財務省・新着情報
財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第
令和2年12月18日(金)15:00~16:38
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
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1.開会
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2.伊藤財務副大臣挨拶
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3.大鹿理財局長挨拶
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4.報告事項
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質疑・応答
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5.令和3年度財政投融資計画等
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(議案第1号)令和3年度財政投融資計画
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(議案第2号)令和3年度財政融資資金運用計画
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(議案第3号)令和3年度の財政融資資金の融通条件
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質疑・応答
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6.閉会
配付資料
交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について |
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議案第1号 |
令和3年度財政投融資計画 |
議案第2号 |
令和3年度財政融資資金運用計画 |
議案第3号 |
令和3年度の財政融資資金の融通条件 |
議案関係説明資料 |
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参考資料(令和3年度財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画) |
出席者
分科会長 |
池尾和人 |
伊藤財務副大臣 大鹿理財局長 湯下総務課長 関口財政投融資総括課長 石川管理課長 小澤計画官 大関計画官 笠原財政投融資企画官 堀納資金企画室長 |
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委員 |
翁百合 高田創 野村浩子 渡部賢一 |
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臨時委員 |
江川雅子 土居丈朗 冨田俊基 林田晃雄 原田喜美枝 |
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専門委員 |
川村雄介 家森信善 |
15時00分開会
〔池尾分科会長〕それでは予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。
前回に引き続き、伊藤財務副大臣にご出席いただいております。開催に当たり、伊藤副大臣からご挨拶を頂戴したいと思います。
よろしくお願いいたします。
〔伊藤財務副大臣〕ありがとうございます。委員の皆様におかれましては、これまでも熱心にご議論いただきまして、また、年末の大変お忙しい中、ご出席を賜り、心から御礼を申し上げます。
本日は、令和3年度財投計画等についてのご審議をお願いしておりますが、当該計画は10月27日から四度にわたってご議論いただいた内容や、12月8日に閣議決定された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」への取組を反映したものとなっております。
具体的に申し上げますと、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業・事業者への強力な支援、イノベーションの大胆な加速と事業再生・構造転換、低金利を活用した生産性向上や防災・減災、国土強靱化等に資するインフラ整備の加速を行っていくこととしております。
委員の皆様におかれましては、引き続き、忌憚のないご意見を賜りますことを心よりお願い申し上げ、一言、ご挨拶とさせていただきます。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
続きまして、大鹿理財局長からご挨拶をお願いします。
〔大鹿理財局長〕理財局長の大鹿でございます。先般、15日ですけれども、令和2年度3次補正予算にかかります財投計画が閣議決定されました。令和3年度の予算につきましては、来週早々の閣議決定が予定されておりますので、本日が年内最後の分科会の開催となりますことから、一言、ご挨拶をさせていただきたいと思います。
令和3年度の財政投融資計画の策定に当たりましては、本日も含め、4回にわたる会合及び一度の持ち回り会議を開催していただきました。委員の先生方には、大変お忙しい中を毎回熱心なご議論をいただくとともに、大変貴重なご意見を数多く賜りまして、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
関係各方面との調整を経て、今日の取りまとめに至りました財投計画案でありますが、その全てが皆様のご意見やご高説を十分に反映しているかと問われますと、なかなかそうですとお答えするのは難しい面も確かにありますけれども、編成に当たっての基本的考え方ですとか、課題に対するアプローチの仕方といった点は、十分共有されているのではないかというふうに考えております。
以下、先日来のご議論も踏まえまして、その点を含め、少しお時間をいただいてご説明をいたしたいと思います。
まず、前回ご審議いただいた今回の経済対策に盛り込んだ財投計画上の諸施策についてでありますけれども、対策策定に当たっての総理の指示を十分踏まえて所要額を計上したものでありまして、防災・減災、国土強靱化の推進であるとか、ポストコロナに向けた経済構造の転換に資する施策に限定しているところであります。規模としては、補正と当初を合わせて7.7兆円、このうち4兆円が例の大学ファンドということになりますが、こういった計画になりましたけれども、編成過程において金額の積み増しを図ったり、関係の薄い施策を盛り込んだりといったことはありませんで、規模の確保を特段意識することなく編成をしたというのが実態でございます。
他方、そうは言いましても、令和2年度の財投計画は3次補正後で65.1兆円と、過去と比べ断トツで大きな規模となりました。近年の規模と比べても、約4倍の大きさにまで膨らんでおります。その原因のほとんど全ては、ご案内のとおり、新型コロナパンデミックの発生による極めて甚大な損害を被った企業や事業者への資金繰りの支援、政府系金融機関のいわゆるコロナ貸付の原資としての財投でありまして、約50兆円の追加を行ったということがあります。来年度も現下の感染拡大をめぐる状況を踏まえ、所要の制度変更は講じつつも、引き続き、資金繰り支援に万全を期すべく、20兆円を優に超える財投計画額を計上しております。
加えて、大幅な税収減が見込まれる地方公共団体に対しても、思い切った支援を行うことにしております。この結果、全体の規模は当初計画ベースでは過去最大の40.9兆円となる見込みでございます。このように令和2年度、3年度の財投計画は、コロナショックという非常時の計画でありまして、我が国の大幅な貯蓄超過を活用した、言わば危機対応の計画であるというふうに認識しております。したがって、危機が収束すれば、速やかに本来あるべき規模や姿に戻るべきものというふうに考えております。
その際には、まさにポストコロナの時代が始まることとなりますので、収益性・生産性の高い、より強い事業構造や産業構造、あるいは経済構造を目指した政策対応を展開する必要があります。3年度の財投計画の中にも、そうした施策を一部盛り込んでありますけれども、今後、有識者の方々や関係省庁、関係機関とさらに掘り下げた議論を行っていくつもりでございます。
なお、先日、財投計画のこの規模に関連しまして、財投債を含む全体の国債発行額が大幅に増大していることへの懸念を指摘されるご意見もいただきました。日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策下とはいえ、国債の発行管理当局である理財局としては、同様の危機感、緊張感を有しておりまして、国債の発行に当たっては、細心の注意を払っているところでございます。
財投分科会ということで、詳しい説明資料は割愛せざるを得ないのでありますけれども、今回の3次補正に当たりましては、国庫や政府機関の資金繰り状況を総点検して、余剰資金の財投預託を積極的に行うことで、財投計画の追加にもかかわらず、13.5兆円の財投債の減額を行って、それにより国債の追加発行総額を抑制して、市中への国債発行の増額は行わないということにいたしました。令和3年度におきましても、税収の落ち込みやコロナ対応もあって、大幅な発行額の縮小は見通せない中でありますけれども、市中発行については、大量増発となった本年7月以降の各月の発行額の範囲内にとどめる方向で検討を行っております。
