環境省・新着情報
令和3年9月28日
保健対策
令和2年度 大気中水銀バックグラウンド濃度等のモニタリング調査結果について
環境省では、国内外の水銀対策に資するため、国内の発生源による影響を直接受けにくい地点(バックグラウンド地点)である沖縄県辺戸岬及び秋田県男鹿半島において、水銀の大気中濃度等のモニタリング調査を実施しています。 令和2年度の調査においては、辺戸岬及び男鹿半島における大気中水銀濃度及び降水中水銀濃度は、指針値等を十分下回るとともに、これまでの調査結果と大きな乖離はありませんでした。 また、辺戸岬では、水銀以外の大気中金属濃度についても調査を行ったところ、指針値が設定されている金属元素については、その指針値を十分下回る値でした。
1.調査の概要
測定は、沖縄県辺戸岬(国立研究開発法人 国立環境研究所 辺戸岬 大気・エアロゾル観測ステーション)と秋田県男鹿半島(秋田県船川測定局隣接地)で行っています。
対象物質は、大気中にガス状で存在する金属水銀、酸化態水銀、及び粒子状水銀の濃度と、降水中の総水銀濃度です。辺戸岬では、水銀の発生源・挙動等を解析するため、大気中粒子状物質中の水銀以外の金属類等(有害17成分、指標6成分)の濃度の測定も行っています。
2.測定結果の概要
(1)大気中水銀濃度
大気中の形態別水銀の合計の年平均値は辺戸岬において1.7 ng/m3、男鹿半島において1.6 ng/m3であり、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値。年平均値40 ng/m3)を十分下回る値でした。
なお、大気中の水銀は、そのほとんどが金属水銀であり、酸化態水銀及び粒子状水銀の占める割合は平均で1%未満でした(別添表4及び別添表6参照)。
また、辺戸岬における形態別水銀の合計の濃度及び形態別の水銀濃度の年平均値は、昨年度とおおむね同等の値で、平成25年度以降はおおむね横ばいで推移しております(表 1及び別添表5参照)。
表 1 辺戸岬における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3 [注1])
測定項目 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
令和 |
金属水銀 |
2.1 |
2.0 |
1.7 |
1.7 |
1.6 |
1.7 |
1.6 |
1.6 |
1.7 |
1.7 |
酸化態水銀 |
0.002 |
0.001 |
0.002 |
0.002 |
0.001 |
0.002 |
0.002 |
0.002 |
0.002 |
0.002 |
粒子状水銀 |
0.002 |
0.002 |
0.004 |
0.004 |
0.002 |
0.003 |
0.002 |
0.002 |
0.002 |
0.002 |
合計 |
2.1 |
2.0 |
1.7 |
1.7 |
1.7 |
1.7 |
1.6 |
1.6 |
1.7 |
1.7 |
男鹿半島における形態別水銀の合計の濃度及び金属水銀、酸化態水銀の濃度の年平均値は、過年度とおおむね同等ですが、粒子状水銀の濃度は若干高い値となりました(表 2及び別添表7参照)。
表 2 男鹿半島における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3)
測定項目 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
令和 |
金属水銀 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.5 |
1.6 |
酸化態水銀 |
0.002 |
0.003 |
0.002 |
0.003 |
0.003 |
0.002 |
0.003 |
粒子状水銀 |
0.009 |
0.009 |
0.011 |
0.009 |
0.008 |
0.006 |
0.012 |
合計 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
1.5 |
1.6 |
※ 平成26年度については、測定を開始した8月8日以降のデータを用いて平均値を算出。
(2)降水中水銀濃度
降水中の水銀濃度の年平均値は辺戸岬において5.0 ng/L、男鹿半島において7.9 ng/Lで、辺戸岬は過年度の測定値の範囲内でしたが、男鹿半島は過年度と比較して若干高い値となりました。
表 3 辺戸岬と男鹿半島における降水中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/L)
測定地点 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
令和 |
辺戸岬 |
6.6 |
4.8 |
3.9 |
5.6 |
5.0 |
男鹿半島 |
6.3 |
5.7 |
6.0 |
6.0 |
7.9 |
(3)大気中粒子状物質における水銀以外の金属元素の濃度
辺戸岬におけるクロム、マンガン、ニッケル、ヒ素、カドミウム及び鉛の令和2年度の年平均値はそれぞれ4.3 ng/m3、4.2 ng/m3、1.0 ng/m3、0.61 ng/m3、0.067 ng/m3及び1.8 ng/m3でした(表4参照)。環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値が定められている物質については、同指針値(年平均値 マンガン140 ng/m3、ニッケル25 ng/m3、ヒ素6 ng/m3)を十分下回る値でした。
ヒ素、カドミウム及び鉛については測定開始以来の最低値となりました。一方、クロムについては測定開始以来の最高値となりました。
表4 辺戸岬における粒子状物質中の金属類の濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3 [注2])
測定項目 |
指針値 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
平成 |
令和 |
クロム |
- |
0.87 |
1.3 |
1.2 |
1.4 |
0.69 |
0.65 |
0.91 |
1.8 |
2.1 |
4.3 |
マンガン |
140 |
4.6 |
7.4 |
4.9 |
6.6 |
3.7 |
2.9 |
4.0 |
4.9 |
3.7 |
4.2 |
ニッケル |
25 |
0.99 |
1.1 |
1.8 |
1.5 |
1.1 |
0.74 |
0.98 |
0.97 |
0.86 |
1.0 |
ヒ素 |
6 |
0.76 |
0.99 |
0.98 |
1.1 |
0.74 |
0.73 |
0.73 |
0.70 |
0.66 |
0.61 |
カドミウム |
- |
0.12 |
0.17 |
0.19 |
0.20 |
0.13 |
0.13 |
0.11 |
0.096 |
0.083 |
0.067 |
鉛 |
- |
5.0 |
7.3 |
6.9 |
6.5 |
3.4 |
3.1 |
2.9 |
2.7 |
2.1 |
1.8 |
[注1] 水銀及びその化合物を水銀の量に換算した濃度を示す。表2及び表3も表1に同じ。
[注2] 当該金属及びその化合物を当該金属の量に換算した濃度を示す。
添付資料
令和2年度 大気中水銀バックグラウンド濃度等のモニタリング調査結果について(別添) [PDF 3.6 MB]
関連情報
過去の報道発表資料
令和2年10月2日
平成31年度 大気中水銀バックグラウンド濃度等のモニタリング調査結果について
連絡先
環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課水銀対策推進室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8260
室長 吉崎 仁志 (内線 6353)
主査 黒田 一樹 (内線 6368)
担当 小塚 翔平 (内線 6356)