(令和3年9月3日(金曜日)11時22分 於:本省会見室)

冒頭発言

タイ、ベトナム及び台湾へのワクチンの供与

【茂木外務大臣】まず私(大臣)から、タイ、ベトナム、そして台湾へのワクチンの供与についてであります。
 9月の上旬にタイ、ベトナム、及び台湾に合計44万回分のアストラゼネカ社製ワクチンを供与することを決定をいたしました。今回のワクチンの供与は、現地における感染状況、医療体制、ワクチン接種状況に加えて、在留邦人の接種ニーズや要望等を踏まえて、総合的に判断した上で実施をするものであります。
 現在、タイ、ベトナム、及び台湾では、現地に在留する邦人も含めたワクチンの接種が行われておりますが、今回のワクチンの供与によりまして、接種を希望する在留邦人や現地の方々へのワクチン接種が、更に進むことを期待いたしております。私(大臣)からは以上です。

北方領土問題

【朝日新聞 佐藤記者】日露関係についてお伺いします。ロシアのプーチン大統領は、かねて、北方領土での日露共同経済活動について、ユニークで前例のない提案があると発言しておりますけれども、今、ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムで、提案の具体的な内容が示される可能性があるというふうに報道されています。双方の法的立場を害さないという日露両政府の合意と相容れない内容が示されるというふうに見込まれますけれども、ロシア側の動きに対する大臣のお考えと、共同経済活動に関する今後のご対応をお伺いしたいと思います。

【茂木外務大臣】日本側の立場と相容れない、そういった提案がなされるということについて決定されたとか、日本側に対して、何らかそういう通報があったと、こういったことはございません。
 共同経済活動については、双方の法的な立場を害することなく実施することで一致をしているわけであります。我が国としては、そのような形での共同経済活動の実施に向けて、今後ともロシア側との協議を建設的に行っていくと、こういう考えであります。

アフガニスタン情勢(邦人等の退避)

【TBS 金平記者】TBSの報道特集の金平と申します。アフガニスタンの、政権崩壊に伴う邦人保護と、それから現地職員及び家族の保護についての政府の対応、外務省としての対応についてお伺いしたいのですが。自衛隊機の派遣については、大臣がもう既に8月31日の会見で、決して遅かったとは思わないというふうにお答えになっているということなんですが、その後も、与野党、何よりも国民の側から遅かったんじゃないかというような、問題視する声というのは、まだ今のところ消えてないという現状があります。
 もう一つは、運び出した家族、及び、そのごめんなさい、邦人及び数、その数についても、少ないんじゃないかというような見方が残っているのは、事実だと思うんですね。大使館の現地スタッフが、今のところまだかなり残っていらっしゃるという現実がありますですよね。
 今回、国外退避をさせられなかった最大の原因というのは、何だというふうに大臣はお考えになっていらっしゃいますか。他の国、例えばフランスなんかでは、現地スタッフについては、かなり早い段階で、ビザを発給して、退避を促していた例があるというふうに、もちろんそうじゃない国もありますけれども、日本がそういうことができなかった理由ですね、そういうことについても含めてお伺いします。

【茂木外務大臣】これはアフガニスタンに限らず、海外に在留する邦人の方々、更に関係する方々の安全の確保であったりとか、更には出国を希望する方に対して、安全に出国をしてもらうと、こういったことは、外務省にとって最も重要な責務の一つだと考えておりまして、例えば昨年1月、武漢で新型コロナが発生をしたと、その時800人を超える邦人、またそのご家族の方が、中国の武漢、そして湖南省にいらしたと、そのときに、いち早くチャーター機を派遣したのは日本であります。
 ですから、日本だけが上手くいったと、こういうふうなつもりありませんけれど、それぞれの置かれている状況によって、どういう対応策をとるか、これは変わってくると思います。
 例えば、フランスだけではなくて、NATOの国々、これは実際にアフガニスタン、カブールに軍がおりました。このカブールの陥落前から。そういった意味で、軍を中心にしたオペレーションというのは非常に早く始められると、こういう状況にあったということで、全てが同列には捉えられない、こういう部分はあると思います。
 いずれにしても、邦人、そしてまた関係者の安全の確保、更には希望する方々の退避の支援、これは引き続き最大限重要な責務だと考えております。
 難しいのは、では、カブールがたった11日で陥落をしてしまう、そういったことを予想された方というのは、非常に少なかったんじゃないかな、バイデン政権も含めてであります。更には8月26日に、空港周辺で170人、これを巻き込むテロ事件が発生すると、テロの危険というのはありましたが、具体的にこの日に、何時に発生するということを予測するというのは不可能だったと思います、私(大臣)は。
 日本として、米軍の撤退の期限というのは分かっておりました。そこの中で、どのような時期に、どのような方法で退避をしてもらうのが、最も安全で迅速であるか、こういったことを考えたオペレーションを行ってきましたが、結果的には邦人の方については、もう8月の下旬の時点では、かなりカブール、アフガニスタンに残っている方は少数でありました。そして、その全ての方について、すぐの出国を希望するかというお問い合わせもさせていただきました。一度だけではなくて、何度か、切迫する状況の中で、なかなか9月に入ると難しいですよ、こういう話もさせていただいて、そこの中で希望される方は1名でありました。その1名の方については、自衛隊機を使って出国というのができたわけであります。
 残念ながら、現地の職員の方、JICAの関係者の方、多く残っております。引き続き、一番安全な、迅速な形での退避の支援、これは続けていきたいと思っております。
 振り返ってみて、26日に、ああいう事件が起きなければという思いはありますけれど、残念ながらあのテロ事件が起きて、市中、更にはタリバーンの検問所、相当な混乱が起こる中で、そのままオペレーションを続けることは危険であったと、私(大臣)は今でも思っております。残念ながら、そういった形で8月中というか期限内に退出が出来ていない。まだ多くの大使館現地職員、更にはJICAの関係者等の方が残っているというのは事実でありますから、これにつきましては引き続き、どういった方法が一番安全なのか、またどういった方法が一番早いのか、こういったこともしっかり考えながら、支援策を検討していきたいと思っています。

