外務省・新着情報

冒頭発言

外務大臣としての抱負

【林外務大臣】外務大臣を拝命いたしました林芳正でございます。どうぞ宜しくお願いいたします。
 私(林大臣)は以前、防衛大臣、また参議院におきまして外交防衛委員長、また自民党におきまして外交経済連携調査会長、こういうものも務めておりまして、様々な機会を通じて、議員外交等も含めまして、各国との交流を進めてきたところでございます。今回、外務大臣を拝命しましたことは、大変光栄であり、身が引き締まる思いでございます。
 現在、国際社会は時代を画する変化の中にあります。これまで国際社会の平和と繁栄を支えてきました普遍的な価値、また国際秩序、こういったものに対する挑戦が厳しさを増しておりまして、また、経済的要因が安全保障を大きく左右するようになってきております。
 そうした中で、岸田総理が掲げられたとおり、先輩方の努力によって、この日本への信頼というものが得られてまいりました。これを基礎にして、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安定を守り抜く覚悟、そして人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟、こういった三つの「覚悟」をもって、外交を展開してまいりたいと、こういうふうに思っております。
 具体的には、まず、日本の外交・安保の基軸であります日米同盟を更に深化をさせまして、その抑止力・対処力を強化することが重要であるというふうに考えております。
 そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けました取組を引き続き力強く進めてまいりたいというふうに思っております。また、この法の支配を始めとする基本的価値や原則、これに基づきました自由で開かれた秩序の構築に向けて、米国、豪州、インド、ASEANや欧州、こういったところとの連携を一層強化しまして、国際社会を主導していきたいと、こういうふうに考えております。
 また、近隣諸国等との関係については、難しい問題に正面から毅然と対応しつつ、安定的な関係を築くべく取り組んでまいりたいと思っております。北朝鮮の拉致・核・ミサイル、こういった諸懸案にもしっかりと対応してまいりたいと思います。
 更に、新しい時代に対応したルール作りや国際秩序の構築に向けまして、経済外交に加えて、気候変動、コロナ、軍縮不拡散といった地球規模課題への対応に主導力を発揮いたしまして、国際社会での日本の存在感、これを高めてまいりたいと思っております。
 各国の外務大臣との間で信頼関係を構築しながら、これまで日本外交が積み上げてきた成果を土台にいたしまして、更なる日本外交のフロンティアを切り拓いていきたいと思います。私(林大臣)からは、冒頭、以上でございます。

日中関係

【朝日新聞 相原記者】大臣は超党派議連の日中議連の会長をして、訪中して、向こうでも中国共産党の要人との会談経験もおありですが、それについてパイプを期待する一方で、党内の保守派を中心に、かなり中国に対する姿勢について警戒する声もあるのは事実です。
 これについてどう思われるかということと、あと、軍事的に台頭する中国をどう抑止していくかということと経済的な結びつきが非常に強いという、その相反する関係について、中国について、今後どう日本外交として向き合っていく必要があるとお考えでしょうか。

【林外務大臣】日中関係は、日中双方にとってのみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄にとって、ますます重要になると思っております。日本としては、これは総理もおっしゃっておられますが、主張すべきは毅然として主張し、責任ある行動を求めると同時に、対話を続けて、共通の諸課題について協力をしていくと、こういう必要があるだろうというふうに思っております。
 先般、日中首脳電話会談で総理が述べられておりますが、そのようなものとして、日中間で建設的かつ安定的な関係、これを構築していくことが重要だと思っております。なお、今ご指摘のありました日中友好議連の会長についてでございますが、外務大臣としての職務遂行に当たって、無用の誤解を避けるために辞めるという判断をいたしたところでございます。

【NHK 青木記者】関連で伺います。無用の誤解を避けるためにとおっしゃいましたけれども、具体的には、どういう誤解が想定されて、どのような理由で、会長職というのをお辞めになる考えでしょうか。

【林外務大臣】今申し上げましたように、またご質問にもあったように、様々なご意見等が、間接的に報道等を通じて寄せられておるということを承知しておりますので、そういった誤解を避けるために、先ほど申し上げたような、辞めるという判断をいたしたところでございます。

