外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日は、ここハワイ・ホノルルにおいて、日米韓外相会合を開催いたしました。詳細は先ほどの共同記者会見でも述べたとおりですが、ブリンケン米国務長官及び鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外交部長官との間で、北朝鮮への対応を中心に大変充実した意見交換を行い、日米韓で一層緊密に連携していくことで一致をいたしました。
 また、これに先立ち12時頃から約40分間、チョン長官と日韓外相会談を行いました。チョン長官との間で、北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓・日米韓協力が重要であることを改めて確認した上で、二国間関係について率直な意見交換を実施しました。
 本日は、チョン長官との間で対面で会談を行ったので、改めて私から、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題に関する韓国国内の動きにより日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある旨述べた上で、これらの懸案を含めて、両国間の問題に関する日本の一貫した立場に基づき、韓国側が責任を持って対応する必要があるとして韓国側に適切な対応を求めました。
 さらに、「佐渡島の金山」のユネスコへの推薦について、私からは、韓国側の独自の主張は受け入れられず、遺憾であると改めて抗議をいたしました。その上で、「佐渡島の金山」の文化遺産としてのすばらしい価値がユネスコにおいて評価されるよう、冷静かつ丁寧な議論を行っていく考えであり、韓国側とも誠実に議論を行っていく旨改めて伝達をいたしました。
 今回、日米韓そして日韓間において、北朝鮮への対応に関し、三国間の安全保障協力の強化を含む地域の抑止力強化、国連安保理制裁の厳格な履行、外交の観点から、二国間、三か国間の連携を更に深めていくことを確認できたことは極めて意義のあることと考えます。私からは以上です。

質疑応答

【記者】北朝鮮について今日日米韓の会合で連携強化を確認されたと思うのですが、その後の共同会見でも外交が重要だということを大臣はおっしゃっておられました。北朝鮮は交渉再開に応じる構えというのは今のところ見せていない状況なんですけれども、どのように今後北朝鮮を交渉の場に、テーブルに連れ戻すというようなお考えでしょうか。

【林外務大臣】最近の弾道ミサイル等の度重なる発射も含めて、一連の北朝鮮の行動は地域及び国際社会の平和と安定を脅かすものでございます。北朝鮮側の狙いについて断定的にお答えすることは差し控えますが、今次会合では、こうした共通認識の下で、北朝鮮の行動に対する深刻な懸念を共有をいたしました。 その上で、今次会合では、日米韓の安全保障協力の強化を含む地域の抑止力強化や国連安保理制裁の厳格な履行の観点から、日米韓で一層緊密に連携していくことで一致をしたところでございます。同時に、こうした状況においても、外交が重要であるという認識を共有したところでございます。 国連安保理決議に従った北朝鮮の非核化の実現に向けて、日米韓の連携は不可欠でありまして、今次会合の成果も踏まえて、日米韓で一層緊密に連携していきたいと思っています。

【記者】大臣、今も対北朝鮮の対応で日米韓の連携が欠かせないと改めて強調されました。ただ、日韓関係が悪化する中で北朝鮮対応だけを二国間関係の中で切り出して円滑な協力が期待出来るのでしょうか。出来ているんでしょうか。現に前回の次官級協議では竹島問題で共同記者会見をやることもできなかったと。今回、共同会見が出来た、それから、その議論の中で大臣と鄭義溶長官との雰囲気といいますか、お感じになったことをお話いただければと思います。

【林外務大臣】本日は、日米韓の 安全保障協力の強化で一致したことを含めまして、日米韓外相会合や御指摘の共同記者会見を通じまして、日米韓の結束を確認する良い機会となったというふうに考えています。引き続き、この北朝鮮への対応を中心に、日米韓の連携をしっかりと深めていきたいと考えています。

【記者】ウクライナの情勢についてお伺いします。外遊中だと思うんですけれども、11日にですね、ウクライナ全土の危険情報が4段階のうち、最も高いレベル4の退避勧告に日本政府が引き上げました。
このタイミングで引き上げた理由と現状のウクライナ情勢について大臣のご認識をお伺いしたいのですが、今日の会合などの場でもですね、そういった認識のすり合わせがあれば教えてください。

