(令和3年6月4日(金曜日)10時37分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)台湾へのワクチン供与

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、まず2件報告をさせていただきます。
 一つは、台湾へのワクチンの提供についてでありますが、我が国はこれまでCOVAXファシリティ等の国際枠組みを通じたワクチン支援を行ってきました。
 これまでも様々な国・地域からワクチン提供依頼がありましたが、今般、台湾側からの依頼について調整が整い、我が国で製造しましたアストラゼネカ社製のワクチン124万回分を、無償で台湾側の窓口機関であります台湾日本関係協会を通じて、台湾の人々にお届けすることになりました。
 アストラゼネカ社を含め、ワクチン提供の実現に協力いただいた関係者に敬意を表します。
 このワクチン、本日昼前には日本から出荷をされまして、日本時間の16時前、現地時間で15時前に、台湾に到着する予定であります。
 我が国としては、今回のワクチン供与が、台湾における新型コロナの感染拡大の防止に寄与することを期待をいたしております。
 ワクチン支援に関しましては、一昨日、6月2日のCOVAXワクチン・サミットにおきまして、菅総理から、我が国は、今後更に8億ドルをCOVAXファシリティに追加拠出することを表明しました。ワクチン・サミットでは本年度末までに目標としていた、83億ドルを大きく超える額を確保することができ、日本のリーダーシップを含め大きな成果を上げることができたと考えております。
 資金調達と並びまして、変異株の拡大やワクチン供給の遅れといった厳しい現状を踏まえ、環境が整えば、しかるべき時期に、我が国で製造するワクチンを3,000万回分を目途として、COVAXファシリティなどを通じて、各国・地域に対して供与していく考えも、総理の方から表明されたところであります。
 また私(大臣)からは、日本の技術や強みを生かし、各国の接種現場までワクチンを届ける「ラスト・ワン・マイル支援」の考え方を強調し、COVAXファシリティとの協働、これを呼びかけたところであります。
 我が国としては、新型コロナの一日も早い収束に向けて、引き続き、国際社会の要請や各国の支援ニーズを踏まえ、ワクチンについてはCOVAXを始めとする多国間の枠組みを通じた支援を基本としつつ、バイや国際機関と連携して様々な支援、これを実施していく考えであります。
 引き続き、こういったCOVAXの取組、更には「ラスト・ワン・マイル支援」ということで、ワクチンの分野でも日本として、しっかりとリーダーシップを発揮していきたい、こんなふうに考えております。

(2)日豪「2+2」の開催

【茂木外務大臣】もう一件、来週の水曜日、6月9日に日本とオーストラリア、日豪の「2+2」を開催する予定であります。日豪「2+2」は今回で9回目、前回から見ますと2年半ぶりの開催であります。
 日本と豪州、基本的価値と戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」でありまして、今回の「2+2」では、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、安全保障・防衛協力を新たな次元に引き上げるための方策等についてしっかり議論したい、このように考えております。私(大臣)から以上です。

台湾へのワクチン供与

【テレビ朝日 佐藤記者】台湾へのワクチン供給に関してお伺いします。日本は国際枠組みを主導してきた立場ですけれども、今回のワクチンの現物供給について、直接支援という形にまず踏み切った理由について教えてください。

【茂木外務大臣】このワクチンについては、COVAXを通じて各国が資金を拠出して、COVAXにおいてワクチンを調達・分配する、こういう機能を元々持ったわけでありますが、最近になって現物での、こういったCOVAXであったりとか国際機関への供与、更には二国間、バイでの供与というのも重要性が指摘をされるようになってきました。
 日本として、国民全員に向けてワクチンを2回接種すると、その分のワクチンの確保ができました。それを上回る量については、COVAX等を中心にしながら、国際的な枠組みでも提供を現物として、していきたいと思いますが、同時に各国のニーズ等を踏まえた場合に、バイでの協力とか、他の国際機関を通じた協力、こういったことも行っていきたい。
 台湾の場合、昨年来、非常に感染状況、コントロールというか低い状態で抑え込んできましたが、ここにきて感染の拡大が見られると、一方でワクチンについては、7月以降は台湾での生産体制が整ってきますが、当面、この現状において非常にワクチンの調達が厳しい状況にあるという中で、日本として支援を行ったと。
 これは10年前の東日本大震災の際も、台湾の方々から、いち早く多くの義援金を送ってもらい、それは日本の人々にとっても、鮮明な記憶として残っているんじゃないかなと。そういった台湾との重要なパートナーシップであったりとか友情、こういったものも踏まえて、今回の提供ということになります。

【朝日新聞 佐藤記者】今の台湾へのワクチン提供に関連してお伺いしますが、成田空港に弊社も取材に行っておるんですけれども、台湾へ提供する便、11時45分成田空港発のJAL便でよろしいのかどうかというのは、確認お願いできますでしょうか。

【茂木外務大臣】はい、結構です。

ロシアによる日本漁船の臨検・連行

【北海道新聞 古田記者】稚内の漁船拿捕についてお伺いします。先日、政府は第百七十二榮寶丸(えいほうまる)は、日本のEEZ内で操業されていたということで、拿捕に対してロシア側に抗議を行いました。これに対して、ロシア外務省も昨日の夜、ロシア連邦のEEZ内で発見されたということで、反論する声明を出されました。
 改めてですけれども、日本側の認識と、乗組員らの解放の見通しについてご見解をお願いします。

【茂木外務大臣】日本側としては、関係者による説明や分析も踏まえて、日本のEEZ内で操業していたと、このように認識をいたしております。
 ロシア側の抗議、これは受け入れられず、ロシア側に対して乗組員及び船体の即時釈放を求めております。引き続き、外務省として本事案の早期解決に向けて、全力で対応に当たりたいと考えております。

