外務省・新着情報

令和3年11月9日

 11月9日、小野日子経済局長は、ファティ・ビロル国際エネルギー機関(IEA)事務局長(Dr. Fatih Birol, Executive Director of the International Energy Agency)との間で、電話会談を実施しました。

  1. 冒頭、小野経済局長から、新型コロナから世界的な経済回復が進む中、急激な原油価格の高騰はこれに水を差すものであり懸念している、我が国としても産油国との対話を行っているところであるが、エネルギー市場の安定化に向けて中心的な役割を果たすIEAとも緊密に連携していきたい旨述べました。
  2. これに対し、ビロル事務局長から、原油をはじめとするエネルギー市場を注視しており、IEAとしても加盟国・産油国と連携して市場の安定に向け取り組んでいく旨言及がありました。また、11月4日のOPECプラス閣僚会議の結果を受けた今後のエネルギー市場について、短期的には需給の逼迫は続くものの、年明けには需給バランスが改善し、徐々に市場が安定を取り戻すとのIEAの分析が示されました。
     更には、再生可能エネルギーへの転換が進む中でも、現実的には石油、天然ガスへの需要が急激に減少する訳ではなく、今後の需要を賄うために追加の投資が必要である旨述べました。両者は、原油をはじめとするエネルギー安全保障の強化のための連携を一層強化することで合意しました。なお、ビロル事務局長より、日本側関係者との意見交換のため、訪日の希望が示されました。
  3. また、両者は、COP26を踏まえた脱炭素化への取組の加速化についても意見交換し、カーボン・ニュートラル実現のためには再生可能エネルギーへの投資拡大が重要であると同時に、再生可能エネルギーの潜在力等の異なる各国の実情に応じた、現実的なタイムフレームに基づいた取組が重要との認識を共有しました。また、我が国の拠出によりIEAと実施している資源国におけるクリーン・エネルギー転換に向けた取組や、2022年2月に開催予定の閣僚理事会に向けて、率直な意見交換を行いました。

[参考1]国際エネルギー機関(IEA)
 第1次石油危機後の1974年に、キッシンジャー米国務長官(当時)の提唱を受けて、OECDの枠内における自律的な機関として設立された国際機関。石油供給途絶時の共同対応を主たる目的とするほか、近年は、エネルギー安全保障の確保、経済成長、環境保護、世界的なエンゲージメントにも取り組む。本部はフランスの首都パリに所在。

[参考2]ファティ・ビロル国際エネルギー機関(IEA)事務局長
 トルコ出身。IEAチーフ・エコノミスト兼グローバル・エネルギー経済局長を経て、2015年から現職。2013年に旭日中綬賞を受章。2021年に米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。


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