外務省・新着情報

令和4年3月25日
アフリカサイドイベントに出席する小田原外務副大臣
サイドミーティング クリーンエネルギー転換プログラムの次なるステージに参加する小田原外務副大臣
リステール仏大臣と小田原外務副大臣の様子

 3月23日及び24日、小田原潔外務副大臣は、パリで開催された第28回国際エネルギー機関(IEA)閣僚理事会に出席するため、フランス共和国を訪問したところ、概要は以下のとおりです。なお、今次会合には、萩生田経済産業大臣も出席しました。

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閣僚理事会概要

  • (1)本閣僚理事会は、グランホルム米国エネルギー長官の議長の下、「実行の年:気候変動の野心をクリーンエネルギーに向けた行動へ」を主要テーマとして開催されました。IEAメンバー国及びEUに加え、アソシエーション参加国、参加申請国、日本の企業を含む世界のエネルギー関連企業のCEO等が出席しました。また、今次閣僚理事会において、リトアニアのIEA加盟及びエジプトとアルゼンチンのアソシエーション参加が承認され、IEAメンバー国は全部で31か国、アソシエーション参加国は全部で10か国になりました。
  • (2)メインの全体会合では、エネルギー移行期におけるエネルギー安全保障の強化及び非メンバー国との協力などについて意見交換が行われました。特に、ロシアによるウクライナ侵略やカスピ海パイプラインによる原油輸出停滞を受け、昨年来より高水準にあった原油及びガス価格が一層高騰する中、グローバルなエネルギー安全保障を確保しつつエネルギー移行を進めていくことの重要性について議論されました。また、会合の成果として、閣僚共同コミュニケが採択されました。同コミュニケでは、(ア)エネルギー移行期における、重要鉱物資源を含むエネルギー安全保障の強化、(イ)気候変動対策におけるエネルギーセクター主導、(ウ)IEAファミリー強化(非メンバー国との協力)、(エ)IEAの財源強化に関する新たな4つのマンデートがIEAに付与されました。
  • (3)更に、ロシアのウクライナ侵略を強く非難し、ウクライナ及び世界のエネルギー供給の安全性を高めるための協調を呼びかける加盟国声明が発出されました。
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主な議論の内容

  • (1)「サイドイベント:アフリカにおけるクリーンエネルギー転換支援」
     アフリカ大陸で急激に増大するエネルギー需要を満たすため、エネルギー関連インフラ・技術への投資及びユニバーサル・アクセス(世界中の人々が、エネルギーを利用できる状態のこと)の確保の方途について議論が行われました。小田原副大臣からは、コロナ禍で経済的なダメージを受けたアフリカ諸国がエネルギー転換を継続させていくための能力構築等を実施するための支援として日本が約500万ユーロ(約6億円)を拠出したことを紹介しました。また、本年主催予定のTICAD8も通じて、アフリカのニーズにしっかりと耳を傾けながら、アフリカのエネルギー問題と経済成長に向けて取り組んでいく旨述べました。
  • (2)「官民対話 新たなエネルギー安全保障の課題 重要鉱物及び物資」
     本対話においては、クリーンエネルギー転換を進めていく上で極めて重要であり、今次閣僚理事会でIEAが新たな任務として取り扱うこととなった重要鉱物資源の安定的な確保の問題がテーマとなりました。その中で、投資、リサイクル、サプライチェーンの強靱化、ガナバンス強化を官民で促進させていくための方途について議論が行われました。小田原副大臣からは、多くの重要鉱物資源について、一部の国に精製・分離のプロセスが寡占されている現状の問題を指摘し、重要鉱物資源のサプライチェーンの強靱化支援として、我が国が新たに約180万ユーロ(約2.2億円)を拠出することを決定した旨述べました。
  • (3)「サイドミーティング:クリーンエネルギー転換プログラム(CEPT)の次なるステージ」
     新興国におけるエネルギー転換を後押ししていくため、同プログラムを通じた支援の重要性につき議論が行われ、共同コミットメントが採択されました。小田原副大臣からは、世界のエネルギー転換を促進すべく、各国・地域のエネルギー事情を考慮し、あらゆるエネルギー源や技術を組み合わせる視点から、CETPの活動を日本として重視しており、今後もCETPの活動の加速化及び世界のエネルギー転換に積極的に貢献していく旨述べました。
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各国・国際機関代表との会談など
 小田原外務副大臣は、今次会合の機会に、エルハラル・イスラエル・エネルギー大臣、ビロルIEA事務局長、リステール仏貿易・誘致担当長官、デムチェンコフ・ウクライナ・エネルギー次官、フェルナンデス米国務次官と会談しました。

