としては外部のベンダーに委託する。パイプラインは我々がつくりますが、実際にこれを実行するのは外部のベンダーに委託するということが今、議論されています。
また、こういうことを行っていくためには、専門のITスタッフの雇用や人材育成がぜひとも必要ですから、こういったこともぜひ予算を確保するときには考慮に入れていただきたいと思います。
それから、今までの解析は、基本的なゲノムシークエンス側から出てきたデータから、がんのゲノムでどんなところが異常かというリストができるわけですから、そこから我々は生物学的あるいは臨床的な意味を見出さなければいけません。その作業というのは二次解析と言われるわけですが、個別の乳がんグループ、肺がんグループあるいは白血病グループというような各個別のグループで行われるわけですが、今のところ解析ワーキンググループとしては、それに必要な基本的によく使われるツールの開発を行いますが、個別の問題について我々は支援することができない状況にあります。行わないというよりは人材の問題でできないということで、これは実は非常に深刻な問題です。ここは議論が必要なところで、この二次解析を成功させるか否かが、このプロジェクトが成功するか否かの鍵になるわけですから、ここは今後このプロジェクトを進める段階で議論が必要だと思いますが、今のところ各グループに基本的には任されるということです。しかし、全体的な方向性は、全体の議論を通じて行っていくという基本的な方針です。
11ページです。データ処理システムの進め方ですが、解析パイプラインの開発は、まず全ゲノムシークエンスの一番単純なshort readの解析から進めていくということで、これはオンプレの計算機あるいはクラウドのそれぞれでパイロット解析を実行して、解析の費用やコスト、運用上の様々な問題点を洗い出すことを行って、これをレポートします。
12ページは、一次解析の後の二次解析の話ですけれども共有ストレージ、これは現在のところクラウドはまだ整備されておりませんからスパコンを想定していますが、この共有ストレージに一次解析で出されたCRAMファイル、VCFファイルがここに保管されて、これに対して、この計算機内に各研究グループが各自の領域を独自に設けて、各解析を個別に行うことになります。ただ、ストレージの費用、管理代などは中央で一括して面倒を見る形になるという議論をしているところです。
13ページです。スパコンかクラウドかに関しては今後議論が必要ではありますが、現在のところは、一次解析の結果はオンプレ、クラウドの両方にハイブリッドで保存する。特に、クラウドへの移行に関しては、人材の育成等を含め今後いろいろ議論が必要ですが、これに関しては徐々に進めていくしかないという状況です。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。
続きまして、油谷構成員からデータ共有ワーキンググループについて、お願いいたします。
○油谷構成員 東京大学の油谷でございます。
データ共有ワーキンググループで第1回に引き続きまして、特に企業における利活用についての検討を付加して重点的に行ってまいりました。
16ページは、小川構成員からの御発表にありましたように、前回の議論にもございましたが、セキュリティーを考えたときに、どこにデータを置くかが決まりませんと議論がスタートできませんので、まず、データ処理、データ共有を研究用のサーバーに加えて、さらに、利活用するいろいろなユーザーからアクセスできるような計算機、環境を3つ想定して、特に利活用に関しては、一番右にあります黄色い枠に囲んだようなところで、データに対して専らFASTQではなく、また、データは各研究機関に原則的には戻すことなく、データのセキュリティーを考えた場合に、特に新たな外部からの新規のユーザーに関しては、データの分譲を行うのではなく、そこにプログラムをdockerなどによって上げていただいて、その上でジョブを実行していただくと。そのジョブの内容等について、管理する体制が必要であろうということでございます。
17ページは、繰り返しになりますが、前者は専らクラウドを想定いたしておりますが、その前に、まずはデータの解析はスパコンも併用して行うことになります。
18ページですが、現在膨大なデータにつきまして、まずは、オンプレのスパコンで様々なプログラムの性能を検討し、その間にクラウドの準備をするということになるかと考えております。
19ページが、前回、間野構成員からありました、このプロジェクトの全体像にデータ共有という意味から、赤枠で囲んであるような点が今後の検討課題になるかと考えております。グレーでハイライトした真ん中の部分が、いわゆる体制班のジョブで、今の3つの計算、一次解析、二次解析、利活用のクラウドというサーバーのところにデータが蓄えられると。そして、これを例えば、企業が利活用する場合に課金が発生するわけですが、そういうものを管理する人、あるいはデータのセキュリティーを管理される方、あとはデータポータル、これはプロジェクト全体がどのように進んでいるかを広報活動も含めた、こういうデータが存在するということを公に示していくためのポータルを、これから準備していかなければいけないことになるかと思います。
そのために、データの利活用は、前回の会議でも患者還元という視点をもっと重視してくださいという御意見もいただきましたし、全ゲノムデータをどのように患者還元していくかにつきましては、検体の活用も含まれますし、各ゲノム医療拠点における体制の整備も今後考慮していかなければいけないことかと思います。
企業の利活用ということで打ち合わせをさせていただいた際には、臨床情報にどの程度アクセスできるのか、あるはい興味深い臨床症例についてリコンタクトが可能なのかにつきましては、このワーキンググループだけでは決められない事項でございますので、次に御発表のあるELSIのグループでそのあたりの検討を開始していただいております。
資料3の5ページの「対応方針(案)」を御覧いただければと思いますが、データセンターにつきましては今御説明したとおりですし、管理運営に関しては、民間のノウハウなども活用して、ある程度長期的な運営が必要になってくるだろうということで考えております。
3つ目の○以下がデータのポリシーでございまして、4つ目の○に、アカデミア及び産業利用それぞれのルールの策定ということで、研究用の利用及び産業利用についてのルールは別々に策定していく必要があるだろうと。
本格研究と先行研究についても議論があるところでございますが、極力、本格研究における利活用のルールが先行研究と同じルールで使えることがより望まれるということで、その詳細なルールの策定はまだできておりませんし、家族性腫瘍の症例等、取扱いにデリケートな点が残るものにつきましては、別途ルールを策定する必要があると考えております。
下から3つ目のプロジェクト内での一次解析データの制限共有というのは、データが出始めたらすぐにプロジェクト内で行い、一定期間、これについてもまだ検討中でございますが、2~3年という単位で制限公開に進むということが、国際的に見てもある程度許容される期間ではないかということでございます。
以上でございます。
○中釜主査 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、横野構成員からELSIワーキンググループについてお願いいたします。
○横野構成員 ELSIワーキンググループからの報告ですが、武藤先生が本日御欠席のため、私、早稲田大学の横野から御報告させていただきます。
ELSIワーキングの検討事項としては、先ほどの資料1の表に挙げていただいた2つの点について御報告させていただきます。これ以外の検討事項、特に既存資料の先行解析に関する論点や患者・市民参画に関する論点については、今回は別途参考資料5という形で御提供させていただいておりますので、そちらを御覧ください。
今回の検討課題は2つありまして、1つは、新薬開発への活用や将来の追加解析に耐え得る包括的な同意取得の統一化に向けた検討。2つ目として、先ほども少し触れられましたが、患者等へのリコンタクトも可能とする仕組みの構築に向けた検討ということです。今までのワーキンググループからの報告にもありましたように、現在、計画自体の具体化に向けて検討していただいている段階ですので、ELSIの観点からの取組、あるいはインフォームド・コンセント文書の内容等についても、今後の計画の具体化に沿って細部については決めていくことになります。それに併せまして、ELSIワーキンググループとしても情報収集をし、今後の研究動向を含めて予測して、どのようなシナリオが考えられるのかを分析しながら、例えば同意の在り方等について提案していきたいと考えています。
23ページです。まず、1つ目が、同意取得の統一化に関してですが、大前提としては倫理指針の定める説明事項を充足することになります。現在、これまでの計画等を参考にして、統一インフォームド・コンセント文書の素案を作成しているところです。特に、何を必ず同意いただく事項とするのか、あるいは何をオプトアウトの対象とするのか、あるいはオプトインのみで行う事項とするのかというあたりの区分けを、難病の計画とも調整して、今後の計画の具体化の中で決めていく必要があると考えています。また、動画をはじめとする説明補助ツールを併用することを前提として考えています。
必然的に、かなり包括的な同意という形にならざるを得ない部分があるのですが、同意が包括的になればなるほど、それ以外の部分での倫理的配慮やガバナンスの必要性や重要性が大きくなります。使う側の責任や管理体制が非常に重要になってきます。その部分についても今後、国際的な議論を参考にしながら計画の中に具体的に組み込んでいく必要があると考えます。ICFだけではなくて、全体のシステムとしてデザインする必要があります。
24ページです。その中で、どういった事項を説明するかということで、ここでは特に今後具体化するに当たって検討すべきポイントをお示ししました。