外国人留学生の日本への入国

【ラジオ・フランス 西村記者】水際対策についての質問をさせていただきます。最近、大勢の外国人の選手やアーティストが来日できましたが、留学生は、まだ入国できません。その理由は何ですか。

【茂木外務大臣】日本は新型コロナの影響を受けまして、全ての国・地域からの外国人の新規入国受入れは、一時停止をいたしております。その上で、入国に緊急性、そして公共性がある場合には、十分な防疫措置を講じることを前提に、個別に入国を認める判断をしてきているわけであります。芸術関係者等々の方もそれに当たると。外国人留学生の受入れにつきましては、日本の大学の国際化であったり、教育・研究力を向上させる観点から、重要であると考えておりまして、国内外の感染状況、どうなっていくかとこういったことを踏まえて検討していきたいと思っております。

【ラジオフランス 西村記者】アーティストの緊急性というのは、ちょっと理解しにくいと思いますが、例えば1年間のアーティストのプロジェクトは、留学生が大学に入学するよりも、何故それは緊急性があると判断しましたか。

【茂木外務大臣】違いまして、スポーツ選手、学術関係者というお名前を出されたので申し上げたので、芸術関係者、アーティストは全部良いと言っているわけではありません。例えば、アーティストの中でも、先ほど言ったように、入国に緊急性・公共性がある場合には認めていると、個々のケースにということで申し上げております。

アフガニスタン情勢(邦人等の退避)

【TBS 金平記者】ごめんなさい、先ほどのフォローアップですけども。そうしますと、今現在も、大使館の関係者が現地にとどまっていて、他の国と比べて、例えば14人でしたですね、米国から要請があった。14という数と他の国を比べてみて、何故少ないのか。例えば韓国なんて、もっと多いですよね。もっともっと桁違いに多い国もありますけれども、それはさっきおっしゃったような、8月26日のテロというのは同じように、みんな、他の国も阻害要因としてあったわけですから、なぜ日本に限って少なかったのか。これ、非常に平たい言葉で言いますとね、国民感情から言うと、大使館で働いてた人たちに対して冷たいんじゃないかと、プライオリティがあるというのはもちろん分かりますよ、邦人保護と、それから関係者の保護というのは、もちろんプライオリティがあるというのはもちろん分かりますけれども、他の国と比べた場合に、結果的に何故こうなったのかということについての国民の理解というのは、得られるというふうにお考えなんでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、米国等におきましては、まだ米国籍の方、こういった方もアフガニスタンに残っております。このことはご存じですよね。
 まず、邦人保護とそれに最優先で取り組むということは、これまでもやってまいりました。今回のアフガンに限らず、そういった中で、少なくとも希望される邦人、結果的に1人でしたが、そのことについては、安全な出国というのができたわけであります。残っている大使館の現地関係者、JICAの関係者の方々、他国もいろいろな方々がいらっしゃいます。人数的にもっと多くの方が残っている国もあります。逆に、多くの方が出国された国もあります。それは、個々の状況であったりとか、そこでとった対応策、例えば、実際にそこに軍が既にいたかとか、オペレーションできる状態であったかとか。更には、どういうルートをとって空港に向かっていくかと、それが完全に安全な方法だったか、そうではなかった、いろいろそれは判断があると思います、そこについては。かなりの危険を伴いながらも、出国を実施した、結果的にうまくいったということについて、結果的にうまくいけば、すべて良いということではなくて、本当にそれが安全だったかどうかと、最も迅速なタイミングであったかどうか、それは個々の事例ごとに検証する必要があると思っております。
 ただ、少なくても、今、大使館の現地職員、そしてJICAの方々、まだ多く残ってらっしゃるわけですから、その安全確保、更には希望される方の出国につきましては、引き続き様々な形での支援策というのを検討していきたいと思っております。

アフガニスタン情勢(タリバーン政権との関係構築)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】タリバーンは、日本と外交を開きたいという意思を示しております。日本独自の判断でアフガニスタンのタリバーンを正当な政権として承認するのか、それとも米国などの姿勢に追随するようになるんでしょうか。今後のアフガン内の邦人、及び退避を希望する日本への協力者の保護や救援などはどのようになっていますでしょうか。意思疎通や関係構築についてお伺いしたいです。

【茂木外務大臣】今後のアフガンの情勢を見ていく上で、出国を希望される方が安全に通行できると、また国内の治安状況がどうなっていくか、そして、恐らくタリバーンが新政権を作る、この新政権において、どういった政策が取られていくのか、かつての、イスラムの非常に厳格な体制に戻ってしまうのか、それとも、タリバーンが今言っているような国際社会の期待に応えるような、女性であったりとか、小さな女児、こういった人も含めた人権等が更に尊重される、自由が尊重される、こういう社会になっていくのかと、これはまさに、言葉ではなくて、行動を見なければいけない。実際のタリバーンの行動を見て判断していきたいと思っております。

自民党総裁選挙

【朝日新聞 佐藤記者】たびたびすいません。話題が変わりまして、今度の自民党総裁選についてお伺いします。昨日の派閥会合では、派としての対応についてまとまった対応が重要であるというふうにご説明いただいたと思うんですけれども、改めて大臣ご自身は、菅総理を支持するお考えかどうか、またその理由も併せて伺えればと思います。

【茂木外務大臣】現職の閣僚です。