外務省・新着情報

令和3年10月27日
日ASEAN首脳会談1(写真提供:内閣広報室)
日ASEAN首脳会談2(写真提供:内閣広報室)

 10月27日、午前11時30分から約1時間、テレビ会議形式にて、第24回日ASEAN首脳会議(議長:ボルキア・ブルネイ国王陛下)が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

 ボルキア・ブルネイ国王陛下の冒頭発言の後、岸田総理大臣から冒頭発言を行い、ASEANと連携して「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取組を力強く推進する意向を述べた上で、特に、日ASEAN友好協力50周年となる2023年に、ASEAN各国首脳を日本に迎え、特別首脳会議を開催し、日ASEAN関係を新たなステージに引き上げる意向を表明しました。

2 新型コロナ対策支援

 続いて岸田総理大臣から、ASEANに対する日本の新型コロナ対策支援を以下のとおり紹介しました(対ASEAN新型コロナ対策支援ファクトシート(別添1)(PDF) 別ウィンドウで開く)。
 まず、新型コロナ対策について、ASEAN地域に1,600万回分以上のワクチンを供与するとともに、コールド・チェーン整備等のための「ラスト・ワン・マイル支援」を含む累計約320億円の無償資金協力を実施したことを紹介しました。
 また、日本はASEAN包括的復興枠組を強力に支援しており、各国の経済回復に寄与すべく、累計約1,950億円の無利子に近い財政支援円借款を実施していることを紹介しました。
 さらにASEAN感染症対策センターについては、ASEAN各国の公衆衛生担当者向けの研修開始に触れつつ、日本はセンターが地域の感染症対策の中核となるよう、全面的に支援していく意向を表明しました。

3 インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)

 さらに岸田総理大臣から、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」について以下のとおり述べました。

(1)まず、日本はASEAN中心性・一体性を一貫して強く支持しており、昨年の日ASEAN首脳会議の「AOIP協力に関する日ASEAN首脳共同声明」を指針とした、海洋協力、連結性、SDGs、経済という重点分野に沿った、具体的な協力を進めていると述べました。その上で、昨年の首脳会議に際して発表した49件の協力案件の進捗とともに、24件の追加案件を掲載した合計73件のプログレス・レポートについて紹介しました(AOIP協力プログレスレポート(別添2)(PDF)別ウィンドウで開く)。
(2)次に、ポストコロナも見据え、SDGsの達成にも資する気候変動、クリーンエネルギー、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを始めとした保健、防災に加え、デジタルトランスフォーメーション、質の高いインフラ投資、サプライチェーン強靱化といった幅広い分野で、さらに協力を強化していく意向を表明しました。
(3)さらに、日本は、カーボンニュートラルの実現に向け、国際社会を主導するとして、この会議では「日ASEAN気候変動アクション・アジェンダ2.0(別添3)(PDF)別ウィンドウで開く」を発表し、ASEAN各国との協力を推進していくと表明しました。また、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアチブ(AETI)」を含め、エネルギー移行のロードマップ策定、技術協力、人材育成等を通じ、ASEAN各国を包括的に支援する旨述べました。
(4)その上で、日本は戦略的パートナーとして、これからも、AOIPが掲げ、FOIPが共有する、開放性、透明性、包摂性、法の支配といった本質的な原則の強化に資する具体的な協力を着実に進めていく考えである旨述べました。


4 ASEAN各国から

 岸田総理大臣の冒頭発言の後、ASEAN各国から、岸田総理大臣の就任及び2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功裏の開催に祝意が述べられたほか、ワクチンを含む医療物資の供与や、ASEAN感染症対策センターの設立支援、財政支援を含む新型コロナ対策支援等について、日本のリーダーシップへの高い評価と謝意が表明されました。さらに日本のAOIP協力についての高い評価とともに、引き続きの緊密な協力への強い期待が表明されました。また、多くの国から、日ASEAN友好協力50周年となる2023年に、日本において特別首脳会議を開催するとの意向に対し支持が表明されました。

5 クローズド・セッション

 ASEAN各国からの発言の後、岸田総理大臣から、地域・国際情勢について、日本がASEAN各国と多くの点で考えを共有しているとした上で、概要以下のとおり発言しました。

(1)東シナ海・南シナ海

 インド太平洋を自由で開かれた平和な海とすることは共通の利益であると述べつつ、東シナ海・南シナ海を念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序に対する挑戦について、ASEAN各国と深刻な懸念を共有するとともに、強く反対する旨述べました。 各国からも、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性等について発言がありました。

(2)北朝鮮

 北朝鮮について、今月も弾道ミサイルを発射するなど、地域や国際社会の平和と安全を脅かしていると述べた上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べました。また、拉致問題の即時解決に向け、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
 各国からも、朝鮮半島の非核化の重要性等に関する発言があり、拉致問題の解決への支持が表明されました。

(3)ミャンマー情勢

 ミャンマー情勢については、日本は「5つのコンセンサス」をはじめASEANの取組を支持し、その速やかな履行を後押しする考えである旨述べました。また、ミャンマー側の建設的な対応を求めました。
 各国からも、「5つのコンセンサス」の迅速な実施及びミャンマー国民への人道支援の重要性について言及がありました。

6 結語

 岸田総理大臣から、ASEANが中心に位置するインド太平洋地域が、自由で、開かれ、平和で繁栄した地域であるよう、引き続き緊密に協力していく考えを述べました。


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