まず、研究目的の範囲ですが、実行計画においては、主にがんの研究・医療を前提とした目的が掲げられています。今回、同意の時点でどこまで幅広い目的を提示するかということで、保健医療全体やゲノム医療全体に関わるような目的、あるいはがん以外の疾患の研究への利用といったものをどこまで盛り込むのか。あるいは広く盛り込んだ上で、オプトアウトできる部分をどの程度設けるかといった部分の具体化が必要になってくると考えます。
新薬開発に関しては、もともとの実行計画の目的の中でも創薬等の産業利用というものが入っています。ここではまず第一に、企業等がデータにアクセスして研究開発に利用する場合が想定されていると思いますが、それで十分かどうかということです。産業利用については、先ほどデータ共有ワーキングからも御指摘がありました点で、後でその点に絞って御紹介させていただきたいと思います。
それから、前提として、民間企業が商業目的で利用する可能性については、当初から明示する必要があります。
データに関しては、広い範囲からのアクセスが想定されることを前提とし、データ利用に関する具体的なルールやガバナンスの仕組みを示す必要があります。
それから、民間資金の活用が想定されていますが、利益相反管理や透明性の確保といった点で取組が必要になってくると考えます。
追加解析に関してですが、当初の同意の範囲の中でどこまで対応できるようにするのか。あるいは既存資料・情報の利用・提供といった形で対応できればよいのかといったあたりも、今後具体的に検討していく必要があります。
それから、最初に間野先生から診療情報の収集のお話がありましたが、臨床情報として収集するもの以外の追加の情報収集や、ほかのデータとのリンケージといったものはどの辺まで想定されるのか。それから、プロテオーム解析等の話もありましたが、どこまでが当初の同意の中に入るものかといった点を具体的に今後詰めていく必要があります。
25ページです。リコンタクトに関してですが、全体としてリコンタクトと言った場合にイメージされる内容が、かなり人によって幅がありまして、リコンタクトの具体的な中身の概念整理、場合分けをして、適切な表現を使っていく必要があると考えます。
ここでは一つ考えられる可能性として、リコンタクトのためにオンラインのツールを使っていくという方法もあるのではないかということを御提案させていただいています。今度の指針の改定で電子的ICが導入されますので、電子的ICを導入してオンラインプラットフォーム上で行うようにする。そして、オンラインプラットフォーム上で電子的ICの取得や同意内容の確認・マネジメントといったこと。それから、参加者の方との直接のコミュニケーションを可能とするような仕組みを考えられるのではないかと思います。
また、プラットフォームを活用して、PRO等の追加データの収集やPHR等とのデータ連携も可能性としては想定できます。PPI(患者・市民参画)や情報発信の媒体としての活用といったことも考えられます。
26ページです。このプロジェクトでどこまでやるかということは、具体的な想定としては難しい部分がありますが、図の下の2層ぐらいまでが今の段階で具体的に考えられているところで、その先オンラインプラットフォームを使うことによって、様々な展開が考えられるといった点も視野に入れていいのではないかと考えています。
こういったいわゆるダイナミックコンセントの仕組みを導入することで、患者さんを中心とした取組や研究に対するトラスト(信頼)の形成といった面で有効であると考えます。
最後に27ページです。産業利用については、これまでの課題1・2、そのほかの点にも密接に関わるため、取り出して検討する必要があると考えています。本計画で想定される産業利用のシナリオを具体化して、それぞれのシナリオに関わるELSIを分析しながら、このプロジェクトにおける産業利用のルール化を図っていく必要があると思います。この点については、製薬協のお考えも伺いながら分析を進めていきたいと考えています。
ELSIワーキンググループからは以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。
以上で、各ワーキンググループの検討状況について説明が終わりました。
続きまして、事務局より資料3「全ゲノム解析等の本格解析に向けた体制整備等についての検討」について説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 それでは、資料3について説明させていただきます。
こちらの資料につきましては、ワーキンググループでの議論等も踏まえまして、事務局としまして検討の視点や対応方針の案をまとめさせていただいたものでございます。本日この後の議論につきましては、こちらをベースに御議論いただきたいという形でお示しさせていただきます。
この検討でございますが、現在よりもさらに多くのがん患者さんが真の希望により近い治療ができるような形で全ゲノム解析を実施し、医療現場で使用できるようにしていく。また、様々な研究や創薬等に広く利用可能な全ゲノムデータベースを構築して、産官学一体となって、次世代のがん医療を提供するために以下の検討を行うという立ち位置に立たせていただいております。
基本的な考え方としまして、3点お示しさせていただいております。
1つ目が、本格解析をどのように行うのが適当かについて、現時点のがん領域における知見やニーズを基に検討を行います。
また、先行解析につきましても、基本的には同様の方法で行うという形にしております。また、その中で必要な改善を行っていくということで考えております。
今回検討した内容につきましては、難病等を含めた疾病横断的な解析の進め方の検討につなげるという形で、がんに関する部会と難病に関する検討会の合同会議における協議のために報告する形で考えているものです。
具体的な検討に入らせていただきます。
1番目として、全ゲノム本格解析の実行・体制整備に向けての検討でございます。
(1)全体の方向性ということで、検討の視点を2つほど挙げさせていただいております。
がんの克服を目指したがん患者のよりよい医療の推進のために実施する、こちらは実行計画から引っ張ってきておりますが、がん全ゲノム解析における目的を見失うことなく推進することが必要と考えております。
また、情報の利活用を前提としつつも、機微な情報を取り扱うということで、情報漏えいがないよう安全性の確保が必須であるとしております。
これに対する対応方針案としましては、患者の診断や治療に有益と考えられる情報が得られた場合には、患者の主治医や施設倫理審査委員会等と調整の上、積極的に還元していく。また、事業を国内で完結できる体制を確保し、許可された者のみが許可された範囲内でのみ情報を取り扱うことができるよう、これを担保できるような体制としていくことを考えております。
2番目の全ゲノム情報に付随して保管する検体、臨床情報、こちらはバイオバンクワーキンググループの検討内容にもなります。
(1)臨床情報の内容、収集方法についてでございますが、検討の視点として2点。
臨床情報の内容について、当該患者の診療、研究、創薬等の活用に求められる情報が網羅されていることが必要。また、入力の負担軽減の観点も必要です。
また、収集方法につきましては、セキュリティー、入力の負担軽減等に留意することが必要だとしております。
対応方針の案ですが、収集する臨床項目について1~6の6つに分けまして、それぞれさらに詳しくという形になりますが、以下の形で考えております。
また、臨床情報の収集方法としては、検体採取施設におきましてセキュリティーの確保された回線の使用ということで考えております。
また、利活用の促進と入力の負担軽減の双方の観点から、収集する臨床項目の厳選、定義の明確化等を行うことにしております。
さらには、今後デジタル化の推進の観点から、他のデータベースとの連携、さらにはクラウドを用いた臨床情報の収集・共有についても検討を行っていくとしております。
3番目、効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討ということで、解析ワーキンググループの内容になります。
(1)シークエンス等実施機関の在り方については、検討の視点として3つ挙げさせていただいております。
1つ目が、セキュリティーが担保されている大前提はありますが、国内でシークエンスが可能である必要があると。また、FASTQファイルを安全に転送できる必要性があります。
その上で、多数の検体に対して、できる限り高品質かつ均質なシークエンスを、低コストで実施できることが必要です。
また、医療における実用化を見据え、適切な精度管理が実施された衛生検査所等でのシークエンスを基本とし、検体採取、シークエンス、データ解析までのロジスティクスの整備が必要としております。
対応方針の案ですが、シークエンス等実施機関に以下の全ての条件を求めるということで、シークエンス等実施機関の条件を5つほど挙げております。
具体的には、セキュリティーが担保されていること。
一定以上の実績がある。
また、多数検体のシークエンスが可能。
また、精度管理を実施している衛生検査所で実施する。
また、国際共同研究でも利用可能な結果が得られる。
さらには、できる限り均質なデータとする観点で、統一された機種のシークエンサーを用いることが望ましいとしております。
これらを満たすシークエンス等実施機関における解析精度を確保し、さらに向上させる等の観点から、それぞれのシークエンス実施機関において定期的な品質の再評価、再検証、さらなる低価格化に向けた検討を進めるとしております。
(2)収集したデータの管理の在り方についてです。
検討の視点としましては、FASTQ、CRAM、VCF等のデータをそれぞれどのように保管すべきか、安全に確実にデータを保存するために、どこに保存するのが適切なのかというところです。
対応方針の案でございますが、FASTQについては容量が大きく、利用の頻度も少ないと見込まれるため、CRAMやVCFと連結可能にした上で別ストレージでの保管。データのストレージについては、一元的な管理ができるという前提で、オンプレミス及びクラウドの両者を用いるハイブリッドという形で考えています。
