外務省・新着情報

令和4年5月1日
首脳会談を前に、チン首相と握手しながら記念撮影に応じる、岸田総理大臣の様子 日・ベトナム首脳会談(写真提供:内閣広報室)
日・ベトナム首脳会談が行われてる様子 日・ベトナム首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 5月1日、現地時間午前8時50分(日本時間午前10時50分)から約1時間25分、ベトナム社会主義共和国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、首相府において、ファム・ミン・チン・ベトナム社会主義共和国首相(H.E.Mr. PHAM Minh Chinh, Prime Minister of the Socialist Republic of Viet Nam)と首脳会談を実施したところ、概要は以下のとおりです。会談後両首脳は、文書交換式及び共同記者発表に臨みました。会談には、磯崎内閣官房副長官他が同席しました。

1 冒頭

 岸田総理は、チン首相及びベトナム国民からの温かいもてなしに感謝の意を表し、ベトナムは「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上で要となる重要なパートナーであり、世界が国際秩序の根幹をめぐる歴史の岐路に立っている中、チン首相と共に、両国の連携をこれまで以上に強化したい旨述べました。これに対し、チン首相から、総理大臣として初のベトナム訪問を歓迎し、岸田総理と共に二国間関係や様々な地域・国際情勢への対応について緊密に連携していきたい旨発言がありました。

2 二国間関係

  • (1)経済協力
     岸田総理から、重視していく分野として、サプライチェーンの多元化、デジタルトランスフォーメーション、技術革新の協力を更に加速させていく旨述べました。これに対し、チン首相から、投資環境整備に向けて取り組んでいく旨発言があり、日本企業からのベトナムへの更なる投資に期待が表明されました。
  • (2)人的交流
     岸田総理から、技能実習生を巡る失踪、不法残留、悪質なブローカーの介在等は深刻な問題であると述べ、今般、技能実習生等の送り出しに関するプラットフォームの構築について合意したことを歓迎し、チン首相の力強いリーダーシップに期待を示しました。これに対し、チン首相から、両国の社会や経済にとって重要な役割を果たす技能実習生をめぐる問題の解決に向けて取り組んでいく旨述べました。
  • (3)国際社会共通の課題における協力
     岸田総理から、脱炭素化に向けたエネルギー・トランジション支援や、地球観測衛星打ち上げを通じた防災能力向上について協力していく旨述べました。また、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」についても紹介しました。これに対し、チン首相から、気候変動、防災といった国際社会の共通の課題において日本と協力を強化していきたい旨述べ、日本からの支援に謝意と期待が示されました。また、両首脳は、経済安全保障分野での協力の開始、国連安保理改革や核兵器のない世界の実現に向けて協力していくことでも一致しました。
  • (4)安全保障
     岸田総理から、ベトナム軍へのサイバーセキュリティ能力構築支援等を通じた防衛協力や、海上保安能力向上のために協力を強化していく旨述べました。これに対し、チン首相からは、日本からの支援に謝意が述べられ、引き続き当該分野での協力強化に期待する旨発言がありました。
  • (5)外交関係樹立50周年
     両首脳は、来年の日越外交関係樹立50周年に向けて実行委員会を立ち上げ、来年が両国の新たな時代を切り開く節目となるよう緊密に連携していくことで一致しました。

3 地域・国際情勢

  • (1)ウクライナ情勢
     岸田総理から、ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章、またASEAN憲章とも相容れず明白な国際法違反であり、いかなる地域においても力による一方的な現状変更は絶対に許容してはならない旨述べました。これに対し、チン首相から、ウクライナ情勢に関し誰よりも平和を愛するベトナムの立場について説明がありました。両首脳は、国際法及び国連憲章の基本的な原則、特に独立・主権や領土の一体性を尊重する原則が守られなければならないことを確認しました。また、即時停戦と人道支援の重要性について一致し、大量破壊兵器による威嚇や使用、国際人道法に反する民間人や民生施設の攻撃への反対でも一致しました。
     岸田総理は、ベトナムが今般の訪問の機会にウクライナへの人道支援を発表したことを歓迎しました。
  • (2)その他の地域情勢
     両首脳は、その他の地域情勢についても意見を交わし、岸田総理大臣から南シナ海における一方的な現状変更の試みについて、強く反対する旨述べ、国連海洋法条約を始めとする国際法の遵守が南シナ海の平和と安定に不可欠であるとの認識で一致しました。また、両首脳は、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。ミャンマー情勢についても意見交換し、人道支援を含め5つのコンセンサスの実施のため緊密な連携を確認しました。
  • (3)TPP、メコン及び国際場裏における協力
     両首脳は、TPP11協定について戦略的な観点を踏まえて率直な意見交換を行い、岸田総理から、経済的威圧や不公正な貿易慣行を許容しないというTPPの精神と原則を守っていきたい旨述べ、TPP11協定のスタンダードを維持していくために新規加入のプロセスにおいて連携していくことで一致しました。更に、両首脳は、RCEP協定の完全な履行に向けて協力していくことで一致しました。また、岸田総理大臣から、日メコン協力についてACMECS開発基金に1.5億円拠出した旨述べ、チン首相から謝意が表明されました。両首脳は、引き続き、メコン地域の発展のために緊密に連携していくことで一致しました。

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