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令和3年10月26日

 日本とウルグアイは、110年以上前に日本人がウルグアイに初めて移住したことを契機として、長年にわたり友好的な関係を築いてきました。2021年は、日ウルグアイ外交関係樹立100周年に当たる節目の年です。この機会に、魅力あふれるウルグアイという国について改めて紹介し、政治・経済・文化など様々な分野において交流を深めてきた日本とウルグアイの絆について解説します。

小さくてもキラリと光る 成熟した民主主義国家

(画像1)南米の地図の中におけるウルグア位置位置 南米におけるウルグアイ
(画像2)ウルグアイ国旗とウルグアイ国章の画像

 ウルグアイは地球上、日本の真裏に位置する共和制国家です。北と東はブラジル、西はアルゼンチンと国境を接しており、正式名称「ウルグアイ東方共和国」は、アルゼンチンとの国境にあるウルグアイ川の東側に位置することに由来しています。
 農牧に適した肥沃な土地が国土の8割近くを占めることから、ブラジルとアルゼンチンの間で長年係争の地となっていましたが、1828年、英国の仲介により独立が承認され、1830年7月18日には憲法が発布、ウルグアイは完全な独立共和国として発足しました。

 ウルグアイを一言で表すならば、「小さくてもキラリと光る国」といえるでしょう。国土面積は日本の約半分(約17.6万平方キロメートル)、人口は横浜市よりも少なく(約347万人)、規模は小さいですが、中南米の中で政治的・社会的・経済的に最も安定した国の一つです。このことは、民主主義指数(Economist Intelligence Unit)、法治指数(World Justice Project)ともに中南米第一位、国民一人当たりGDP南米第一位(15,438ドル)といった数字に表れています。二つの大国に挟まれながら独立を達成し、成熟した国家に成長したウルグアイは、平等や正義を象徴する天秤、力を象徴するモンテビデオにあるセロの丘、自由を象徴する馬、豊かさを象徴する牛がデザインされている国章をまさに具現化した国といえます。

人よりも牛が多い農牧国

(写真1)放牧された牛たちの様子 放牧の様子
(写真2)「アサード」と呼ばれる野外バーベキューを楽しむ人たちの様子 休日のアサード

 ウルグアイの経済を支える主な産業は農牧林業で、特に牧畜が盛んです。人よりも牛や羊の数の方が遥かに多く、人口約347万人に対し牛は3倍以上の1,188万頭、羊は2倍近い634万頭が飼育されています。ウルグアイは世界で最も牛肉を食べる国の一つで、国民一人当たりの年間牛肉消費量は45.7キログラムと、なんと日本人(6.5キログラム)の7倍以上です。一般的に「アサード」と呼ばれる野外バーベキューが盛んで、ウルグアイのほとんどの家庭にはアサード用の設備があり、休日には親族が集まりアサードを食べるのが国民の習慣となっています。

(写真3)バスケス・ウルグアイ大統領(当時)と握手をする安倍総理大臣(当時)の様子 バスケス・ウルグアイ大統領(当時)と握手をする
安倍総理大臣(当時) (写真提供:内閣広報室)

 ウルグアイ産の牛肉は世界に向けて輸出されていますが、2000年の口蹄疫発生以降、日本への輸出は長年停止されていました。また、日本産の牛肉のウルグアイへの輸出も、長らく実現していませんでした。
 しかし、2018年12月に安倍総理(当時)が日本の総理として初めてウルグアイを訪問した際に行われた首脳会談をきっかけに、2019年、両国間で牛肉の相互輸出が解禁され、日本人もウルグアイ人も、和牛とウルグアイ産牛肉の両方を味わえることになりました。日本では、複数の大手ステーキチェーンやスーパーがウルグアイ産牛肉を扱っており、皆さんのお近くのスーパーでも、棚を眺めればウルグアイ産の牛肉が見つかるかもしれません。

再エネ率95%以上!クリーンエネルギー先進国

 ウルグアイでは石油、石炭、天然ガスが産出されないため、長らく国内資源による発電の大半は水力に限られていました。このため、干ばつに伴う水不足により、エネルギー需給のひっ迫、火力発電所の稼働率上昇によるCO2排出量の増加といった問題が生じていました。
 ウルグアイ政府はこうした問題を解決すべく、風力、太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギーの導入による電力供給を積極的に推進し、その結果、今では風力42%、水力30%、バイオマス21%、太陽光3%と、電力供給源の96%を再生可能エネルギーが占めています。最近では、水素エネルギーの活用も注目されており、再生可能エネルギー分野の先進国として知られています。

(写真4)太陽に向かって設置されたソーラーパネルの様子 太陽光発電施設「ひかり」

 ウルグアイのこの分野における躍進には日本も貢献しており、例えば日本の無償資金協力により、サルト県では2013年にウルグアイ初の太陽光発電施設「ひかり」が設置されたほか、2019年にはラバジェハ県にも太陽光発電所が設置されました。日本は今後も、ウルグアイの持続可能な発展に資する関連分野の取組を後押しし、廃棄物管理や水質汚濁対策など、その他の環境・気候変動分野への支援も実施する方針です。

日本でも選手がプレー!ウルグアイのサッカー

(写真5)ゴンサロ・ゴンザレス選手がサッカーのプレイをしている様子 ゴンサロ・ゴンザレス選手
(写真6)留学時代、在ウルグアイ日本国大使館職員がサッカーのユニフォームを着て写真に写っている当時の写真 在ウルグアイ日本国大使館職員の留学時代

