外務省・新着情報

冒頭発言

トンガにおける火山噴火、及び津波被害に対する緊急無償資金協力

【林外務大臣】トンガにおける火山噴火、及び津波被害に対する緊急無償資金協力について申し上げます。
 本日、日本政府は、先月のトンガにおける火山噴火、及び津波被害に対する人道支援といたしまして、約244万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定いたしました。
 トンガでは、これまでに、死者4名が確認され、降灰と津波の影響で全人口の約84%が被災をしたとされています。現地では、引き続き、飲料水や食料等の物資の支援が求められております。
 我が国は、これまでに、国際緊急援助隊・自衛隊部隊を派遣し、緊急援助物資として飲料水や火山灰撤去のための用具等を4回にわたり、トンガに輸送いたしました。また、緊急援助物資を積載した輸送艦「おおすみ」も、近日中にトンガに到着をする予定であります。
 こうした中、今般決定いたしました緊急無償資金協力は、現地の支援ニーズを踏まえ、国際機関を経由し、水・衛生、保健、食料、通信等の分野におきまして、人道支援を行うものであります。
 我が国は、引き続き、関係国や国際機関と連携しまして、トンガの一日も早い復旧・復興に向けた支援を実施してまいります。私(大臣)からは以上でございます。

日中関係の進め方

【読売新聞 依田記者】本日開幕する北京五輪についてお伺いします。日本政府は、政府高官を派遣しない予定ですけれども、今後の日中関係について、日本政府としては、どのように進めていきたいかお伺いします。

【林外務大臣】この日中両国間には、隣国であるが故に、様々な問題があると考えております。尖閣諸島を巡る情勢を含む、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試み、日本周辺における軍事活動の拡大・活発化は、日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念でございます。
 一方で、日中関係は、日中双方にとってのみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄にとって、ますます重要になってきております。中国には主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めてまいります。同時に、諸懸案も含めて、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力をし、本年が、日中国交正常化50周年であることも念頭に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指してまいりたいと考えております。

在日米軍のコロナ対策

【NHK 青木記者】在日米軍のコロナ対策について伺います。昨日の予算委で、大臣は、米軍の出国前検査が免除されたこと、これは去年12月24日より前に、米国が日本側に通知していたこと、これについては誤りであると、メールで申し入れたとおっしゃいました。この件に関して、先方から何かしら反応があったかどうか教えてください。

【林外務大臣】2月2日の報道を受けまして、在日米軍に対しては、同日、出国前検査が免除されたことを、日本政府が確認したのは昨年の12月24日であり、それよりも前に日本側に通知していたという認識は、誤りであるという旨を申し入れさせていただきました。
 これに対し、2月3日、在日米軍からは、在日米軍として新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携をする中、出国前検査の免除についても、外務省に通知していたとの認識であるとの説明がありましたが、これに対して、我々としては、そのような認識は持っていなかった旨を改めて明確にいたしました。
 両者の認識に齟齬があったということを踏まえて、今後はそうした状況が生じないように、今般、設置された検疫・保健分科委員会の場を含め、より一層緊密に連携していくということで、米側と一致をしたところでございます。
 外務省としては、これまで在日米軍に対しては、日本側の措置が変更される度に、その措置を詳細に説明し、米側の措置がこれと整合的なものとなるように連携を図ってきております。しかし、今般、こうした認識の齟齬が生じたのは、米側の措置の整合性を確保する外務省の取組に不十分な点があったということは否定できず、真摯に受けとめているところでございます。
 こうした反省に立って、今般、設置をいたしました「検疫・保健分科委員会」の場を含めて、引き続きしっかりと連携していきたいと考えております。

【NHK 青木記者】今の関連でお聞きします。認識のすり合わせというのは、おっしゃったように、これからだと思うんですけれども、その齟齬というのは、具体的に、現状どういう齟齬が双方の中であるか教えてください。

【林外務大臣】申し上げたとおりでございますが、この在日米軍からは、在日米軍として、新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携する中、出国前検査の免除についても、外務省に通知をしていたとの認識であるとの説明があったわけですが、これに対して、我々としては、そのような認識を持っていなかった旨を改めて明確にしたわけでございます。
 その上で、今後はそうした状況が生じないように、今般設置された「検疫・保健分科委員会」の場を含めて、より一層緊密に連携していくことで一致をしたということです。

日韓外相電話会談

【産経新聞 千葉記者】昨日、韓国、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と電話会談されたと思うんですが、先方から「佐渡島の金山」の件に関して、「日本は強制労働の痛ましい歴史に目を背けている」といったような主張がなされて、大臣の方からも、お考えを話されたことがあったかと思うんですけれども、改めて、どのようなやり取りがあったのかということと、それと、今後また、対面会談の実施について、何か意見交換といいますか、合意はあったのでしょうか。よろしくお願いします。

