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令和3年11月1日
G20ローマサミットで発言する岸田総理 G20ローマ・サミット1
G20ローマサミットで発言する岸田総理 G20ローマ・サミット2

10月30日及び31日、イタリア・ローマにてG20ローマ・サミットが開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 総論
     G20首脳は、議長国イタリアが掲げた「人(People)」、「地球(Planet)」「繁栄(Prosperity)」という3つの優先課題の下、2日間にわたり、世界経済のより良い回復と持続的かつ包摂的な成長の実現に向け、新型コロナウイルス対策を含む保健、気候変動、開発等の重要課題について議論を行いました。
     議論の総括として、G20ローマ首脳宣言が発出されました。
     岸田文雄内閣総理大臣からは、これらの重要課題に関し、日本の取組やG20として連携を強化すべき点について発言し、議論に貢献しました。
  2. 各項目における日本からの主張
    (1)セッション1【世界経済、国際保健】
    ア 国際保健
    (ア)岸田総理大臣から、来年半ばまでに世界人口の7割に新型コロナウイルス感染症に対するワクチンを接種するという目標を支持する旨述べました。続いて、日本の新型コロナウイルス対策支援として、本年6月に主催したCOVAX(COVID-19 Vaccine Global Access)ワクチン・サミットにおいてCOVAXへの合計10億米ドルの支援を表明したこと、また合計6千万回を目処とするワクチンの現物供与及び59か国・地域へのコールドチェーン整備支援を決定し、これらを迅速に実施していることを紹介し、今後もG20が連携してワクチン普及に取り組むべき旨述べました。
    (イ)岸田総理大臣から、将来の健康危機に備えることの重要性を指摘し、保健・財務当局の国際的な連携、WHO改革を含む国際保健の枠組を強化し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向けて取り組む必要がある旨述べました。また、日本が12月に東京栄養サミットを開催することを紹介し、保健、食料など包括的な観点から世界の栄養不良の解決に貢献していく旨述べました。
    イ 世界経済
    (ア)岸田総理大臣から、自身の内閣では「成長と分配の好循環」を基本理念とし、人々の所得を増やし、誰もが経済成長の恩恵を実感できる「新しい資本主義」の実現を目指していく旨紹介しました。
    (イ)岸田総理大臣から、経済のデジタル化に対応する国際課税原則の見直しの合意を歓迎し、この歴史的成果の着実な実施に向け迅速に取り組んでいく旨述べました。また、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の理念の下、国際的なルール作りの議論を主導するとともに、国内においても、「デジタル田園都市国家構想」の下、地方からデジタルの実装を進め、都市部とのデジタル格差を是正していく旨述べました。
    (ウ)岸田総理大臣から、世界経済の回復にはG20原則に沿った「質の高いインフラ投資」が必要である旨強調するとともに、途上国の債務が増大する中、開発金融の公正性及び透明性、債務処理の迅速化等も重要となっている旨述べました。
    (エ)最後に、岸田総理大臣から、世界経済を考える上での重要課題でもある気候変動対策に関し、日本は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、削減目標を大幅に引き上げたNDC(2030年までの温室効果ガス国別削減目標)を提出した旨述べ、先進国全体で官民合わせて年間1000億ドルという資金目標が達成できるよう、先進各国がさらに努力することの重要性を強調しました。また、岸田総理大臣から、G20ローマ・サミットに続いて英国で行われる国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で成果を挙げるべく、G20で力を合わせようと呼びかけました。
    (2)セッション2【気候変動、環境】(岸田総理大臣の代理として鈴木外務審議官(G20シェルパ)が対面で出席し、発言。)
    ア 気候変動
    (ア)日本から、日本は、昨年2050年カーボン・ニュートラルを宣言し、今年、2013年度比での2030年度の削減目標を26%から46%に大幅に引き上げ、さらに50%の高みに向け挑戦を続けることを決定した旨述べました。また、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援を本年中に終了することも決定した旨紹介しました。その上で、エネルギー安全保障の観点から、安価なエネルギーの安定的な供給を確保しつつ、再生可能エネルギーの導入に最大限取り組み、イノベーションも喚起しながら、脱炭素社会の実現に向け、多様な道筋を追求する旨述べました。
    (イ)日本から、途上国への支援に関して、先進国全体で官民合わせて年間1000億ドルという資金目標が達成できるよう、先進各国がさらに努力することの重要性を強調しました。その上で、日本は特に気候変動の影響に脆弱な国に対する適応分野の支援を強化することとし、防災分野における基礎インフラの整備や、人材育成などの支援を進めていく旨述べました。また、世界の脱炭素化に向け、日本は二国間クレジット制度等も活用しながら、途上国を引き続き支援し、各国の事情に応じたクリーン・エネルギーへの移行や都市・地域の脱炭素インフラ整備を推進していく旨述べました。
    (ウ)日本から、世界の排出量の75%を占めるG20が一体として、気候危機に対処する強い意思を示し、COP26での有意義な成果に向けて機運を高めていこうと呼びかけました。
    イ 環境
    (ア)日本から、生物多様性を回復軌道に乗せるポスト2020生物多様性枠組の採択に向け、日本は積極的に貢献していく旨述べました。
    (イ)日本から、海洋プラスチックごみに関して、日本は大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けた取組を主導していく旨述べました。
    (3)セッション3【持続可能な開発】(岸田総理大臣の代理として鈴木外務審議官(G20シェルパ)が対面で出席し、発言。)
    ア 日本から、G20は、「誰一人取り残さない」との考え方に基づき、世界のより良い回復を主導していく必要がある旨強調しました。世界経済の回復に伴って途上国で開発金融への需要の拡大が見込まれる中、G20として、開発金融のあり方についても国際的な議論を主導していくことが重要である旨指摘しました。その上で、全ての主要な貸付国が、透明性、開放性、公正性、債務持続可能性、説明責任といった国際的なスタンダードを遵守する重要性を強調するとともに、それらを具体化する取組を続ける必要がある旨述べました。
    イ 日本から、中でもインフラに関しては、途上国の開発ニーズに応え、より良い回復を実現するために、大阪サミットで合意した「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の実施を促進していくことが非常に重要であると強調しました。
    ウ 日本から、途上国の債務が増大する中、債務の透明性を高め、債務処理を加速させることは、持続的な成長を実現するためにも急務である旨指摘し、債務支払猶予イニシアティブ(DSSI)を通じた具体的かつ実践的な取組を歓迎する旨述べました。また、チャド、エチオピア、ザンビアの債務への対応を含め、全ての債権国及び民間債権者が、「DSSI後の債務措置に係る共通枠組」に従い、透明性を高め、適切な措置を速やかに実施していく必要がある旨強調しました。

[参考1]G20ローマ・サミット
(1)日程

  • 10月30日(土曜日)

  第1セッション(ワーキング・ランチ)【世界経済、国際保健】

  • 10月31日(日曜日)

   第2セッション【気候変動、環境】
  第3セッション(ワーキング・ランチ)【持続可能な開発】
  閉会セッション

 

(2)参加国・国際機関
ア G20メンバー
  イタリア(議長国)、日本、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU
イ 招待国
  オランダ、シンガポール、スペイン、ブルネイ(ASEAN議長国)、ルワンダ(NEPAD議長国)、コンゴ民主共和国(AU議長国)
ウ 国際機関
  アフリカ連合委員会(AUC)、国連食糧農業機関(FAO)、金融安定化理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合(UN)、世界銀行(WBG)、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)

[参考2]別添
   G20ローマ首脳宣言(骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く


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