外務省・新着情報

冒頭発言

ミャンマーのクーデターから1年

【林外務大臣】今朝、私(林大臣)から談話を発出したとおり、日本として、昨年2月1日のクーデターから1年が経った今、なお事態の改善に向けた動きが見られないことに、懸念を表明いたします。日本は、この機会に改めてミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復について、具体的な行動をとるよう強く求めます。
 また、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、暴力によって多くの死者が発生している状況を強く非難をし、この1年間に暴力によって亡くなられた方々に、心から哀悼の意を表すとともに、ミャンマーの平和と安定を回復するため、暴力の自制と平和的解決を求めます。
 日本は、ミャンマー情勢を改善させるため、ASEAN議長特使の派遣や民主化勢力を含む全ての当事者との対話など、ASEANの「5つのコンセンサス」が着実に実施されるように、引き続き、ASEAN諸国を含む国際社会と緊密に連携し、事態の改善に向けて最大限努力をしていきます。
 厳しい状況が続く中で、ミャンマーの人々への人道支援が、喫緊の課題になっております。日本は、困難に直面しているミャンマーの人々に寄り添うべく、引き続き、人道支援を積極的に実施をしていきます。そのためにも、人道支援が必要な人々に届くことを確保すべく、国軍に対し、安全で疎外されない人道アクセスを認めるよう改めて求めます。私(大臣)からは以上です。

北朝鮮によるミサイル発射

【読売新聞 阿部記者】北朝鮮に関してご質問させてください。北朝鮮のミサイル発射が相次いでいますが、今後、日米また日米韓でどう働きかけていくのかという点と、加えて、先日の発射を受けて政府側が「烈度の高い」という表現を使用されていると思いますけれども、一部では分かりにくいという指摘もあろうかと思いますが、この「烈度の高い」という表現をした意味や狙いについてお聞かせください。

【林外務大臣】北朝鮮は、特に今年入ってから、かつてない高い頻度で、新たな態様での発射を繰り返しております。こうした中で、今回北朝鮮が、IRBM級弾道ミサイル「火星12」とみられる弾道ミサイルを発射したことは、一方的に挑発の段階をエスカレートさせるものであり、断じて許されるものではないと考えております。
 今回のような、烈度の高い弾道ミサイル発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、日本、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであります。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであります。政府として、北京の「大使館」ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難をいたしました。
 米韓との間では、30日の発射当日に、それぞれの六者会合首席代表者との間で、電話協議を実施するなど、緊密に連携をしてきております。
 今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指してまいりたいと思っております。
 また、この「烈度が高い」という表現についてですが、多少繰り返しにもなりますが、特に今年に入ってから、まずかつてない高い頻度で、また新たな態様での発射を繰り返しております。加えて今回、「火星12」とみられるIRBM級の弾道ミサイルを発射するなど、更に、一方的に挑発の段階をエスカレートさせておりまして、こうした北朝鮮の動向が、日本、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものとなっていることを踏まえて、「烈度が高い」発射としてこれを強く非難したところでございます。

「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産への推薦

【新潟日報 遠藤記者】「佐渡島(さど)の金山」について伺います。今日の閣議で推薦書の提出について閣議了解されたかと思いますけれども、改めて、韓国側は強制労働させられた場所だとして反発をしていますけれども、どのように…

【林外務大臣】ちょっと聞き取りにくい。

【新潟日報 遠藤記者】強制労働させられた場所だとして反発していますけれども、どのように対応していくのかということと、政府内には、タスクフォースを設置するということですけれども、そのタスクフォースに、外務省としてどのようなに取り組んでいかれるのか、お考えをお願いします。

【林外務大臣】まず、タスクフォースですが、今般、滝崎副長官補をヘッドとしまして、外務省を含む関係省庁が参加する「世界遺産登録等に向けたタスクフォース」を設置することとなりました。人員構成、設置時期等の詳細については内閣官房にお尋ねいただきたいと思いますが、この「佐渡島の金山」の文化遺産としてのすばらしい価値が評価されますように、冷静かつ丁寧な議論を行って、登録実現に向けて外務省としても、文化庁をはじめ関係省庁と連携して、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 また、韓国との話合い等についてですが、1月28日、相星駐韓日本大使は、先方からの求めに応じて、崔鍾文(チェ・ジョンムン)韓国外交部第2次官と面会いたしました。
 同面会では、先方から「佐渡島の金山」に関する韓国の独自の主張に基づく発言がありまして、相星大使からは、韓国側の独自の主張は受け入れられない旨申入れを行っております。
 「佐渡島の金山」の文化遺産としての、すばらしい価値が評価されるように、韓国側とも冷静かつ丁寧な議論を行っていきたいと考えております。