【香港フェニックステレビ 李記者】今の関連ですけれども、なかなか岸田政権の対中姿勢というのが、具体的なものが見えてこないのですが、例えば、今おっしゃった建設的・安定的な関係というのは、具体的にどのような関係を指していらっしゃるのでしょうか。そして、来年、日中国交正常化50周年になりますが、日本側としては、どのように中国との関係を今後進めていきたいのか、そして中国の国家主席、習近平(しゅう・きんぺい)の訪日について、どのように進めていくのでしょうか。

【林外務大臣】中国は、既に世界第2位の経済大国となっております。様々な面で、その行動が、国際社会への影響力というのも増してきているというふうに思っております。中国が、国際社会のルールにのっとって、その責任を果たして、国際社会の期待に応えていくということが重要であるというふうに思っております。
 そういった意味で、先ほども申し上げましたけれども、この日中関係というのは、日中双方にとってのみならず、この地域及び国際社会の平和と繁栄にとって、ますます重要になってきていると、こういう認識を持っておるところでございます。
 従って、日本としては、中国に対して主張すべきは毅然として主張して、責任ある行動を求めるということ、まずそれをやりながら、同時に対話を続けて、共通の諸課題、これについて、しっかり協力をしていくと、これが基本的な考え方でございます。

【香港フェニックステレビ 李記者】習近平の訪日については。

【林外務大臣】そうですね。習近平国家主席の訪日についてでございますが、引き続き、この新型コロナを含めた状況を見極める必要があると考えておりますので、今は、具体的な日程調整をする段階にないというふうに考えております。

【産経新聞 杉本記者】関連して中国についてお伺いいたします。大臣、就任前に「私は、媚中派ではなくて、知中派である」と。知中派であることは役に立つ、といったような発言をされたかと思いますけれども、媚中派と知中派というのが、一体何が違うのか、ちょっと分かりにくいんですけれども、具体的に、どうだったら媚中派で、どうだったら知中派なのか、知中派であることの利益というかメリットは、どこら辺にあるのか、というお考えを伺ってもよろしいでしょうか。

【林外務大臣】その発言はおそらくテレビでの発言だというふうに思っておりますが、それは一議員としての発言でございますので、外務大臣としての発言ではないということを、まず申し上げておきたいと思っております。
 その上で、言葉の問題ですから、いろいろな定義があろうかと、こういうふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、これは総理も述べられておりますが、やはり中国に対して、主張すべきは毅然として主張するということ。そして、責任ある行動を求める、と申し上げましたけれども、知中派であっても、こういうことは私(林大臣)はできる、というふうに思っております。
 同時に、この対話を続けて、共通の諸課題について協力していくということを遂行していく上では、全く見も知らないというよりは、相手のことを良く知っているという方がいいのではないかというふうに思いますが、いずれにしても言葉の定義の問題ですので、その程度にとどめておきたいと思っております。

日米「2+2」

【読売新聞 阿部記者】いわゆる「2+2」についてお尋ねします。今年3月に行われて、次回は年内にも開催すべく準備しているところと思いますけれども、外務大臣として、どういう方針で臨みたいか、どういう点を確認したいか、現在の調整状況についてお伺いいたします。

【林外務大臣】まず調整状況でございますが、次回の「2+2」の具体的な日程については、まだ現時点で決まっておらないというのが状況でございます。
 そして、この3月の「2+2」で確認をしておりますが、日米同盟の抑止力、そして対処力、これの強化、また防衛協力の深化、こういったことなどについて、引き続き日米の外務防衛当局間で精力的に協議を行って、成果を確認していきたいというふうに考えております。

日韓関係

【韓国YTN 李記者】日本政府は、今まで慰安婦など懸案に関しまして、このまま問題を放置してはいけないと言いながらも、解決策は韓国が出すべきだという姿勢であります。
 日本政府は、今まで何の努力をしてきて、今からどんなふうに取り組むおつもりなのか、これを伺いたいと思います。そして、日本政府は受入れ可能な解決策を求めている訳ですけれども、具体的な条件は何なのでしょうか、お願いします。