いずれにしても、巨額に積み上がった国債残高を抱える中、長期的視点も持ちながら、足元のマーケットの状況、投資家の動向などを注視して、国債の発行管理に万全を期していきたいと思っております。
そして、大学ファンドについてでありますけれども、先日、冨田委員から国債で調達した資金を市場で運用し、その収益を事業に当てるという前例のないジョン・ローもびっくりするような取組だとのご感想をいただきました。また、そのほかにも多くの委員から懸念する意見を頂戴しておることは承知しております。
率直に申し上げて、ご指摘は全てそのとおりであると承知しておりまして、我々のみならず、所管の文科省、内閣府の担当部局にも、そういった問題意識は共有されていると考えております。だからこそ、経済対策の閣議決定文の中で、この事業についてのみ留意事項的な記述が盛り込まれ、現在、それらを次期国会に提出予定の科学技術振興機構法の改正法案に盛り込むべく、共同で条文化作業を行っております。例を見ないことやリスクがあることは確かでありますけれども、天然資源に恵まれない日本にとって、優れた科学技術こそが国家繁栄の生命線であるという点については異論のないものと承知しておりまして、30年、50年といった長期的な視点に立って、このファンドを適切に育てて、願わくば後世の人から評価されるように、財政当局としても、制度設計のみならず、運用面でもさらに知恵を絞っていきたいと考えております。
最後にもう1点ですが、規模が大きくなると、メリハリのハリばかりと思われがちでありますけれども、来年度の財投計画の産業投資におきましては、累積赤字を抱える官民ファンド3機関に対しては、投資案件を厳選して経営資源を集中させるという方針を取っておりまして、計画規模を縮減しております。その一方で、今般のコロナ禍の中で、バイオ・創薬分野における後れが明らかになったということも踏まえて、日本政策投資銀行と日本医療研究開発機構の連携により、この分野のイノベーションに向けた投資を促進する仕組みを創設するなど、思い切った選択と集中を図ったということを付言させていただきまして、少々長くなりましたけれども、私からのご挨拶とさせていただきます。
また、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
〔池尾分科会長〕今日は予算編成を間近に控えていることから、事務局側と伊藤副大臣について、途中退席される場合があるので、あらかじめご了承をお願いいたします。
それから、本日の議事は2つありまして、報告事項と、それから令和3年度財政投融資計画等の2つの議題がございます。
最初に、報告事項等についてご審議いただきます。
まず、総務省の担当部局の方が入室されますので、しばらくお待ちください。
(総務省着席)
〔池尾分科会長〕それでは、大関計画官より、ご説明をお願いします。
〔大関計画官〕計画官の大関でございます。議案に入ります前に、地方向け財投に関わる事項としてご報告申し上げます。こちらの交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更についての資料をご覧ください。
まず、1ページ目でございます。
交付税特会におきましては、財政融資資金からの短期借入と、民間金融機関からの短期借入を行ってございまして、グラフの右側の四角の枠の中に記載しておりますとおり、令和元年度末の残高は合わせて31兆2,123億円、このうち財政融資資金からの借入分、このグラフの赤の部分ですが、こちらが8兆170億円となっております。
次、2ページ目にお進みいただきまして、こちらが本日のご報告事項でございます交付税特会の償還計画の変更に関する資料でございます。
今も申し上げましたとおり、交付税特会の借入は、短期借入でございますので、令和3年度の財投計画に直接表れるものではございませんが、毎年度、同特会に対する年度越しの短期貸付について、別途、年度末にご意見を伺っているということでございますので、本日、地方財政対策の一環として償還計画が変更されることをご報告するものでございます。
具体的な変更内容について、この資料に沿ってご説明します。
資料の上段が変更前、下段が変更案となっております。まず、令和2年度及び3年度につきましては、変更前、それぞれ5,000億円、6,000億円の償還が予定されておりましたが、変更後は令和2年度には2,500億円、令和3年度は償還を行わないということとなりました。そして令和4年度以降に段階的に償還額を増額していくというふうに見直しがなされることとなっております。
今般の償還計画の見直しは、新型コロナウイルス感染症の影響による一時的な税収減に対応したものでございます。
なお、本日は、質疑応答のために総務省にお越しいただいてございます。
最後に、私ども貸手の立場といたしましては、償還計画のとおりに残高を減らしていただくことが大前提であると考えておりますので、今後、着実な償還を進めていただくものと考えているところでございます。
私からの報告は以上でございます。
〔池尾分科会長〕それでは、大関計画官のご説明を踏まえて、委員の皆様方から、ご意見、ご質問をお願いしたいと思います。挙手ボタンを確認しながら指名いたしますので、ご発言希望の方は挙手ボタンを押して、そのままお待ちください。ご発言の際に、資料を引用される場合には、資料番号と当該ページをおっしゃってください。
土居委員からお願いします。
〔土居委員〕地方交付税に関係するところでの交付税特別会計の借入金の問題は、度々この分科会でも議題になりますし、償還計画の変更というのは、今回初めてというわけではないということはよくよく承知しております。確かに冒頭の大鹿局長のお話にもありましたように、危機対応ということなので、地方交付税もある一定程度、財源を確保しなければいけないという時合であるということは分かります。それが今まで一般会計で、歳出特別枠とか、別枠加算とか、臨時とか言いながら、なかなかすぐに終わらないで、何年も続いているというような悪弊がこれまで取られていたということを鑑みますと、今回こういう形で歳出特別枠とか、別枠加算とかというものに頼らないで、償還計画の変更という形で財源を捻出しながらも交付税の増額を確保すると、去年よりも1兆円ぐらい地方交付税総額が増えるということのようでありますけれども、これがいつでも危機になればこうなるというふうに思われないように、地方公共団体に対してしっかり国がメッセージを発していく必要があるというふうに思います。
特に、これは計画変更後ということではありますけれども、今、映し出されている資料のように、令和11年度以降は、毎年1兆円返済をしていくと。もちろん計画前も令和7年から1兆円。毎年1兆円という返済負担をきちんと地方公共団体にも認識させる。もちろんこれは地方公共団体に負担をダイレクトにさせるということではなくて、要は、交付税の先食いとかというような表現がされるように、将来の地方交付税財源の中からこれを捻出していく、まかり間違っても、これが一般会計負担になるということはあり得ないということでありますけれども、地方交付税財源の中から1兆円、いずれかの時期には返済を負わないといけないんだと、その分だけ、その年の地方交付税は配れないんだということをしっかり地方公共団体にメッセージを伝えて、去年より増えなければ駄目なんだというような、訳の分からない政治圧力に屈することなく、きちんと償還を今後していただくということが大事なのではないかというふうに思います。
以上です。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
林田委員からお願いします。
〔林田委員〕ほぼ同趣旨なので、手短に申し上げます。
土居委員もおっしゃられていましたが、コロナによる税収減ですとか、巨額の財政支出に迫られた事情を考えれば、償還計画の後ろ倒しというのは、私としてはやむを得ない面もあるのかなと思います。
ただ、コロナ関連の財政負担によって、財政健全化目標の達成も、これはプライマリーバランスの赤字が多分倍増して20兆円ぐらいになってしまうのだと思うんですけれども、なかなか目標の達成が見通せない状況になっているという中で、この変更後に返せるような姿が書いてありますけれども、令和11年度から27年間も1兆円をひねり出していけるのかというところは、ちょっと懸念を持っています。今後、土居委員もおっしゃられたように、なし崩し的に償還計画が、何か起きるたびに後ろ倒しにされるということがないように、主計局なり、総務省なりにとって、この交付税特会の借入金の償還というものが、どれぐらいのプライオリティーにあるお金なのかというのを、財投当局としてもしっかり確認していただきたいというふうに考えています。
以上です。
〔池尾分科会長〕では、次、冨田委員、お願いします。
〔冨田委員〕このそもそもの問題を考えますと、地方財政は地方税だけではなしに交付税にも大きく依存していて、地方税も交付税も景気がよくなれば共に増えるけれども、悪くなったら共に減り、その大きく減った財源を目立たないようにファイナンスするために、こうしたリスケが用いられているのではないか。何回もこの問題、財政規律の面からして非常に問題だということを、この会議でも申し上げてきたわけですけれども、今回またこういうことになりました。したがって、第1になすべきことは、税収回復時には、この変更後のものを変更前、あるいはその前の計画ではもっと早い時期に償還する計画になっておりましたので、返済計画を復旧することが第1に必要です。
それから第2に、構造的なことで申し上げますと、地方税は地方財政計画における見通しを上回って地方税収が増えた場合、地方がそのまま地方税収としていただくことになって、減った場合には、計画どおりに地方税が入るようにということで、減収補塡債を発行するという形になっております。つまり、地方税の取扱い、計画額に対しての上振れ、下振れの取扱いは非対称になっているのです。こうした不透明な、今日説明があった地方負担の特会借入金のリスケということを避けるためには、地方税収が上振れしたときには、きちんと地方税収の上振れ分として基金を積んでおく。今も基金はたくさん積まれているのですが、その出所がよく分からない。交付税の総額を決める地財計画とその決算との乖離を明確に示し、積み上がった基金の出所を明確にしていけば、こうした実態を示さない処理というのが、少なくとも軽減されるというふうに考えられますので、ぜひともご検討いただきたい。
