外務省・新着情報

令和4年3月20日
椅子に座り、フン・セン・カンボジア王国首相と向き合って会談する、岸田総理の様子 日・カンボジア首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
起立して正面を向き、フン・セン・カンボジア王国首相と共に記念撮影に応じる、岸田総理の様子 日・カンボジア首脳会談
(写真提供:内閣広報室)
岸田総理とフン・セン・カンボジア王国首相による、共同記者発表の様子 共同記者発表
(写真提供:内閣広報室)

 カンボジア王国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、3月20日、午後5時35分から約2時間10分、首相府において、フン・セン・カンボジア王国首相(Samdech Akka Moha Sena Padei Techo Hun Sen, Prime Minister of the Kingdom of Cambodia)と40分間のテタテを含む首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。会談後両首脳は、共同声明を発出しました。両首脳は無償資金協力2件の交換公文の署名に立ち会った後、共同記者発表に臨み、その後、フン・セン首相主催の夕食会が行われました。会談には、木原内閣官房副長官他が同席しました。

1 冒頭

 岸田総理は、フン・セン首相及びカンボジア国民から受けた温かい歓迎に感謝の意を表し、史上最良レベルにある両国関係をフン・セン首相と共に更に発展させたい旨述べました。また、本年のASEAN議長として、フン・セン首相がミャンマー情勢打開に向けて積極的に取り組んでいることに敬意を表しつつ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組や、ロシアによるウクライナ侵略など地域・国際情勢への対応において、一層協力していきたい旨述べました。これに対し、フン・セン首相からは、総理大臣として初の対面での会談を嬉しく思う、岸田総理と共に様々な地域・国際情勢への対応について緊密に連携していきたい旨発言がありました。

2 二国間関係

(1)重要インフラ整備

 岸田総理は、重要インフラ整備として、シハヌークビル港を地域の中核港として機能させるための支援を行っていく旨述べました。これに対し、フン・セン首相から、これまでの同港整備に係る日本の支援へ謝意が表明され、カンボジア政府も一体となって、同港を地域の中核港とするため日本と連携していきたい旨発言がありました。

(2)安全保障協力

 岸田総理は、PKO派遣から30周年の本年、フン・マネット陸軍司令官の訪日や海上自衛隊によるカンボジアへの寄港が実施されるなど、協力が強化されており、今後、海上自衛隊による寄港を含めた継続的なリアム基地訪問や二国間訓練の充実、人道支援・災害救援分野の協力を進めたい旨述べました。これに対し、フン・セン首相から、カンボジアとしても日本との安全保障分野の協力を高く評価、重視しており、積極的に進めたい旨の発言がありました。

(3)経済関係

 岸田総理は、自動車産業のサプライチェーン強靱化や製造業のデジタル化につながる高度産業人材育成に向けた両国企業の取組を支援していく旨述べ、フン・セン首相は、日系企業によるカンボジア経済・産業への貢献について高く評価した上で、日系企業の投資をさらに誘致していきたい旨述べました。

(4)民主主義・人権分野

 岸田総理は、本年6月の地方選挙と来年の総選挙がカンボジア国民の多様な声を反映した形で実施されるよう支援していく旨述べました。フン・セン首相からは、自由で公正な選挙の実施に向けて、日本の協力をお願いしたい旨発言がありました。

(5)新たな協力分野の拡大

 岸田総理から、エネルギー・トランジション、経済安全保障、デジタル、サイバーなどの新しい分野でも協力していく旨述べ、これに対してフン・セン首相は、日本との新しい分野での協力を積極的に推進していきたい旨述べました。

3 地域・国際情勢

(1)ウクライナ情勢

 岸田総理から、国連総会の緊急特別会合で採択された「ウクライナ情勢に対する侵略」決議でカンボジアが日本と共に共同提案国入りしたことを高く評価しました。その上で、岸田総理より、ロシアのウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更であり、明白な国際法違反であり、世界全体の秩序の根幹を揺るがし、国連憲章等にうたわれる法の支配や主権・領土の一体性の尊重にも反するものである、国際社会がしっかり対応しなければ、将来こうした事態が世界中で起こり得る、そのような事態がアジアにおいて起きないようにするためにもウクライナの主権・領土の一体性を明確に支持することが重要である旨述べました。これに対して、フン・セン首相より、今般カンボジアが国連総会決議の共同提案国入りするに至った問題意識やASEANにおけるこれまでの対応についての紹介がありました。両首脳は、今後行われる国際会議の場でも、協力していくことで一致しました。

(2)地域情勢

 岸田総理は、日メコン協力についてメコン諸国が主導するACMECS(エーヤワディー・チャオプラヤー・メコン経済協力戦略)開発基金への1.5億円の拠出について伝達し、今後もメコン地域への協力を継続する旨述べ、フン・セン首相からは、拠出を高く評価し、歓迎する旨述べるとともに、カンボジアとしてもメコン協力を重視しており、引き続き日本の協力を強く期待している旨の発言がありました。
 また、岸田総理は、ASEAN協力について、来年は日ASEAN友好協力50周年であり、日本での特別首脳会議にフン・セン首相をお迎えし、日ASEAN関係をさらなる高みへと引き上げたい旨述べ、フン・セン首相は日本のイニシアチブを支持する旨述べました。
 ミャンマー情勢について、岸田総理はASEAN議長国としてのカンボジアの積極的な取組を歓迎しました。これに対して、フン・セン首相から、ミャンマー情勢へのカンボジアの取組に対する日本の支援に謝意が表明されるとともに、事態の打開に向けて日本と協力していきたい旨発言がありました。
 また両首脳は、南シナ海問題、先般のICBM級弾道ミサイルの発射を含む北朝鮮情勢などの重要課題についても意見交換し、引き続き連携していくことで一致しました。また岸田総理は、拉致問題への引き続きの理解を求め、フン・セン首相から北朝鮮による拉致問題は深刻な人道問題であるとして、日本の立場に対して引き続き支持が表明されました。

 最後に、岸田総理は、来年、日カンボジア外交関係樹立70周年、また日ASEAN友好協力50周年でもある節目の年であり、フン・セン首相と共に両国間の「戦略的パートナーシップ」を新たな段階に引き上げ、今後もあらゆる分野で発展を進めていきたい旨述べました。




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