【林外務大臣】日韓関係についてのお尋ねでございますが、北朝鮮への対応も含めまして、地域の安定にとって日韓、また米国を含めた日米韓、この連携は不可欠であるというふうに考えております。
 その上で、日韓関係は、今お話のありました旧朝鮮半島出身労働者問題や、いわゆる慰安婦問題よって、非常に厳しい状況にあるというふうに考えておりますが、このまま放置することはできないというふうに考えております。
 国と国との約束を守るということは、やはり国家間の関係の基本であるというふうに考えております。日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づいて、韓国側に適切な対応を強く求めていきたいというふうに思っております。
 旧朝鮮半島出身労働者問題につきましても、韓国側が日本側にとって受入れ可能な解決策、これを早期に示すように強く求めてまいりたいと思いますし、また、慰安婦訴訟判決につきましては、韓国が、国家として適切な措置を講ずること、これを強く求めていきたいというふうに思っております。

核の先行不使用

【中国新聞 樋口記者】冒頭の挨拶の核軍縮のところで決意を表明されましたけれども、昨日の松野官房長官の会見で、核兵器の先制不使用について、否定的な見解を示されています。これは、米国のオバマ政権の時に検討した際にも、外務省が否定的な意見を伝えられたということが報道されておりますけれども、現時点で、林大臣の、この核兵器の先制不使用についての考え、恐らく抑止力というところも関わってくると思うんですけれども、改めて被爆地では、やはりこの先制不使用というのは一定の意義があるんじゃないかという声が強いものですから、その辺をお願いします。

【林外務大臣】日米両国間では、日頃から安全保障・防衛協力、これに関連した様々な事項につきまして、緊密かつ幅広く意見交換を行っていると承知しておりますが、やり取りの中身、今後の対応の詳細については、まさに日本の安全保障に直結する事柄の性質もあって、また相手との関係もございますから、詳細を差し控えたいと思います。
 その上で、この核の先行不使用宣言というものですが、あくまでこれは一般論としてでございますけれども、この全ての核兵器国が、検証可能な形で、同時にこれを行わなければ、有意義ではないというふうに考えております。
 現在の安全保障環境において、やはり当事国の意図に関して、何ら検証の方途のない核の先行不使用の考え方に依存しまして、日本の安全保障に十全を期すと、これは困難ではないかというふうに考えております。

日韓関係

【聰合ニュース イ・セウォン記者】韓国と日本の関係についてお伺いします。2019年12月の安倍政権時代以降、両国の間で正式な首脳会談は開かれていません。そして、外務当局の間でも意思疎通がそんなに円滑に行われていないと見られます。外務大臣として、韓国との意思疎通、コミュニケーション、高位級レベルの会話をどういうふうに進めていくか、教えてください。

【林外務大臣】先ほども同趣旨のご質問があって、お答えしたとおりですが、更に、日韓関係、全般についての考え方ということで申し上げますと、韓国は重要な隣国であるということでございますので、非常に厳しい状況にある日韓関係をこのまま放置するわけにいかないというのが私(林大臣)の考え方でございます。同時に、これも先ほどの繰り返しになりますが、国と国との約束を守るということは、やはり、国家間の関係の基本であると考えております。日韓間の難しい問題について、韓国側には適切な対応を取ってもらう必要があるというふうに考えております。日韓関係を健全な関係に戻して、そして、その上で幅広い分野で協力すべく、外交当局間の協議や意思疎通、これを加速していきたいというふうに思っております。

日露関係(北方領土問題)

【北海道新聞 古田記者】北方領土関連についてお伺いします。元島民の平均年齢が86歳を超えて高齢化が進んでおり、早期解決を求める声は、日に日に強まっております。今後、どのような方針で、領土交渉や平和条約締結交渉に臨むお考えか教えてください。併せて、大臣自身のロシアとの関わり、キャリアの中であれば、ご紹介いただければと思います。

【林外務大臣】この我が国として日露関係を重視していく姿勢、これは変わらないというふうに思っております。平和条約締結問題を含む政治や経済、文化等幅広い分野で日露関係全体を国益に資するように発展させていく、これが私(林大臣)の考え方でございます。
 ロシアとの平和条約でございますが、やはり次の世代に先送りをせずに、領土問題を解決して、平和条約を締結するとの方針でございます。2018年のシンガポールでの合意も含めまして、これまで両国間、諸合意がございますので、これを踏まえてしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。
 またロシアについてでございますが、一度、農水大臣時代に、先方の農水大臣とロシアの方に訪問して対談をするという予定が組まれておりましたが、直前になって、ちょっと外交上の案件が発生しまして、行けなかったということがありますが、訪日された方に何度かお会いした経験はあると、こういうふうに思っております。