以上です。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
川村委員、お願いします。
〔川村委員〕今、各委員のおっしゃったことと同じなのでありますが、例えば、この償還計画を見たときに、要するに、毎年1兆円、27年間というのが僅か8年後に始まり、8年前は返済額が1,000億円だったわけですよね。こういうことを考えたときに、アカウンタビリティというのでしょうか、この返済計画が、我々は毎年毎年逃げ水のように遠退いていく様を目の当たりにさせられているわけで、どういう具体的な返済計画、先ほど、冨田委員もおっしゃったように一種の減債基金的なものをどう活用していくのか、その辺の明確な説明をぜひ今後お願いできればと思うところです。
以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
以上の件に関して、理財局から何かございますか。
〔大関計画官〕償還計画に沿って財融資金の償還を進めていくということはもちろん大前提でありますので、財融への償還が遅れることのないように、しっかりと財政当局、それから総務省とも問題意識を共有し、今後も協議をしていきたいと考えています。どうもありがとうございます。
〔池尾分科会長〕では、この辺りで、この件に関してはよろしいでしょうか。
総務省の方に来ていただきましたけれども、ご発言の機会がなくて誠に申し訳ございません。
(総務省退席)
〔池尾分科会長〕次に、令和3年度財政投融資計画等の3議案について、ご審議いただきたいと思います。
関口財政投融資総括課長から、順次説明をお願いしたいと思います。
〔関口財政投融資総括課長〕財政投融資総括課長の関口でございます。本日は、3件、議案がございます。議案第1号、令和3年度財政投融資計画、それから議案第2号、令和3年度財政融資資金運用計画、そして議案第3号、令和3年度の財政融資資金の融通条件についてでございます。これらについて、議案関係説明資料でご説明させていただきたいと思います。
1ページ目をご覧いただければと思います。
令和3年度の財政投融資計画額につきましては、コロナ禍の影響を受けた企業・事業者や地方公共団体への支援、イノベーションの加速、インフラ整備などに思い切った重点化を行うこととしてございます。
下の表の右隅にあるとおり、2年度の当初計画に比べまして、27兆円余り大きくなってございまして、当初計画額としては、過去最も大きい40兆9,056億円となっております。
主な事業の具体的な内容につきましては、2ページ目以降でご説明させていただきたいと思います。
2ページ目をご覧いただければと思います。まず、日本政策金融公庫でございます。
コロナ対応について、令和3年度も中小事業者等の資金繰り支援に万全を期す規模の財政投融資を措置させていただきます。
また、業態転換ですとか、デジタル化に取り組む中小事業者等を支援することとしてございまして、財政融資を23兆8,320億円、産業投資を37億円、政府保証を5,000億円措置することとしてございます。
続きまして、3ページをご覧ください。日本政策投資銀行でございます。
防災・減災、国土強靱化に資する都市再開発ですとか、デジタル・トランスフォーメーション推進に向けた5G通信網の整備などの支援を行ってまいります。このため、財政融資を4,500億円、産業投資を1,750億円、政府保証を2,750億円措置することといたしてございます。
4ページをご覧いただければと思います。
今申し上げた産業投資1,750億円の内訳でございますけれども、まずライフサイエンス産業、特に創薬・バイオの競争力強化が重要課題に位置づけられている中、日本政策投資銀行にDBJイノベーション・ライフサイエンスファンドを設置しまして、医療分野に知見を持ちますAMED(日本医療研究開発機構)等とも連携しながら、国内外の有望なベンチャー企業などに、その投資を行って、そこで得られる知見なども活用しながら、国内のライフサイエンス企業の研究開発に投資を行ってまいります。このため、日本政策投資銀行に対して産業投資を750億円措置することといたしてございます。
5ページをご覧いただければと思います。
ポストコロナ時代に向け、企業の事業構造改革などのための投資を加速するには、民間の金融機関やファンドが保有する資金・人材・ノウハウを動かしていくことが重要となります。このため、民間の金融機関ですとかファンドによる取組を後押し・育成していくために、出資などの資本性資金を供給してまいります。このため、産業投資を最大で1,000億円、日本政策投資銀行に措置することとしてございます。
6ページへお進みください。科学技術振興機構でございます。
大学ファンドを創設しまして、その運用益を活用することにより、世界に比肩するレベルの研究開発を行う大学の共用施設などの整備ですとか、博士課程学生などの若手人材育成などを推進することで、我が国のイノベーション・エコシステムを構築するということになっていまして、このために必要な運用原資として、財政融資4兆円を措置することとしてございます。
本件につきましては、先日の分科会でも多数のご意見をいただいたことから、後ほど補足説明をさせていただきたいと思います。
続きまして、7ページでございます。日本高速道路保有・債務返済機構でございます。
平成30年度から道路機構に対して超長期の財政融資資金を活用しまして、生産性向上とか、あるいは防災・減災対策のための高速道路ネットワークの整備を加速してまいりました。来年度も財政融資5,000億円、政府保証1,200億円を措置することといたしてございます。
8ページをご覧いただければと思います。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の建設勘定でございます。
整備新幹線の建設には、国負担、地方負担のほか、JRから頂きます貸付料を充てているところでございます。貸付料を償還財源として財政融資を前倒し活用することによって金利負担を縮減しまして、整備新幹線の整備を着実に進めることといたしております。このため、鉄道・運輸機構に対して、財政融資3,000億円を措置することといたしております。
続きまして、9ページをご覧いただければと思います。自動車安全特別会計の空港整備勘定でございます。
国際的な人の往来再開も見据えて、コロナ対策の観点も踏まえながら、現下の低金利環境を活かして空港インフラなどの整備を進めるために、財政融資1,178億円を措置させていただきます。
10ページにお進みください。国際協力銀行でございます。
日本企業による脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開ですとか、サプライチェーンの確保などによる強靱化を支援することとしておりまして、財政融資2,150億円、産業投資600億円、政府保証8,900億円を措置してございます。
11ページをご覧ください。福祉医療機構でございます。
先般の経済対策も踏まえまして、新型コロナウイルス感染症により、休業や事業を縮小した医療・福祉事業者への資金繰りを支援するために、財政融資1兆6,898億円を措置してございます。
続きまして、12ページの産業投資の概要でございます。
ポストコロナ時代に向けた経済構造の転換のため、メリハリのあるリスクマネーの供給をいたしてまいります。医療分野をはじめとしますライフサイエンスなどの新たな成長分野に資金を配分する一方で、累積赤字の大きい官民ファンドは、コロナの投資環境への影響も踏まえて、政策性や収益性の高い事業に経営資源を集中いたします。この結果、令和3年度における産業投資につきましては、3,626億円となってございます。
続きまして、恐縮なんですけれども、地方公共団体について触れさせていただきたいので、1ページに戻っていただけますでしょうか。
真ん中に上から3番目の白丸で、低金利を活用したインフラ整備という柱があるんですけれども、その中の上から2番目のポツのところですけれども、地方公共団体向けの融資についてですが、防災・減災、国土強靱化に資する地方単独事業ですとか、雨水対策も含めた下水道事業など、総額3兆6,847億円を措置してございます。
この3.7兆円の中には、地方の厳しい財政状況に鑑みまして、臨時財政対策債の引受け分として、昨年より0.7兆円増えております1.5兆円が含まれております。
続いて、13ページにいっていただければと思います。恐縮でございます。直近10年間の財政投融資計画額のフローベースの推移を表したグラフでございます。
左側には参考として、これまで過去最大の計画でございました平成8年度の情報も記載してございますけれども、右端の令和3年度の当初計画ベースでの数値はこれを超えまして、過去最大の当初計画額となっておるところでございます。
以上が説明でございまして、以上を踏まえて議案をご覧いただければと思います。
議案第1号、令和3年度財政投融資計画は、対象機関ごとの措置額を財政融資、産業投資、政府保証の原資別に整理した資料でございます。
4ページの令和3年度財政投融資原資見込をご覧いただければと思います。
資料下の注書きの2というちょっと小さい字で記載してございますが、令和3年度の新たな貸付に必要な財源といたしまして、財政投融資特別会計国債、いわゆる財投債については45兆円の発行を予定しているところでございます。
それから、5ページは、財政投融資使途別分類表となってございます。
