第24回ASEAN＋3（日中韓）首脳会議

　冒頭、岸田総理大臣から、以下のとおり述べました。
（1）第一に、ASEAN感染症対策センターについて、日本は引き続き、センターの詳細設計や、JICAを通じた研修や専門家派遣などを通して全面的に支援していく旨述べました。
（2）第二に、医療支援について、「新型コロナウイルス感染症ASEAN対応基金」への拠出に加え、医療物資・機材供与やコールドチェーン整備など、2億ドル以上の支援を更に進めていることを紹介しました。これに加え、日本は、人間の安全保障の理念の下、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向け、安全性、有効性、品質が確保されたワクチンを公平かつより多くの人々に届けることを全面的に支援し、これまでASEAN地域に1,600万回分以上のワクチン供与を行ってきている旨述べました。
（3）第三に、経済再生支援について、ASEAN各国への無利子に近い財政支援円借款の供与や、「対ASEAN海外投融資イニシアティブ」を通じた質の高いインフラ等への投資を拡大した旨述べました。また、「日ASEAN経済強靭化アクションプラン」の下、アジア・デジタル・トランスフォーメーション促進や、ASEANのサプライチェーン多元化支援などの事業が進展しており、重点分野に基づき、アクションプランを更に拡充させていく考えを説明しました。

　岸田総理大臣から、ASEAN＋3協力について以下のとおり発言しました。　
（1）食料安全保障
　ASEAN＋3緊急米備蓄による支援が新型コロナ対応に拡大されたことを歓迎し、その一層の活用のため、支援していく旨述べました。
（2）経済・金融
　（ア）　本年6月、日本はRCEP協定を締結したことを紹介し、RCEP協定の早期発効と完全な履行に向けて、各国とともに取り組んでいきたいとの考えを述べました。また、信頼性のある自由なデータ流通（DFFT）の具体化を推進していく旨述べました。
　（イ）原油価格上昇による世界経済への影響が懸念される中、増産を含め十分な供給を通じた国際原油市場の安定化に向けて、各国と連携していきたいと述べました。
　（ウ）チェンマイ・イニシアティブを更に強化する改訂契約書が、今年3月に発効したことを歓迎し、各国の継続的なコミットメントを期待する旨述べました。
（3）ASEAN＋3協力の今後の方向性
　「自由で開かれたインド太平洋（FOIP）」と本質的な原則を共有する「インド太平洋に関するASEANアウトルック（AOIP）」への日本の全面的支持を表明した上で、AOIPが掲げる原則及び重点分野に沿った協力を進めることは、インド太平洋地域の平和、安定及び繁栄のために極めて重要であると強調しました。

　これに対し、ASEAN側から、日中韓からのワクチンを含む医療物資の供与や、日本によるASEAN感染症対策センターの設立支援を含む新型コロナ対応への協力について謝意が表明されました。また、各国から、将来の公衆衛生上の危機に対応するための地域の医療品備蓄の構築や、ワクチンの開発研究・生産・調達における協力促進等への期待が表明されるとともに、ポストコロナの持続可能な回復に向けて、RCEP協定の早期発効を含め、地域の連携を一層推進する重要性を強調する発言がありました。

　岸田総理大臣から、北朝鮮について、今月も弾道ミサイルを発射するなど、地域や国際社会の平和と安全を脅かしていると述べた上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向け、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べました。また、岸田総理大臣から、拉致問題の即時解決に向け、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
　これに対し、複数国から、朝鮮半島の非核化の重要性等に関する発言がありました。

　岸田総理大臣から、日本は「5つのコンセンサス」をはじめASEANの取組を支持し、その速やかな履行を後押しする考えである旨述べました。また、ミャンマー側の建設的な対応を求める考えを述べました。