また、FASTQにつきましては、複数保管し、分散保管を原則とするとしております。
(3)解析のためのコンピューティングリソースの在り方についてですが、検討の視点を3つ挙げております。
スパコンとクラウド双方の相違、長所、短所といったものはどう整理されるのか。
二者択一のみならず双方を融合させることも含めて、将来展望を見据えて検討する。
また、人材の育成とともに進める必要があることに留意としております。
対応方針案でございますが、当面の間はスパコンで解析・共有を開始し、この間クラウド環境の構築等々を行い、徐々にクラウド環境に移行するとしております。
また、専門性が極めて高い人材が必要となるということで、長期的な目線で専門のスタッフの確保・育成を図るとしております。
続きまして、4、データを共有・活用するための考え方、インフラ等についてということで、データ共有ワーキングの内容になります。
(1)データ等の管理・運営体制の在り方についてでございますが、検討の視点として5つの項目を挙げております。
質が担保された均質なデータであること、一体的・一元的なデータ管理が必要となる。
また、自立的に運営される仕組み。
また、世界標準のデータセキュリティーポリシー、データシェアリングポリシーに準拠する。
また、何を、誰に、いつ、どのような提供方法で共有するのか。それらについて誰が審査するのか。
安全・確実にデータを保存するため、どこに保存するのが適切なのかといった内容になります。
これらについて対応方針の案でございます。
まずは、一体的・一元的な管理をするためデータセンターを置いて、それらの管理に当たるとしております。
管理運営に関しましては、多様なユーザーの利活用を促すという観点で、民間の資金やノウハウを活用し、できる限り自立的な運営を目指すものと考えております。
まずは、NBDCのヒトデータグループ共有データ取扱いセキュリティガイドライン、AMEDのデータシェアリングポリシーに準拠するような形にし、データセンターにおいて国際的な動向も踏まえて、これらを適宜更新するという形でございます。
さらには、データ利用に際して、アカデミア、産業利用それぞれのルールを策定。
データの利活用に関しては、審査会において審査するという形にしております。
原則として、CRAM、VCFを含む一次解析データを共有するという形で考えており、さらにプロジェクト内では一次解析データについて制限共有、一定期間後の制限公開としております。
データのストレージについては、一元的な管理ができるという前提の上で、オンプレミスとクラウドのハイブリッドという形を考えておりまして、さらに、データセンターはポータルを通じて定期的に情報を公開していくというものでございます。
最後5番目、倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICの在り方等について、ELSIワーキングの検討内容になります。
(1)新薬開発への活用、将来の追加解析に耐え得る包括的な同意取得を統一化ということで、検討の視点でございますが、追加解析等が必要となる状況を想定し、幅広く有効となる同意を取得するために必要とされる説明内容を整理するということ。
対応方針としましては、5つの課題に対応した統一的なICFの素案を作成したと。
また、先行解析実施期間において出てくる各種課題等々を踏まえて、適宜アップデートしていくというものでございます。
(2)患者等へのリコンタクトも可能とする仕組みの構築に向けた検討でございますが、検討の視点として2つ。リコンタクトが必要となる状況を整理して、患者の希望に応じた対応が可能な体制を構築することが必要。
また、リコンタクトのツール等についても検討が必要となっております。
対応方針でございますが、リコンタクト実施のための意思確認ができるICFとしておくということ。
それから、主目的となる所見以外の所見が得られた場合に、倫理指針やAMEDの小杉班の提言等に沿って対応するとしております。
また、所見の説明のためリコンタクトが必要な場合に、具体的手順について事前の同意等を踏まえ、当該知見を得た者が検体採取施設に伝え、そこから患者さんへ伝えるという形を想定して、具体的なフローを検討していく。
また、リコンタクトの際に、双方向のコミュニケーションが可能となるツールについて、引き続き検討するとしております。
以上、簡単ではございますが、検討の視点や対応方針をそれぞれの項目ごとにお示しさせていただきましたので、これを踏まえてこの後の御議論をいただければと思います。
事務局からは以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から資料3について、それぞれの項目・事項における検討の視点、対応方針の案をまとめていただきました。対応方針について御意見がありましたら順次決めていただければと思いますが、まずは資料3の1ページの基本的な考え方についてです。
この点については、先ほど事務局から説明がありましたけれども、今後、より近い医療・治療が実現できるような全ゲノム解析を実施し、医療現場で使用できるようにすることが大前提であり、本格解析においてこのように進めていくという御提案です。基本的には先行解析についても同様の考え方でいくという説明がされましたが、基本的な考え方について御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
安中構成員。
○安中構成員 製薬協の安中でございます。
「基本的な考え方」の3つ目でございますけれども、「難病等を含めた疾病横断的な全ゲノム解析等の進め方の検討につなげる」という文言については、非常に大変すばらしい考え方だと思いました。
一方で、具体的な検討ですけれども、この観念に基づく記載はまだないようでございますので、今後議論いただいて追記いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜主査 その点については、事務局からお願いできますか。
○がん対策推進官 今回の連絡調整会議につきましては、特にがん分野についてでございますので、「基本的な考え方」の1番目で、現時点のがん領域における既知の知見とニーズに基づいての検討となっております。この意図としましては、難病等の検討とそろえていく意識は必要だと考えておりまして、ここに書かせていただいてはおりますが、個別に全部難病とそろえてという形でこの記載をしているものではないというところでございます。本日は、難病の関係の方々も入っておりますので、そういった中で意識を合わせていければと考えております。
○中釜主査 ありがとうございます。今の説明でよろしいでしょうか。
○安中構成員 今後の御議論だと思いますけれども、せっかく全ゲノムのシークエンスをしますので、臨床情報でもがんと難病以外のところも収集をしっかり行う、追加でもいいのですけれども、そのような体制ができれば、その他の疾患の研究もできるのではないかと考えます。せっかくのプラットフォームですので、いろいろな可能性について検討する必要があるのではないかと製薬協としては考えております。ぜひ御検討いただければと思います。
○中釜主査 ありがとうございました。恐らくそのあたりは、将来的な利活用を踏まえた上でのデータベースの構築などで、できるだけ共通性の高いコンセプトに基づいて行われていくことが重要と思いました。いただいた御意見を参考に、今後その視点からも詰めていければと私自身も思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますか。宮野構成員、お願いいたします。
○宮野構成員 資料3の1ページに「産官学一体となって」という表現があるのですが、先ほど横野先生の患者さんへのリコンタクトを考えますと、「産官学」という3文字に、もう一つ「産官学民一体となって」というメッセージにしておくほうが、私としてはいいのではないかと考えております。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。この点について特にございませんか。よろしいですか。御指摘の点を踏まえた上での修正をお願いしたいと思います。
ほかに御意見ございますか。また、全体の基本方針について御意見がありましたら、後ほどいただければと思います。
続きまして、具体的な検討の1、がん全ゲノム体制班の点について、検討の視点を踏まえた対応方針案が示されましたが、これについては何か御意見ございますか。
天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。今の1ページの(1)全体の方向性の「対応方針(案)」の1つ目です。「患者の診断や治療に有益と考えられる情報が得られた場合には、患者の主治医や施設倫理審査委員会等と調整の上、積極的に還元する」という方針を示していただいています。この方針自体は非常に重要だと考えていまして、今までいわゆる創薬や産業活用に関する議論が中心だった部分で、いかに今の患者さんに還元するのかという議論が非常に重要だと思っていますし、この方針をぜひ推進していただきたいと思うのですが、この方針について現時点で素案や議論といったものはどこまでなされているのか、もし分かれば教えていただけますでしょうか。
○中釜主査 この点について、事務局からお願いできますか。
○がん対策推進官 このあたりについては、まさにELSIで話題になるかと考えております。患者等へのリコンタクトも可能とする仕組みの構築に向けてというところで、もう少し議論させていただければと思います。
○天野構成員 ありがとうございます。
○中釜主査 ありがとうございました。
ほかにございますか。吉田構成員、お願いいたします。
