外務省・新着情報

令和4年4月19日

 4月12日、世界貿易機関(WTO)は、貿易統計・見通しに関するプレスリリース「ロシア-ウクライナ間の紛争は脆弱な世界貿易の回復を危うくする(Russia-Ukraine conflict puts fragile global trade recovery at risk)」を発出したところ、概要は以下の通りです。全文(英語)はWTOのホームページ別ウィンドウで開くに掲載されています。

  1. 2022年の世界の物品貿易量は3.0%の成長が見込まれ、昨年10月時点の推計値4.7%から下方修正された。2023年の世界の物品貿易量は3.4%の成長が見込まれている。これら推計は、ウクライナ情勢の不確実性により修正される可能性がある。ウクライナ情勢によるコモディティ価格の上昇、及びパンデミック対応の措置による輸送への影響が、世界貿易を下降させる主な要因となっている。
  2. 2022年の世界のGDP成長率は2.8%が見込まれており、前回推計時の4.1%から下方修正された。また、2023年の世界のGDP成長率は3.2%が見込まれている。これら推計は、(1)インフラの破壊や貿易コストの上昇を含むウクライナにおける戦争の直接的な影響、(2)ロシアの銀行のSWIFTからの遮断を含むロシアに対する制裁の影響、(3)ビジネス及び消費者の信頼感の下落及び不確実性の上昇による他の地域における総需要の減少を考慮したものである。
  3. 物品貿易量につき、地域別では、欧州、アフリカ及び独立国家共同体(CIS)が輸入に関して他地域よりも状況が悪い。CISでは、2022年の輸入量は実に12.0%減少する一方、輸出量は4.9%増加する見込みである。一方で、原油価格上昇により、中東の輸出量は11.0%増、輸入量は11.7%増になると見込まれる。
  4. ウクライナ情勢を受け、本年3月の石油価格は118ドル/バレルまで上昇し、1月から38%の上昇、対前年比では81%の上昇となった。天然ガスの価格は地域間で大きな差が生じており、欧州においては本年1月から3月にかけて45%上昇し100万BTU当たり41ドルに達したのに対し、米国では低い価格が維持され100万BTU当たり4.9ドル前後であった。
  5. 2021年の世界の物品貿易量は9.8%上昇した。貿易額としては、26%増加して22.4兆ドルとなった。同年のサービス貿易量は15%上昇し、5.7兆ドルとなった。これは運送サービスが33%上昇したことなどに起因している。ウクライナ情勢及び制裁により、サービス貿易にも大きな影響が出ることが予想される。なお、サービス貿易では、ロシアは純輸入国であり、2021年のサービス貿易輸出額は550億ドルで世界シェア0.9%を占め、サービス貿易輸入額は740億ドルで世界シェア1.4%を占める。2019年のロシアのサービス輸入の42%は欧州からであった。また、パンデミック前のロシアのサービス貿易においては、旅行・観光サービス及び航空運送サービスの割合が大きく、輸出の46%、輸入の36%を占めていた。また、知財サービスの割合も大きく、EU、米国、日本等から輸入している。

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