令和3年9月1日

 ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使の訪日の機会に、日本と米国は以下の声明を発出しました。

日本と米国は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最近の報告書や、排出削減を加速し、及び深化させる必要性の増大を示すその他の指標に危機感を抱き、2020年代を気候変動対策のための決定的な10年とするとともに、気候危機に関する共同での取組を、日米二国間のパートナーシップの柱として確保することにコミットしている。

両国は、グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、パリ協定の締約国が、気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続けるために必要な取組を行う決意を有するという明確なシグナルを発することを確保するため、二国で協働して、及び他国と協力して取り組んでいる。

両国はすでに、世界の気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続ける取組と整合した野心的な2030年目標/国が決定する貢献(NDC)と、2050年実質ゼロ目標を発表している。両国は、各々の野心的な2030年目標/NDCを達成するため、利用可能な全ての政策及び資源を動員し、並びに革新的な技術を推進することに強くコミットしている。両国は、気温上昇を世界的に1.5度の射程に入れ続けることを追求するために、類似した目的に向けて協働していく。

両国は、首脳間で「野心、脱炭素化及びクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップ」が発表されたことを認識し、及び技術分野における日米協力の長い協力の歴史を認知した上で、以下を目的として、更なる協力を行う意向を有する。

  • 2030年目標/NDC及び2050年実質ゼロ目標の達成に向けて必要な計画と政策に焦点を当て、パリ協定の国内での実施について対話を行う。
  • 再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵(蓄電池や長期エネルギー貯蔵技術等)、スマートグリッド、省エネルギー、低炭素な水素、二酸化炭素回収・利用・貯留/カーボンリサイクル、産業における脱炭素化、革新原子力等の分野を含むイノベーションに関する協力を強化し、並びに気候のための農業イノベーション・ミッション(AIM for Climate)を支援する。
  • G7諸国がカービスベイサミットで確認したように、2021年末までに、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を終了させるために、粘り強く、かつ、迅速に作業を行うとともに、排出実質ゼロの未来に向けた道筋を、開発途上国と共に設計するために、協働する。
  • 地方自治体による追加的な野心及び実施を支援する外交面・技術面及び開発面での取組を通じたものを含め、地方での行動を世界的に促進するために、協働を推進する。
  • 民間部門の能力並びに公的資金を活用し、また国際的な資金の流れを、気候に強靭な開発と2050年までの地球規模の温室効果ガス排出実質ゼロ達成及び2020年代の大幅な排出削減と整合させるべく協働しつつ、年間1000億ドル動員目標の可能な限り早期の達成に向けた作業のため、気候資金に関する各々のコミットメントも踏まえ、適切なステップを執る。及び、
  • 主要経済国フォーラムやG20における取組を含め、世界の気温上昇を1.5度に抑えることを射程に入れ続けるために、全ての主要経済国が、2020年代に断固たる行動を取るように、日米の外交努力において緊密に連携する。