外務省・新着情報

冒頭発言

日本によるワクチンの提供

【林外務大臣】私(林大臣)から1件ございます。
 今般、新型コロナワクチンの需要が確認をされましたガーナ、ケニア、マラウイ、ナイジェリア及びカメルーンの5か国に対しまして、調整が整えば、日本で製造したアストラゼネカ社製ワクチン合計約220万回分を、COVAXファシリティを通じて供与することを決定いたしました。これらの供与は、日本からサブサハラ・アフリカに対する初めての供与になります。ワクチンは、準備が整い次第、順次、輸送する予定です。
 また、先日、インドネシアに約270万回分のワクチンを追加的に直接供与をしたところですが、今般、ベトナムに対しても約170万回分のワクチンを追加的に直接供与することを決定し、本日から順次輸送予定です。
 これらの供与により、日本によるワクチン供与実績は、約4,200万回分になります。
 新型コロナの収束には、世界全体で、ワクチンへの公平なアクセスや普及を進めることが重要であり、今後とも、国内のワクチン生産・使用状況、各国・地域における感染状況、ワクチンの需要等を勘案しながら、供与を進めていく方針です。
 私(林大臣)からは、以上です。

ウクライナ情勢

【日本経済新聞 三木記者】ウクライナ情勢についてお伺いします。昨日、外務省が危険情報を「レベル3」の「渡航中止勧告」に引き上げましたけれども、改めて日本政府のウクライナの今の情勢の認識をお伺いします。
 また、この後、退避勧告に引き上げていくことは検討されるのかという点と、19日に在留邦人に対して、スポット情報を発出して注意喚起をしていますけれども、その後、在留邦人が国外に退避した実績の数字が分かれば教えてください。

【林外務大臣】現在、ウクライナの国境周辺地域では、ロシア軍の増強等により緊張が高まっており、予断を許さない状況が続いております。関係国による外交努力の動きがある一方で、今後事態が急変する可能性もあります。
 大使館関係者の扱いについては、在留邦人の安全確保に万全を期しつつ、現地の情勢も踏まえて、適切な対応をとっていく考えでございます。
 また、更なるレベルの引き上げということでございましたが、在留邦人に対しては商用便を利用した、早期の出国を強く呼びかけているところであり、引き続き、現地情勢を注視しつつ、在留邦人の安全確保に万全を期す考えでございます。

トンガ沖火山噴火被害に対する支援

【読売新聞 依田記者】トンガでの噴火が起きまして、1週間以上が経ちましたけれども、現状の日本政府の支援の状況と、また今後の方針について何かございましたら、よろしくお願いします。

【林外務大臣】我が国とトンガとの間には、皇室と王室の結びつきを含めて、極めて良好な友好関係が存在しております。我が国は、新型コロナ対策を含めて、トンガの社会・経済発展に向けて、トンガを一貫して支援をしてきております。
 今回の我が国による迅速な支援に対しては、先方首相を始め、トンガ政府から高い評価と深い謝意が表明されておりますが、両国間で長年にわたって、培われてきた信頼がそのような高い評価の基礎にあるものと考えております。
 トンガは、国際場裡における協力を含めて、我が国にとってかけがえのないパートナーであります。我が国としては、トンガの早期復興のために、引き続き、力強く支援を行っていきたいと考えております。

太平洋島嶼国との関係

【読売新聞 依田記者】関連でお伺いします。只今、かけがえのないパートナーというお話がございましたけれども、トンガを含めて、南太平洋諸国が中国の影響力の下に、今、あるわけですけれども、それについて日本政府の認識をお伺いできればと思います。

【林外務大臣】トンガを始めとする南太平洋地域を含めて太平洋島嶼国は、伝統的な親日国であると共に、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現の観点からも、極めて重要なパートナーであると考えております。
 我が国は、昨年の太平洋・島サミットで発表した「太平洋のキズナ政策」の名のとおり、9回に及ぶ同サミット等を通じて、この20年以上にわたり、太平洋島嶼国との絆を育んできております。
今後も太平洋島嶼国との関係強化に取り組んでまいりたいと思っております。

在日米軍における新型コロナウイルス感染

【NHK 青木記者】在日米軍の感染拡大について伺います。去年9月に、米軍施設内の感染対策が緩和されましたけれども、外務省として把握されたのは12月になりました。一昨年、米国との間で、日本の検疫措置と整合性をとると合意していましたが、約束が守られなかった形ではないかと思っています。
 オミクロン株の広がりで、水際対策を強化する中で、なぜ米軍に確認をしなかったのか、確認が遅れた理由と、こうした対応は問題だったとお考えかどうか、認識をお聞かせください。