○吉田構成員 よろしくお願いします。同じく(1)全体の方向性についてで、安全性の確保については「情報が漏えいすることのないよう」にということのみが書いてあるのですけれども、たとえば米国大統領諮問生命倫理委員会の報告でもアブソリュート・プライバシー(完璧なプライバシー保護)はなかなか難しい、ほとんど不可能であって、むしろいかに悪用させないか、ミスユースをいかに防止するかが重要だと指摘されています。従って、とにかく漏れないようにすることばかりを強化して利活用を制限するだけではなくて、再発防止なども含めて悪用させない仕組みを併せて考えることが非常に重要ではないかと思います。
以上です。
○中釜主査 御指摘ありがとうございました。その点については、対応をよろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
続きまして、バイオバンクワーキンググループですが、2の(1)臨床情報の内容、収集方法についての検討の視点に基づいた対応方針について、御意見ありますか。
中村構成員。
○中村構成員 先ほどの間野先生の説明では、先行解析も本格解析も臨床情報を入力するために人が要るというお話でしたけれども、もうそんな時代ではなくて、しばらくは仕方ないかもしれませんが、電子カルテから情報を自動的に収集してくるというようなAPI、インターフェースをつくってそのまま移すことができるはずです。いつまでも判こを使い続けるのかという議論と同じようなレベルで、どんどん世の中は変わってきて、電子カルテのデータから必要なデータを移すとか、あるいは全部移した上で必要なデータだけ使っていくということが可能になってきているわけですから、本格解析が始まるころには、人の手ではなくてコンピューターからクラウドに自動的にデータが移るような仕組みを考えておくべきだと思います。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。今の御指摘について、間野構成員、何か御意見ございますか。
○間野構成員 確かにおっしゃるとおりで、いつまでもCRCさんとかにお願いして入力するというのもデジタル化が立ち後れていると思います。実際に電子カルテから具体的に、例えば、各病院の電子カルテがそのまま引っ張れるようにするというのは、かなり様々なロジスティクスなども整えないといけないのですが、ぜひそういう方向で動くべきだと私も思っています。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。今の御指摘を踏まえて、将来的なEDC、データの取り方について、一言書き置いておくという対応でよろしいでしょうか。
○中村構成員 もちろん結構ですけれども、今、内閣府のプロジェクトでは電子カルテをクラウドへ移すということをやっていますから、各病院ごとに確かにインターフェースは少しずつ違うと思いますけれども、今のような人海戦術では永遠に続くわけがないので、今行われているデジタルトランスフォーメーションの要素を取り入れながら、次にどうやっていくかを考えるべきだと思いますので、電子カルテが統合できないという議論をずっと日本は続けていますけれども、それを打ち破るようなテクノロジーが現れてきていますので、ぜひそれを考えていただきたいと思います。
○中釜主査 御指摘ありがとうございます。今の御指摘の点については、ぜひバイオバンクワーキンググループの中でも、引き続きの議題として検討いただければと思います。ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。大津構成員。
○大津構成員 今の点に関しては、世界的にはFHIRというフレームワークが標準化され、プラクティスとスタディーの部分での互換性が高まってきていますので、今、我々のところもそういったものを取り入れることを既に開始しています。
多分、データをつくるところが一番問題になってきますけれども、ただ、電子カルテの記述からそのまま自動的に構造化というのは現時点ではまず無理で、それをするための医師の教育、どういったデータを自動的にシステムに入るような書き方をするか、その部分の教育が非常に重要になってくるのかなと思います。海外では今、いわゆるアブストラクター、診療情報管理士的な人がそこをやっていまして、米国でもまだ現時点ではそこは自動化されていないと思います。
それから、目的を明確化しないと、それによって集める臨床情報がかなり異なってきますので、現場としては臨床側から見ると、何のためにこのデータを集めるのかが見えてこないと、臨床側の協力がなかなか得られないのではないかと思います。
創薬等に結びつくようなしっかりとした臨床データをつくるのであれば、本来であれば臨床試験ベースが一番望ましいと思いますし、そうでなくても臨床試験に準じたようなデータを集めてこないとならないと思います。ここにさらっと書かれているのですけれども、ちゃんとした最良治療効果とか転帰等々を集めようとすると、しっかりと画像の間隔であれ、そのバリデーションを取り、多分企業が乗るか乗らないかというのは臨床データの質ですごく左右されますので、そういった企業との共同での創薬等をするのであれば、そこのデータをかなり詳しく取らないと、数が集ればいいという話ではないのではないかと感じます。ぜひ、その辺の目的に応じたデータの収集をお考えいただきたいと思います。画像等をちゃんと撮っていなければ、後からレトロで見るという形にはいきませんので、それらの目的に応じた収集を御検討いただきたいと思います。
○中釜主査 重要な御指摘ありがとうございました。精度の高いデータを入力する段階から考えていくことが重要だというご指摘でした。それから、入力されたデータを自動的に収集するシステムはこれからの大きな課題、テーマの一つだと理解します。そのあたりも見据えながら、ぜひ引き続き御検討いただきたいと思います。
松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 今のバイオバンクワーキンググループの一番下にあります、他のデータベースとの連携ということですけれども、これは具体的には、全国がん登録あるいは院内がん登録等のカタログデータになるかと思いますが、そういうものと連携するということを考えていらっしゃるのでしょうか。
○中釜主査 この点については、事務局お願いできますか。
○がん対策推進官 がんの領域であれば、確かに、がん登録データベースというのも一つの案だと考えております。また、先ほど来御意見があります難病等の他の疾患のデータベースなどとの連携もあり得ると考えております。必ずしも統合というわけではないかもしれませんが、連携して使えるような形にするということは必要だと考えております。
○松本構成員 ありがとうございます。全国がん登録や院内がん登録と連携するにしろ、そのデータをいただくことは、とてもハードルが高いものですから、少し考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○中釜主査 御指摘ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。武藤構成員、お願いします。
○武藤構成員 バイオバンクワーキンググループでも発言したのですけれども、これだけ大規模なことをやろうとすると、既存の法律の中では多分、非常に窮屈な状況でやると思うので、臨床情報とか個人情報を利活用するような別の法律の立てつけをしていただいて、もう少しやりやすい形にしたほうがよいと思います。既存の法律の中でやるとなると、かなり現場の負担とかプロセスの負担がかかるので、法律も一緒に変えていくような動きがあったほうがいいかなと思いました。ぜひ、そういう方針も考えていただければと思います。
○中釜主査 そのあたりも個人情報保護法も含めて、引き続き検討事項かなと認識します。ありがとうございます。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
では、2の(1)の対応方針案につきましては、今、御指摘いただいた点の加筆等々を行いながら、おおむねは御了解いただいたと認識しますので、事務局よろしくお願いいたします。
続きまして、3の効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討の(1)シークエンス等実施機関の在り方についてです。検討の視点を踏まえた対応方針案について書かれておりますが、この点について御意見ございませんか。
では、私から確認ですけれども、シークエンス等の実施機関あるいはその機器等に関しては、実際に先行解析が始まる段階では、ある程度指定して統一感を持って進めていくと理解しましたが、その理解でよろしいですよね。
小川先生、検討状況を踏まえた上での今後の対応としては、そういう考え方でよろしいでしょうか。
○小川構成員 そのように考えております。というのは、違う機種でシークエンス、例えば発現解析などは、一緒に解析するのはほとんど不可能ですから、ちゃんと統一的な基準を設定してからやらないといけないと思います。これは先行解析についても同様だと認識しておりますし、解析ワーキンググループでもそういう議論だったと思います。
○中釜主査 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
続きまして、(2)収集したデータの管理の在り方の検討です。こちらについても検討の視点が書かれて、それを踏まえた対応方針案が示されていますが、これについての御意見をお願いいたします。よろしいですか。
では、1点だけ、私から小川構成員に確認ですけれども、FASTQをストレージするスペースというのは、どのくらいのイメージでいればよろしいでしょうか。
○小川構成員 これは恐らくペーパーカルテになると思います。既存のスペースでは、これが何万件あるか分かりませんけれども、一旦クラウドファイルにしてしまえばほとんど、よほどのことがない限り我々の通常の研究では使わない。しかし、これは元ファイルですから、それはそれで保全する必要はぜひともあるということを考えますと、コストが安くて、しかし汎用性はそれほどなくてもいいというようなペーパーカルテが今のところ安定していると考えている次第です。
