外務省・新着情報

冒頭発言 ウクライナ情勢及びロシアに対する制裁措置

【林外務大臣】2月24日にロシアが開始をしたウクライナに対する軍事行動は、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反です。力による一方的な現状変更の試みは、断じて認められず、これは、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす、極めて深刻な事態であり、我が国は、最も強い言葉でこれを非難します。
 この事態を受け、本日、岸田総理から、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、制裁措置を強化することを発表いたしました。具体的には、資産凍結と査証発給停止、金融分野での制裁、半導体などの輸出管理の厳格化、の3つの分野における対露制裁措置を速やかに実施することを発表いたしました。
 これらの措置に必要な国内手続きについて、関係省庁間で速やかに進めます。我が国は、引き続きウクライナ及びウクライナ国民に寄り添い、事態の改善に向けて、G7を始めとする国際社会と連携して取り組んでいきます。私(林大臣)からは以上でございます。

ウクライナ情勢(G7の連携)

【読売新聞 依田記者】先ほどもお話ありましたG7についてお伺いします。 先日、外相会合に大臣も臨まれ、昨日は、岸田総理が首脳会談に臨まれましたけれども、日本はアジア唯一のG7メンバーでございますが、そういう中で、ウクライナ情勢にあたって、G7と緊密に連携していく意味について、大臣は、どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】2月24日のG7首脳テレビ会議では、岸田総理から、ロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の重大な違反であり、認めることはできない旨述べ、これは、力による一方的現状変更を認めないという、国際秩序の根幹を揺るがすものであるとして、ロシアを強く非難をいたしました。
 私(林大臣)からも、2月19日及び22日のG7外相会合を通じて、現下のウクライナ情勢は、力による一方的な現状変更を認めないという、国際社会の根本的な原則に関わる問題であり、アジアにも影響があるということを指摘をし、G7と緊密に連携して対応する考えを表明いたしました。
 G7としても、この危機は、ルールに基づく国際秩序に対する深刻な脅威であり、その影響は欧州にとどまるものではないとの見解で一致しております。日本としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携していく考えであります。

日露関係(ロシアに対する制裁措置)

【NHK 青木記者】日露関係について伺います。冒頭おっしゃった、対露制裁措置をとる中で、北方領土交渉ですとか、あとは日露の共同経済活動、こういったものに、どういった姿勢で、今後望まれていくお考えでしょうか。

【林外務大臣】北方領土問題等に関する我が国の立場は変わらないわけでございますが、総理が会見や国会で述べられているように、北方領土交渉、共同経済活動への影響については、現時点で予断することは差し控えたいというふうに思います。

ウクライナ情勢(米軍の抑止力・軍事的プレゼンスへの影響)

【産経新聞 杉本記者】2点ほどお聞かせください。ウクライナ情勢についてなんですけれども、結果として、米国の抑止が失敗をし、ウクライナ侵攻が発生しました。米国の拡大抑止の、その信頼性、クレディビリティが、インド太平洋地域で損なわれるという懸念はございませんでしょうか、というのが1点。もう1点ですが、今後、長期間にわたって、こういう事態が発生しましたので、米国の軍事プレゼンスが、欧州正面で増強されるということも考えられます。この結果、インド太平洋地域における米軍プレゼンスというのが、弱まるというような恐れというのはございませんでしょうか、よろしくお願いします

【林外務大臣】今回のロシアの軍事行動は、明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であって、国連憲章の重大な違反ということになります。力による一方的な現状変更は断じて認められず、これは、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす、極めて深刻な事態であり、我が国は最も強い言葉でこれを非難いたします。
 日米両国は、東アジアでの厳しい安全保障環境の中で、日米同盟の抑止力・対処力を向上させていくことに強くコミットしており、米国の抑止の信頼性が影響を受けることはないと考えております。
 また、今回のロシアの軍事行動が、米軍の態勢に与える影響等について、現時点において評価することは控えますが、その上で申し上げれば、米国は、先般の「インド太平洋戦略」や「世界的な戦力態勢の見直し」、いわゆる「Global Posture Review (GPR)」ですが、これらにおいて、インド太平洋地域へのコミットメントをより一層強化して、同盟国と緊密に連携しつつ、地域における米軍の対処力や即応性を絶えず強化していくという姿勢を明確に示しております。
 いずれにしても、大事なことは、今回のウクライナ侵攻のような、力による一方的な現状変更をインド太平洋、とりわけ東アジアで許してはならないということであります。そのためにも、日本としては、米国の関与を強化し、自国の防衛力の強化にも更に取り組むべきと考えております。

ウクライナ情勢(邦人保護)

【毎日新聞 飼手記者】ロシアによるウクライナの侵攻が続いておりますけれども、在留邦人の約120人の方の現状と、あと、ポーランドへの陸路での退避に向けて、どのような支援をされているか、お願いします。

【林外務大臣】ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けまして、24日ですが、ウクライナ滞在中の邦人に対しまして、最新の情報の入手に努めるとともに、自身の身の安全を最優先とした行動をとることを呼びかける、スポット情報を発出いたしました。松田大使以下、現地の日本大使館ができる限りの手段を講じて、邦人保護に取り組んでおります。
 また、陸路を含む退避支援など、邦人保護業務を行うため、ウクライナ西部のリヴィウに連絡事務所を設けるとともに、ポーランド等との国境の円滑な受入れについて調整を完了しておりまして、更に、ポーランドから他の国に移動するためのチャーター機、これも既に手配済みであります。
 状況が厳しさを増す中で、政府としては、在留邦人の安全確保に最大限取り組んでいきたいと考えております。
 なお、2月23日時点でございますが、確認されているウクライナの在留邦人約120人であり、随時連絡をとっておりますが、現時点までに、邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報には接していないところであります。

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