 第1回ワールドカップ開催国であり、この大会と1950年のブラジル大会で優勝経験がある伝統的なサッカー強豪国ウルグアイ。2021年10月19日現在、F I F Aランキングは12位で、ルイス・スアレス選手やエディンソン・カバーニ選手など世界的に有名な選手を輩出しており、ウルグアイといえばサッカーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
 サッカーを通じた日本とウルグアイの結びつきは強く、過去には2010年ワールドカップでM V P(最優秀選手)賞を獲得したウルグアイ出身のディエゴ・フォルラン選手がJリーグのセレッソ大阪でプレーしたほか、同じくウルグアイ出身のゴンサロ・ゴンザレス選手が2021年10月現在、アルビレックス新潟に所属しています。また、サッカー留学としてウルグアイに修行に行く日本人選手も多く、現在は大使館職員として働く方や日本食レストランを経営する方など、中にはそのままウルグアイで暮らしている方もおり、こうした人的交流を通じて日本とウルグアイの国民間の相互理解が深まっています。

友好と親善の礎  ウルグアイの日系人

(写真7)花卉栽培に勤しむ日系人家族の様子 花卉栽培に勤しむ日系人家族

 日本は、このように魅力あふれるウルグアイと様々な分野で交流・協力を重ねてきましたが、その礎となったのは、日系人の方々の存在です。ウルグアイへの日系人の移住は、1908年に始まりました。ウルグアイへの移住者のほとんどは、ブラジル、アルゼンチン及びパラグアイからの再移住者であり、日本からの集団移民が行われなかったことから特定の移住地はありませんが、移住者の多くは花卉栽培に従事し、ウルグアイの花作りにおいて中心的役割を果たしてきました。

(写真8)日本祭りでの武道のデモンストレーションを行う様子 日本祭りでの武道デモンストレーション(2019年)
(写真9)池に泳ぐ鯉、咲き乱れるツツジなど、日本庭園の様子 首都モンテビデオの日本庭園

 ウルグアイに住む日系人は現在約470人で、花卉栽培のほか、医師、公務員、実業家などとして多方面で活躍しています。また、在ウルグアイ日本人会(Asociación Japonesa en el Uruguay: AJU)は現地唯一の日系団体として、武道教室、和太鼓教室などを実施し、日本文化の普及活動を活発に行っています。他にも、外交関係樹立80周年を記念して2001年に建設された日本庭園では毎年「日本祭り」が開催されるなど、日系人を中心とした活動を通じて、ウルグアイでは日本という国や日本の文化が広く親しまれています。

困難を共に 協力の歴史

(写真10)木材強度測定機器が置かれる施設の様子 JICAの協力で完成したモンテビデオ県の 木材強度測定機器
(写真11)太陽光木材乾燥施設の外観の様子 JICAの協力で建設したタクアレンボ県の 太陽光木材乾燥施設

 日本とウルグアイは、協力して困難を乗り越え、共に発展してきました。
 例えば、日本はウルグアイの最大の資源である人材の育成に貢献すべく、国際協力機構(JICA)の技術協力を通じ、林業や農業、河川の水質管理を中心とした幅広い分野において、研修生の受入れや日本人専門家の派遣を行ってきました。特に、今やウルグアイの基幹産業である林業分野に対しては、日本はその萌芽期であった1980年代から約20年にわたり技術協力を実施しており、ウルグアイの持続可能な林業開発や林産工業の基礎作り・発展に貢献してきました。教育や医療分野などについても、日本の支援がウルグアイの隅々まで行き渡るよう、これまでに無償資金協力を実施してきました。

(写真12)「日本の皆様が元気になりますように」と温かいメッセージが書かれたコンビーフ缶の様子 ウルグアイから届いたコンビーフ

 日本が未曾有の災禍に襲われた東日本大震災の際は、ウルグアイ政府から、日本語で「日本の皆様が元気になりますように」と書かれた温かいメッセージを添えて、多数のコンビーフ缶が被災地に届けられました。また、2019年のラグビーワールドカップでは、震災復興のシンボルである釜石復興スタジアムでウルグアイ代表がフィジー代表と熱戦を繰り広げ、多くの方々を勇気付けました。

 このように、日本とウルグアイは、困難な時にこそ歩み寄り、絆を深めてきました。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在においても、世界的なパンデミックをともに乗り越えるべく、日本はウルグアイと協力する方針です。

次の100年へ 外交関係樹立100周年

(写真13)日ウルグアイ外交関係樹立100周年記念のロゴマーク 100周年記念ロゴマーク

 地理的には日本から最も遠い国がウルグアイですが、このように両国は長年にわたり様々な分野での交流を通じて、絆を深めてきました。
 日ウルグアイ外交関係樹立100周年である2021年には、これを記念して両国で様々な記念事業が企画・実施されています。例えば、日本では、日本郵便がウルグアイの象徴的な風景や文化を題材とした特殊切手を発行しており、このうちのデザインの4種は、外務省がウルグアイで題材を広く公募し、応募があった写真が原案として採用されています。また、ウルグアイでは、記念プロジェクトとして、日本国大使館の主導により様々な場所で桜の植樹が行われているほか、日本国大使館と先住民芸術博物館(MAPI)による「着物展別ウィンドウで開く」の開催、記念切手の発行が実現しました。
 日本とウルグアイは現在、自由、人権、法の支配などの基本的価値を共有する民主主義国家として、また自由貿易の推進者として、互いにとってかけがえのないパートナーとなっています。これら100周年の記念事業を通じて、一層両国間の交流が深まることが期待されています。

(写真14)「日本ウルグアイ外交関係樹立100周年」の特殊切手 2021年9月24日発行
特殊切手「日本ウルグアイ外交関係樹立100周年」
(写真15)植樹する3人の男性の様子 ラ・パス市での植樹
(写真16)植樹後の記念におさまる人たちの様子 国家保健サービス機構(ASSE)での植樹後の一枚

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