財務省・新着情報
1日時 令和3年10月19日(火)13:27~15:10
2場所WEB会議(財務省第3特別会議室を含む)
3出席者(懇談会メンバー)
秋池玲子 |
ボストン・コンサルティング・グループ 日本共同代表 |
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秋山咲恵 |
株式会社サキコーポレーションファウンダー |
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江川 雅子 |
一橋大学大学院経営管理研究科 特任教授 |
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翁百合 |
株式会社日本総合研究所理事長 |
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角和夫 |
阪急電鉄株式会社代表取締役会長 |
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田中直毅 |
国際公共政策研究センター理事長 |
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田辺国昭 |
国立社会保障・人口問題研究所所長 |
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広瀬道明 |
東京ガス株式会社取締役会長 |
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山本清 |
鎌倉女子大学教授、東京大学名誉教授 |
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座長吉野直行 |
慶應義塾大学名誉教授、金融庁金融研究センター長 |
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(敬称略、五十音順) |
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(財務省) 矢野事務次官、新川官房長、住澤主税局長 |
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(国税庁) 大鹿長官、日置審議官、本多監督評価官室長 |
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(事務局) 水口政策立案総括審議官、伊藤政策評価室長 |
4議題
令和2事務年度国税庁実績評価書(案)について
5議事概要
事務局より議題について説明を行い、その後、メンバーから意見等を伺った。
メンバーからの政策評価に関する主な意見等は以下のとおり。
≪令和2事務年度国税庁実績評価書関係≫
全体
- コロナ禍の大変な中で、やむなく評価が下がっているものもあるが、全体として評価は公平で妥当である。
- 国税庁のような、前線での仕事を持つ組織において、コロナ禍であっても国税庁職員がいい仕事をし、評価を維持し続けたことは賞賛に値する。こうした地道な仕事こそが課税・徴収や財政の信頼に結び付くと思う。
- コロナ禍など環境の変化に応じて、最善の措置を取ったことに対しては、しっかりとプラス評価をすることが大切。このことが、職員一人一人の前向きな努力を鼓舞することに繋がると考える。
- 今回は新型コロナの影響の取扱いが論点であったが、初期目標値を維持しつつ、代替事務の実施などを踏まえ総合的に判断し、かつ、その理由をできるだけ明らかにした方法はよかったと考える。この点を含め今回の評価書は、マネジメントのツールとしても大変優れている。
- 評価書の書き方が非常に工夫されていて見やすくなった。
- デジタルを含めたコロナ禍での様々な工夫は、コロナ前に戻すのではなく、新たな仕事のやり方として取り込んでいくことも大事ではないか。
- 政策評価制度においては、評価結果も大事だが、目標の作成や評価を行うプロセスも非常に大事だと思っている。財務省・国税庁の政策評価プロセスはどのような考えで行われているのか。
実績目標(小)1-1(税務行政の適正な執行)
- デジタル庁が発足し、行政のデジタル化が加速していく中、納税者目線に立って国税と地方税の手続きがバラバラにならないよう、税務行政の執行面において国税庁のリーダーシップを発揮し、関係省庁への助言や協働をしてほしい。
- 国税庁の行政事務自体を大きく見直すことにより、デジタル化の効果も大きくなるのではないか。また、利用者の利便性の観点も踏まえ、デジタル化を進めていってほしい。
- マイナンバーカード利用については、e-Taxが一番の基盤になると考えている。e-Taxからスタートして、他の情報を含めデジタル処理できるものが増えていくことが、結果として、マイナンバーカードを保有することのより強いインセンティブに繋がるのではないか。
- マイナンバーカードの普及促進については、例えば、取得率の高い自治体の促進策を横展開すべきではないか。
- デジタルデータを活用し、また、デジタル庁と連携することで、税の捕捉が容易になり、ひいては格差の是正に繋がるのではないか。
業績目標1-2-1(広報・広聴活動等の充実)