○中釜主査 ありがとうございました。
ほかに御質問ございますか。宮野構成員、お願いいたします。
○宮野構成員 補足ですが、ストレージがすごく大規模なものを皆さん目の前に御覧になっているのだと思いますが、現時点及び来年ぐらいでSSBのストレージ、1エクサバイトのストレージを収容するのに必要なのは、畳1畳分の広さです。ですから、それを重複して持つとしても、20平米の部屋が1つあれば十分なぐらいに対応できるものです。
データ通信については、モバイル通信でも5G、2030年、2050年ぐらいには6Gという、瞬間にしてデータ転送できる時代が来ますので、それを想定した計画にしておく必要があると思います。現状を見てそれを単純にリグレッションするような形の技術的な面で発想するのは、大きな過ちにつながっていくと思います。
以上です。
○中釜主査 重要な御指摘ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、(3)解析のためのコンピューティングリソースの在り方の検討についてです。こちらの検討の視点を踏まえた対応方針案について、御意見ございますか。よろしいですか。基本的にはリーズナブルなことが方針として書いてありますが、こういう体制を整えながら専門性の高い人材を育成していく仕組みが非常に重要かなと思います。
宮野構成員。
○宮野構成員 データを維持していくことの難しさは、今はデータマイグレーション、次のシステムにデータを移行させていくことに技術が必要になっています。それは現実的には可能になっています。例えば、昔は、システムの入れ替えのために1ペタバイトのデータを転送することは不可能でした。しかし、今データマイグレーションの技術が普通に使われるようになって、1エクサバイトの畳1畳分のスペースに置いてあるデータを、新システムに移し替えていくということは、実際に活用しながらずっと移していって、新しい機器に移ったときには、もう旧システムは使わなくていいというような技術がありますので、そういった技術的な面をきちんと押さえながら、コンピューティングリソースの設計をしていかないといけないと思っています。
○中釜主査 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。では、今御指摘の点を踏まえながら、対応方針を今後ともポリッシュしていけばいいかなと思いましたので、よろしくお願いいたします。
続きまして、4のデータを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討です。(1)データ等の管理・運営体制の在り方についてです。こちらは検討の視点が5つほど挙げられており、それに対する対応方針案が示されておりますが、これについて御質問・御意見ございますか。
白神構成員、お願いします。
○白神構成員 対応方針の案の3つ目に「まずは」と書かれているのですけれども、NBDCのデータ取扱いセキュリティガイドライン及びAMEDのデータシェアリングポリシーに準拠すると書かれております。ここで確認したいのですけれども、この適用されるガイドラインの対象範囲は、資料2の19ページの図の下のNBDCに出ている黒矢印のところをイメージされているのか、そのスライド全体にかかっているのかを確認したいなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○中釜主査 では、この点について油谷構成員、お願いいたします。
○油谷構成員 このNBDCへの発出は、いわゆる一般公開で制限公開のところで、このプロジェクトでのポリシーなりは、右に書いてあるデータ利用審査委員会におけるポリシーということで別途定める必要があると考えております。
○白神構成員 ありがとうございます。御存じのところだと思いますけれども、NBDCのガイドラインだと、データの取得からサーバー格納までの期間が3年、AMEDだと2年ということになっていて、誰が2年とか3年とか持てるのかというところが、一般のAMEDなどの研究事業と本事業はやや違うような印象を持っております。例えば、左上の○○がん解析グループの先生方だけが2年データを利用となってしまいますと、企業としてはその後を使うのでは利用価値がなくなってきますので、データシェアリングポリシーをそのままこの事業に適用できるのかどうかというのは、いま一度検討が必要かなと思った次第でございます。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。そのあたりの細かい目的を踏まえたデータの公開のタイミングも、今後細かく議論していただければと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
宮野構成員。
○宮野構成員 今の白神構成員と同じ考え方を持っております。本来の目的は、NBDCは科学的成果の根拠となるデータを保存しておくということであって、このプロジェクトの目的は、がんの患者さん、もしくは将来の患者さんにできるだけ成果を早く届けるということなので、全く違う考え方に基づいたデータの扱い方をしないとならないと私は思っています。
○中釜主査 では、油谷構成員、お願いします。
○油谷構成員 ですので、このプロジェクト自体で審査委員会を設けて、そこでデータの利活用を積極的に進めていただくということを、今後できるだけ早い時期に決めたいと思いますし、NBDCに出しているところは宮野構成員の御発言のとおりでありまして、これは一般に対して、あるいはエビデンスとしてNBDCに寄託するという意味でございます。
○中釜主査 ありがとうございます。今の説明でよろしいでしょうか。
ほかにございますか。中村構成員。
○中村構成員 先ほど油谷先生が、ジョブを管理するという言い方をされましたけれども、誰が何をやっているかを管理することと、データを使ってもらうということと矛盾するように思うのですけれども、先ほどの宮野先生からの御指摘とも同じですが、内容まで管理するのか。確かに、プライバシーの問題を考えると、どんな使い方をしているかというのは非常に重要ですが、データを使う場合に、それぞれアクセスした人のジョブを管理するというのは、ちょっと引っかかるのですが。
○油谷構成員 それは、マルウェアみたいなものを埋め込まれたり、セキュリティーの基準から見て、きちんとしたパイプラインで解析するという意味で、解析の詳細な内容という意味ではありません。こういうパイプラインで解析しますよというものをローカライズしてもらったものを、私は専門ではありませんけれども、そこで安全性を確かめて使用を許可するということでありまして、そこで認証されたようなパイプラインであれば、それ以上の詳細を求めるものではないです。
○中村構成員 わかりました。ジョブを管理するというより、コンピューターが汚染していることが分からずに使っているケースも当然想定されるので、それらはデータベースの管理者の問題だという理解でいいのですね。
○油谷構成員 データベースというか、その方が解析したパイプラインが何か変な作動をしないかということで、例えば、そこから自動的に一部の配列を抜き出してダウンロードしてしまうとか、そういうことがあってはいけないということになるのかなと思います。
○中村構成員 これはダウンロードはできないという原則。
○油谷構成員 何か解析した結果は、もちろん手元に持ち帰ることになりますので、ある程度のものは。どこまでを持ち帰れるかという、何らかの個人情報が消えたあたりを持ち帰るところに何か埋め込んで、個人情報のあるものを一緒にということがないように。
○中村構成員 よく分からないのですけれども、データベースセンターをつくるときは、個人情報は匿名化された形でデータセンターの中に置かれるようになるのではないのですか。
○油谷構成員 ただ、臨床情報が一緒にありますから、それと突合してアイデンティフィケーションあるいはジャームラインの情報からアイデンティフィケーションされ得るということで、いわゆる匿名化されているというだけでは不十分だという認識でおりますが。
○中村構成員 でも、ゲノム情報が全部あれば、個人を特定できるというロジックで世界は動いているので、そこはどこかのレベルで整理しておいたほうがいいと思います。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございました。御指摘の点を踏まえて、データのセキュアな状態での管理と利活用の利便性を整理していただければと思います。
ほかに御意見ございますか。古川構成員。
○古川構成員 先ほどBAM(CRAM)ファイルやVCFは利用が可能だということですけれども、例えば、新しいストラクチャー・バリエーション解析プログラムが出てきたときに、FASTQから自分で試したいとか、あるいは追加解析してほしいという要望に対して対応は可能なのでしょうか。
○中釜主査 小川構成員、よろしいですか。
○小川構成員 どういうことが目的でも、もちろんFASTQファイルは保全します。しかし、五月雨式にいろいろな人がいろいろなプログラムで解析することは現実的に対応が難しいので、その部分をどうするかに関しては、一定の基準を考える必要があるのではないかと思います。非常に汎用性が高いあるいは流用性が高いプログラムの場合には、解析ワーキンググループあるいはデータ共有ワーキンググループあるいは全体会議で協議した上で、これはちゃんと整理したほうがいいだろうというものに関しては、我々の責任で新しいパイプラインを使って、解析結果を一次解析としてデータに入れるということはやると思います。
