外務省・新着情報

冒頭発言

外務大臣としての総括

【茂木外務大臣】皆さんには2年間、大変お世話になりました。一昨年の9月に外務大臣に就任して2年間ですが、特にこの間、新型コロナの世界的拡大、ミャンマー情勢やアフガニスタン情勢等、国際社会、大きく変化をいたしました。対面での外交活動が制約される中でも、就任以来、200回近くに上るオンラインでの会談などを積み重ね、また、EPA交渉でのロンドン訪問から始まりまして、欧米、アジア、中東等52か国を訪問し、各国外相との間で個人的関係を築き上げ、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」を進めることができたと考えております。
 先程、ロンドンと言いましたのは、コロナが世界的拡大を見せて以降ということでありまして、最初の出張は、ニューヨークの国連総会でありました。この2年間、何といっても新型コロナ対策が最大の課題となったわけでありまして、中国武漢からの邦人帰国オペレーションから始まった在留邦人の帰国支援、外務省、そして在外公館一体となって取り組んで、これについてはうまくいったと考えております。また、COVAXワクチン・サミットを共催して、必要とされる資金、資金量を上回る額を確保出来たと、更に、東南アジアや太平洋島嶼国へのワクチンの供与、日本は世界で第三位、こういう実績まで来ました。
 更には日本独自の支援といいますか、ユニークな支援としての「ラスト・ワン・マイル支援」、こういったものを行い、日本の取組、これは国産のワクチンが未だにない、こういう状況にありながらも様々な面で国際社会から高く評価された、このように考えております。
 米国との関係では、ブリンケン国務長官との間で、電話会談5回を含みます9回の外相会談を実施しまして、確固たる信頼関係を築き、日本外交・安全保障の基軸であります日米同盟の強化に努めてきました。また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、3度の日米豪印、クワッドの外相会合、更に「自由で開かれたインド太平洋」についてはASEAN、欧州などとの関係国とも連携を深めることができたと思っております。
 更に、近隣諸国との安定的な関係構築に取り組むとともに、日米貿易協定、日EU・EPAに続いて、日英EPAやRCEPを締結するなど、自由で公正な経済圏の拡大に向けて、日本としてリーダーシップを発揮することができたと考えております。
 日本として様々な課題や機会を常に先取りをしながら、国際社会、国際秩序、ルール作りを主導していくとの思いで、仕事に取り組んで来たわけでありますが、結果として国際社会において、日本の存在感、これを高め、日本の立ち位置を強化する外交を展開できたと考えております。
 外務大臣として、極めて能力と使命感の高い仲間と、ワンチームで良い仕事ができたことを誇りに思っておりますし、一生の思い出であります。全ての省員に心から感謝をし、更に活躍してくれることを期待いたしております。記者クラブの皆さんにも、この間、大変お世話になりましたことを御礼申し上げます。私(茂木大臣)からは以上です。

COP26

【NHK 山本記者】COP26の首脳会合について伺いたいのですが、岸田総理は今朝、英国に向けて出発されましたけれども、この首脳会合でどういった成果を期待されているのか、また、バイ会談がいくつか行われるようですけれども、米国のバイデン大統領との会談というのは行われるのでしょうか。

【茂木外務大臣】COP26、昨日から英国のグラスゴーで開催されておりますが、このCOP26、国際社会全体として、気候変動対策への気運を高める重要な機会であると思っております。
 日本は、2050年のカーボン・ニュートラルの実現に向ける取組を強力に推進し、この取組と整合的かつ野心的な目標として、2030年度に温室効果ガス46%削減を目指して、更に50%の高みに向けて挑戦を続けていきます。こうした取組への実施についての発信、また、地球規模での気候変動対策について、途上国への支援等の取組を進めていくようであります。
 総理、総選挙が終わった翌日、今朝の6時に出発ということでありますけれど、COP26にあたっては、パリ協定の目標でもあります脱炭素化の実現に向けて、日本として国際社会を主導していくとの前向きなメッセージを発出する予定であります。こういった観点から、日本の首脳、おそらく各国とも、選挙が終わってすぐということは良く理解してくれていると思いますが、そういった中でも強行軍で、すぐにグラスゴーに駆けつける、そして、日本のコミットメント等々を発信するということは極めて意義のあることだと、こんなふうに思っているところであります。
 限られた時間でありますので、バイ会談などにつきましては、恐らく議長国英国のジョンソン首相をはじめ、本当に限られた人数になるのではないかなと思っております。日米、バイデン米大統領については、でき得れば時間をかけて、じっくり首脳会談を行うということが望ましいと考えております。会場、いろいろな会議がありますので、その合間とかに立ち話をするということは考えられると思いますけれども、今回その長い時間をかけてのバイ会談、これは特に調整を行っているわけではありません。