- 税の啓発活動においては、むしろオンライン実施によるメリットもあるのではないか。コロナ前に戻るのではなく、税について気軽に視聴できる企画など、より多くの人に伝えていく啓発方法について工夫を進めてほしい。
- 租税の啓発活動に関する理解度・満足度について、高評価を得ている一方で、国税庁ホームページの税務大学校へのアクセス件数が減少傾向となっている。ホームページを改善する必要があるのではないか。
- 大学向けの租税教育の取組を強化してはどうか。消費税が全て社会保障に使われていることを知らない学生もいるため、教材に明記する等の方法を通じて教育してはどうか。
業績目標1-2-2(相談等への適切な対応)
- 従来より、税務行政に対する国民の信頼はかなり高く、コロナ禍でも維持されてきたと考えている。税務行政に対する信頼が、納税に対する国民の信頼感に繋がっていくので、この信頼感を今後も維持していただければと思っている。
業績目標1-2-3(電子申告等ICTを活用した申告・納税の推進)
- 例えば、相続税のe-Tax利用など、国税のデジタル化については、どこにネックがあるのかを把握し、一つずつ地道に改善を進めていってほしい。
- マイナンバーカード利用については、e-Taxが一番の基盤になると考えている。e-Taxからスタートして、他の情報を含めデジタル処理できるものが増えていくことが、結果として、マイナンバーカードを保有することのより強いインセンティブに繋がるのではないか。【再掲】
- 金融経済教育の事例を参考として、都道府県別のe-Tax利用率を公表することにより、e-Tax普及促進のインセンティブとする方法もあるのではないか。
業績目標1-3-1(適正申告の実現及び的確な調査・行政指導の実施)
- 税務調査や滞納整理などの業務を、非接触型に変えてどう実施するのか、コロナ禍において経験が蓄積できたのではないか。コロナ終息後も、このノウハウを活かせるように、記録を残していただきたい。
業績目標1-3-2(期限内収納の実現及び滞納の整理促進への取組)
- 税務調査や滞納整理などの業務を、非接触型に変えてどう実施するのか、コロナ禍において経験が蓄積できたのではないか。コロナ終息後も、このノウハウを活かせるように、記録を残していただきたい。【再掲】
- コロナ対応として、納税猶予と申告期限の延長対応に尽力されたと思うが、どれくらいの納税者がその措置を受けたのか、また、国税庁では、どの程度のマンパワーが必要だったのかについての情報があればありがたい。
実績目標(大)2(酒類業の健全な発達の促進)
- 酒類業の健全な発展の促進については、日本酒の海外人気が高まっているので、和食や観光との相乗効果も踏まえ、関係省庁と連携して、効果的に促進ができるように、引き続き取り組んでいただきたい。
≪その他≫
政策評価制度
- 政策評価制度においては、評価結果も大事だが、目標の作成や評価を行うプロセスも非常に大事だと思っている。財務省・国税庁の政策評価プロセスはどのような考えで行われているのか。【再掲】
財政・税制・経済運営等関係
- コロナ対策で必要な支援を行うため、また、グリーン、デジタルなどの分野で、財政が必要なことはわかるが、中長期的に見た財政などの在り方についても注目が集まっており、今後、議論が深まることを期待している。
- 骨太方針2021でプライマリーバランスの黒字化等について、今年、再度明記されたことは非常に良かったと思う。当面コロナ対策等はやむを得ないが、早期に償還の議論をスタートできるような準備をお願いしたい。
- 財政の危機感は高まってきている。現時点で財政再建・プライマリーバランスのことを言うのは非常に難しいとは思うが、引き続き財政再建の旗を掲げ、財務省として必要な発信を継続していくべきである。
- 科学技術などにおける国際競争力の低下、人口減少の改善が見られない中、カーボンニュートラルや防衛予算の増強要請を鑑みれば、今後において消費税の増税は避けられないと思われる。
- 税収を増やすためには新しい税制も必要でないか。デジタル課税だけでなく、環境問題を解決するための環境税など、検討を進めていただきたい。
- 構造的な財政赤字と、コロナのような一時的な大ショックによる財政赤字は区別して考えるべき。コロナ後でも、構造的な部分をきちんと見ながら新しい税も含め、全体を見て検討を進めていってほしい。
- 公金受取に関する銀行口座登録の義務付けについて、早急に検討いただきたい。新たなマイナポイントの付与により、口座登録のインセンティブとする方法もあるのではないか。
- 分配機能の実現には、マイナンバーが重要な役割を果たすと考える。マイナンバーカードの普及率が約4割となる中、マイナポイント等を使い、給付付税額控除に近い機能を果たすということも考えられるのではないか。
- 財政の観点から、一人一人の情報をデータとして把握し、必要な人に必要なだけの分配ができるような仕組みづくりが大変重要である。
- 多くの企業に、納税は社会貢献であり、SDGsの一つであるという意識を持ってもらうことも大事ではないか。
- ESG投資が急成長する中、経営への浸透を図る観点から、ESG連動型の役員報酬などの税制についても、更なる検討を行っていただきたい。
- コーポレートガバナンスにおいて、中核人材の多様性が重要とされる中、転職等人材の流動性が高まることを支援するような税制を検討いただきたい。
- イノベーション促進の取組みとして、スタートアップからの調達に対する税制優遇等を検討いただきたい。
以上