【林外務大臣】昨日行った鄭義溶・韓国外交部長官との電話会談は、先月30日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて実施したものでございまして、北朝鮮の核・ミサイル活動について、深刻な懸念を共有した上で、こうした活動が、日本、地域、国際社会の平和と安定を脅かすものであるとの共通認識の下、北朝鮮への対応について、日韓、日米韓で、引き続き、緊密に連携していくことを改めて確認いたしました。
 日韓関係について、鄭長官から、韓国側の立場に基づく発言がございましたが、私(林大臣)からは、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題等に関する韓国国内の動きによって、日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある旨述べた上で、日本の一貫した立場に基づき、韓国が責任をもって対応する必要があるとして、韓国側に適切な対応を強く求めたところでございます。
 また、鄭長官から「佐渡島の金山」に関する韓国の独自の主張に基づく発言があったのに対し、私(林大臣)からは、韓国側の独自の主張は受入れられず、遺憾であると抗議をしたところでございます。その上で、私(林大臣)からは、日本として、「佐渡島の金山」の文化遺産としての素晴らしい価値が、ユネスコにおいて評価されるように、冷静かつ丁寧な議論を行っていく考えであり、韓国側と誠実に議論を行っていく旨を述べたところでございます。
 今後の予定については現段階で決まっているものはございません。

【時事通信 田中記者】今の点について確認なんですが、韓国側からは「佐渡島の金山」で強制労働があったかのような発言があったということで、それに対して、大臣は受けられないとお伝えになったということなんですが、これは、日本政府として、「佐渡島の金山」では、強制労働ということはなかった、ということを確認して、それを明確に伝えたという理解でよろしいんでしょうか。

【林外務大臣】外交上のやり取りでございますので、詳細を差し控えたいと思いますが、鄭長官からは、「佐渡島の金山」において、強制労働が行われたかのような発言があり、これに対し、私(林大臣)からは、このような主張を受け入れられず、遺憾であると抗議をしたところでございます。

【テレビ朝日 澤井記者】関連でお伺いします。大臣は、冷静かつ丁寧に議論するというふうに繰り返しおっしゃっていますけど、今後、韓国側と、どういったレベルで、どういった場で議論を重ねていくお考えでしょうか。
 また、ちょっと自民党から、一昨日、大臣に対して、世界遺産委員会の委員国や国際的な専門家への働きかけを積極的に行ってほしい、といった決議が提出されていると思うんですけど、こういうことを受けて、外務省として、諸外国へのロビー活動などをどいうふうに取り組まれるお考えでしょうか。

【林外務大臣】政府としては、「佐渡島の金山」の文化遺産としての素晴らしい価値が評価されるように、韓国を含む国々と、冷静かつ丁寧な議論を行っていく考えでございます。
 外務省としても、今お話をしていただきました自民党の決議、これを真摯に受け止めておりまして、韓国との議論の進め方等について、世界遺産登録等に向けたタスクフォースの下で検討していく過程において、しっかりと我々としての役割を果たしていきたいと考えております。

ウクライナ情勢

【共同通信 前田記者】ウクライナ情勢に関して、ロシアに対して想定される措置とか直接対話の意志というところで伺います。日米首脳、先日の電話会談で、強い行動をとることを調整する、ということで一致していると思うんですけれども、このロシアへの措置というので、どういったものが想定されるかというところと、あと、欧米の各国というのは、ロシアとの会談を重ねているわけですけれども、直接対話ということをお考えなっているかということをお願いします。

【林外務大臣】先月に行われた日米首脳テレビ会談では、日本側として、仮に、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた場合には、どのような強い行動がありうるのかという点について、米国とも緊密に調整しつつ検討する旨、確認をしているところでございます。
 ウクライナを巡る情勢については、我が国として、昨年12月のG7の外相声明にもあるとおり、ロシアに対して、緊張緩和し、外交チャネルでの対話を追求するように求めております。昨年の11月ですが、日露外相電話会談では、私(林大臣)からラヴロフ外務大臣に対して、情勢悪化を懸念しつつ、高い関心を持って注視していることを伝えたところでございまして、様々なレベルで、緊張の緩和に向けて、ロシアに働きかけを継続してきているところでございます。
 米国を始めとする関係国と連携しつつ、引き続き、適切に対応していきたいと考えております。
 そういうような状況において、攻撃があった場合の「強い行動」云々については、述べることは適切ではないので、お答えを差し控えたいと思っております。

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