外務省・新着情報

令和3年11月26日
岸田総理大臣のビデオ・メッセージ アジア欧州会合第13回首脳会合(ASEM13)における
内閣総理大臣ビデオメッセージ(写真提供:内閣広報室)
岸田総理大臣はリトリート・セッションにオンラインで参加 アジア欧州会合第13回首脳会合(ASEM13)
(写真提供:内閣広報室)

 11月25日及び26日、アジア欧州会合第13回首脳会合(ASEM13)がテレビ会議形式で開催され、岸田文雄内閣総理大臣が参加したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 本会合は、フン・セン・カンボジア王国首相(Samdech Akka Moha Sena Padei Techo HUN SEN, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)による議長の下、「共通の成長のための多国間主義の強化」をテーマに開催され、25日は「多国間主義促進におけるASEMの役割」(第一プレナリー・セッション)について、26日は「新型コロナからの社会経済復興と開発」(第二プレナリー・セッション)及び「ASEMの課題、地域・国際情勢」(リトリート・セッション)について議論が行われました。また、首脳会合の成果文書として、「議長声明」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く、「新型コロナ後の社会経済復興に関するプノンペン声明」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開く及び「ASEM連結性の今後の道筋」(英文(PDF)) 別ウィンドウで開くが取りまとめられました。
  2. 25日、岸田総理大臣は、第一プレナリー・セッションにビデオ・メッセージにより参加し、今回のASEMのテーマである「共通の成長のための多国間主義の強化」の実現のため、重視している点について概要以下のとおり述べました。
  • (1)世界では、健全な民主主義の中核である中間層を守り、気候変動などの地球規模の危機に備え、企業と政府が大胆な投資をしていく、新しい時代の資本主義経済を模索する動きが進んでいる。日本は、こうした世界的な資本主義のバージョンアップの流れを先導すべく、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現を目指している。このため、大型の経済対策の決定を手始めとして、予算、税、制度改革、インフラなど総合的に、「成長戦略」、「分配戦略」を積極的に講じ、地域全体の成長と健全な中間層の形成に貢献していく。
  • (2)こうした取組を進める上で、人間の安全保障の理念に基づき、SDGsを羅針盤として、経済・社会・環境問題に包括的に取り組むことが重要。日本は、来月日本で開催予定の「東京栄養サミット」などを通じて、主導的役割を果たしていく。
  • (3)日本は、新型コロナ対策として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成も念頭に、総額39億ドル規模の総合的な支援を行っている。特にワクチンに関しては、日本は、COVAXファシリティに対する合計10億ドルの資金貢献に加え、これまでに3,000万回分のワクチンを各国・地域に供与してきており、今後も、合計6,000万回分を目処に供与を続けていく方針である。また、コールドチェーン整備を含む「ラスト・ワン・マイル支援」も進めていく。
  • (4)気候変動対策においては、日本は、2050年までのカーボンニュートラルに向け、2030年度の温室効果ガスを、2013年度比で46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていく。そして、先進国全体で年間1,000億ドルという資金協力目標達成に貢献すべく、表明済みの向こう5年間で官民合わせて600億ドル規模の支援に加え、アジアなどの脱炭素化支援など、新たに今後5年間で官民合わせて最大100億ドルの追加支援を行う用意があることを改めて表明する。日本は総力を挙げて気候変動対策に取り組んでいく。
  • (5)日本は、こうした取組を通じて、地球規模課題の解決に積極的に貢献するとともに、新型コロナからの「より良い回復」に向けた国際的な取組をリードしていく決意である。
  1. 26日、岸田総理大臣はリトリート・セッションにオンラインで参加し、「自由で開かれたインド太平洋」と連結性及び地域情勢について、概要以下のとおり述べました。
  • (1)「自由で開かれたインド太平洋」と連結性
     日本は、我々の共通利益である「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、各国と連携して取り組んでいく。力や威圧に頼らず、共通のルールに則り、対話と協力に基づいて、国家間の問題を解決することが重要。また、この地域の連結性強化にも取り組んでいく。開放性、透明性、ライフサイクルコストを考慮した経済性、債務持続可能性、環境への配慮といった国際的な原則に則った質の高いインフラ投資の実施が重要。
     日本は、EUとの「連結性パートナーシップ」の下で、地域の連結性の強化を推進している。また、「日ASEAN連結性イニシアティブ」を前進させ、ASEANとも協力して、質の高いインフラ整備や人材育成に取り組んでいる。こうした取組を通じて、日本は、ルールに基づく連結性の強化に、引き続き積極的な役割を果たしていく。

  • (2)地域情勢
     北朝鮮による核・ミサイル活動は、日本、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、強く懸念する。拉致問題を含む北朝鮮への対応について、ASEM参加国と連携していく。
     東シナ海や南シナ海では、一方的な現状変更の試みや緊張を高める活動がエスカレートしている。法の支配に逆行する動きも見られ、これらに強く反対する。
     香港情勢及び新疆の人権状況も強く懸念している。
     ミャンマーについては、ASEAN特使が速やかにミャンマーを訪問できるよう、ミャンマーの建設的な対応を求める。日本は、引き続きASEANの努力を後押しするとともに、人道支援も積極的に行っていく。
  • (3)国際社会の不確実性が増大する中、アジアと欧州をつなぐASEMの協力は一層重要となっており、日本は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、ASEMを含む国際社会と、今後も緊密に連携していく決意である。

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