令和3年7月6日

 7月6日(現地時間同日)、フィリピン共和国の首都マニラにおいて、我が方、越川和彦駐フィリピン共和国日本国特命全権大使と先方テオドロ・L・ロクシン・フィリピン共和国外務大臣(Hon. Teodoro L. Locsin Jr., Secretary of Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で、2件の無償資金協力に関する書簡の署名・交換が行われました。各案件の概要は以下のとおりです。

  1. 無償資金協力「新型コロナウイルス感染症危機対応緊急支援計画」(供与額6.87億円)
     現在、新型コロナウイルス感染症の収束に向けて、途上国を含めてワクチンへの公平なアクセスを確保し、各国におけるワクチン接種を加速していくことが国際社会共通の課題となっています。今回の協力は、フィリピンに対し、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の実施に必要なコールド・チェーン関連機材等を供与するものです。
     我が国は、国際的なワクチン調達メカニズムであるCOVAXファシリティの形成を主導し、既に合計2億ドルを拠出し、先般8億ドルの追加拠出を発表しました。今回の協力は、こうして供給されたワクチンを、途上国内の隅々まで運び、一人ひとりに届けるための支援であり、COVAXファシリティの取組を補完するものです。
     我が国としては、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向けて途上国の隅々まで届く医療供給網の整備等に貢献してきた経験を活かし、引き続き、新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束に向け、ワクチンを世界の一人ひとりに届けるための支援を行っていきます。
  2. 無償資金協力「人材育成奨学計画」(供与限度額3.29億円)
     フィリピンにおいては、各開発課題を取り扱う政府機関・関係省庁の職員・組織・制度・財政等の能力・体制が、取り組むべき課題に比して総じて不足しているという現状があります。そのため、行政能力の向上及び制度構築が最大の課題となっており、それを担う良質な人材の育成が不可欠となっています。我が国は、フィリピンに対し、経済社会基盤の更なる強化を促す取組を行っており、今回の協力は、その一環として、フィリピンの若手行政官等が日本の大学院において学位(修士号・博士号)を取得することを支援するものです。
     この協力により、令和4年度に最大22名のフィリピンの若手行政官等が我が国の大学院に留学することになります。育成された人材は、将来フィリピンの各分野における開発課題の解決に貢献することに加え、我が国とフィリピンの相互理解や友好関係の構築に寄与することが期待されます。
     この協力は、2017年1月の日・フィリピン首脳会談で安倍総理大臣から表明した、今後5年間で行われる予定のODA及び民間投資を含めた1兆円規模の支援の一環であるとともに、同年10月に日・フィリピン首脳会談の場で発表した「日フィリピン共同声明」の具体化の一つです。

 フィリピン共和国は、面積約30万平方キロメートル(日本の約8割)、人口約1億98万人(2015年、フィリピン国勢調査)、人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,430米ドル(2020年、世界銀行)。