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2022年4月27日

同時発表:特許庁

特許庁は、令和4年4月27日に、将来の市場創出・拡大が見込める最先端分野である「教育分野における情報通信技術の活用」の技術テーマについて、特許情報等を調査・分析した特許技術動向調査の報告書を取りまとめました。
調査の結果、中国籍出願人による出願の近年の伸びが顕著であること、及び、「人工知能の利用」に関する出願は、2017年以降に急増しており、特に中国籍出願人、韓国籍出願人からの出願が増加していることが分かりました。

我が国においては、GIGAスクール構想に基づき「1人1台端末」等、学校におけるICT環境の整備が着実に進められています。諸外国においてもSTEAM教育やICTを活用した教育への注力がなされており、ICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用した新たな学習として“EdTech”分野への関心が全世界的に高まっています。

特許出願の全体動向についてみると、当該分野の特許出願件数は増加しています。特に中国籍出願人による出願の近年の伸びが顕著ですが、その多くは中国国内への出願となっています。日本国籍出願人、韓国籍出願人による出願も増加傾向にある一方で、米国籍出願人による出願は減少傾向にあります。

教育分野における情報通信技術の活用として、学習の個別最適化や指導者支援に関する技術が注目されており、これらの技術において人工知能を利用した開発が進んでいます。そこで、「人工知能の利用」に着目して分析を行いました。
「人工知能の利用」に関する出願は、2017年以降に急増しており、特に中国籍出願人、韓国籍出願人からの出願が増加しています。また、人工知能に用いられているログについて分析すると、成績や学習経過の記録等の「スタディログ(学習記録)」に関する出願件数が多く、その一方で、「アシストログ(指導記録)」に関する出願は多くはないことが分かりました。

今後も、教育分野における情報通信技術の活用として、特に人工知能を利用した出願の増加が予想されるところ、我が国はGIGAスクール構想等により教育ICTのハード面での基盤が整ってきています。この基盤を有効に活用するための技術開発が期待されます。例えば、アシストログは、指導の内容と効果を紐付けて分析することにより、効果的な指導が可能になることから、人工知能を用いてアシストログを分析・活用する技術の開発に注力すれば、我が国が市場で優位に立てる可能性があります。

(1)対象技術・背景

  • 我が国においては、GIGAスクール構想に基づき「1人1台端末」等、学校におけるICT環境の整備が着実に進められ、諸外国においてもSTEAM教育やICTを活用した教育への注力がなされており、“EdTech”分野への関心が全世界的に高まってきている。
  • 教育ICTについて、学びの観点から、「学習者」、「指導者・協力者(手段)」、「学習コンテンツ」、「学習形態」、「学習・指導の記録」の5つの概念に分類し、技術の観点から、「ソフトウェアにおける技術的特徴」と「ハードウェアにおける技術的特徴」の2つの概念に分類して解析した。

                  

(2)調査結果:全体動向

  • 特許出願件数は増加しており、特に中国籍出願人の近年の伸びが顕著。
  • 出願人国籍・地域別で最も多いのは中国籍の8,059件で、全体の48.1%を占めている。
  • 出願人ランキングでは、上位20者中5者を日本の企業が占めている。


           


   

          

(3)調査結果:効果的に利活用可能な「学習基盤」を構築する技術

  • 教育分野における情報通信技術の活用として、人工知能の導入が進んでいる。そこで、「人工知能の利用」及び「学習・指導の記録」に着目して分析した。
  • 「人工知能の利用」 に関する出願は、2017年以降に急増しており、特に中国籍出願人、韓国籍出願人からの出願が増加している。


   
            

(4)調査結果:効果的に利活用可能な「学習基盤」を構築する技術

  • 「人工知能の利用」及び「学習・指導の記録」をクロス分析したところ、いずれの国籍・地域の出願人においても、「スタディログ(学習記録)」に関する出願件数が多く、一方で、「アシストログ(指導記録)」に関する出願件数は多くないことが分かった。
  • 我が国は、GIGAスクール構想等により、教育ICTのハード面での基盤が整ってきており、この基盤を有効に活用するための技術開発が期待される。例えば、指導の内容と効果を紐付けて分析することにより、効果的な指導が可能になることから、人工知能を用いてアシストログを分析・活用する技術の開発に注力すれば、我が国が市場で優位に立てる可能性がある。


  
  
  

参考 特許出願技術動向調査とは

「特許出願技術動向調査」は、世界中の特許情報を、論文情報等と併せて分析して各国や各企業の研究開発動向を把握し、企業・大学・研究機関等が開発戦略・知財戦略を策定するために実施しています。調査においては、有識者からなる委員会の助言等を踏まえ、日本の技術的な強み等を分析し、日本の企業・大学・研究機関等が目指すべき研究開発の方向性を示しています。
調査は、新市場の創出が期待される分野、国の政策として推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、行います。
令和3年度は、「教育分野における情報通信技術の活用」、「手術支援ロボット」、「ウイルス感染症対策」、「GaNパワーデバイス」、の4の技術テーマを対象とした特許出願技術動向調査を実施しました。
 

            (参考図)調査のイメージ

公表日

2022年4月27日(水曜日)

関連資料

担当

特許庁総務部企画調査課長 仁科
担当者:宮崎、四垂、青柳

電話:03-3581-1101(内線 2155)
03-3592-2910(直通)
03-3580-5741(FAX)

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