新型コロナウイルス(水際対策)

【ロイター通信 スウィフト記者】
(以下は英語にて発言)
 日本はワクチン・パスポートを使用していない数少ない主要国の一つで、未だに水際対策措置として長期にわたる隔離措置を課しています。日本国内及び海外の経済界は、同措置を緩和するよう日本政府に求めてきておりますが、日本として、水際対策措置を緩和し、主要貿易相手国の措置と同等のものにする予定や、そういった動きはありますでしょうか。

【茂木外務大臣】ワクチン証明書、陰性証明書を、完全な形で使っている国というのは、そんなに多くないと思っております。部分的に使っている国についてはあると思いますけれども、すべての活動について、そういったものを使っている国は、まだ限定されておりますが、いずれにしても、ワクチンの接種というのは、今、世界的に進展しておりますし、日本でも緊急事態宣言、これは解除されたわけでありまして、こういったことも含めて、入国者に対してどうするか、また、国内で様々なお店あったりとかイベントに、安心な形で参加できるための措置、そういった中で、ワクチン証明書であったりとか、また陰性証明書、これは安心を確保しながら経済活動を進めるという意味で重要だと思っておりまして、今後そういった措置も検討できればと、そんなふうに思っているところであります。

新型コロナウイルス(外国人留学生の入国再開)

【ラジオ・フランス 西村記者】2年間、お疲れ様でした。水際対策について質問させていただきます。いろいろな報道がありまして、今の措置を緩和することを政府が検討してるということがあって、特に留学生に対しては、どういった形で新規入国を考えていらっしゃるんでしょうか。条件とか順番とかありますでしょうか。

【茂木外務大臣】今も申し上げたように、ワクチンの接種の進展であったりとか、日本国内においても緊急事態宣言が解除される、そして、新規の感染者も100人を下回ると、こういうレベルにまでなってきている。もちろん今後の動向を見ていかなければなりませんが、こういったことを踏まえて、外国人留学生の受入れの再開であったりとか、入国者の待機期間の短縮を含めて、水際対策の緩和に向けた要望があるのは事実であります。
 政府としても、国内外の感染状況であったりとか、ワクチン接種の進展などを見極め、段階的に見直しを進めることにしております。両方ありまして、一つは入ってくる方の入国のニーズというか緊急性が、どこまで高いかということを考えなければならない、そしてもう一つは、入ってくる国において、どこまで、例えば感染が落ち着いているか、同時にワクチンの接種が進んでいるか、こういったことも踏まえながら柔軟に対応していきたいと思っております。

在外邦人の安全確保・退避

【NHK 渡辺記者】大臣、冒頭、ご発言ありましたけれども、武漢からの退避オペレーション、うまくいったというお話がありました。今回、直近ではアフガニスタンからの退避というのがありましたけれども、その後、多くの方がアフガニスタンから日本に来ていらっしゃいますけど、この一連の大臣がご経験された、邦人とか、退避のオペレーションということを指揮されてみて、感じたこと、うまくいったこと、それから今後の課題として何かあるんじゃないかと感じていらっしゃることがありましたらお願いします。

【茂木外務大臣】邦人の安全の確保、在外邦人の安全の確保、そして必要な場合の出国等の措置、これは外務省にとっても、最も重要な責務の一つであると考えております。そういった中で、武漢からの帰国のオペレーションであったりとか、アフガニスタンからの大使館員、JICA職員、更には現地で雇用していた職員、こういった人たちの帰国オペレーションを進めてきました。アフガンについても今進んできておりますが、これについては、まだ道半ばというところでありまして、これからも進めていきたいと思っております。
 危機管理、これは最悪の状況を想定するということが、基本にあると思います。同時に、今後どういうことが起こりうるかということで、早め早めの対応を打つということが重要でありまして、例えば武漢の場合も、かなり初期の段階で、現地からも、これ相当、ロックダウンもあり、武漢の中にいる邦人の救出というのは、時間と共にかなり難しくなるということで、かなり早めの決断というのをさせていただいたと、そういった意味で、早めの決断を行うと、同時にこれは、本省・在外含めて、しっかりした連携、ワンチームの下で、仕事をしていくということが重要でありまして、武漢のオペレーションの時も、ご案内のとおり、武漢に総領事館なかったわけですから、北京から陸路で大使館員が現地に行って、送り出しの準備をする等々、進めたわけでありますし、アフリカからのオペレーションにつきましても、各国、数人しかいないと、こういう邦人をどうして救出するかと、いろいろなシミュレーションを行う中で、アディスアベバに、一旦邦人の方に集まっていただいて、当時、唯一運航していた、エチオピア航空で無事に日本に帰国してもらうと、こういうオペレーションも非常に準備もしっかりしたと思いますし、やっぱり現場の職員が頑張ってくれたなと、こういう思いは非常に強く思っております。
 そういった経験を踏まえながら、想定外といいますか、いろんなことが起こりうると、それが現実の社会ですから、そういった中で、ベストの対応をとれるように、更に頑張っていきたいと思います。

