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2021年6月22日

主流な印刷方式であるオフセット印刷に用いられる刷版の寸法に関する国際規格が改定、発行されました。国際規格に「標準のサイズ(幅・長さ)」を追加することにより、サプライチェーンにおける刷版の在庫や廃棄物削減、ひいては環境負荷低減に寄与することが期待されます。

1.背景

主流な印刷方式であるオフセット印刷では、ユーザーが指定する仕様に沿って個別に刷版(アルミ板に塗布された感光材料によって印刷画像を形成、印刷物を複製するためのハンコの役割を担う)を製造した結果、刷版サイズのアイテム数は、世界で約9,000種類にも及び、なお増え続けています。このサイズの違いによって、サプライチェーンにおいて在庫や廃棄物が増加することが課題となっていました。例えば、印刷機ごとに刷版のサイズが異なる場合、それぞれ別々に在庫を備える必要があるとともに、長期間使われないことによる廃棄リスクも生まれます。

こうした状況を解消するため、標準となるサイズを国際規格として規定することになりました。

※オフセット印刷とは
オフセット印刷は、最も一般的な印刷方式。刷版についたインキがブランケット(転写ローラー)にいったん転写され さらにブランケットから印刷用紙に転写される。 

2.規格の概要

今回発行された国際標準ISO12635*1では、従来から規定されていた刷版の厚さや平坦度、エッジの真直度、バリの要件に加え、新たに刷版のサイズ(幅・長さ)について定めています。

刷版のサイズの規定に当たり、世界中で使われている刷版を集計した結果、微妙なサイズの違いが数多くあることが判明しました。そこで、日本が考案した「標準サイズ選定のためのルール」に基づき、刷版のサイズを261種類(全サイズ数の3%程度)に絞り込むなど、日本が国際規格の改定を主導し、2021年6月9日に国際規格として発行されました。 

 

  • 図1 幅・長さを座標軸とした刷版サイズの分布グラフ(世界全体)

  

標準サイズを選定するための4つのルール

A: 刷版メーカーと印刷機メーカーで一致している

B: 刷版メーカー2社、若しくは印刷機メーカー2社で一致している

C: 印刷機メーカーのサイズと刷版メーカーのサイズが近傍(√2mm内)の場合は、印刷機メーカーサイズが選ばれる

D: 刷版メーカー同士、印刷機メーカー同士の近傍サイズは、最も大きなサイズが選ばれる

表1 標準サイズリスト(一部抜粋)

X range  Y range  Preferred sizes
200-300 300-400 252 x 400   
200-300 400-500 252 x 400    300 x 463   
200-300 500-600 274.4 x 574    276 x 578    276 x 582    276 x 597    278 x 575    289 x 600   
200-300 600-700 289 x 600   
200-300 1100-1200  No preferred sizes in range
300-400 400-500 300 x 463    304 x 483.5    309 x 463    310 x 483    311 x 483    312 x 498    314 x 483    317 x 482    324 x 492    330 x 492    335 x 485    336 x 499   

3.期待される効果

本国際規格に基づき、オフセット印刷業界として、印刷会社、印刷機メーカー、刷版メーカーが協力し、刷版のサイズ数削減を進めていくことで、刷版のサプライチェーンにおける在庫や廃棄物削減、ひいては環境負荷低減につながることが期待されます。このことは、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも、資源利用効率の向上や環境に配慮した新たな技術の開発(目標9)、持続可能な生産を支えるための資源効率の促進(目標12)に貢献することが期待されます。

  

*1 正式名称
ISO12635 Graphic technology — Plates for offset printing — Dimensions
日本語訳
ISO12635 印刷技術 - オフセット印刷用版 - 寸法

担当

産業技術環境局国際標準課長 黒田
担当者: 大山、青山、中田

電 話:03-3501-1511(内線 3423)
 03-3501-9277(直通)
 03-3580-8625(FAX)

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