【林外務大臣】米側からは、以前は実施していたが、米軍のワクチン接種が進んだことや、世界的な感染状況の緩和を受けて、全世界を対象とした米国防省の方針に基づき、在日米軍は、昨年9月3日に、ワクチン接種者については、出国前検査を免除したと、こういう説明を受けております。日本側からの強い申入れも踏まえて、在日米軍は、昨年12月以降、出国前検査を改めて導入し、現在では、在日米軍関係者に対する出国前及び入国時検査を行っております。
 米側には、日本側の措置が変更されるたびに、その措置を詳細に説明し、米側の措置がこれと整合的なものとなるよう、連携を図ってきたところでございますが、米側の措置の整合性を確保する取組に、不十分な点があったことは否定できず、真摯に受け止めたいと思っております。
 こうした反省を踏まえて、今月9日の日米合同委員会声明に基づいて、日米当局間における建設的な協議を通じて、今後の感染状況も注視しながら、感染防止対策の徹底、及び地元の方々の不安解消に向けて、保健・衛生上の課題についての日米間での連携を、より一層強化していきたいと、そういうふうに考えております。

【NHK 青木記者】関連で伺います。今おっしゃった、不十分だったというというのを、お答えいただける範囲でお願いします。

【林外務大臣】この米側の水際措置を、日本側の水際措置と整合させる取組が不十分だった点でございますが、第一に、出国前検査が、昨年9月3日以降、私(林大臣)のレベルを含めた申入れによって、昨年12月26日に再開されるまでの間、実施されていなかったということ。
 そして第二に、入国後の待機期間に関しまして、日本国内では、昨年10月1日から実施していた10日間への期間短縮措置について、オミクロン株の流行を踏まえて11月30日をもって終了し、従前の14日間に戻したのに対して、米側は日本国内と同じく、昨年10月1日からは、行動制限期間を10日間に短縮したものの、14日間に戻したのが、12月20日であったことであります。
 また、感染拡大防止措置との関連で不十分だった点は、米側において施設・区域内を含めたマスク着用が、すべての施設・区域で義務化されたのが、1月7日であったということでございます。
 こうした反省を踏まえて、先ほど申し上げましたように、日米間での連携を一層強化してまいりたいと思っております。

ウクライナ情勢

【時事通信 田中記者】ウクライナ情勢についてお尋ねします。ロシアに対する経済制裁についての考え方なんですけれども、欧米は、ロシアが侵攻した場合は、強い措置をとるというふうに表明して、警告していまして、これはロシアの冒険主義に対する抑止にもつながると思うんですが、これに日本が加わるお考えはないでしょうか。

【林外務大臣】ロシアが侵攻した場合への対応についてですが、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいと思いますが、日本としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携し、適切に対応していきたいと考えております。

【朝日新聞 野平記者】ウクライナ情勢についてお伺いします。ウクライナの緊迫度をめぐる認識というのが、例えば、米国とEUですとか、当事者であるウクライナでまた温度差があるように感じるんですが、米国は、ロシアの軍事侵攻は、いつ起きてもおかしくないという認識を示していますが、日本政府としても、米国と同様の、緊迫度の認識なんでしょうか。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、現在のウクライナの国境周辺地域では、ロシア軍の増強等により、緊張が高まっており、予断を許さない状況が続いております。関係国による外交努力の動きがある一方で、今後、事態が急変する可能性もある、先ほど申し上げたとおりでございます。
 そういった意味で、ウクライナにおける邦人保護に万全を期すべく、昨日、首都キエフを含めて、ウクライナ全土の危険情報を「渡航中止勧告」である「レベル3」に引き上げるとともに、ウクライナに滞在中の方に対しては、事態が急変する場合に備え、商用便等が運行されている今、これらを利用して、出国することを強くお勧めをすることとした、ということでございます。「渡航中止勧告」というレベルは、諸外国とも同じようなレベルであると認識しております。

新型コロナウイルス(水際措置)

【テレビ朝日 澤井記者】水際措置についてお伺いします。昨日、経団連の十倉会長が、「既にオミクロン株が大勢となっている今、いわゆる鎖国の政策をとる必要はない」と、「ビジネスは国内だけで成り立っていない」というふうに、外国人の新規入国禁止の措置を撤廃するように訴えています。コロナの対策と経済の両立という両面を考える中で、日本国内で、既にオミクロン株が蔓延している中で、こうした今、2月末まで、厳しい措置を取るということですが、改めてお考えはありますでしょうか。

