外務省・新着情報

令和4年3月19日
膝を突き合わせてモディ印首相と会談する岸田総理大臣の様子 日印首脳会談(写真提供:内閣広報室)
日印首脳会談の全体会合の様子 日印首脳会談(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表を行う岸田総理大臣とモディ印首相の様子 日印共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 3月19日(土)、現地時間17時03分頃から18時56分まで、インド・デリーを訪問中の岸田総理大臣は、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)と日印首脳会談を行ったところ、概要以下のとおりです。なお、会談終了後、両首脳は、共同声明を発出しました。

1.冒頭

 モディ首相から、岸田総理の訪印を歓迎し、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」としての両国関係を更に発展させたい旨述べました。
 これに対し、岸田総理から、総理に就任して初めての二国間訪問先としてインドを選んだことに言及しつつ、これは、日本として、また岸田総理自身として、基本的価値を共有し、戦略的に重要なインドとの関係を極めて重視しているためであると述べました。また、岸田総理から、「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の深化、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため、引き続きモディ首相と緊密に連携していきたいと述べました。

2.自由で開かれたインド太平洋(日米豪印を含む)

 両首脳は、厳しい国際情勢の中で、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有する日本とインドが、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、二国間や日米豪印等を通じて緊密に連携していく重要性を共有しました。また、今後数か月のうちにモディ首相の訪日も得て開催すべく調整中の日米豪印首脳会合において、ワクチン協力、インフラ、気候、技術といった様々な分野での実践的な協力や、4か国が直面する地域の課題について議論を行うことを確認しました。

3.地域情勢

(1)ウクライナ情勢

 岸田総理から、ロシアによる侵略は明白な国際法違反の暴挙であり、改めて厳しく非難する、また被爆地広島出身の総理大臣として、核による威嚇も、ましてや使用も、断じて受け入れられるものではない旨述べました。その上で、国際社会が一致して、毅然と対応する必要があるとの日本の立場を強調しました。また、両首脳は、戦闘の即時停止と対話による事態の打開に向けた働きかけを行うことの重要性で一致し、岸田総理から、モディ首相に対し、プーチン大統領に対する更なる働きかけを含め、協力を要請しました。両首脳は、インド太平洋のみならず、いかなる地域においても、力による一方的な現状変更を許してはならないこと、国際法に基づき、紛争の平和的解決を求める必要があることを新たに確認し、こうした状況だからこそ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を一層推進していくことが重要であることを確認しました。
 また、岸田総理から、我が国は既にウクライナや周辺国に対する1億ドルの緊急人道支援を行うこととしているが、現地の状況悪化を受け、今後追加支援を行うこととした旨述べ、人道支援に関しても連携して取り組んでいくことで一致しました。

(2)その他の地域情勢

 両首脳は、東シナ海及び南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、経済的威圧について、強く反対していくことで一致しました。
 両首脳は、先般のICBM級弾道ミサイル発射を含む北朝鮮情勢についても意見交換し、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。
 ミャンマー情勢について、両首脳は、議長国カンボジアを始めとするASEANの取組を共に支え、事態の打開に向けて引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

4.二国間関係

日印経済フォーラム1(写真提供:内閣広報室)
日印経済フォーラム2(写真提供:内閣広報室)

(1)政治・安全保障

 岸田総理から、国交樹立70周年の節目の年に、先人達が紡いできた歴史を引き継ぎ、モディ首相と共に日印関係の新たなページを開いていきたい旨述べ、モディ首相の賛同を得ました。両首脳は、日印間の年次相互訪問を再び軌道に乗せることで一致し、岸田総理からモディ首相の訪日を招請したところ、モディ首相はこれを快諾しました。
 両首脳は、首脳間の相互訪問に加え、関係閣僚の間で重層的に対話を重ねること、第2回日印外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を早期に開催することで一致しました。また、両首脳は、共同訓練において日印ACSA(アクサ)が活用されるなど二国間の連携が強化されていることに加え、日米豪印4か国が参加する共同訓練「マラバール」の実施など多国間での連携が活発化していることを歓迎しました。
 両首脳は、今回署名に至ったサイバー分野に関する覚書を歓迎した上で、安全で信頼性のある通信ネットワークの構築、サプライチェーンの多元化、強靭化を含め、共に経済安全保障上の共通の課題にも取り組んでいくことで一致しました。

(2)経済・経済協力

 両首脳は、産業競争力パートナーシップ、日本式ものづくり学校の取組の促進等を通じて引き続き協力していくことを確認しました。岸田総理から、インドは「新しい資本主義」においても重要なパートナーである旨述べ、両首脳は、今後5年間で官民あわせて対印投資5兆円目標を掲げることで一致しました。その上で、岸田総理から、日本企業のインドにおける円滑な活動のための更なる環境整備への支援を要請しました。
 経済協力について、岸田総理から、同日署名された3,100億円を超える円借款7件につき言及し、日本として、インドにおける質の高いインフラ整備に協力し、持続的な成長を後押ししたいと述べたところ、モディ首相より謝意の表明がありました。両首脳は、高速鉄道事業が着実に進展していることを歓迎し、引き続き日印の旗艦プロジェクトとして推進していくことを確認しました。また、両首脳は、「インド北東部の持続可能な開発に向けた日印イニシアティブ」が発出されることを歓迎し、地域の連結性を高めるインド北東部開発における協力を着実に実施していくことで一致しました。さらに、両首脳は、総額750億ドルの二国間通貨スワップ取極の延長を歓迎しました。
 気候変動対策については、両国の着実な取組が重要であることを確認し、世界全体でのカーボンニュートラル、多様かつ現実的なエネルギー・トランジションに向け、新たに発表される「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」等を通じ、エネルギー安全保障にも資する形で、日印協力を進めていくことを確認しました。
その他、両首脳は、喫緊の課題であるデジタル、新型コロナ対策を含むヘルスケア等の分野での協力も進めていくことで一致しました。また、日本産りんごのインドへの輸出解禁とインド産マンゴウの日本への輸入手続の簡素化を歓迎しました。

(3)人的交流・科学技術交流

 両首脳は、本年の日印国交樹立70周年を契機として、ポスト・コロナにおける青少年交流、スポーツ交流、観光、特定技能制度を含めた人的交流を進めていくことで一致しました。また、日印共同での月極域探査計画を含め、宇宙分野での協力が進展していることを歓迎し、引き続き協力を進めていくことを確認しました。
 岸田総理から、2025年の大阪・関西万博へのインドからの出展に謝意を表し、両首脳は、その成功のために協力していくことで一致しました。

5.グローバルな課題

文書署名式1(写真提供:内閣広報室)
文書署名式2(写真提供:内閣広報室)

 現下のウクライナ情勢を受け、国連安保理改革を求める声が高まる中、両首脳は、安保理を現在の世界に相応しいものに改革すべく、G4の重要なパートナーとして、両国の連携を一層強化することで一致しました。また、双方が新たな常任理事国として相応しいことを改めて確認し、結束を確認しました。
 さらに、岸田総理から、被爆地広島出身の総理大臣として、核軍縮分野における国際的な取組をリードする決意を述べ、両首脳は「核兵器のない世界」の実現という目標に向け協力していくことを確認しました。

日印共同記者発表1(写真提供:内閣広報室)
日印共同記者発表2(写真提供:内閣広報室)

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