外務省・新着情報

令和3年11月13日
APEC首脳会議に発言する岸田総理大臣 APEC首脳会議
(写真提供:内閣広報室)

11月12日、午後7時59分(日本時間)から、APEC首脳会議がテレビ会議形式にて開催され、ジャシンダ・アーダーン・ニュージーランド首相(Rt. Hon. Jacinda Ardern, Prime Minister of New Zealand)が議長を務め、日本から岸田文雄総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 首脳会議では、本年の議長であるニュージーランドが掲げた、「共に参加し、共に取り組み、共に成長する」というテーマの下、全ての人々及び将来の世代の繁栄に向けた新型コロナからの回復について議論を行いました。議論の総括として首脳宣言が発出されたほか、「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」を実施するための「アオテアロア行動計画」が採択されました。
  2. 岸田総理大臣は、世界において健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動等の地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく動きがあることを指摘し、日本として「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現を目指していく旨紹介しました。その上で、コロナ後の成長に必要な重点要素として、以下の3点を述べました。
    (1)貿易・投資
     ア 強靭なサプライチェーンの構築と、経済回復を強化する自由で公正な貿易・投資環境の実現のため、公正な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)を確保し、市場主導で、自由で、公正かつ無差別な貿易・投資環境を推進することが重要である。この観点から、11月末の第12回WTO閣僚会議において、新型コロナ対策やデジタル経済のルール作り等、新しい課題における前進を示すことが不可欠である。
     イ TPP11は、不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相容れない、21世紀型のルールを規定する協定。日本は、他の参加国と連携し、市場アクセス、ルールの両面でTPP11のハイスタンダードを維持し、この地域における自由で公正な経済秩序の構築に引き続き貢献する。また、質の高いインフラ投資の普及・実践、包括的な地域経済統合、デジタル技術を用いた貿易円滑化等の推進を通じて、地域の連結性を強化する必要がある。
    ウ 日本は、保健危機において特に必要不可欠な物品の流通、それを支えるサービスの円滑化等を迅速に進めるため、COVAX等を通じたワクチン供給、「ラスト・ワンマイル」支援としてのコールドチェーン整備を推進している。
    (2)イノベーションとデジタル化
    ア 「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」を推進し、国際的なルール作りに積極的な役割を果たしていく。
    イ 科学技術の恩恵を取り込み、スタートアップ支援や、人材育成を促進し、最先端科学技術の研究開発に大胆な投資を行う。
    (3)包摂的で持続可能な成長
    ア アジア太平洋地域の持続可能な成長、脱炭素化に向けた取組を牽引していく。具体的には、6月に表明した5年間で官民合わせて600億ドルの支援に加え、アジア開発銀行等と協力しながら、アジア等の脱炭素化支援のための革新的な資金協力の枠組みの立上げ等に貢献し、新たに5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意があることを改めて表明する。これらの支援により、世界の経済成長のエンジンであるアジア全体のゼロエミッション化を力強く推進する。
    イ 持続可能な成長を進める上で、原油価格高騰等による世界経済への影響も懸念される。APECで連携して、増産を含め十分な供給を通じた国際原油市場の安定化を図ることが重要である。

  3. 岸田総理大臣はまた、2023年の米国、2024年のペルーのAPEC議長立候補を心から歓迎する旨述べるとともに、本年のニュージーランドAPECの成果を礎に、アジア太平洋地域の更なる発展につなげるため、来年議長を務めるタイを始めとするAPECエコノミーと引き続き緊密に連携していく決意を表明しました。

[参考1]APEC参加国・地域(21エコノミー)
 ニュージーランド(2021年APEC議長)、日本、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム。
 (注)APECには、香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加。

[参考2]APECプトラジャヤ・ビジョン2040
 (1)貿易・投資、(2)イノベーションとデジタル化、(3)力強く、均衡ある、安全で、持続可能かつ包摂的な成長、という3つの経済的推進力により、「全ての人々と未来の世代の繁栄のために、2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靱かつ平和なアジア太平洋共同体とすること」を目指すことを定めた文書。併せて、APECの制度的枠組みの継続的な改善に取り組むことを確認している。

[参考3]アオテアロア行動計画
 「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」の実施するための具体策が盛り込まれた行動計画。アオテアロア(Aotearoa)はニュージーランド(島)のマオリ語呼称で、「白く長い雲がたなびく土地」を意味する。

[参考4]2021年APEC首脳宣言(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)、附属書1「アオテアロア行動計画」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く


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