  • (1)小田原副大臣とエルハラル・イスラエル・エネルギー大臣との会談
     23日、小田原副大臣は、今年は日イスラエル外交関係樹立70周年であり、グローバルなエネルギー安全保障を含め、幅広い分野で二国間関係を強化させる契機としたい旨述べました。
     これに対し、エルハラル・イスラエル・エネルギー大臣は、気候変動問題やエネルギー問題について、知見共有やイノベーションでの協力などを通じて連携を強化していきたい旨述べました。
  • (2)小田原副大臣とビロルIEA事務局長との会談
     23日、小田原副大臣は、今般のロシアによるウクライナ侵略は、エネルギー安全保障を確保しつつエネルギー転換を進めていくことの重要性を世界に認識させた旨指摘しました。その際、原油・天然ガスの供給源の多様化、上流開発投資の促進、原子力の利用を含め、あらゆる手段を講じていくべきであり、引き続き原油価格の高騰局面が続いている中で、IEAと緊密に連携していきたい旨述べました。
     これに対し、ビロル事務局長は、日本のIEAとの協力に感謝を述べるとともに、ウクライナ情勢を受けてエネルギー市場の逼迫が続いており、IEAとして日本を含むメンバー国と協力して適切に対応していきたい旨述べました。
  • (3)小田原副大臣とリステール仏対外貿易・誘致担当大臣との会談
     23日、小田原副大臣とリステール大臣は、ウクライナ情勢及び二国間関係について意見交換を行うとともに、インド太平洋地域や2025年大阪・開催万博について協力していくことで一致しました。リステール大臣からは、日本企業が取り扱うLNGのうち余剰分を欧州に振り向けたことへの謝意が表明されました。
  • (4)小田原副大臣とデムチェンコフ・ウクライナ・エネルギー次官との会談(外務省報道発表)
  • (5)小田原副大臣とフェルナンデス米国務次官との会談
     24日、小田原副大臣は、ロシアによるウクライナ侵略を受けて原油価格は高騰を続けており、市場の安定化のためには、上流開発投資や民間資本の活用を含めてあらゆる手段を講じていくべきである旨述べ、フェルナンデス米国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)からは賛同が示されました。また、フェルナンデス米国務次官からは、重要鉱物資源のサプライチェーン強靱化に向けた日本との協力に期待感が示されました。
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パリ日本文化会館視察
 24日、小田原副大臣は、パリ日本文化会館を訪問し、鈴木仁館長から同会館の歴史や活動について説明を受けるとともに、館内を視察しました。

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フェルナンデス米国務次官主催閣僚級協議
 重要鉱物資源のサプライチェーンの強靱化について、同志国間で率直な意見交換がおこなわれました。小田原副大臣からは、日本の在外公館におけるエネルギー・鉱物資源専門官制度、官民の協力による取組を紹介し、今後の国際社会の取り組みの在り方について、積極的に議論に貢献しました。

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OECD及びIEAの邦人職員との意見交換
 24日、小田原副大臣は、今次訪問の機会に、経済協力開発機構(OECD)及びIEAで働く邦人職員と、国際機関における邦人職員増強を巡る課題、ジェンダー平等や国籍の多様性向上の重要性と課題などについて、現場の意見を聴取し、活発な意見交換を行いました。

(参考1)IEA閣僚理事会

 IEA閣僚理事会は、世界のエネルギー安全保障に重要な役割を果たすIEAの最高意思決定の機会であり、2年に1度開催。

(参考2)アソシエーション

 IEAが、グローバルなエネルギー安全保障の強化のため、非加盟国との協力に向けて2015年の閣僚理事会において立ち上げた制度的枠組み。中国、インドネシア、タイ、シンガポール、モロッコ、インド、ブラジル、南アフリカに加え、エジプトとアルゼンチンが今次閣僚理事会においてアソシエーション参加国となった。IEAは、アソシエーション参加国と、データ・統計制度構築の協力、エネルギー政策の助言等を主におこなっている。

(参考3)クリーンエネルギー転換プログラム(CETP) 

 IEAが、主に新興国を対象として、クリーンエネルギー移行促進を支援するために2017年に立ち上げたプログラム。ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカやIEAのアソシエーションメンバーを対象とする。 

(参考4)別添及びリンク

(参考5)エネルギー・鉱物資源専門官制度

 2013年2月、各在外公館において石油、天然ガス、石炭及び戦略的鉱物資源に関する情報を収集・集約するとともに、民間企業、関係機関等との連絡・調整を行うことを目的として開始した制度。現在、計53か国60公館に「エネルギー・鉱物資源専門官」が配置。


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