ただ、あまりにマイナーなものに関しては、恐らく個別のデータ解析グループにお願いして、その方の責任においてデータを各自でFASTQファイルから出す、もしかしたらそういう選択を取らざるを得なくなるかもしれません。つまり、要求が多いともちろん対応できなくなるわけで、その辺は汎用性と全体での利便性の課題になるのではないかと考えています。それがディスクの中にぽんとあってすぐできる、データアーカイブから起こしてということになると、それなりにまた大変な作業になりますが、これは技術的な進歩がこの数年間で急速に行われて、FASTQファイルから新たなところに動かすことがたわいないことになれば、それはもちろん解析ワーキングでできるのではないかと思います。
○中釜主査 ありがとうございます。今の御意見は恐らく、データ利活用の方向ですけれども、運用上のルールを逐一決めていくということで対応していくのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、続きまして、5番の倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICの在り方等についての検討、ELSIですが、(1)新薬開発への活用や将来の追加解析に耐えうる包括的な同意取得の統一化、ここにおける検討の視点を踏まえた対応方針案についてですが、御意見はありますか。
松本構成員。
○松本構成員 このICFというのは成人に向けたものだと思います。小児に向けた、例えばインフォームド・アセントとかそういうものの開発ということは考えていらっしゃるのでしょうか。
○中釜主査 横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 当然、アセント、代諾の場合を想定して、幾つかのバリエーションが必要になると思います。まずは成人の場合を想定したものを作成し、それを前提にして様々なシチュエーションに合わせたものを別途バリエーションとしてつくっていくことになります。
○松本構成員 ありがとうございます。あと、恐らくリコンタクトにも関係すると思うのですが、代諾者のICから本人のICに年齢とともに切り替える必要がどこかで出てくると思うのですが、そのあたりの年齢のことに関して何か議論はございますか。
○横野構成員 そのあたりについても論点としては前提としていまして、ただ、それぞれのもともとの計画で、どういう方針をとっていらっしゃったかにも関係してくると思いますので、一応このプロジェクトとしての大きな枠組みでの方針は必要かと思うのですけれども、また個々の疾患のそれぞれの研究計画の中でどうされていたかに関しても、特に既存検体の解析の部分では配慮していく必要があると考えています。
○松本構成員 あと、恐らく一番大事なのは、誰が切り替え時期のICを取るのか、本人のICを一体誰が取るのかであると思います。最初に取ったのは小児科かもしれないですが、二十何年たったときに、また誰か別の人が取るのかというところについても議論が必要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○横野構成員 ありがとうございます。
○中釜主査 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。よろしいですか。このICF、特にELSIに関しては最初に横野先生が御指摘のように、具体的な課題のうち具体化された段階で、より詳細なELSIの視点からのICF構成になっていくのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかに御意見・御質問ございますか。よろしいでしょうか。
続きまして、(2)患者等へのリコンタクトも可能とする仕組みの構築に向けた検討で、検討の視点を踏まえた対応方針案が4点示されておりますが、何か御意見ございますか。
それでは、天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 先ほど冒頭で、これに関連する形で患者に有益と考えられる情報が得られた場合、積極的に還元することについては、リコンタクトのところで議論したいと事務局から御説明があったと思うのですが、この部分についていかがでしょうかというのが1点。
もう一点が、リコンタクトで先ほどの松本構成員からの御指摘にも関連しますが、例えば、患者さん御本人が亡くなっている、しかし、本人の親族等に影響が生じ得る情報等については、何か既に議論等がされているのかについて、もし分かれば教えていただければと思います。
○中釜主査 では、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 まず第1点目ですが、今回リコンタクトという言葉をどう解釈するかに関して、ここに関わる方々の中でもいろいろな視点がありました。厚労省では御本人に所見をお返しするというようなリコンタクトを想定されていまして、一方で、主に製薬協の方は、例えば、臨床データやゲノムデータに基づいて治験へのお声がけをするという場面を想定されていたりしました。ですので、ここはもう少し現在の整理よりも、整理自体を精緻にしていく必要があると考えています。
今日、最初にお示しいただいた資料1の一覧表があると思うのですけれども、所見をお返ししていくことに関しては、どちらかというと、この表の下から2番目の「治療に有用な情報等の患者や家族への丁寧な説明等のガイダンス」といった部分に比重を置いて検討していく必要があると考えていますので、現時点で前提となっていた整理に合わせての御紹介になったのですが、もう一度整理をする必要があると考えています。その上で場合分けをして、具体的な対応を検討していきたいと思います。
2番目の点ですが、特にがん・難病の場合には、そういった状況が起こってきやすいと考えています。特に、紛争にもつながりかねないような状況だと思いますので、私たちとしても課題として意識しているところです。まだ国内では余り議論が進んでいない分野だと思いますので、その点も研究も含めて今後の課題とさせていただきたいと思います。
○中釜主査 ありがとうございます。今の御指摘の点は、本格解析に向けたデータの利活用という非常に重要な論点だと思いますので、様々な論点を抽出して、それに対する対応を考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
ほかに御意見・御質問ございますか。中村構成員。
○中村構成員 全体的な感想と言うとおかしいのですけれども、何となく製薬企業が利用して薬を作るという感じで話が進んでいますが、本格解析というのは今生きておられる患者さんに対する全ゲノム解析が行われるわけで、例えば、診断に応用することを考えて、検査企業がこれを活用して薬を使い分けるということにもなってくると思いますし、先週「セル」という雑誌にネオアンチゲンと免疫チェックポイント抗体の併用療法の話も出ていましたけれども、恐らく全ゲノム解析をやれば一番間近なものはネオアンチゲンの同定だと思うのですけれども、その際には本当に患者さんに返すということを想定した発想が必要だと思いますので、米中で既に臨床試験が78件進んでいますけれども、本当にそういうことをもう少しどこかで加えて、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。今の御指摘の点は、最初にございましたが、体制班のところで対応方針の中に、患者の診断や治療に有益と考えられる情報が得られた場合には、積極的に還元する方向で考えていくということが記載されていますが、この部分にもう少し書き込む形ですか、これだけでは不十分ですか。その点については、いかがでしょうか。
○中村構成員 基本的な方針に含まれていると思うのですけれども、世界的な動向を考えて、例えば、本格解析がいつから始まるか知りませんが、2年、3年したときにネオアンチゲンというキーワードが全く不必要なのかどうかということを考えた立案が必要だと思うので、今コメントさせていただきました。
○中釜主査 ありがとうございます。その点も少し検討させていただければと思いますが、恐らくネオアンチゲン含めて、これから様々な利活用可能な情報が得られる、そういうことも踏まえた詳細な書き込みが可能かどうかについては、事務局を含めて検討させていただきたいと思います。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本日提出された資料の各論点について、いろいろな御意見をいただきました。幾つかの課題については少し加筆等が必要な部分もあったかと思いますが、大筋では合意が得られたという理解でおります。ただ、今言った点やシークエンス等々について、それから、収集する項目についての御指摘等については幾つか御意見をいただきましたので、事務局と御相談させていただき、主査あずかりとさせていただきたいと思いますが、そういう方向でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
続きまして、事務局より資料4の説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 それでは、事務局より資料4について説明させていただきます。こちらは先行解析の進め方の案でございます。優先的に解析すべきがん種についてということでございます。
全ゲノム解析等実行計画では、がん全ゲノム解析を進めるに当たりまして、先行解析で主要なバイオバンク検体を解析対象とするという形で、マル1に示しているようながん種を対象とするとしております。ただ、今後解析を進めていくに当たりまして、一定程度優先順位を設けながら進めていく形でどうかと考えております。
優先順位の1番目としまして、遺伝的な素因が関与していて、全ゲノム解析を行うことで発症に関与する新たな知見が得られる可能性が高いということで、遺伝性のがん(小児がんを含む)を当てております。これにつきましては、既に令和元年度の調整費で吉田班において実施している内容となっております。
2番目の優先順位としまして、これまで希少性ゆえに診断困難等の課題を有しておりまして、全ゲノム解析により新たな知見が得られることが期待されるものとしまして、希少がん、白血病を挙げさせていただいております。
