(令和3年6月29日(火曜日)21時43分 於:イタリア)

冒頭発言

【茂木外務大臣】日本では相当早朝の時間だと思いますが、日本とイタリア時差が7時間ということで、今40分を過ぎたところであります。今日こちらの時間で朝の10時からG20外相会合、さらには外務・開発大臣合同会合そして開発大臣会合と続きまして、つい先ほどそれらの一連の会合が終わったところでありまして、丸一日かけて充実した議論を行うことができたと思っています。

 対面でG20の外相会合を行うのは、一昨年名古屋で日本が議長国として私が主催をしましたG20の愛知・名古屋外相会合以来2年ぶりのこととなりますが、今、コロナ禍にある中でG20が協調して新型コロナからの回復を主導することで一致を見たところであります。また、今日の会談の合間の時間を使いまして、G20の議長国でありますイタリアのディ・マイオ外務大臣、さらにはアメリカのブリンケン国務長官、そして英国のラーブ外務大臣、さらにインドネシア、オランダ、ブルネイ、ルワンダの外相とそれぞれ会談を行ったところであります。

 まず最初、午前中の外相セッションにおきましては、多国間主義とグローバルガバナンスが主要テーマでありました。私からは国際社会が直面する最重要課題として、新型コロナと気候変動についてコメントいたしました。具体的には先般開催されましたCOVAXワクチン・サミットの成果であったり、日本の取り組みを紹介した上で、G20各国による一層の取り組みを呼びかけたところであります。

 また回復の過程で拡大が見込まれます開発金融の在り方、そして自由で公正な貿易のためのルール作りについて、G20でさらに議論を進めるべきである、このように指摘をいたしました。

 お昼のワーキングランチでは、アフリカの開発について議論いたしました。私からはアフリカ自身が主導する発展を後押しする日本の取り組みとして3点、保健・医療体制の構築の後押し、そしてアフリカとのビジネスの促進、さらに「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンの下での連結性強化の支援について紹介したところであります。また、来年のTICAD8に向けまして、G20メンバーを始めとする関係国・機関と連携しながら躍動するアフリカの実現に向けて貢献していくことを表明しました。

 午後のセッション、これはG20の外務・開発大臣が一堂に会する会合でありましたが、食料安全保障の問題、この問題についてテーマについて議論を行いました。「飢餓のゼロ」の達成、そして持続可能な食料システムの構築という観点から、活発な議論が行われました。日本はまさにこの分野で、今年12月7、8日に「東京栄養サミット」を開催し、栄養改善に向けた国際社会としての行動指針を取りまとめる予定であります。

 そして今日の締めくくりのセッション、これはG20開発大臣会合でありまして、持続可能な開発のための資金調達等について意見を交わしました。私からは資金ギャップを埋めていくために資金ソースを多様化することが不可欠な中でG20が率先して開発金融に関する国際ルールの遵守や開発資金の透明性確保に取り組むべきこと、この重要性を指摘したところであります。

 秋のG20サミットに向けて、幅広いテーマについて議論を深め多くの点で認識の共有を図ることができたと考えています。

質疑応答

【記者】今日G20の外相会合のセッション2で大臣の方から自由で開かれたインド太平洋のビジョンのもと、アフリカにおいて連結性強化などの支援を進めていくということを述べたということですけれども、こうした国際会議の場において、自由で開かれたインド太平洋、FOIPというものを日本として強調する、アピールしていくことの意義というものを改めてお聞かせください。

【茂木外務大臣】まさにこのFOIP、自由で開かれた、この考え方、これは自由で開かれているわけでありますから、G20の場でですね、この自由であり開かれたインド太平洋の考え方、そしてそのもとで進んでいる様々な協力についてですね発言する、これは有意義なことだと思って発言させていただきました。

【記者】今回のG20外相会合では、WTO改革や開発金融の透明性について大臣からご提案されたと思います。今回の日本からの提案について、各国の反応はどのようなものだったのか。また、10月の首脳会議に向けた手応えなどを可能な範囲で教えてください。

【茂木外務大臣】まず、WTO改革、これについてはですね、喫緊の課題であるということについては、G20の間で共通の認識というものがあると考えています。そして、今後ですねコロナからの回復と、こういったものが進んでいく中では当然開発金融これが拡大していくわけでありまして、これがルールに基づいて行われる、さらには透明性が向上していくと、こういったことが重要であると思っておりまして、このことについては基本的に考えの一致は見られていると思います。具体的にこれをどう進めるかということについては、さらに今後議論を深める必要がある、このように考えております。

【記者】念のための確認なんですけれど、G20は経済が中心の会合ではあると思うんですけれども、中国の香港ですとかウイグルに関する人権問題について何か議論というものはございましたでしょうか。お伺いします。

【茂木外務大臣】今日ですね、G20の外相会合から始まりまして、開発大臣との合同会合、そして開発大臣会合、この内容については、冒頭私からお話しさせていただいたとおりです。