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2022年1月26日

経済産業省は2016年度から地方公共団体に対して成果連動型民間委託契約方式(以下「PFS/SIB」と表記)を導入した案件形成を支援しています。
広島県及び県内6市(竹原市、尾道市、福山市、府中市、三次市、庄原市)による「ソーシャルインパクトボンド(SIB)の手法を用いた新たながん検診の個別受診勧奨業務」(以下「本事業」と表記)は、経済産業省が2017年度に案件形成支援を行い、2018年度に、日本初の都道府県及び市区町村が一体となって取り組む(以下「垂直連携型」と表記)SIB事業として開始されました。

経済産業省は、2020年12月に本事業が終了したことに伴い、事業の成果分析を整理した総括レポートをまとめました。

※PFS/SIB事業とは

  • 地方公共団体等が、民間事業者に委託等して実施させる事業のうち、その事業により解決を目指す行政課題に対応した「成果指標」が設定され、地方公共団体等が当該行政課題の解決のためにその事業を民間事業者に委託等した際に支払う額等が、当該成果指標の改善状況に連動するものをPFS(Pay For Success)と言います。

  • SIB(Social Impact Bond)はPFSの一類型であり、PFS事業を受託した民間事業者が、当該事業に係る資金調達を金融機関等の資金提供者から行い、その返済等を成果に連動した地方公共団体からの支払額等に応じて行うものです。地方公共団体がPFS/SIBを導入することにより、行政事業の効率化・高品質化や財源の有効活用等が期待されます。

1.経済産業省による案件形成支援の概要

経済産業省は、「平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業」(受託事業者:株式会社日本総合研究所)において、本事業の案件形成支援としてケイスリー株式会社を通じて、広島県やサービス提供者、資金提供者等と協働し、成果指標、支払条件、評価方法等の検討を行いました。

2.広島県及び県内6市「ソーシャルインパクトボンド(SIB)の手法を用いた新たながん検診の個別受診勧奨業務」の概要

広島県及び県内6市は株式会社キャンサースキャン(以下「キャンサースキャン」と表記)に本事業を委託し、大腸がん検診受診率向上事業及び精密検査受診率向上事業を実施しました。

大腸がん検診受診率向上事業は、国民健康保険に加入している住民のうち2018年度大腸がん検診未受診者に対して(福山市及び府中市は、これに加えて大腸がん検診受診確率及び反応確率の和が高い者であることも条件としている)、オーダーメイド型を含む受診勧奨を実施しました。また、精密検査受診率向上事業は、2017年度大腸がん検診で要精密検査と判定された者のうち、精密検査未受診の者及び2018年度大腸がん検診で要精密検査となった者全員に対して、オーダーメイド型を含む受診勧奨を実施しました。

広島県は、本事業の成果指標である「大腸がん検診受診者数」及び「精密検査受診率」の改善状況を評価し、それに応じた委託料をキャンサースキャンに支払いました。

3.事業総括の概要

本事業の成果について、2017年度と2018年度を比較したところ、大腸がん検診受診者数は参加市合計で1,515人増(32,603人から34,118人)、精密検査受診率は参加市合計で6.09ポイント増(43.27%から49.36%)でした。いずれの成果指標においても大きな改善が見られ、本事業における受診勧奨の効果が確認されました。

また、垂直連携型のメリットとして、事業規模の拡大に寄与することに加え、案件形成の事務負担及び費用負担の観点から、単独ではSIB事業を実施できなかった市の参画が可能になることが確認されました。

今後、PFS/SIBの更なる普及に向けては、本事業で得られた知見も踏まえ、新たなモデルの創出及び効果検証等に取り組むことが重要と考えています。

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