台湾へのワクチン供与

【NHK 山本記者】台湾のワクチンの話に戻るんですけれども、今後、台湾側から追加供給の依頼などがあった場合には、更なる供給が想定されているのかということと、台湾以外の国・地域への供給について、現時点で具体的に検討されていることがあれば教えてください。

【茂木外務大臣】基本は、まずは日本国内での接種、これに必要な量をきちんと確保し、それを上回る分については、国際的な協力と、こういったことも行っていきたいと考えております。
 例えば、6月時点で、どれくらいの上回る量が出てくるかとか、それぞれの月によって変わってまいります。総理が3,000万回と言ったときに、環境が整って然るべき時期にと、いうことでありまして、まさにそういった形で、6月であったり、7月以降の、海外に提供できる量、こういったものも踏まえながら、また、各国での感染の状況であったりとか、ワクチンのニーズ、更には日本との関係、様々な要素を考えながら、今後判断していきたいと思っております。

尖閣周辺海域における中国海警船舶の領海侵入

【産経新聞 田村記者】尖閣の関係でお伺いしたいんですが、本日、中国海警局の船が尖閣周辺の接続水域で航行が確認され、112日連続で、過去最長を更新したということですが、これに対する大臣の受け止めと、この間、日本政府は海警の動きについて、深刻な懸念を表明し、また、領海侵入について抗議をしてきたわけですが、中国に態度を改める気配が全く見られない中で、大臣としてこれまでの対応で十分だというふうにお考えになっているのか、その点を教えてください。

【茂木外務大臣】本日、午前8時の時点で、接続水域内における中国海警局に所属する船舶の確認日数、112日連続となっているわけであります。
 尖閣諸島周辺海域において、中国海警船によります接続水域航行が継続をし、更に領海侵入が繰り返されていること、極めて深刻に考えております。中国のこうした活動については、昨日、実施をされました日中高級事務レベル海洋協議団長間協議を含め、外交ルートを通じて、繰り返し厳重に抗議をいたしております。
 そして、この中国の力による一方的な現状変更の試みは、国際社会において様々な形で懸念の声が上がっているわけでありまして、先日のG7外務・開発大臣会合においても、緊張を高め、地域の安定及びルールに基づく国際秩序を損なう可能性のある、いかなる一方的な行動にも強く反対する点で一致をしたところであります。
 なかなか、この問題だけではなくて、様々な問題に対して、中国に働きかけを行い、そして、確実にそれが具体的な行動に繋がるかということについては、ある意味、状況を今後、見ていくということで、今日言って、すぐに明日変わると、そういう性格ではないのは多分お分かりいただけると思うんですね。それで、今の時点で、何かについて、すぐに評価をしろと、それは難しい問題ですよ、率直に申し上げて。そんな簡単に変わるのであれば、苦労しないですよ、誰も。国際社会全体で、そういうことをやっているわけでありますから。
 我が国としては、領土・領海・領空を断固として守り抜くと、こういう決意の下で、冷静かつ毅然と対応していきたいと、この姿勢を変えるつもりはありません。

イスラエル・パレスチナ情勢(中山防衛副大臣のツイート)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】5月28日の会見で、茂木大臣はイスラエル・パレスチナ・ヨルダンの外相とそれぞれ電話会談を行い、停戦を通じた緊張緩和への働きかけをし、ガザ地区への緊急支援等についても意見交換を行った旨報告されました。
 日本はパレスチナを国家として承認していませんが、将来の承認を予定した自治政府として関係を結んでおり、中東和平問題のパレスチナ・イスラエルの二国家間解決に向けた当事者の信頼醸成を継続するよう努めていることが…。

【茂木外務大臣】「二国家」ね。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】失礼しました。「二国家解決」です。ここで改めて、中山泰秀防衛副大臣が5月12日に自らのツイッターに、「イスラエルにはテロリストから自国を守る権利があります。私等の心はイスラエルと共にあります。」と投稿し、それがイスラエルの駐日公使や外務次官に読まれて、歓迎を持って迎えられたことについて伺いたいと思います。
 現在はこの投稿は削除されていますが、中山防衛副大臣は、現在もこのツイッターアカウントで職務上の告知を投稿しており、先のイスラエル側の攻撃に肩入れする防衛副大臣の投稿は到底、私人による個人的な表明とは言えず、防衛副大臣として日本政府の立場を表明したものと国内外に受け止められかねません。特にイスラエルの攻撃の例は、AP通信やアルジャジーラなど国際的情報機関が入ったビルを狙い撃ちしており。

【司会】ご質問をお願いします。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】はい、全世界から非難されております。日本政府は、先の中山副大臣の発言が。

【茂木外務大臣】すみません。質問してください。

【司会】質問をお願いいたします。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】はい、イスラエルを正当できるのかどうか、外務省の見解をお伺いしたいです。

【茂木外務大臣】中山副大臣、個人のツイッターでありまして、コメントは控えます。

イスラエル情勢(組閣完了)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 報道によると、イスラエルにおける総選挙後、野党が新たな政権を樹立する可能性があるとのことです。イスラエルにおけるこのような政治的な動きについての日本の立場と、イスラエルの入植活動全般に関する日本の立場についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】現地時間の2日、3月の総選挙を受けて、組閣指示を受けていたイェッシュ・アティード党のラピード党首が、大統領等に組閣完了を通知して、今後、議会の信任プロセスが予定されていると承知いたしております。
 こういった状況、注視をしていきたいと考えておりまして、日本政府として、他国の内政についてコメントをするということは控えたいと思いますが、引き続き、日・イスラエル関係、推進をしていきたいと思っております。