【産経新聞 杉本記者】関連で、「佐渡島の金山」で、推薦に対して韓国は反発しておりますけれども、日韓関係全体に及ぼす影響をどのように考えていらっしゃるかお願いします。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、大使が、先方の求めに応じて面会したときに、そういうやり取りがあったということを申し上げたとおりでございます。これに対しては、大使から韓国側の独自の主張は受けられない旨申し入れたところでございます。
 韓国との関係では、誠実に対話を行って、冷静かつ丁寧な議論を行っていきたいと考えております。

【産経新聞 杉本記者】端的にお伺いしますけれども、これで日韓関係が悪化するということはないのでしょうか、あるのでしょうか。

【林外務大臣】我々は「佐渡島の金山」については、江戸時代に、我が国固有の伝統的手工業を活用し、大規模かつ長期に継続した稀有(けう)な産業遺産として、高い価値を有しています。これは文化の話だ、というふうに考えておりますので、大事な関係である日韓関係に悪影響を及ぼさないように、誠実に対応を行って、冷静かつ丁寧に議論を行っていく必要があると考えております。

【韓国チャンネルA キム記者】「佐渡島の金山」について、続けて申し上げます。今、TFチームを通じて、これから。

【林外務大臣】ん? タスクフォースね。

【韓国チャンネルA キム記者】はいはい。これから韓国と話合いとか、これからの内容の変更とか、要請されることができますか。推薦の内容の変更です。

【林外務大臣】タスクフォースにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。今後は、先ほど申し上げたとおり、この「佐渡島の金山」の文化遺産としての、すばらしい価値が評価をされますように、冷静かつ丁寧な議論を行って、この登録実現に向けて、関係省庁とも連携して、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

【共同通信 前田記者】先ほど、「佐渡島の金山」の関係で、韓国側の抗議と日本側の説明について、もうちょっと詳しくお願いしたんですけれども、先ほど、相星大使のやりとりをご紹介いただいたと思うですけど、韓国側の独自の主張というのと、日本側の受け入れられない、という主張があると思うんですけれども、もうちょっと詳しく、強制労働だったと思うんですけれども、お願いします。

【林外務大臣】韓国側の独自の主張ということですが、例えば、「佐渡島の金山」において、強制労働が行われたかのような韓国側の主張は、我が国の立場に鑑み、受け入れられないと、こういうことでございます。

在日米軍における新型コロナウイルス感染

【朝日新聞 野平記者】在日米軍のコロナ感染についてお伺いします。在日米軍が実施していた抗原検査が、定量検査でなくて定性検査だったことが分かりました。日本としては、その整合的な措置っていうのを求めてきたと思うんですけれども、こういった米側の措置というのは、適切だったかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】これは累次、在日米軍には、年末から申入れをしてきたところございまして、出国前・入国時、また、入国後の検査について、この申入れをし、随時、米軍においては、この対応をしてきていただいたわけでございます。今の話についても累次、申し入れ・確認を行ってきたところですが、米軍からは、国防総省や疾病対策センターですかね、の指針に基づいて、抗原定性検査を行っていると、こういう回答があったところでございます。総理の指示に基づいて、検疫・保健に関する分科委員会、立ち上げることになっておりますので、今後は、その場でしっかりと、この協議対応をしていかなければならないと思っています。

ウクライナ情勢

【北海道新聞 文記者】ウクライナ情勢についてお伺いします。日本外務省として、日本大使館のご家族の方の帰国を促しているかと思うんですけれども、その他の邦人の退避の状況等含めて、今、どのような状況かというのと、あと、今、緊張緩和に向けて、米露であったり、NATOとロシアであったり、外交プレッシャーが続いているわけですけれども、改めて日本政府として、ロシア側と緊張緩和に向けて話をしていく考えはあるかどうか、この二点、お願いします。