(1)の中小零細企業というのと、(3)の教育、(10)のその他というところが実は大きく増加しているのでございますが、(1)の中小零細企業というのは、日本公庫による国民分野とか中小企業への支援の分野とか、そういったところにおけるコロナ対応、(3)は科学技術振興機構における大学ファンドの創設、(10)は日本公庫から日本政策投資銀行等に流れる危機対応円滑化業務によるものでございます。それが増要因でございます。
続いて、議案第2号、令和3年度財政融資資金運用計画でございますけれども、こちらは財政投融資計画のうちの財政融資のみを切り出した資料でございます。
最後、議案第3号でございますけれども、令和3年度の財政融資資金の融通条件につきましては、こちらは新しく資金を貸すことになった例えば科学技術振興機構への新たな融通条件など、そういったものを設定させていただいているところでございます。
以上が議案の説明になりますけれども、続けて、先ほど申し上げた大学ファンドについて、補足説明をさせていただければと思います。
大学ファンドにつきましては、先日の分科会で委員の先生方から様々なご意見をいただきました。例えば、市場運用の経験がない科学技術振興機構におけるガバナンスへの懸念ですとか、あるいは、財政融資の償還確実性に関する懸念、それから大学改革との関係などの詳細な制度が未定である点など、様々ご意見を頂戴しましたけれども、時間の都合もございまして、全てをその場でお答えすることができませんでした。この所管官庁が内閣府と文科省ということなんですけれども、本日この場にはいないんですけれども、先日いただいたご意見に対する回答をいただいてございますので、要点のみご紹介させていただきたいと思います。
1つ目としまして、大学ファンドの意義については、技術をめぐる世界的な競争が起きている中で、研究大学等への投資を拡大させて、世界レベルの研究基盤の構築を目指していくんだということであります。
2つ目としまして、運用に当たっては、GPIFなどの例を十分に踏まえて、科学技術振興機構の運用業務に係る基本的な指針を政府が示していくということでございます。
3つ目は、科学技術振興機構において、運用・監視委員会の新設などによるガバナンス強化などを含む制度設計を進めてございまして、法制面を含めて財務省と相談しながら対応していくとのことでございます。
4つ目ですが、本ファンドの原資は、当面、財政融資資金を含む国の資金を活用しつつ、参画大学や民間の資金を順次拡大し、将来的には参画大学がそれぞれ自らの資金で基金の運用を行うことを目指す。そして、大学への事業支援に当たっては、財政融資を取り崩すことはせず、運用益を活用するんだと。また、財政融資は時限的な活用として、順次償還をしていく。さらには、損失リスクに対しては、一定の条件の下、運用停止などの償還確実性を確保するための仕組みを設けてまいるということでございます。
5つ目でございますが、大学改革を進めて、イノベーション・エコシステムを構築できるように、財投分科会での指摘も十分に踏まえて、有識者やGPIFなどの知見を仰ぎながら制度設計を行ってまいるということでございます。
以上が内閣府と文科省からの回答でございますけれども、私どもとしても、今回の大学ファンドというのが、借入金ですとか、出資金を取り崩して大学支援事業に充てるのではなくて、運用益のみを活用する点が特徴だと思っていまして、財政融資が大学支援事業に費消されることはなく、期間を限って運用原資として活用された後、順次償還される予定であると理解していまして、その上で、その運用は安全かつ効率的に行われて、運用上のリスクに対しては一定の条件の下、リスク運用の停止ですとか、繰上償還など、財政融資の償還確実性を確保するための仕組みを設ける予定であることが「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和2年12月8日閣議決定)にも明記されているところでございます。
本件については、来年の通常国会に科学技術振興機構法の改正法案を提出する方向で調整されてございます。主な改正点ということで、改正科学技術振興機構法案に規定される予定の主な事項を紹介させていただきます。
まず、資金運用に関する体制整備に関しては、運用の基本ポートフォリオを含む運用業務に係る基本的な方針を策定して、これは財務大臣協議とすることを聞いてございます。
それから、文科大臣による資金運用方法の見直しを要求する権利といいますか、そういったことを認めてございます。
それから、運用業務担当の理事を設けること、あるいは、運用の実施状況を監視する運用・監視委員会を新設することにしてございます。
次に、財政融資資金法の特例でございます。財政融資資金法上、財政融資の融資先として、民間出資がある法人は除外されてございます。したがって、今回の大学ファンドは民間出資が予定されてございますので、その特例規定を措置する必要がございます。
それから、財政融資の貸付期限は令和52年度までと法律上明記することとしてございます。
さらに、実際の貸付条件としましては、先ほどの融通条件にも載っておりますけれども、40年間の貸付で、20年間の元本据置、その後、20年間の元金均等償還ということを想定してございます。
それから、運用に係る基本指針などに財政融資資金の確実な償還のための事項を記載することとしてございまして、ここも財務大臣への協議対象となると考えてございます。
あとは、独立行政法人通則法上の取扱いとして、毎事業年度の利益処分は、過年度に繰越欠損がある場合には、それを埋めて、なお生じる残余の一部を大学への助成配分に充当することとしてございまして、その額をどうするのかということについては、財務大臣への協議対象になるという理解でございます。
このように経済対策の文言に沿った内容が盛り込まれる予定であるということを、内閣府あるいは文部科学省と確認しているところでございます。
それから、先日の財投分科会におきまして、内閣府、文科省から説明があったものでございますが、運用開始当初は、運用益の相当程度を事業支援に充てることなく資本に組み入れる計画、いわゆる元本強化計画ですとか、あるいは、どういったところに助成をしていくのかという助成配分の方針についても、財務大臣協議の対象となる科学技術振興機構の中長期計画などのどこかに記載されるということを、内閣府、文科省と確認しているところでございます。
理財局といたしましては、今後、法制面を含めて財政融資の償還確実性を確保する仕組みなどが実効性を持った形で設けられるように、しっかりとフォローアップしてまいりたいと考えてございます。ご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。長くなりましたけれども、私からは以上でございます。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
これまでの説明を踏まえて、委員の皆様方から、本議案に関してのご意見をお願いいたしたいと思います。
冨田委員からお願いします。
〔冨田委員〕最初に、大学ファンドについてであります。
1点、私、心配することがあって、財政融資資金については、ファンドの自立を促すための時限的な活用とするとのことですが、時限的な活用とするためにどうするか、先般も強調して言わせていただいたんですけれども、寄附金獲得の増加によるとか、どうやってファンドを自立するんだということを示すことが必要で、それには大学改革が必要だということについて、明確にする必要があるんだと思います。寄附金というのも個別の研究に対するよりも、大学に対して、つまり、企業であれば、企業という組織と大学との関係で、一般財源的な研究開発資金として寄附をするということが大事だというふうに思います。
あと、議案についても、今、よろしいですか。
〔池尾分科会長〕はい、結構ですよ。
〔冨田委員〕議案について、ちょっと簡単に質問いたしますけれども、まずDBJなんですが、前回もご説明いただきました。産業投資について、1,750億円の計画額になってございます。そうすると、これまでDBJが行ってきた官民ファンド的な活動についての産投出資は追加的には要らないという理解でいいのかどうかということが1点目です。
あと1点は、JBICについてであります。JBICは、10月27日の当分科会での審議におきまして、1,600億円の産業投資の要求がございましたが、今回の計画額は600億円という形で決まっております。これはかなり大きな変化だと思います。これがどういう背景なのか、つまり、あのときの議論といいますのは、協調融資を拡大したり、あと、貸付債権を流動化するということによることが、そういう努力によって自己資本比率の向上を図ることを我々は議論したわけですけれども、そういうことが反映されたものかどうかということについてお聞きしたい。
以上、2点であります。
〔池尾分科会長〕では、先に質問から答えていただけますか。
〔小澤計画官〕計画官の小澤でございます。まず、DBJについてのご質問をいただきました。DBJにつきましては、今、2つのファンドがあります。新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドと、DBJイノベーション・エコシステム活性化ファンドというものがあります。先週決定した3次補正と今回の令和3年度の当初計画の措置によって、今後、3つのファンドに改組されることになります。まず、新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドというものは、そのまま残ります。3次補正で設置しましたグリーン投資促進ファンドは、これからスタートいたします。それから、今回、本資料にお示ししている750億円のファンドにつきましては、これまでイノベーション・エコシステム活性化ファンドと言っていたものを改組して大きく拡充をして、医療分野に特化したような形で拡充をしていくというような形になりますので、これまで2つファンドがあったものが、これから3つになるということになります。
