外務省・新着情報

令和4年5月1日
共同記者発表に臨む、岸田総理大臣とチン・ベトナム首相の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)
共同記者発表で発言を行っている、岸田総理大臣の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 シンチャオ。メーデーの祝日にも関わらず、ベトナムの皆様に温かく歓迎いただいたことに感謝します。

 昨年11月にチン首相を日本にお迎えしてから、半年も経たないうちにベトナムを訪問できたことを大変嬉しく思います。私は初当選から25年余り、一貫して日越友好議連で活動し、毎年のようにベトナムを訪問してきました。私にとって大変縁の深い国です。

 先ほど、チン首相との間で3度目となる首脳会談を行いました。その成果をご紹介します。

 二国間関係について、ポストコロナの経済再生を本格的な回復軌道に乗せ、日越関係を一層強化していきます。具体的には次の4つの分野について協力を進めていきます。

 第一に経済関係です。本年1月に発表した「アジア未来投資イニシアティブ」の下、サプライチェーン多元化、デジタルトランスフォーメーション、技術革新における協力を更に加速化します。

 第二に人的交流です。日本ではベトナム人技能実習生に活躍していただいていますが、このシステムを悪用する関係者がいるのも事実です。今般、ブローカーを介さずに技能実習生が自ら送出機関や求人情報にアクセスできるサイトの構築で合意しました。問題ある慣行を抜本的に変え、技能実習生等の適切な訪日が実現するよう、引き続きチン首相と協力していきます。

 第三に国際社会の共通課題における協力です。エネルギー安全保障が課題となる中、水素、アンモニア、バイオマス等の分野でも、ベトナムの現実的なエネルギー移行を支援します。「アジア・ゼロエミッション共同体構想」も紹介しました。地球観測衛星の打ち上げによるベトナムの防災能力向上のため約190億円の円借款を供与します。

 第四に安全保障分野での協力です。サイバー分野の重要性が増す中、本年中に、自衛隊によるサイバー分野でのベトナム軍への能力構築支援を行います。また、ベトナム海上警察の能力向上を支援していきます。

 国際情勢については、まずウクライナです。いかなる地域においても、主権や領土一体性の侵害、また、力による一方的な現状変更は認められないことを確認しました。

 大量破壊兵器による威嚇や使用、国際人道法に反する民間人や民生施設の攻撃への反対でも一致しました。また、人道支援の重要性についても一致しました。ベトナムのウクライナへの人道支援を歓迎します。

 「自由で開かれたインド太平洋」に向けても連携していくことで一致しました。また、北朝鮮への対応での緊密な連携も確認し、東シナ海及び南シナ海での力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致しました。ミャンマー情勢への連携でも一致しました。

 国連安保理がウクライナ情勢に適切に対応できなかったことを受け、安保理改革の重要性を確認しました。NPT運用検討会議への連携も確認しました。

 来年の外交関係樹立50周年及び日ASEAN友好協力50周年に向け、チン首相と新たな時代を切り拓いていきたいと考えています。


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