さらに、3番目としまして、がんの組織型が比較的均一であることから、一定症例以上の全ゲノム解析を行うことにより、新たな知見が得られるものとして、食道がん、肝臓がん、胆/膵がん。
さらに4番目に、これら以外のものということで、肺がん、卵巣がんという形で、いずれも先行解析としてこの3年間で実施していくものではありますけれども、このような優先順位という形で進めさせていただきたいと考えております。
2ページでございますが、これらのうちでも、さらに以下の要件を満たす場合ということで、オールジャパン体制で多施設、多領域の関係者が十分に連携して実施できる体制が確保できていることや、腫瘍部の凍結保存とペアの正常検体がある既存検体。また、全ゲノム解析等の結果について、公的データベースへの登録について同意が得られている検体を有するもの。また、解析結果の返却を見据えて、解析時点で患者が生存している症例の検体といったものをある程度優先的に進めていくという形で進めさせていただければと考えております。
以上でございます。
○中釜主査 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、何か御質問ございますか。
天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員 御説明ありがとうございました。今、先行解析で優先的に解析するがん種について御説明いただいたところですけれども、先ほど御説明いただいたように、吉田班で既に解析しているものであり、また、先般公開された全ゲノム解析等の実行計画において具体的ながん種と症例数の記載がありましたので、それにのっとって現在行われているものと理解していますが、全ゲノム解析を議論する際にもともと出てきた話として、既に海外で先行している全ゲノム解析をあえて国内で行う意義を考えた場合、例えば、ほぼ日本人固有とも言える成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)のような疾患などは、例えば、海外で先行して全ゲノム解析が行われていたとしても、国内での解析をしない限りは誰も解析してくれないわけでございますし、また、難治性がんで、ここでは特定の臓器別のがん種が挙げられているわけですが、例えば、臓器別以外にもスキルス胃がんのように亜急と見るべきような難治性のがんがあるわけでして、そういったがんの解析は今後、先行解析もしくは本格解析のどちらで行われるのかを確認したいと思います。既に海外で先行しているものをあえて日本でやるということの意義もありますので、ここであえて確認する次第です。
以上です。
○中釜主査 今の御指摘について、事務局からお願いできますか。
○がん対策推進官 今回ここにお示しさせていただいているものにつきましては、全ゲノム解析等実行計画の中に記載されているものということでございます。ただ、実行計画上も、完全にこれらに限っているわけではないと理解しているものでございますので、大まかな体制の中ではこういうふうに進めつつも、一部その中で白血病については、例えば、全てが全て白血病の類型に限らないとも考えておりまして、血液がんを少し広めに読み取ってもいいのかなとは考えております。
ただ、ある意味しっかりと解析して、一定程度のエビデンスを出していくという観点からは、恐らく本格解析がその解析の主体になってくるのではなかろうかと考えております。
○中釜主査 今の説明でよろしいでしょうか。
○天野構成員 おおむね理解いたしましたが、重ねてになりますが、やはり日本であえて全ゲノム解析を行うことの意義を十分考えていただいた上で、がん種等を検討していただきたいと考えます。
以上です。
○中釜主査 御指摘ありがとうございました。
続きまして、吉田構成員、お願いいたします。
○吉田構成員 遺伝性のがんについては既に対応中、とのことですが、遺伝性の腫瘍の場合、患者さんにとって2つ大きな課題があって、まず、今かかっているがんをいかに治療するか、どんな治療法が一番いいのか。もう一つは、自分のがんが遺伝で家族などにも影響するのではないか。先行研究として単年度の調整費で今、担当させていただいているのは、あくまでも遺伝性の問題のほう、予防のほうのゲノム医療に関するもので、そのためにはがん組織の解析よりも、より多くのジャームライン(生殖細胞系列)の解析、すなわち非がん組織として例えば固型がんの場合の末梢血の解析を行うことを優先しています。したがって、決して先行研究において遺伝性のがん組織部分の解析が十分できているわけではありません。2つのゲノム医療、治療のゲノム医療と予防のゲノム医療の片方しか主に対応できていないということは、ぜひ御理解いただければと思います。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。天野構成員、今の御説明でよろしいでしょうか。
続きまして、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 小児がんにつきまして解析の上位に示していただきまして、ありがとうございました。小児がんは、確かに90%以上の症例がJCCGという1つの研究グループの下に行われておりますので、オールジャパン体制でできるのではないかと思っております。
さらに、先ほどいろいろな種類のがんがありました。脳腫瘍が入っていないのは私としてはどうかと思っておりますが、小児がんの中にも脳腫瘍は2割ほどおりますので、その中でいろいろな検討ができるのではないかと思います。
また、小児がんを解析することは、先ほど中村構成員のお話にもありましたように、全ゲノムでネオアンチゲンの解析を進めて、成人領域での応用もできるのではないかと考えておりますので、本当に小児がんが全部入ってよかったと思っております。
2つほどお願いなのですが、1つは、小児がんでは診断にややウエートが置かれているようですが、治療に向けた取組もできるとよいと思っています。そのためには製薬企業等が非常に希少がんであるからゆえに開発ができない、パイが少ないのでできないということのないように、治療に向けた取組をお願いしたいと思います。
もう一点としましては、今現在、小児がんは8割以上の方が治癒する時代になったと言われています。そして、小児がんのサバイバーの増加も非常に問題になっています。長期的な視点でも全ゲノムが利用できる、例えば、二次がんが起こりやすいゲノムは何なのかということも含めて、長期的な視点で全ゲノムを活用することができればいいなという期待を持っております。どうもありがとうございます。
○中釜主査 ありがとうございます。脳腫瘍の御指摘の点に関しては、希少がんの中に大きく含めて考えられるのかなとお聞きしていたのですが、そのあたりもまた御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
ほかにございますか。小川構成員。
○小川構成員 先ほどの天野構成員の御発言に対して少しコメントですが、まず、日本人で同じことをやる意味があるのかということですが、これはあります。幾つかの点があるのですが、まず1つは、例えば、例は悪いのですが、白血病では5%くらいが(音声不良)遺伝子に異常を持っている人が発症するんです。これは最近分かったことです。これは海外と日本では全然異なります、ほとんど一致しません。だから、日本人でやることの意味は、がんの遺伝的な素因が従来よりずっと大きいということが白血病のみならず乳がん等も含めて分かってきて、これは今後の大きな課題なんです。そういう意味で、これは我々日本人がぜひともやらなければいけなくて、日本人固有(音声不良)見つけて、それがどのくらいリスクがあるのか、あなたは(音声不良)どのくらいがんになりやすいのか、インフォメーションする必要があるのですかということを進めるためには、ぜひとも日本人でやる必要があるんです。これは非がん率の多いがんであるほど、より多くの人に(音声不良)されるわけですから、非常に大きな意味があることだと考えています。
もう一つは、日本でやる意味があるのかということですけれども、なぜ全ゲノムなのかというと、我々がまだ見ていないところを見ようとしているわけです。もし、ネオアンチゲンだけでいいなら(音声不良)をやったほうが、よほどマイナーな(音声不良)まで見つかっていいと思うのですけれども、全ゲノムをやる意味は、我々がまだ見ていない領域、今のショートリードでも多分60%ぐらいしか見えていないのではないかと。まだ見ていない領域を見ることによって、新しいものを生み出す可能性があることを強く期待しているわけです。なぜかというと、がんの治癒率の改善はイノベーションなしに達成されたことはありません。例えば、(音声不良)だから新しいものが見つかるという、我々が新しいものを発見しない限り、がんの大きな治癒率の改善は得られないと信じていますから、そういうものは新しい(音声不良)とか、あるいは全ゲノムシークエンス(音声不良)といったことを利用して、できるだけ多くの人たちが(音声不良)することも、この研究をする上で非常に大きな目的だと考えているわけです。もちろん天野構成員がおっしゃるように、日本人固有のがん、特にATL(成人T細胞白血病)などは非常に重要なターゲットになっていると理解しております。
○中釜主査 重要な御指摘と重要な御回答、ありがとうございました。
では、山口構成員、お願いいたします。