人権外交

【テレビ朝日 澤井記者】これからよろしくお願いします。人権外交についてお伺いいたします。岸田政権で、初めて国際人権問題担当の補佐官が置かれて、中谷元・元防衛大臣が任命されました。ミャンマーでの軍事クーデターや、新疆ウイグルでの人権侵害など、国際的にも人権問題への意識が高まっている中ですけれども、外務省、外務大臣として、この補佐官とどのように連携されていくお考えでしょうか。
 また中谷さんは、これまで超党派の議連を立ち上げて、人権侵害に加担した人や団体に対してピンポイントで制裁を課す仕組みというのが必要だと訴えていましたが、昨日、総理は会見で、こういった日本版のマグニツキー法について聞かれて、政府としてどう判断するのか、これから判断するというふうに述べていましたけど、この、欧米のように人権侵害に対して制裁を課す仕組みというのが今後選択肢に入ってくるのでしょうか、大臣の考えを教えてください。

【林外務大臣】まず、人権問題についてでございますが、国際社会における普遍的価値である、自由、また基本的人権の尊重、法の支配、これがいかなる国・地域においても、保障されることが重要であると、こういうふうに考えております。そうした考え方に立ちまして、深刻な人権侵害に対しては、まず、しっかりと声を上げるということとともに、民主化、人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、対話と協力、これを基本として、そうした国に寄り添って、二国間対話や協力を積み重ねて、自主的な取組を促していきたいと、こういうふうに思っております。
 また、企業の経済活動、これに伴う人権の問題についても、しっかりと目を向けていかなければならないと思っております。こうした取組を通じて、我が国らしい人権外交を進めていきたいというふうに思っております。
 そして、今お尋ねもありました、中谷補佐官が任命されたということに関してでございますが、岸田内閣では、先ほど申し上げたような普遍的価値を守り抜くということを重視しておりますので、この人権担当総理補佐官、中谷補佐官の任命も、そうした取組の一環だというふうに考えております。今後、特にこの省庁横断的に、取組を進めるに当たっては、新たに任命されました中谷・人権担当総理補佐官とも、よく連携しながら進めていきたいというふうに考えます。

日本の外交方針

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 千浦記者】アジア・ユーラシアに広がる経済圏と安全保障圏、その中での日本の立ち位置について、大臣のお考えをお伺いしたいです。11月2日にRCEP協定の発効要件が満たされ、我が国及び寄託を終えた9か国について2022年1月1日からRCEP協定が発効することになりました。また、米国が参加をやめ、我が国が主導してきたTPP11協定には、この6月に英国の新規加入が開始され、9月には中国が加入申請しています。RCEPとTPP11が完全に発効すれば、いわゆる権威主義的体制の国と、民主主義国の両群にまたがる巨大で強力な貿易経済圏が出現することになり、その中心は、経済規模で他国を凌駕する中国になると思われます。
 その一方で、米国を中心とする安全保障圏として、「自由で開かれたインド太平洋」を標榜し、米国を中心に中国を包囲するクワッドや、機密情報を共有するファイブ・アイズがあります。またフランスやドイツ等が、東アジアに艦隊を送り、自衛隊との共同軍事演習などの動きも活発化しております。
 中国を中心とする経済圏と、米国を中心とする安全保障圏が一致していないというふうに見えるんですけれども、この中で日本は、今後どのような道を歩んでいくべきなのでしょうか、お聞かせください。

【林外務大臣】日米同盟ですが、先ほど申し上げましたように、外交安全保障の基軸であり、このインド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基盤であるというふうに思っております。北朝鮮による核・ミサイル開発や中国の一方的な現状変更の試みを始めとして、地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の重要性がより一層高まっていると。御指摘がありましたように、日米同盟加えて、クワッドとか、日本は当初のメンバーではございませんが、AUKUSといったものが出てきておるということだと思います。
 一方で、今ご指摘があったように、中国は世界第二位の経済大国でありまして、まさに様々な面で、その行動が国際社会に対する影響力というのが増してきておるわけでございます。従って、中国は、国際社会のルールにのっとって、その責任を果たして、この国際社会の期待に応えていくことが重要であるというふうに考えております。RCEP等についてもお話があったように、この合意をしたということですから、歓迎するとともに、今申し上げたような考え方で、それぞれの国が、しっかりと責任を果たしていくということが重要ではないというふうに考えております。

