外務省・新着情報

令和4年3月19日

 3月19日(現地時間同日)、インドの首都ニューデリーにおいて、我が方、鈴木哲駐インド共和国日本国特命全権大使と、先方、アジェイ・セトゥ財務省経済局次官(Mr. Ajay Seth, Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で、総額3,122億5,800万円を限度とする円借款7件に関する書簡の交換が行われました。

  1. 円借款案件の概要
    (1)円借款「アッサム州保健システム強化計画」(供与限度額456億500万円)
     インド北東部アッサム州において、中核的医療拠点となる二次・三次医療施設を中心とした公的医療機関の施設整備、医療人材の能力強化及び医療サービスに係るマネジメントの改善を包括的に進めるための融資です。これにより、例えば、2029年(事業完成2年後)には、対象二次・三次医療施設の外来患者数が現在と比べ年間約20万人増加する見込みです。住民への医療サービスの質の改善を通じて同州におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に貢献し、持続的で包摂的な成長に寄与することが期待されます。

    (2)円借款「ベンガルール上下水道整備計画(フェーズ3)(第二期)」(供与限度額370億6,800万円)
     インドのソフトウェア産業が集積し、経済発展を続けているも、未だ上下水道の整備が追いついていないカルナタカ州ベンガルール都市圏において、上下水道施設を整備するための融資です。急増する水需要に対応する安定的な上下水道サービスの提供を図り、同都市圏の衛生的な居住環境の整備及び産業の活性化を通じて、持続的で包摂的な成長に寄与することが期待されます。

    (3)円借款「貨物専用鉄道建設計画(フェーズ2)(第三期)」(供与限度額1,165億2,000万円)
     インドの生産・消費の一大拠点である首都デリーとインドの西の玄関港であるムンバイ間を結ぶ貨物専用鉄道(Dedicated Freight Corridor(DFC))を建設するための融資です。今回の対象区間はダドリ~レワリ間及びヴァドダラ~ムンバイ間の、計550kmとなります。今後も増加が見込まれる貨物輸送需要に対応し、連結性の強化及び産業競争力の強化に寄与すること、及び効率的な輸送方法の導入を通じて気候変動対策に資することが期待されます。

    (4)円借款「北東州道路網連結性改善計画(フェーズ6)」(供与限度額231億2,900万円)
     インド北東部のトリプラ州を南北に横断し、バングラデシュ国境につながる国道208号線の整備を行う融資です。これにより、2028年(事業完成2年後)には、対象区間の平均移動時間が現在の245分から115分に短縮される見込みです。北東部地域内及び他の地域との連結性を向上し、同地域の経済発展の促進に寄与することが期待されます。

    (5)円借款「タミル・ナド州気候変動対策生物多様性保全・緑化計画」(供与限度額105億3,500万円)
     インド南部のタミル・ナド州において、植林などの生物多様性保全、人間と野生動物の軋轢対策、森林周辺に居住する住民の生計向上活動及び森林局の体制強化を実施するための融資です。これにより、気候変動対策(緩和策・適応策)や、生態系の改善、住民の貧困削減をはかり、持続的で包摂的な成長に寄与することが期待されます。

    (6)円借款「ウッタラカンド州統合的園芸農業開発計画」(供与限度額64億100万円)
     インド北部のウッタラカンド州において、園芸作物の生産支援、サプライチェーン構築支援及び州政府の組織体制強化を行うための融資です。果樹や野菜の単位面積当たりの生産性向上や高付加価値化、同州産の園芸作物の販売促進策を通じて農家の所得を向上し、持続的で包摂的な成長に寄与することが期待されます。

    (7)円借款「チェンナイ地下鉄建設計画(フェーズ2)(第二期)」(供与限度額730億円)
     南部タミル・ナド州のチェンナイ都市圏において、地下鉄を建設するための融資です。2029年(フェーズ2事業完成2年後)には、対象区間(3号線マドハヴァラム・ミルク・コロニー駅からショリンガナルール駅及び5号線マドハヴァラム・ミルク・コロニー駅からチェンナイ・モフシル・バス・テルミヌス駅)の車両運行数が408本/日となる見込みです。増加する輸送需要に対応するとともに、道路渋滞の緩和と自動車公害減少をはかり、連結性の強化及び産業競争力の強化に寄与し、また、気候変動対策に資することが期待されます。

  2. 円借款案件の供与条件
    (1)上記1(1)
    ア 金利:年1.00%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド

    (2)上記1(2)
    ア 金利:年1.20%(下水道部分は年1.00%、コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド

    (3)上記1(3)
    ア 金利:年0.10%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:40年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:日本タイド

    (4)上記1(4)
    ア 金利:年1.20%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド

    (5)上記1(5)
    ア 金利:年1.00%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド

    (6)上記1(6)
    ア 金利:年1.20%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド

    (7)上記1(7)
    ア 金利:年0.20%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:40年(12年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:二国間タイド

(参考)インド基礎データ

インドは、面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍)、人口13億8,000万人(2020年、世界銀行)、人口1人あたりの国民総所得(GNI)1,920米ドル(2020年、世界銀行)。


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