それから2つ目のJBICに関してですが、1,600億円の産業投資の要求でありましたが、これはあまりにも大きな金額ですので、JBICともかなり議論をいたしました。その結果、どういった分野に本当に必要になるのかということについて精査をいたしまして、確かに今般の新型コロナウイルスの世界的な拡大に伴って、途上国への事業開発金融、アンタイドローンを増加させていきたいというような話があります。こういったものについては償還確実性など、もちろん償還確実性を確保した上で融資をしていただくということでありますが、そういったことへのリスクの備えということで、一定程度の資本は必要だと。他方で、やはり債権流動化などの取組については、きっちり行っていただくということもありまして、600億円ということで落ち着いたということであります。
〔池尾分科会長〕それで、DBJについてですけれども、ファンドが2つから3つになることで、産業投資との関係ではどうなるわけですか。産業投資からどれだけ追加で出すことになりますか。これ、ライフサイエンスファンドに750億円だけですか。
〔小澤計画官〕今回、1,750億円をDBJに産業投資をいたします。このうちファンドに入れるものは750億円になります。今回作るイノベーション・ライフサイエンスファンドといいますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、イノベーション・エコシステム活性化ファンドを拡充するわけですが、既に予算措置したものが250億円ぐらいありますので、今回措置する750億円を足して、約1,000億円の規模となります。新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドといいますのは、令和2年度の1・2次補正で追加をしたものが2,000億円あります。それから、グリーン投資促進ファンドについて200億円、3次補正で追加をいたしました。ですので、今、2番目と3番目に申し上げたものについては、これまでの令和2年度までに措置をしたものです。そうすると、令和3年度に追加をする1,750億円と、イノベーション・ライフサイエンスファンドに入れる750億円の差額の1,000億円があります。この1,000億円については、例えば地域企業等への資本性資金の供与などに充当していくということになります。要は、3つのファンドに入っていないお金が1,000億円あるということになります。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
それでは、冨田委員の最初の意見は、大学ファンドに関して、まだまだ不十分なところが多いという話だったと思うので、ほかの委員の方々のご意見も伺うことにしたいと思います。
渡部委員、お願いします。
〔渡部委員〕大学ファンドについては、もう皆さんおっしゃるでしょうから割愛いたしますが、議案というか、1号で言えば、これ、5ページですか、使途別分類のご説明ありましたけれども、(1)の中小企業のところの増え方とか、(3)の教育のまさに大学ファンドのところ、あるいは、これもご説明ありましたけれども、(10)のその他という項目ですけれども、2番目に大きい項目になっているとか、ポストコロナというお話がありましたが、ウィズコロナと言われてはいるものの、まだまだいわゆるニューノーマルというのは見つからないというか、見えていないという中で、確かにいろいろ難しいというのが実態だと思うんですけれども、したがって、計画の策定、ざっくり言葉を選ばずに申し上げると、来年度、ざっくりと計画を策定せざるを得ない箇所というか、面も確かにあると思います。だからこそ財政当局へのお願いということですけれども、今年度の3次にわたる補正後の財政あるいは財投の執行状況をよくレビューしていってほしいなと希望します。
来年度の計画についても、先ほど申し上げたように、ざっくりという面があるとすれば、弾力的にプラスにもマイナスにもできるように、普段から財政当局によるレビューをしっかりやっていただければな、期待したいなというのが希望、意見ということでございます。
以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
林田委員、お願いします。
〔林田委員〕財投計画の全体に対する感想めいたことと、あと、大学ファンドについて、意見と質問をいたします。
まず、全体の感想なんですけれども、前回もいろいろ申し上げました。政策の意図等は認めつつも、財投という政策ツールとの親和性では、ちょっと疑問がある政策が幾つか散見されること。それから、これは本当に今急いでやるべき投資なのかどうかという点で疑問があるもの、いろいろ指摘させていただきましたが、ほとんどスルーされて、そのままなっている、やられているということについて、若干無力感といいますか、仕方がないこともあるんでしょうけれども、そういうことを全体的には感じました。
それから、大学ファンドについては、大分申し上げたので、ざっと申し上げますが、大学ファンド自体の意義については、当分科会の委員にも、それほど異議はないのかと思います。問題は、制度設計並びに運用の方針がちょっと粗雑ではないのかという点だったと思いますが、その点について、新たな提案はほとんどないというところに不満を感じております。
それから、質問ですけれども、財投資金は取り崩さないということですけれども、ファンド発足時の資金の大層は財投資金であります。それで大きな損が出た場合、例えば先日、内閣府・文部科学省が提出した資料には2割と書いてありますけれども、2割出ると9,000億円穴が空くわけです。そうしますと、一般会計から5,000億円ですから、どうしても財投のほうに食い込んでくる。そのときに運用停止だとか、繰上償還とか言っても、その穴を埋めることはできないと私は思うんですけれども、その辺り、どういう理屈になっているのかということをぜひ教えていただきたいと思います。
それから、ちょっと報道に基づく質問で、こうした審議会ではやや非常識なことは承知でお尋ねしますが、大学ファンドの一般会計支出分5,000億円について、財源は国債ではなく、政府保有の金、ゴールドの売却で充てるという報道がありました。その理由について、その新聞には、運用は失敗するリスクが高いので、将来世代の負担になる国債発行は望ましくないという財務省幹部の括弧書きがありました。もしこれが事実とすれば、一般会計を大幅に上回る4兆円もの出資を国債である財投債で調達している、この財投ならいいという理屈が分からないんですが、そこはどう考えたらいいのか見解を教えてください。
以上です。
〔池尾分科会長〕では、質問ですけれども、私もリスク管理という表現で言っていることの内容がよく分からないんです。その辺りを説明してください。
〔関口財政投融資総括課長〕総括課長の関口でございます。
リスク管理の在り方ということでございますけれども、これについては、詳細はこれから内閣府、文科省と詰めていく必要があると思ってございます。その上で、年度最大損失2割程度があり得るということでございますが、こちらはGPIFが出している資料の中で、リーマンショック時の単年度のリスク、損失の可能性ということで2割程度ということが起こり得るということで、最大2割程度ということが書かれていると思ってございまして、それ以外にもITバブル崩壊時のショックだと1割程度とか、あるいは、そういったショックが単年度では起きるけれども、それを長期的に見ていけば、それは損失割合はプラスに転じるとか、そういったこともGPIFのほうでいろいろと出しているところでございます。いずれにしても、運用する以上は、様々なリスクがあり得るとは思ってございまして、そういったリスクがある中で、具体的に損失みたいなものが出てきた場合には、どういう措置を取るのかということについては、そこはしっかりとこれから運用方針とかを詰めていく中で、そういった一定の条件が生じた場合に何をするのかといった手順については、あらかじめしっかりと詰めていく必要があると思っていまして、その辺りについては法律上というよりは、法律の枠のさらに下の方針とか運用の具体的な手続ということになっていきますので、そこについてはしっかりと我々としても見ていきたいと考えているところでございます。
それから、一般会計のほうでの財源ということでございましたけれども、いずれにしても今回の一般会計については、税外収入として5,000億円、金の売却で入っているという話は聞いてございますけれども、それとこの関係ということについては、それは主計局がやっている話ですので、ちょっとお答えする立場にはないということで、ご容赦いただければと思います。
〔池尾分科会長〕だから、財投を毀損させないということであれば、一般会計から出る5,000億円の範囲の損失にとどまるような運用しかできないということですよね。損失が一旦発生してしまえば、何をしようが損失は残るわけですから、それが5,000億円を超えるようになると、財投は棄損せざるを得ないです。損失が起こったら損切りしますとか言っていて、そんな損切りしても損失がなくなるわけではないので、だから、そうすると、5,000億円がリスクの最大損失、バリュー・アット・リスクかな、それが5,000億円にとどまるような運用しかできないということですね、投資は。
そういうことで、次にいきたいと思います。
川村委員、お願いします。
〔川村委員〕いろいろあるんですけれども、大学ファンド以外は割愛して意見を申したいと思います。
前回、今回と、委員の皆様は、理念は良いが、こういう立てつけ、財源がこれでよいのかについて、ほぼ異論なく懸念を持っていると思います。私も同様であります。ただ他方、いろいろな思いがよぎるわけでありまして、そういう中でいけば、1つは財投を毀損させないことが、大きなポイント。