【林外務大臣】まず、情勢の認識等でございますが、このウクライナの国境周辺地域では、ロシア軍の増強等によって緊張が高まっており、予断を許さない状況が続いております。関係国による外交努力の動きがある一方で、今後、事態が急変する可能性もあるということでございます。我が国は、ウクライナの主権及び領土一体性、一貫して支持きておりまして、先般の日米首脳テレビ会談では、ロシアによるウクライナへの侵攻を抑止するために、共に緊密に取り組むということを確認してところです。引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に対応してまいりたいと思っております。
 また、大使館員及び家族の退避状況ということですが、政府としては、在留邦人の安全確保を最優先に取り組んでおりまして、現在、在留邦人に対しては、商用便を利用した早期の出国を強く勧めております。
 在ウクライナ日本大使館においては、今後の不透明な情勢にも留意しつつ、大使以下の必要な体制を維持しながら、こうした業務に集中して当たっております。その上で、館員家族及び一部大使館員の出国を進めてきております。引き続き、邦人保護に万全を期しつつ、現地の情勢を踏まえて、適切に対応して行きたいと考えております。

UAEに対する攻撃事案

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 先週、大臣は、UAEのアブダッラー外務・国際協力大臣との電話会談において、ホーシー派によるUAE及びアブダビの民間人を標的としたミサイル発射を非難しました。外務省の海外邦人安全課の危険・スポット・広域情報では、UAEにおいて、ホーシー派による更なる攻撃事案が発生する可能性は排除されないと周知しました。このことは、今後もホーシー派による攻撃事案が続くことを示唆していると思いますが、外務省が、このような判断をした根拠は何でしょうか。本件に関する大臣の見解を伺います。

【林外務大臣】この1月28日でございますが、今お話があったように、UAEのアブダッラー外務・国際協力大臣と電話会談を行いまして、最近の一連のUAEへの攻撃事案を強く非難すると共に、犠牲者及びご遺族への哀悼の意を表明させていただきました。
 イエメンでは緊張状態が継続しておりまして、ホーシー派は、メディアやSNSを通じて、アラブ首長国連邦に対する攻撃の継続を示唆をしております。現に昨日31日にも、ホーシー派の攻撃が行われております。日本政府としても、中東の平和と安定の維持に強化に向けて、関係国と連携しつつ、引き続き、取り組んでいくと共に、UAEの在留邦人の安全確保に万全を期していきたいと考えております。

在日米軍における新型コロナウイルス感染

【中国新聞 樋口記者】先ほどの朝日新聞さんの質問に関連して伺います。米軍の定性検査、抗原検査の件ですけれども、一般的に、定量検査に比べて定性検査の方が精度が低いと言われていまして、日本の水際措置とも整合性が取れてなかったということだと思うんですけれども、この前の会見でもあったんですけれども、2020年7月に、基本的に水際対策で共同歩調をとっていこう、という合意をしているにもかかわらず、そういう実効性が機能してなかったということだと思うですけれども、この事態について、抗議をするとか、そういう考えがあるのかどうかというのと、今後、改めるように申し入れる考えは林大臣としてはあるのでしょうか。

【林外務大臣】先ほどお答えしたとおりでございますが、我々としては、随時、累次に亘って、米軍には申し入れ等、行ってきたところでございます。その上で、抗原検査の種類については、確認を求めていたところでございますが、それに対して、米軍からお答えがあったということでございますので、この点も含めて、新たに設立された検疫・保健分科委員会で、このような点も含めて、議論をしていかなければならないと思っております。

【中国新聞 樋口記者】現時点で申し入れるとか、改めるように改善を求める考えは、今の時点ではないということでよろしいですか。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、まさに、そのために、日米合同委員会の下で、検疫・保健分科委員会、これは厚労省の方も入っていただいて、専門的な見地も含めてやっていただということですから、ここでしっかり議論をしていくということだと思います。

ウクライナ情勢

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】1月31日のブルームバーグの記事によると、米上院で、ロシアサイセイ(発言のママ)法案で合意が近づいており、ウクライナ侵攻前の発動も視野に入れて、強い制裁を課す構えを見せているようです。岸田首相は、1月21日、テレビ会議で、バイデン大統領と、とりうるべき強い行動について確認をされていますが、これは、ロシアが何らかの攻撃をした場合についてです。侵攻の事実もないロシアに対して、米国が制裁を課すと決定すれば、日本はそれに追随するのか、また、その制裁は、どのような理由で正当されるのか、ご教示ください。よろしくお願いいたします。

【林外務大臣】このロシアが侵攻した場合の対応ということでございますが、これらは仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、日本として、引き続き、G7をはじめとする国際社会と連携して、適切に対応してまいりたいと考えております。

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