○山口構成員 この実行計画をまとめたときに、この点は随分議論になったところなので、一応補足させていただこうと思います。参考資料3の6ページ下の補足の小さい字で書いてある4番、ここが議論になったところです。なぜ議論になったかというと、この実行計画の難治がんの定義が臨床的には全くふさわしくありません。全部位の平均より少し低いものを全部難治性と呼ぶことになってしまっているので、これは臨床的にはあり得ないから、もう少し整理したほうがいいのではないか。あるいは、一般のがん患者さんの視点からいって、これだけやってほかはやらないというのは、やはり抵抗があるのではないかという議論になりまして、そこで3行目からの「及び」が、それを踏まえてついた情報です。臨床的に難治性と考えられ、かつ全ゲノムが必要なものはやると書いてありますので、そうすると、胃がんのスキルスや肺小細胞がんとか、同じがん種の中で非常に難治性が高いものはしっかりと区分されていますので、そういうことも含めて書いた経緯があります。ですので、資料4の文言は、少しそういった視点も踏まえて修正をかけていただいたほうがいいのではないかと思いますし、全国のがん患者さんに対するメッセージにもなるのではないかと思います。
以上です。
○中釜主査 重要な御指摘ありがとうございました。その御指摘を踏まえて少し修文を試みたいと思います。事務局よろしくお願いいたします。
ほかに御意見ございますか。安中構成員、お願いします。
○安中構成員 本格解析は先行解析が完全に終わらなくても、移行できるものから移行していくと実行計画でも書かれていたと思うのですけれども、結局、移行手順は一体どういうふうに決定されていくのでしょうか。今回の先行解析で、いろいろがん種について具体的に挙げられていますが、がん種ごとに結果が出たものから移行していくのか、それともプロセスを重視して移行していくのかについて、お考えをお聞かせいただければと思います。
○中釜主査 では、まず事務局からお願いできますか。
○がん対策推進官 まさに御指摘いただきましたとおり、実行計画の中では3年程度という先行解析の期間を示しておりますけれども、その3年を待たずに対応可能なものについては本格解析にという形になっております。
まず、大前提としまして、ある程度本格解析を実施できる体制が整ってくることがあろうかと思います。それはどちらかというと、がん種に限らない体制という面と、各がん種における状況があるのかなと考えております。正直、そのあたりはどういうものがそろったら移行できるかというところまで、まだ十分に詰め切れていないところはございますが、今回まさに本格解析のための検討を進めている、その部分は非常に重要な点ですので、今年度の調整会議、3月までの会の中で、そのあたりも含めて何らかの方向性を示していきたいと考えております。
○安中構成員 ありがとうございます。1.6万症例というのは既に実行計画で決められているところだと思いますけれども、そもそも先行解析は何のためにやるのか、1.6万症例も本当のところは必要あるのか、本格解析を急ぐ必要があるのではないかということを総合的に考えながら議論していく必要があるのではないかと考えております。
○中釜主査 御指摘ありがとうございます。今日の論点整理の中でも本格解析に向けてまだまだ詰めていくべき点、あるいはELSI、リコンタクトの問題、様々な解析フローの問題、ストレージなどの問題を同時に解決しながら、本格解析への移行というのが徐々に決められていくのだろうと思いますので、そのあたりはできるだけ各構成員の意見を出していただきながら、順調に進めていければと思うところです。ありがとうございました。
ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、最後に、その他ということで参考資料4「がんの全ゲノム解析等に関する体制整備等に係る調査事業」の進捗についてです。こちらの位置づけは調査を担当している三菱総合研究所さんにおいて、調整会議での議論なども踏まえた形で当該事業においてビジネスモデルの案を提案することとなっておりますが、現時点での調査の進捗・進行状況や素案について、梁瀬参考人から御説明をお願いしたいと思います。
○梁瀬参考人 三菱総合研究所の梁瀬です。よろしくお願いいたします。
2ページを御覧ください。今、中釜先生からお話がありましたとおり、我々の仕事は人材育成目標の試算とビジネスモデルがミッションでございます。
3ページを御覧ください。今日は途中経過の報告でございます。
1点目の体制整備につきましては、前回初回でも申し上げましたが、海外における運営体制などのデスクトップ調査を一応終えました。それから、市場規模やビジネスモデルの仮説、民間利活用の加速要因の検討も一部行いまして、4ページに簡単ですが、我々のビジネスモデルの仮説を作らせていただいております。
その中でさまざまな疑問が出たのですが、それを今、英国のGenomics Englandにメールしておりまして、その結果を待っている状況です。実際にどのような体制でやっているのか、どんな人材が入っているのかを詳しく問い合わせしております。
現在ですが、国内の銀行と保険会社、ベンチャーキャピタルなど、今までと毛色の違う企業の方々に、こういったビジネスモデルの仮設があったらどうでしょうかといったインタビューを実施している最中でございます。
あとは、二次利活用加速に向けたインタビュー、これも解析企業や検査企業、いろいろな企業の方々に、どうすれば二次活用できますかというインタビューをしております。
この結果を11月ぐらいに弊社内で取りまとめて、厚労省様と打ち合わせをしたいと考えております。
2つ目、人材育成目標の試算でございますが、現在、アンケートとインタビューを実施しておりまして、今月中にはインタビューが終了しますので、今後集計を行って、11月には人材育成の目標の試算結果をお出ししたいと考えております。
4ページを御覧ください。今日は細かい説明は割愛させていただきますが、弊社の素案ではこういった組織がいいのではないかということで、今はまだ全く仮でございますけれども、左側に運営機関としてバイオバンクやデータセンターがあるような公的な基盤、それと産業をつなげる真ん中の活用促進の機関をつくってはどうかというのを今、素案で考えているところでございます。
5ページを御覧ください。いろいろな組織の体制の在り方でございますが、一番左がGenomics England、右側に仮に厚生労働省様がGenomics Japanをつくるときのパターンを3つぐらい考えているのですが、このうちどれがいいのか、もしくはそれではない方向がいいのかというのは、これからの議論ですので、中身については今日は説明は割愛させていただきます。
以上です。
○中釜主査 ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明について、何か御質問・御意見ございますか。よろしいでしょうか。今後、全ゲノム体制が持続可能な体制となるためにいろいろな御意見を集約しながら、この調整会議の中でも議論していきたいと思います。三菱総研さんにはビジネスモデルを提示していただき、それらを踏まえて総合的に議論を引き続き行っていければと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
以上で、資料等の説明は終了です。
最後に、オブザーバーとして本日御参加いただいております難病に関するゲノム医療推進に当たっての統合研究班を代表して、国立国際医療センターの徳永先生に御参加いただいていますが、一言御意見をいただければと思います。
○徳永先生 私どもは、難病のほうのゲノム解析を担当しております。基本的には、がんの先生方と同じような動きでやっておりますが、まず、ゲノム解析を外注で行いまして、ショートリードの外注を行いまして、そのデータは私どもが解析して、その結果をそれぞれの研究の先生方に御報告するというのが先行研究のやり方になります。
バイオバンクにつきましても、新たにバイオバンクをつくるのではなくて、既存のバイオバンクのスキームを使いながら行うと。
それから、データベースにつきましても全く同じような考え方で、クラウドとオンプレミスを並行してしばらく使ってみて、徐々にクラウドに移行していこうと考えております。
それから、ELSIに関しても、やはりまずは、各先生方がそれぞれの分野で収集された既存検体をゲノム解析すると。そうこうするうちに新たな倫理指針が実際に使えるようになるということで、新規の収集検体、より広い検体の収集がゲノム解析に利用できるようになるだろうと想定しております。
臨床検体の収集、それぞれの臨床の分野によって収集する臨床の種類が大きく変わってくることもありまして、臨床情報の収集、また製薬協との連携、人材育成、国際連携といったところは今現在、それぞれの先生方が検討しながら、今後1年以内ぐらいのタイムスケールで基本的な考え方を固めていこうと考えております。
簡単でございますが、難病ゲノムの基本方針をお伝えいたしました。もし何か質問がありましたら、またお答えできるかと思います。
○中釜主査 ありがとうございました。何か御質問ございますか。よろしいですか。徳永先生、本日は本当にお忙しい中の御参加ありがとうございました。また、御意見をいただきありがとうございます。今、徳永先生が御指摘のように、いろいろな点において難病とがんは共通の課題があるかと思います。それに対する取組としては多少異なるとしても、課題は共有しながら、今後も難病領域との連携が重要であることには変わりありませんので、引き続きよろしく御指導あるいは情報共有をお願いしたいと思います。
それでは、本日は所定の時間を少し超過しておりますが、以上で連絡調整会議を終了したいと思います。追加の御意見等ございましたら、適宜事務局までお寄せいただければと思います。
また、構成員の皆様には、スムーズな議事の進行に御協力いただき、本日はありがとうございました。
それでは、議事の進行を事務局にお返しいたします。
○がん対策推進官 本日はありがとうございました。次回の開催につきましては、事務局より追って御連絡させていただきます。
また、構成員の皆様方、長時間にわたりまして、ありがとうございます。
以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。ありがとうございました。
○中釜主査 ありがとうございました。
照会先
健康局がん・疾病対策課
代表 03-5253-1111(内線2359・3826)