在日米軍駐留経費交渉

【テレビ朝日 澤井記者】11月に入りまして、予算編成に向けて、1年の暫定延長になっている在日米軍の駐留経費の交渉というのも佳境に入ってくるかと思います。年内、近い内に「2+2」も控えているかと思うんですが、今回、これまで良好な日米関係を築かれてきた茂木大臣が交代されるということで、後任の大臣にはどういった方が適任で、また特にHNSの交渉にはどのような方針で臨まれることを望みますか。

【茂木外務大臣】後任の大臣がどういう方が適任であるかということについて、私(茂木大臣)、人事権者ではありませんので、そのご質問についてはコメントは控えたいと思いますが、ホストネーションサポートについては、暫定合意というか1年間の合意を行ったわけでありまして、2022年4月1日以降の新たな特別協定の合意に向けて、交渉を現在継続しているというというところでありまして、交渉に当たっては、これまでも申し上げてきましたが、二つの点、一つは一層厳しさを増す地域の安全保障環境にいかにしっかり対応していくか、もう一つは日本の財政状況の方も非常に厳しい、これを踏まえて、引き続き適切に対応していきたいと考えております。
 それから年内の「2+2」というのは、決まっているわけではありません。

岸田政権の外交政策

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 外務省には外国メディアを支援していただいており、大臣に感謝申し上げます。日曜日に自由民主党による連立政権が、国民の信任を得たことを受けてお聞きしますが、外交面で日本が直面し、喫緊の対応が求められている課題や脅威は何でしょうか。また、最近になって新型コロナウイルスの感染者数が減少しておりますが、今後対面での外交が増えていく、または必要になるとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】今回の総選挙にあたって、コロナからの回復はもちろんでありますが、様々な政策課題について議論が行われ、それが争点となった、その中には、当然、外交・安全保障、これも一つの大きな争点であったと考えております。
 そういった中で、岸田政権として大きな信任をいただいたというのは事実でありまして、これを踏まえて、よりしっかりした国民の安心・安全を守り、更には、我が国の領土・領海・領空を守り、更には日本の存在感と高める、こういった外交を展開していきたいと、そんなふうに考えております。

日露関係

【NHK 渡辺記者】日露関係のことをお伺いしたいと思います。大臣、ミュンヘンの安全保障会議の際に、新しいフェーズに入ったと、平和条約交渉につきまして、そうしたお話をされておりました。この間、積年の課題である北方領土問題の解決に向けて、大臣としてやって来られた、感じた難しさ、あるいは,今後、こういった方向に議論を持っていくべきなんじゃないか、大臣として、今考えていらっしゃる今後の展望、平和条約交渉の、その辺をお願いします。

【茂木外務大臣】日露平和条約交渉、これは70年以上にわたって、1ミリも動かない難しい問題であったと、この問題をどうにかしたいという思いで取組を進めてきました。
 一昨年の9月の、国連総会でのラヴロフ外相との最初の会談に始まりまして、12月にはモスクワを訪問して、2日間8時間にわたって、相当突っ込んだ議論を行うことができました。予定では、その後、2020年、19年に行ったわけですから、20年に、今度はラヴロフ外相に訪日をいただいて、その議論したこと、それを更に整理した上で議論を進めたい、そんなふうに思っておりますが、残念だったのは、コロナの影響で、なかなかそのタイミングを逸してしまったというところがありまして、一気に進めたいと思った部分が、少し時間がかかっているというのは事実だと思っておりますが、これまで進めてきた議論の積み重ねというのはありますので、そういったものも踏まえて、これは日露関係全体を発展させながら、この領土問題を解決して平和条約を締結すると、こういう基本方針の下で、次の外相にも粘り強く交渉を進めて欲しいと、こんなふうに思っています。

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