【林外務大臣】ウクライナの国境周辺地域においては、ロシア軍の増強等により緊張が高まっておりまして、予断を許さない状況が続いております。また、隣国のベラルーシではロシアとの軍事演習が開始をされておりまして、最近ロシア軍の船舶がですね、新たに黒海に入るなど、関係国による外交努力の動きがある一方でですね、事態が急速に悪化する可能性が高まっております。このため、今回、首都キエフを含めて、ウクライナ全土の危険情報をレベル4、退避勧告でございますが、引き上げさせていただきました。ウクライナに滞在中の方に対しては、民間商用機を含む最も安全な手段で、直ちに避難をしていただきたいというふうに思っております。引き続き、現地情勢の適切な把握と、在留邦人の安全確保に万全を期したいというふうに思っております。

【記者】水際対策についてお伺いしたいのですけれども、岸田総理が二月末を期限にしている日本の水際措置の緩和を検討するとおっしゃったのですけれども、日本の措置、他国に対して厳しすぎるとの意見もあったのですが、この緩和に踏み切ることとした理由についてとその必要性について大臣どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】水際対策の今後についてですが、これは12日のですね、ぶら下がり会見で総理が述べたとおりですね、基本的な考え方として状況が変化している中で、変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積、それから内外の感染状況の変化、それから海外の水際対策の有り様などを総合的に勘案して新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で、緩和に向けた検討を進めているところでございます。

【記者】日韓の外相会談について2点お聞かせください。先ほどいただいた貼り出しのほうで、両外相は人的往来についても意見交換を行いました、とあります。これは具体的にどういったものを指しているのかお聞かせください。それとですね、先日2月3日でも電話会談を韓国との間で行ったと思いますけれども、今回またバイで会談したということで、少しずつ日韓関係というのは前進しているというふうに評価していらっしゃるのかどうかについてお聞かせください。

【林外務大臣】まず人的往来に関するやりとりでございますが、この人的往来に関わる意見交換の中でですね、私のほうから先ほどもご質問があってお答えいたしましたが、現在の日本の水際措置についてですね、ご説明をしたところでございます。また、日韓の関係につきましては、厳しい状況にあるわけでございますが、北朝鮮に対する対応ということで今回はその部分についてはですね、率直な意見交換ができたというふうに考えております。

【記者】先ほど米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領がですね電話で会談をいたしました。どのようにご評価、受け止めていらっしゃいますでしょうか。

【林外務大臣】ちょっと電波が悪くて質問が聞き取りにくかったのですが、質問の趣旨を把握しているかどうか自信がございませんが、米露の首脳電話会談のことについてのご質問だというふうに思いますが、第三国間の会談でございますのでコメントをすることは差し控えたいと思いますが、共同記者会見でもお話があったように外交的な部分が行われているということを我々も評価したいと思います。

【記者】まずは一連の外交日程に関して成果と評価をお伺いしたいです。安全保障協力とは具体的にどういったものを想定しているのか、また、今日、それについては議論されたのかをお願いいたします。

【林外務大臣】一連のということで、まずはオーストラリアでのですね、クアッド外相会合ということから始まりまして、メルボルンでのクアッドの会合を対面で率直な意見交換を通じて、個人的な信頼関係を構築出来たということ、そしてそれに加えて今年の前半にですね、日本で開催することになっております、日米豪印の首脳会合の成功に向けて様々な実践的協力の一層の推進を含めて外相間で緊密に連携していくことで一致できたというふうに思っております。また日米外相会談、モリソン首相の表敬、日印の外相会談、日豪の外相会談をそれぞれ行い、この二国間関係、地域情勢についてですね、率直かつ充実した意見交換が出来たというふうに思っております。そしてホノルルに参りまして、この日米韓外相会合に出席し、北朝鮮への対応を中心に、地域情勢やグローバルな課題について、充実した意見交換を行い、日米韓の連携を重層的に進めていくことで一致できたところでございます。また、日韓外相会談では北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓・日米韓協力が重要であることを改めて確認したうえで、二国間関係について率直な意見交換を行ったところでございます。また、安保協力については、具体的には外交・防衛当局でですね、これから議論をして参りたいと思っております。

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