外務省・新着情報

令和3年12月22日

 12月2日から3日まで、第28回欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会がスウェーデン王国で開催され、日本からは水谷章駐オーストリア大使が出席したところ、結果概要は以下のとおりです。

1 OSCE外相理事会

  • (1)第28回OSCE外相理事会は、加盟57か国及び「協力のためのパートナー」10か国(日本は「協力のためのアジア・パートナー国」)の代表らが参加しました。
  • (2)冒頭にて、アン・リンデ議長(スウェーデン外相)、マーガレッタ・セダーフェルトOSCE議員会議議長、ヘルガ・シュミット事務総長より、それぞれ以下のとおり発言がありました。
    • ア リンデ議長からは、欧州で懸案が広がる中、国際社会が団結し強靭性をもって解決する必要があるとし、議長国として、(1)ヘルシンキ最終文書、パリ憲章に基づくOSCE創設期の精神に立ち返ること、(2)包括的アプローチ、(3)国際法と基本原則に基づく紛争解決が重要である旨述べました。
    • イ セダーフェルト議長からは、OSCEは互いの信頼欠如と政治的意思の欠落の課題を抱えているものの、OSCE議員会議はOSCEの強力なサポーターであり続けるとともに、その活動に必要な支援のため政治的支援を続けていく旨述べました。
    • ウ シュミット事務総長は、OSCEの予算は逼迫した状況であるとしつつも、対話・協力の実現に最も適切で包括的なプラットフォームであるOSCEの更なる貢献に向け、加盟国による支援を呼びかけました。
  • (3)各国によるスピーチでは、日本を代表して水谷駐オーストリア大使が以下のとおり発言しました。
    • ア 水谷大使は、OSCEの活動・役割を高く評価するとともに、国際的な平和と安定に積極的な役割を一層果たすことを期待する旨述べました。
    • イ また、東シナ海、南シナ海、台湾海峡、北朝鮮を含む東アジアの地域情勢に加え、サイバーセキュリティ、偽情報等の多様化する安全保障上の脅威への対応の必要性について指摘しました。
    • ウ さらに、日・OSCEの連携として、OSCE加盟国の国境管理能力向上に向けた支援や、民主化や地域の安定に向けたOSCEの監視団への支援等を継続する旨述べました。加えて、2022年に日・OSCEパートナーシップ30周年を迎えるに当たり、引き続きOSCEとの協力を継続する旨述べました。

2 OSCEトロイカとアジア・パートナー会合

  • (1)12月3日午前には、OSCE外相理事会のマージンで、OSCEトロイカ(注:前議長国アルバニア、現議長国スウェーデン、次期議長国ポーランド)とアジア・パートナー国(日本、韓国、オーストラリア、タイ)の間で、意見交換を行いました。
  • (2)水谷大使からは、アジアと欧州の安全保障環境はこれまでになく相互に影響している点を指摘した上で、アジア・パートナー国として、我が国の欧州及び中央アジア・コーカサス地域での活動・取組を紹介するとともに、今後もOSCEを通じた貢献を継続していく考えを示しました。

 [参考]欧州安全保障協力機構(OSCE:the Organization for Security and Co-operation in Europe
OSCEは、北米(米・カナダ)、欧州、中央アジアの57か国が加盟する欧州の安全保障機構。幅広い安保問題の政治的対話を行う場の提供と、個人・社会の生活改善のための共同の行動により、紛争予防、危機管理、紛争後の再建を通じて、加盟国間の相違を橋渡しし、信頼醸成を行う。政治・軍事、経済、環境、人権を含む包括的アプローチにより、各種課題(軍備管理、テロ対策、良い統治、エネルギー安保、人身売買対策、民主化、報道の自由、少数民族保護)に取り組む。


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