TPP11(韓国の参加)

【韓国世界日報 キム記者】韓国政府は、今、CPTPP参加を検討しています。韓国のCPTPP参加に対して日本政府の立場は何ですか、日韓間の政治的な、歴史的な問題がこれに壁になる可能性はありますか。そして、茂木さんは、韓国の姜(カン)大使とも会ったことがないです、提案すらなかったですけど、外務大臣は、今後、韓国の大使とも会うとか、計画があるかどうかをお聞かせください。

【林外務大臣】まずTPP、CPTPP等についてのお話がございましたが、この中国、台湾、また英国等の加入申請については承知をしておりますが、韓国については、まだ承知しておりませんので、また、情報等を把握してまいりたいというふうに思っております。
 そして大使とは、まだ私(林大臣)も就任早々でございますので、今のところまだ予定はございません。

中東外交

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 まず、大臣への御就任、おめでとうございます。中東について伺います。東アジアや米国を始めとする他の世界各地と比べたとき、特に中東及びアフリカにおける日本外交の原動力というのは何でしょうか。日本のエネルギー安全保障上、中東は極めて重要な供給源であるとともに、同地域では多くの紛争が絶えません。岸田政権の新しい外交の中で、中東に対する新たな原動力はあるでしょうか。

【林外務大臣】
(以下は英語にて発言)
 Thank you. Excuse me, I am answering in Japanese, so that other people might understand. (日本語でお答えします、申し訳ありません。その方が皆さんに御理解いただけると思いますので。)
(以下は日本語にて発言)
 日本は原油輸入の約9割を中東地域に依存しておりまして、中東地域の平和と安定というものが、エネルギー安全保障という観点から、非常に重要であると思っております。中東地域からの石油の安定供給は、日本のみならず、日本を含む世界経済の安定と成長にとっても不可欠であるというふうに思っております。この中東地域においては、アフガニスタン情勢、また、イスラエル・パレスチナ情勢、これを始めとして、依然として不安定な緊張状態というものが継続しているということでございますので、更に加えて、イラン核合意をめぐる交渉、また昨今の原油価格の上昇、こういった動きもございまして、動向を注視をしておるところでございます。
 なお、この昨今の原油価格の高騰につきましては、関係省庁と協力しながら、関係国際機関と連携をして、中東地域を含む産油国に増産を働きかけておりまして、エネルギー市場の安定化に向けた取組を強化しておるところでございます。
 日本は米国と同盟関係にありますので、それと同時に、中東各国とも良好な関係を築いておるところでございます。こうした環境を生かして、中東の緊張緩和、そして情勢の安定化、こういったものに向けて関係国に対する様々なレベルでの働きかけを含めて、積極的な外交努力を展開していく考えです。

国家安全保障戦略の改定

【日本経済新聞 三木記者】国家安全保障戦略の改定についてお伺いします。岸田総理は、外交と防衛の基本方針である国家安保戦略の改定をされると表明をされていますけれども、今後の議論が本格化するにあたり、大臣、どのような点を重視して議論をすべきだと考えでしょうか。

【林外務大臣】この国家安全保障戦略ですが、2013年に、日本で初めてになりますが、国家安全保障戦略を策定しております。7年半経っておりますので、その間に、世界のパワーバランスが変化をしてきておりまして、特に日本の周辺では、この軍備増強、加速しております。また、サイバー等の新たな分野の攻撃の脅威というものが増大をしておりまして、日本を取り巻く安全保障環境に大きな変化が生じております。
 こうした中で民主主義といった、普遍的な価値、そして日本の平和と安定、これを守り抜いて、国際社会をリードしていくということが大事であると思っております。
 そういった意味で「自由で開かれたインド太平洋」、これを強力に推進していくとともに、海上保安能力や、更なる効果的措置を含むミサイル防衛能力などの防衛力の強化、また経済安全保障など、新しい時代の課題に、果敢に取り組んでいく必要があると思っております。
 こうした観点から、今般、国家安全保障戦略等の改定について、総理からご指示がございまして、関係閣僚間での議論がもう開始されたところでございます。今後、外務省としても、関係省庁と協力をしながら検討してまいりたいと思っております。

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