もう1つのポイントは、本当にワークするお金にならなければいけない。その点を私は大変心配しておりまして、有識者会議で具体的にこれを詰めていくということなのでこの会議の場は大変重要だと思うんです。財務省というか、財政の立場からの考え方、きっちり財政と投資の観点から、建設的な意見を述べていただきたいなと強く思います。
さらにもう1つは、内閣府・文科省の回答に、参画大学や民間の資金を順次拡大するとあるんですけれども、民間資金はJST債を購入するということが大半になると思うんですが、このファンドに民間の寄附がたくさん集まるとも思えない。一方で、参画大学からしてみますと、特に自主財源を確保して頑張っている大学にとっては、手かせ足かせをはめられ、かつ、ダブルコストになっている資金の使い勝手はすごく悪いと思うんですね。例えば、自己調達して研究費と思って調達したお金を、このファンドに入れて、またいろいろな制限の中でやらなければいけないみたいなことになったときに、モチベーションが本当に沸くのかということはちょっと疑問に思います。ここは多分、実際にワークさせる上で大変重要な点だと思いますが、その答えはまだ全くもらっていないので、きっちり詰めていただきたいと思います。
以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
高田委員、お願いします。
〔高田委員〕ご説明いただきましてどうもありがとうございました。私は、議案関係説明資料の全般的なところでコメントをさせていただきたいと思います。
3年度の財政投融資計画については、特に日本政策金融公庫の資金繰り支援に関する項目が、他と比べて桁が違うというところが、補正のときも申し上げたんですけれども、やっぱり重要な点かなと私は思っております。
すなわち、他のインフラですとか、海外展開、それから教育、福祉といったところの部分については、例年の延長線上の中で億円単位の議論がなされているわけでありますけれども、この資金繰り支援のところは、コロナがあるとは言いながら、兆円単位で、しかも2年度当初と比べても非連続的な状況にあるということであります。これもコロナショックという危機対応としては、私も妥当ではあると思いますし、昨年度、1次、2次補正も含めた金融機能を発揮した結果が、倒産件数の低下などを含めて真価を出しているのは確かかと思います。
ただ、緊急な特別融資の実態というのは、かなりの部分が赤字補塡であったりするものも多いと思いますし、その償還原資が本当に十分であるのかといったところは、やっぱり課題があると思います。
他の項目につきましては、このように、今回もいろいろご説明いただいているわけでありますけれども、当然のことながら資金使途が明示されておりますし、その償還原資というものも同時に議論されているわけであります。一方、今回のコロナ融資というのが、なかなか資金使途が不明確であるという部分もありますし、その償還原資もなかなか十分ではない、通常の金融実務の常識では、なかなか通しにくいような審査状況にもなっているということであります。
ですから、本来であれば、補助金であったりとか、資本として対応、いわゆる一般会計として対応しなければいけない部分も多いのだろうと思うんですけれども、そこに財政投融資という形で何十兆円という単位での資金が振りあてられているというのも実態なのではないかと思います。
今回のこのコロナ関連の、比較的サービス業が多いと思うんですけれども、どうしても生産性が低い業種も多くて、たとえ金利や元本の減免をされても持続的な成長ができるのかどうかというところは、今後大きな問題が出てきているのではないかと思います。そういう状態の中で、確かに緊急対応でありますから、令和2年度としては、ある程度、当初の対応としては必要であろうと思うんですけれども、2年目になった令和3年度について、この対応が繰り返されるということになりますと、当然のことながら生産性改善ですとか、事業構造改革みたいなものも同時にどういうふうに考えていくのかといったところもやっぱり必要だと思います。また、猶予期間である、いわゆる無利子・無担保と言われている対応の中の3年から5年にかけて債務のリストラクチャリングというのでしょうか、そういうものに対してどういうふうな形で、人材なりを対応していくのかというところが、私はまだ十分ではない部分はあるのではないかと思っています。すなわち、事業構造改革がない中で、この10兆円単位での資金が、どちらかといえば、白地手形で対応されるというのは、全体の財政投融資の中から見ますと、バケツの底が空いたような状況になっておりまして、他の項目を、これだけ詳細に議論していても、全体観としてアンバランスになっている可能性もあるのではないかというふうに思います。
令和3年度ということになりますと、少し難しくなっても、今回対応するにしても、将来に対する道筋、もしくは審査というのでしょうか、こうした事業構造改革みたいなものが今後対応するにしても、やっぱり必要になってくると思います。先ほど、最初に大鹿理財局長のほうからお話がございましたように、やはり生産性向上という、そういうものが改善ができるんだという引換えの下に、これだけの巨額な資金を費やしながら危機対応していくというのでしょうか、少なくともそういう方向づけみたいなものが、少なくとも3年度の中では、ある程度、意識として共有化されていくということがやっぱり必要になってくるのではないかと思っております。そういう意味では、全体観として、なかなか今の段階で難しいとしても、そういう将来的な道筋というようなものをだんだんと担保できるような体制に、また我々としてもモニタリングをしていく必要があるのではないかと、そんなふうに考える次第でございます。
どうもありがとうございました。
〔池尾分科会長〕ごもっともですね。
原田委員、お願いします。
〔原田委員〕2つございまして、1つは、JBICの3年度の要求に関することでして、10ページになります。もう1つは、大学ファンドの件になります。
10ページの今お見せいただいているこのところなんですけれども、質問がございます。脱炭素、質の高いインフラということで要求をいただくと、未来指向で、特段それ以上申し上げることはなく、専門外でもありましてあまり詳しいことは分からないということになってしまうんですけれども、お伺いします。ここに想定事業というふうにありまして、これはどのくらい固まっている案件なのかということをふと思いましたので、お伺いさせてください。
例えば、洋上風力発電の写真がありますけれども、一般的な知識だけで恐縮なんですけれども、日本では最近、福島で何百億円もかけて洋上風力発電に参入したものの撤退した、採算が見込めず撤退したというのがありましたけれども、風力発電は、日本は欧州などに比べて大分出遅れている感があるかと思うんですけれども、そういった遅れている日本が、海外から日本の洋上風力を受注できるのでしょうか。実際の案件があるのかですとか、その辺りの使い道について、現状のところをお教えいただければと思いました。これが1点目になります。
もう1点は、大学ファンドに関することになります。前回の分科会時の発言の繰り返しになりますが、お伺いさせていただきたいと思います。
内閣府・文科省の回答で、なかなか時間が読めない表現が多くありまして、「当面」ですとか、「将来的に」ですとか、あと「時限的に」といったような、果たしてどのくらいのスパンを想定なさっていらっしゃるのかというのがまったくもって分かりません。また、GPIFにならうということでありますけれども、やはり根本的に違うと思うんです。大学ファンドの原資は財政融資、つまり国債発行です。GPIFは公的年金制度の一部でして、私たちの給与から払っている保険料を基にしています。だから、根本的に同じという概念はもう外していただくべきなのではないかと思っています。この点が基本的な大きな問題であろうと思っております。GPIFに似ているのは何かというと、株を買うという点だと思うんですけれども、借金をして株を買うというのはかなり博打的な行為で、これが当面の間継続されるという話からも、GPIFとは大分違うように思います。その当面の間に財投債の満期が来たら、また借り換えるとかになるのかと思うと、もう少し制度設計などでうまくやっていただくしかないのだろうなとは思っております。
前回も冗談に聞こえたかと思いますけれども、日銀が買ったETFから簿価でもらえばいいんじゃないか、買えばいいんじゃないかというようなお話をさせていただきました。これも制度設計の1つとして考えていただいてもいいんじゃないかなと、いまだしぶとく思っております。それで、メリットも考えてみたんですけれども、まず1つに、損益分岐点が明らかに下がります。この大学ファンド、目的は助成する側、大学に研究費を出すことがメインであろうかと思いますので、そちら側により注力できるというのもメリットであります。あと、もちろん日銀のバランスシートも軽くなるので、リスクも減ります。総合政府で考えても、よりリスクが減るかと思います。政策対応で、特例を設けるなども必要ではありますが、株を買う分だけでも中央銀行とご相談いただくということを、可能性として考えていただいてもいいのではないか、ということを繰り返し述べさせていただきました。
すみません。以上になります。
〔池尾分科会長〕ご質問を先に。
〔小澤計画官〕ご質問が大きく2つあったと思います。まず、JBICについて、私のほうから回答させていただきたいと思います。
JBICについては、資料の10ページに絵がありますが、どのような事業を想定しているのかということなんですが、JBICの中では、いろいろ事業について想定をして積み上げているものがあるようではありますが、それぞれの事案についても必ずしもそこに融資ができるというものでもないですので、それらの可能性を掛け合わせた上で要求が来ているというふうに認識しています。我々自身が個別の業務、どういった事案に融資をする予定なのか、するつもりなのかということについて、一つ一つ、財務省として審査をしているというわけではございません。その中で想定している大きな代表的な例として、ここに掲げてありますような、例えば洋上風力ですとか、LNG開発ですとか、そういったものを考えているということでありますが、先生がおっしゃった洋上風力については、恐らく福島の事業については数百億円程度の規模だったと思いますが、今、世界的に洋上風力というのは脱炭素の鍵として注目されていまして、事業規模は基本的に数千億円という超大型の事業が世界的に進行しています。どの事業に融資をする予定なのかといったことについて、まだ承知しておりませんが、恐らくこういった分野について、国内外で投資が進んでいくというふうに感じております。