【林外務大臣】今のお尋ねのは、外国人の新規入国について。

【テレビ朝日 澤井記者】はい。

【林外務大臣】政府として当面、2月末まで、外国人の新規入国停止を含む、現在の水際対策の骨格を維持することとしておりまして、「特段の事情」による新規入国については、厳格に審査を行い、人道上、国益上の観点から必要な対応をとることとしております。
 この中で、これまでも、人道的な配慮が必要な場合などは、個別の事情を踏まえて、必要な防疫措置を講じた上で、入国を認めてきておりまして、家族離ればなれの状態で家族が一緒に暮らす必要性があると認められる、外国籍配偶者等についても、個別の事情を勘案しつつ対応してきております。
 今後についてですが、国内外の感染状況等踏まえて、関係省庁において必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への推薦

【新潟日報 遠藤記者】「佐渡島(さど)の金山」について伺います。2月1日の推薦書の提出期限まで1週間切りましたけれども、改めて、政府の総合的な検討状況について伺います。それと、大臣、昨日の予算委員会で、ユネスコの「世界の記憶」のルール改革を主導したことに触れられましたけれども、そもそも「世界の記憶」と「世界文化遺産」のルールは異なるという指摘もあります。こうした指摘にどうお応えになるのか、併せてお願いします。

【林外務大臣】まず検討状況でございますが、「佐渡島の金山」世界遺産登録実現に向けて、何が最も効果的かという観点から、現在、文科省及び外務省において、総合的な検討を行っているところでございます。また、国会でも申し上げましたように、我が国はこれまでユネスコ改革を主導して、昨年4月には、「世界の記憶」についてでありますが、関係国間で見解の相違がある案件は、関係国間の対話で解決するまでは、登録を進めないこととするための意義申し立て制度を導入するなど、してきたところでございます。政府としては、「佐渡島の金山」の登録実現に向けて、何が最も効果的かという観点から、以上の諸点含めて、総合的に検討を進めたいというふうに思っております。

日米地位協定と米軍基地の環境汚染問題

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】米軍基地の環境汚染問題について質問です。昨年12月28日、沖縄県は、うるま市の米軍基地内で、発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFOS」が、国の水質管理目安の1,660倍の濃度で検出されたと発表しました。この調査結果は、約4か月前に防衛省に報告されていたものの、日米両政府の合意が得られず、公表が遅れたとされています。2015年に署名された日米地位協定の「環境補足協定」では、「情報の相互共有」、「日本環境管理基準」、「立入手続」、「日米合同委員会での協議」といった内容が盛り込まれていますが、これらは適切に運用されているのでしょうか。また、国民への説明や補償は、適切かつスムーズに行われたのでしょうか、日本政府は国民の命と暮らしを守るために、抜本的な日米地位協定の見直しを米国・米軍に求めるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

【林外務大臣】PFOS等を巡る一連の問題については、沖縄県民を始めとする国民の不安を払拭するべく、関係自治体や米側と連携しながら、政府全体として取組みを進めています。
 2015年に締結された環境補足協定に基づいて、昨年6月の陸軍貯油施設における水の流出事案の際には、政府・関係自治体、及び米側で緊密に連携いたしまして、環境補足協定に基づき施設に立入り、現場確認や水のサンプリング調査等を実施しております。
 今、ご指摘のあった昨年6月の陸軍貯油施設における水の流出事案については、得られた水のサンプルについて、政府と沖縄県及び米側がそれぞれ分析を進めて、分析結果について三者で共有をし、公表に向けた調整を行った結果、昨年12月の公表となったものでございます。
 政府としては、地元の方々の関心に応えられるように、こうした枠組みが運用をされていくことが重要であると考えておりまして、施設・区域内外の環境対策が実効的なものとなるべく、引き続き、努力を続けていきたいと考えております。

在アフガニスタン日本大使館再開

【共同通信 前田記者】アフガニスタンの大使館再開についてお伺いします。岡田大使が、今月、中下旬に、カブールを訪問したと本日発表がありました。滞在中、ハナフィ副首相らとの会談があったようなんですけれども、この中で、日本の大使館の再開についての意見交換とか、また再開の目処等ありましたらお聞かせください。

【林外務大臣】今、お話がありましたように、現地時間の1月17日から24日にかけて、岡田駐アフガニスタン大使は、カブールを訪問し、タリバーン幹部との間で実務的な協議を行っております。アフガニスタン情勢の悪化以降、岡田大使が、カブールを訪問するのは、昨年11月に続き2度目となります。今、お尋ねになった大使館についてですが、会談の中では、日本大使館の再開についても話題に上がったが、現時点では、日本大使館を再開する具体的な予定はないということでございます。

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