令和3年8月26日

 8月26日(現地時間同日)、フィジー共和国の首都スバにおいて、我が方川上文博駐フィジー日本国特命全権大使と先方レヴァン・ボアジ在フィジー国連開発計画太平洋事務所駐在代表(Mr. Levan Bouadze,UNDP Resident Representative, UNDP Pacific Office in Fiji)との間で、供与額4.64億円の無償資金協力に関する署名・書簡の交換が行われました。

  1. 太平洋島嶼国では、新型コロナウイルスの世界的な流行以来、厳格な国境閉鎖措置が取られ、自国民の帰国や物流の維持等に範囲を限定してきました。この結果、多くの国で感染症の抑え込みに成功しているものの、人の動きや物流が制限され、経済的に大きな打撃を受けています。特にバヌアツ、パラオ及びフィジーは、太平洋島嶼国の中でも経済の観光業への依存度が高いため、経済的な影響が極めて大きく、観光業の本格回復により経済を立て直すことが求められています。これらの国では、国境の安全な開放に向け、港や空港において、物理的な接触を可能な限り回避しつつ入国を円滑に進めるための国境管理や入国者の検疫・隔離体制の強化が目下の課題となっています。
  2. この計画では、バヌアツ共和国、パラオ共和国、及びフィジー共和国において、安全で円滑な国境管理体制の構築を図ることで、これらの国々における新型コロナウイルスの感染拡大防止及び公衆衛生危機に対する対処能力向上を支援し、もって持続的な経済・社会発展が可能な国づくりに寄与することが期待されます。
  3. 我が国は、本年7月2日にテレビ会議方式により開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「新型コロナウイルスへの対応と回復」を重点協力分野の柱の一つとして表明しており、上記の協力は同表明を具現化するものです。

[参考]第9回太平洋・島サミット
 7月2日、テレビ会議方式により、菅総理とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。バヌアツからボブ・ロウマン首相が、パラオからはスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領が、フィジーからはジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。