私からは以上です。
〔関口財政投融資総括課長〕課長の関口ですけれども、先ほどお話をいただいた「当面」とか「時限」とかという話でございますけれども、貸付条件は40年間の貸付でございまして、20年間の元本据置で、その後、20年間で元金を均等に償還していただくということでございますので、20年後から徐々に償還していただくということでございまして、そこの入れ替わる資金として、民間からの資金を順次拡大していただく必要があるというふうに考えてございます。
それから、時限については、時限的な活用ということで、法律上は50年間ということで、令和52年度までということを明記させていただこうと思ってございますが、実際の貸付については、先ほど申し上げたとおり、40年間ということでございます。
それから、GPIFは保険料が財源で、こちらは財政融資ということで財源が違うのではないのかというお話でございました。それは全くそのとおりだと思ってございまして、したがいまして、このGPIFとは違って、こちらのほうの法律の附則には、財政融資資金を扱うことについて法律に入れていただこうと思いまして、その関係で文科大臣が作るであろう運用に関する基本指針の中には、この財政融資資金の償還確実性に関する事項をしっかりと書くようにということを、法律上、明確にさせていただこうという方向で、今、調整させていただいているところでございまして、我々としても、資金の原資が違うということは最大限重視してございますので、そこはしっかりとフォローさせていただきたいと思ってございます。
あと、日銀のETFという話については、内閣府、文科省のほうに話をさせていただきたいと思ってございます。
以上でございます。
〔池尾分科会長〕それでは、土居委員にお願いしたいんですが、時間が押してきていますので、手短にお願いします。
〔土居委員〕土居でございます。前回欠席したので、ちょっと手短になるかどうか申し訳ないですけれども、少なくとも4点申し上げたいと思います。そこは手短にできるところは手短にしたいと思います。
まず、10月27日の分科会でも私が申し上げたんですけれども、日本公庫に関連するところであります。確かに来年度どういう経済状況になるか分からないので、こういう形で財投計画に盛り込まれるということはよく理解いたします。その際に、27日にも申し上げたとおりなんですけれども、令和3年度税制改正大綱が既に与党でまとめられて、そのまま恐らく政府でも閣議決定されるというふうに思いますけれども、その中に所得税に係る部分で、記帳水準の向上というものが与党税制改正大綱では盛り込まれておりまして、まさに10月27日にも申し上げたとおりですけれども、白色申告の中小零細事業者には、積極的に記帳水準を向上していただいて、公庫が債務管理をする上でも資するような、そういうふうな取組にタイアップしてやっていただきたいなというふうに思います。
それから2点目は、DBJでありまして、説明資料の4ページにありますように、ライフサイエンス産業に対する支援というのは非常に大事なことだと思いますので、これはうまく有効にこれが活用されることを期待したいと思います。
3点目は、JSTなんですけれども、ここはちょっと長くなって申し訳ないですが、今さら、ちゃぶ台を返すようなことはできないということを前提にした上で、今後まだ何とかうっちゃれるとか、最後、土壇場で何とか踏みとどまれるとか、そういうようなアイデアに関して私は申し上げたいと思います。
順不同なんですけれども、まず、ステークホルダーです。内閣府と文科省でありながら、JSTは文科省の独法であるという、国立研究開発法人ですけれども、関口課長は文科担当主計官でもあられたので、よくよくこの構造はご承知だと思うんですけれども、内閣府が総合科学技術イノベーション会議を介して、JSTの所管でもない割に横から入ってくるというやっかいな構図になっているので、そこの利益相反を起こらないようにするガバナンス構造をしっかりJST法改正に併せて構築していただくということが必要なのかなというふうに思います。一義的には文科大臣ということになるんだけれども、文科大臣だけで決めきれるのかという、ないしは、総合科学技術イノベーション会議は何も文句を言ってこないのか、言ってきたら、それはどうやって対処するのだというようなところで、後々変な揉め事が起こらないようにさばいていただかないといけないと思いますので、しっかりガバナンス構造を、変に総合科学技術イノベーション会議が無責任に関与してくるというようなことにならないようにしていただきたいというふうに思います。
文科省は所管省庁でありますから、文科大臣がグリップを握らないと、当然、JSTで変なことが起こったら文科大臣もその責を負うというか、そういうことになるのは当然だと思うんですけれども、その点はお願いしたいと思います。
2点目なんですけれども、順不同ですけれども、説明資料の6ページにありますように、大学や企業はJST債を買うという話があって、確かに私立大学でも、入学した学生に対して、4年間、学校の債券を買ってくださいと、無利子で元本は卒業時に返しますみたいなものをやっていたりするので、ファンドの運用益を活用して研究をするのに参加する大学には、JST債を買ってもらう、そういうような方法もあり得るのではないかというふうに思います。それが2点目。
3点目は、財投分科会との対応関係ということなんですけれども、財政投融資は、釈迦に説法ですけれども、要は、こういう新規の融資とかになりますと、分科会で議論になるんですけれども、残高機関になると、あまり議論にならないという傾向がありますので、JST法改正に合わせて、文科大臣と財務大臣がいろいろ協議をするという制度設計ができるとすれば、財務大臣が財投分科会にこの件については意見を聞くというようなことも制度化していただくというようなこともあってもいいのではないかと。つまり、残高機関になったとして、財投分科会として何もウォッチできないということになると、結局、糸の切れた凧になってしまうということになりますから、やはり40年もの長きにわたり貸すということですから、絶えずウォッチしていく、モニターしていくような仕組みを作っていただきたいと思います。
それからもう1点は、これは議案第3号と関係するところなんですけれども、40年間貸して、元金は20年据置ということになると、財政投融資特別会計に金利変動リスクを負わせることになるという懸念があるんですけれども、この議案第3号の5ページ、一応、それを読むと、この議案は毎年かかっているんですけれども、あまりまじまじと読むことがなかったんですが、今年はこういうことがあったので結構まじまじ読ませていただきまして、5年経過ごとの金利見直し貸付とするという、これはあえて短く5年と切っているというのは、私はこのほうがいいというふうに思うんですけれども、これがあるがゆえに、ALM上でも多少金利変動リスクを伴わないような設計にできているというふうに理解していいのかどうかということです。5年経過した後で、そのときの金利でJSTから返してもらう金利を変更するということがあり得るというふうに読んでいいのかどうかというのを、これは質問なんですけれども、お願いしたいと思います。
それから、それに連動して、財政融資資金法の特例ということで50年間の時限的な活用ということで、だけれども、令和3年度の財投計画では40年と言っているということは、令和4年度にまた追加で融資をするということがあるかもしれないなというふうなニュアンスを何となく感じるわけでありまして、これは財投分科会での議論ということになるんだと思いますけれども、やはり令和4年度で、もし財投要求がJSTについてこの大学ファンドをめぐって出てきた場合には、もっと厳しく議論をするというか、ちゃんとしなければ貸さないぞというぐらいの意気込みで臨むべきではないかと思います。
以上がJSTに関してです。
最後に1点だけ、財投分科会の議論に関連してということなんですけれども、今年度、2勝2敗みたいな感じであまり出られなかった回があって申し訳なかったんですが、事務局からの説明資料で、例年よりももっとブラッシュアップされた形で、いい形で追加で財投機関に融資を出したら、その後の償還スケジュールがどういうふうになるかというようなグラフをご提示いただいて、それは非常にイメージが沸きやすくていい資料だと思います。ただ、若干読解するのが難しいといいますか、つまり、残高が40年なら40年で財政融資の融資残高が減っていくということは分かるんだけれども、これは融資をもし計画が認められてセットされれば、そういう償還スケジュールになるというグラフだと理解しているんですが、その裏側で、財投機関の収支、P/Lと言ってもいいかもしれませんけれども、収支がどういうふうになっていて、ちゃんと余力を持って返せているということになっているのか、結構かつかつというか、そういうふうに返せと言われたら返せますけれども、結構余裕がない感じで返すということになっているのかというところのフローのほうが、ストックのグラフだからやむを得ないんですけれども、見えないところがありまして、そこはなかなかナーバスな情報ですから、なかなかそれは出せないということにはなるというふうに思うんですけれども、何とか工夫して、ちゃんと余裕を持って返せていますか、それなりに収入が上がらないと返済が一時的に苦労しなければいけないという、何か別の収支改善策を講じないと返せないということになるのか、というようなあたりの償還の難易度といいますか、そういうような度合いが、併せてその資料について来年度の議論に付されるということになるとありがたいなというふうに思います。
以上です。
〔池尾分科会長〕とても時間が押していますので、質問的なことがございましたけれども、理財局からお答えいただけますか。
〔関口財政投融資総括課長〕この金利変動のお話、先ほど、融通条件に書いてあるところでございますけれども、ちょっと説明を割愛させていただいてしまいましたけれども、おっしゃるとおり、5年経過ごとの金利見直し貸付となってございまして、5年ごとに金利を見直すということになってございます。なので、40年間貸し付けることになってございますけれども、5年ごとに金利を見直すということでございます。したがって、我々としては、金利変動リスクを負わないように、調達サイドが5年債で発行し、貸付のほうは5年ごとに金利を見直していくということによって、ALM上、我々が金利変動リスクを負わないような形にしていきたいと思ってございます。
以上です。
〔池尾分科会長〕野村委員、お願いします。
〔野村委員〕時間も押していますので、ごく簡単にコメントを3つだけ。
1つは、やはり大学ファンドについてですが、緊急時の財政投融資の計画の中で明らかに違和感を覚える4兆円という規模です。これはメディアでもいろいろ報道が始まっていますので、ぜひ国民への説明責任を果たしていただきたいと思います。今ここで説明してくださいということではないです。なぜ非常時の今なのか、どのような制度設計がなされるのか、それから、どうやってファンドの自立を促して各大学の大学改革につなげるのかというあたりをきっちり説明していく責任があるのではないかと思います。
2点目が、必要と思われる投融資の金額は積み上げられているとは思いますけれども、今後必要なところに支援が行き渡っているか細やかな目配りが必要ではないかと思います。これは各機関での話だと思いますけれども、従来の枠組みでは支援できない人もいるのではないか、あるいは期間限定での規制緩和とか、ルールの見直しで、お金ではなくて支援できるところはないかといった視点も必要かと思います。例えば企業では業界による差も大きいですし、中小企業対象でしたら、今後の事業支援のコンサルといったものも含めて支援されているかどうか、運営面の目配りもして、血の通った支援であってほしいと思います。
それから3つ目は、これ、もう言わずもがなですけれども、令和3年度は緊急事態の出口を見据えて、投融資の先の議論を進める必要があるだろうと思います。
特に質問はありません。以上です。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
翁委員、お願いします。
〔翁委員〕翁です。私も時間が押していますので、ほとんど皆様と同じなので、本当に一言ずつのコメントでございます。
1つは、政策融資、政策金融のほうでこれだけ巨額の資金繰り支援というのは、確かに仕方のない面もありますが、高田委員もおっしゃいましたけれども、やはりこれを続けていきますと、かえってその企業の過剰債務につながって、その企業の再生に足かせになる可能性もありますので、その意味では、アフターコロナ、ウィズコロナで、どういうビジネスをやっていけるのかということをしっかり考えた上での支援になるような方向に、ぜひ融資機関についてはしっかり取り組んでいただきたいということが1つ目でございます。
それから2つ目、これ、やはり大学ファンドでございますけれども、今回のように投入の金額が決まってから制度設計をするというようなやり方がすんなり通ってしまっては、やはり非常にディシプリンの面では問題だと思っています。しっかりこれから協議をしていただいて、償還確実性については、財務省が制度設計の段階でチェックをすると同時に、今後もモニターしていただきたい。今後こういう運用益を得るためのファンドの創設、しかも国債を発行してそれを原資にリスク性資産を運用するファンド創設が続出するようなことがないように、ぜひお願いしたいというふうに思っております。
以上でございます。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
家森委員、お願いします。
〔家森委員〕3点、簡単に。
1つは、産業投資についてです。DBJに予算が多めに行って、いわゆる官民ファンドが減ったという、そういう大きな流れがあると最初に局長からご説明がありました。確かにDBJさんについては、一昨年、この特定投資業務について勉強しましたが、非常にパフォーマンスがよかったので、そういういいところにしっかりお金をつけてやっていだたくということで、いいことだなというふうに思いました。
2つ目は、議案第1号の5ページのところでご説明いただいたんですけれども、用途に関して、その他というのが非常に多くなっているという表がありました。国民の皆さんがこの資料を見たときに、その他が何か分からないと思います。私のように委員をしている者でも、その他とは何だろうと思っており、今日、危機対応だと分かったのです。この注に、その他というのはこれだというふうに書いていただけないものでしょうか。定まった書式なので無理なのかもしれませんけれども、その他では分かりづらいと思いました。
それから3番目は、このJSTの問題です。これについて20年元金据置でやるというふうに書いているんですけれども、元本を増やしていこうという、これからの5年の間に、金利払いがあると、これは元本を増やすことはほとんどできないのではないかと思うんです。我々お金を貸す立場から言えば、もちろん金利ぐらいはちゃんと払ってねということですけれども、本当に金利を支払いながら安全運転で元本を増強できるのかという点です。まさに実現可能性についてよくお考えいただいて運用していただきたいと思います。
以上です。
〔池尾分科会長〕江川委員、お願いします。
〔江川委員〕手短に2点申し上げます。
1つは、インフレに対する備えも考えていただきたいということです。今日、冒頭に局長から当初計画として過去最大の40.9兆円というお話がございましたし、それから、今朝の報道で一般会計のほうも106兆円という今までにない規模になっております。今週の『エコノミスト』でも、今後、インフレの可能性もあるというようなことが特集になっていましたし、万が一のこともありますので、そういうこともしっかり考えていただきたいと思います。
2点目は、国全体の資金配分に対するコメントです。今回の大学ファンドというのは、恐らくハーバードなど海外の大学が3兆円、4兆円規模の基金を設けて、その運用益を活用しているということにヒントを得たものだと思いますけれども、恐らく背景には、法人化以降、大学の運営費交付金が減らされて、大学の研究力が弱ってきているということに対する危機感があったんだと思います。私も財投分科会の委員になって10年以上たちますけれども、その間にいろいろな変化があって、1つは産業投資が拡大したこと、それからもう1つは、その時々のテーマとかニーズに対する仕組みが結構大きくなったなと感じています。そういった危機とかに対応するということももちろん大切なんですけれども、大学の研究とか、あるいはインフラ整備とか、ある程度、長期的に取り組まなければいけないことは、本当は一般会計でやるべきことが、一部この財投に回ってきているような印象もありますので、そこは全体としてきちんと国として本当に意味のある資金配分ができるように考えていただきたいと思います。どうしても産業投資とか財投でやるものというのは、制約を受けて、大学ファンドも今、皆さんがおっしゃっているような問題があるというのは根本的な問題はそこにもあるように思いますので、そういうこともぜひ考えていただきたいと思います。
以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、審議はここまでとしたいと思います。
取りまとめるということで、無理に取りまとめるということではなくて、ただいま皆様からいただいた様々な意見をもって、本分科会の意見とさせていただくという扱いにしたいと思います。
〔関口財政投融資総括課長〕すみません。課長の関口ですけれども、2点だけ申し上げたいと思います。
先ほど、将来的にどうなるんですかという話があったと思いますけれども、大学ファンドについては、資料で6ページのところで、閣議決定された経済対策のところに、実はこれ、「早期に10兆円規模のファンドの実現を図る」というふうに注書きが入ってございます。今回、4.5兆円でスタートするということでございますけれども、そういったことでございますので、40年間ということで貸付をさせていただきますけれども、内閣府と文科省の要求としては50年間という時間を取っているということでございます。
それから、大学ファンドについて、分科会としてしっかりとフォローしていく必要があるということですが、いずれにしても、分科会のほうには折々しっかりとご説明させていただきたいと思いますし、内閣府とか文科省とか関係者も呼んでお話をする機会も設けさせていただきたいと思っていますので、しっかりとフォローさせていただきます。
失礼いたしました。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、審議はここまでということで、繰り返しますが、ただいま皆様からいただいた様々な意見をもって、本分科会の意見とさせていただきます。
それでは、ここで終了ということにさせていただきたいのですが、本日使用した資料は、21日の閣議終了後、財務省ホームページに掲載いたします。
また、議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載します。
本日は、年末のご多用中のところ、ご参集いただき、熱心にご審議いただきまして、誠にありがとうございました。それでは、これで閉会といたします。
16時38分閉会